施工体制台帳の作成義務とは?必要な添付書類、法改正後の変更点も解説

みなさまは、施工体制台帳の作成義務について詳しくご存じでしょうか。施工体制台帳は、品質、工程、安全などを十分に把握して、施工トラブル発生を防止するために重要な書類です。該当する工事を受注した元請業者は、施工体制台帳を作成する必要があります。法改正により、条件の一部が変更されました。施工体制台帳は、作成だけでなく、保存や据え置きの義務もあります。本記事では、施工体制台帳とは何か、施工体制台帳にかかわる法改正内容、記載すべき内容などを解説します。

施工体制台帳とは何か

施工体制台帳とは、工事を安全かつ計画的に進めるために、元請業者が作成する台帳です。現場の施工体制を把握するために、工事を請け負うすべての業者名、各業者が施工を担当する範囲、スケジュール、主任技術者や監理技術者名が記載されます。建設業法第24条の8で、下請契約の請負代金が一定の額を超える民間工事では、施工体制台帳を作成・備え置きするよう定められています。令和5年1月1日から、施工体制台帳の作成が必要な下請契約の請負代金の下限額が引き上げられました。公共工事の場合は、公共工事入札契約適正化法第15条に基づき、請負代金にかかわらず、施工体制台帳の作成・備え置きが必要です。

【令和5年~】「建設業法施行令」の施工体制台帳に関する改正内容

令和4年11月に「建設業法施行令の一部を改正する政令」が公布されました。金額要件や技術検定制度が見直され、令和5年1月1日から施行されています。金額要件の見直しにより、特定建設業の許可、監理技術者の配置、施工体制台帳の作成を要する下請代金額の下限が、4000万円から4500万円に引き上げられました。建築一式工事の場合は6000万円から7000万円への引き上げです。金額要件の改正によって、施工体制台帳や施工体系図の作成・掲示などが不要になっても、令和4年12月31日までに作成した施工体制台帳・施工体系図は、引き続き保管しなければなりません。また、公共工事の場合は、下請代金にかかわらず、施工体制台帳や施工体系図の作成・掲示などが必要です。

施工体制台帳を作成する目的

品質、工程、安全などを十分に把握し管理することで、施工トラブル発生を防止することが、施工体制台帳を作成する目的のひとつです。施工体制台帳を作成する際には、下請業者の健康保険加入状況や建設業許可の内容などが必要なので、不良・不適格業者の参入や建設業法違反の発生などを防げます。また、施工体制台帳によって現場に配置される業者・作業員を具体的に把握することは、安易な重層下請による生産性低下を防止することにつながるでしょう。

施工体制台帳の作成は義務

建設業法第24条の8および建設業法施行令の一部を改正する政令で定められたとおり、民間工事で、下請契約の請負代金が4500万円(建築一式工事の場合は7000万円)を超える場合、施工体制台帳を作成・備え置きしなければなりません。公共工事の場合は、請負代金にかかわらず、施工体制台帳を作成・備え置きするよう公共工事入札契約適正化法第15条で規定されています。民間工事の場合、発注者から請求されたときには、発注者に施工体制台帳を見せる必要があります。公共工事の場合は、発注者に施工体制台帳の写しを提出しなければなりません。

施工体系図の作成も義務

施工体制台帳とともに、施工体系図も作成しなければなりません。施工体系図とは、下請業者の施行分担関係を、わかりやすく示した図を指します。施工体系図を作成することで、工事関係者ならば誰でも簡単に、施工分担関係を把握できます。作成した施工体系図は、工事現場の見やすい場所への掲示が必要です。公共工事の場合は、関係者が見やすい場所だけでなく、公衆が見やすい場所にも掲示する必要があります。仮囲いのどこかに掲示されるのが一般的です。施工体系図には、会社名や代表者名、安全衛生責任者名、主任技術者名などが記載されます。

工事現場で施工体制台帳以外に必要なもの

建設工事の現場には、「建設業の許可票」の提示も必須です。建設業の許可票は自分で作成することも可能ですが、専門業者に依頼する、ネットで購入するといった方法でも入手できます。以下の記事では、許可票の作成方法や工事現場で必要な書類などについて詳しく解説しておりますのでぜひ参考にしてみてください。
建設業の許可票をエクセルで作成する方法とは?

施工体制台帳の保存期間

施工体制台帳を作成したら、発注者への成果物の引き渡し完了まで備え置く必要があります。施工体制台帳は、帳簿の添付書類として、工事完了後から5年間保存しなければなりません。途中で契約が解除された場合でも、5年間保存する必要があります。保存が必要なのは、主任技術者、監理技術者、監理技術者補佐の氏名・資格、下請業者の商号・許可番号、下請業者に請け負わせた工事内容・期間、下請業者が置いた主任技術者の氏名・資格です。また、施工体系図は、営業に関する図書として、10年間の保存が必要です。

施工体制台帳の作成対象の工事

施工体制台帳の作成対象の工事は、前述したように、以下の2つです。

  • 民間工事:下請契約の請負代金が4500万円(建築一式工事の場合は7000万円)を超える場合
  • 公共工事:下請契約の請負代金にかかわらずすべて

対象の工事を発注者から直接受注した建設業者が、施工体制台帳を作成します。施工体制台帳は、下請業者が提出した再下請負通知書に基づいて作成することが必要です。施工体系図も、対象工事を直接受注した建設業者が作成します。

施工体制台帳に記載すべき業者の範囲は?

施工体制台帳に記載すべき業者は、建設工事の請負契約をしたすべての下請業者です。一次下請だけでなく、二次、三次、それ以下の下請業者も記載が必要です。下請業者が無許可業者でも、記載しなければなりません。一方で、運搬、資材、警備、測量といった建設工事に該当しない業務について契約した業者は、記載の対象外です。ただし、発注者が仕様書で記載を求めている場合は、記載しなければなりません。また、施工体制台帳を作成するために、すべての下請業者は再下請負通知書を作成する必要があります。

施工体制台帳に記載すべき事項と添付書類とは?

施工体制台帳には、記載すべき項目がいくつか定められています。また、必要な添付書類には、元請業者が用意する資料だけでなく、下請業者が準備する書類もあります。施工体制台帳を作成する際は、漏れや誤りのないよう記載・添付しましょう。また、一次下請以降のすべての下請負人は、再下請負通知書に必要事項を明記し、添付すべき書類とともに提出する必要があります。施工体制台帳に記載すべき項目と、必要な添付書類を解説します。

施工体制台帳に記載すべき項目

施工体制台帳に記載すべき項目は、以下のとおりです。漏れなく記載しましょう。

☆元請負人に関する事項
・発注者から請け負った工事内容
・建設業許可の内容
・健康保険等の加入状況
・配置技術者の氏名と資格内容
・外国人技能実習生及び外国人建設就労者の従事状況

★一次下請負人に関する事項
・下請契約した工事の内容
・施工に必要な建設業許可業種
・健康保険等の加入状況
・配置技術者の氏名と資格内容
・外国人技能実習生及び外国人建設就労者の従事状況

施工体制台帳に必要な添付書類

施工体制台帳に必要な添付書類は、以下のとおりです。

・発注者との契約書の写し
・下請負人との契約書の写し
(注文・請書及び基本契約書又は基本契約約款等の写し)
・配置技術者(監理技術者等)が資格を有することを証する書面
(専任を要する監理技術者の場合、監理技術者証の写しに限る)
・専門技術者等を置いた場合は資格を証明できるものの写し
(国家資格等の技術検定合格証明等の写し)
・配置技術者(監理技術者等)の雇用関係を証明できるものの写し
(健康保険証等の写し)

【まとめ】施工体制台帳の作成は義務!基本を理解して適切に作成しましょう

施工体制台帳とは何か、施工体制台帳にかかわる法改正内容、記載すべき内容などを解説しました。施工体制台帳は、施工トラブルの発生や、不良・不適格業者の参入、建設業法違反の発生などを防ぐために大切です。法改正により、令和5年から、施工体制台帳の作成を要する下請代金額の下限が引き上げられました。施工体制台帳に記載すべき項目や、添付が必要な書類が定められているので、漏れなく対応しましょう。施工体制台帳の作成が必要になったときは、ぜひ本記事を参考にしてください。

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