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建設工事を行う際は、着工前に数多くの書類を作成し、管理しなければいけません。その種類は多岐にわたり、下請け業者の場合、10種類以上の書類を作成しなければいけないこともあります。
そうした書類のひとつが、下請負業者編成表です。しかし、どういった書類なのか知らずに管理している方もいるのではないでしょうか。この記事ではそうした下請負業者編成表について解説します。今回開設する目的や作成時のポイントを把握し、適切な管理を行いましょう。
下請負業者編成表とは
下請負業者編成表は、工事に関わる業者の情報をまとめた書類です。一次下請負業者が作成し、最終的には元請業者に提出します。ここでは、次の3つのポイントから解説します。
- 下請負業者編成表の作成目的
- 下請負業者編成表の必要性
- 下請負業者編成表の様式
それぞれのポイントについては理解を深め、書類作成時の品質向上を目指しましょう。
下請負業者編成表の作成目的
下請負業者編成表には、工事に関わる施工業者の情報が網羅されます。安全衛生責任者や主任技術者などは、工事を行ううえで明確にしなければいけません。
二次以降の施工業者以降を使用する場合、一次下請負業者を明確にすることで、指示系統がはっきりします。元請業者が作成する施工体系図の元となるため、こうした情報が明確になることは極めて重要です。
下請負業者編成表の必要性
下請負業者編成表は、提出が必須の書類ではありません。例えば、一次下請業者として工事を受注し、自社が施工する場合は二次以降の施工業者が存在しません。そのような場合には、作成する必要はありません。
下請負業者編成表は、一次下請負業者が必要事項を記入して元請業者に提出する書類です。二次以降の協力業者は基本的には作成する必要がありません。
下請負業者編成表の様式
安全書類を作成する機会がこれまでなかった場合、どういった形式で作ればよいか困ることもあるのではないでしょうか。困った際は、「全建統一様式」を利用しましょう。
多くの建設業者が利用する全建統一様式では、下請負業者編成表のフォーマットもあります。
全建統一様式を利用すれば、必要な部分に記載するだけです。作成する際は、この書類の必要な部分に情報を記載しましょう。
下請負業者編成表の記入例
続いては、下請負業者編成表をどのように記入するかを解説します。記入が必要な項目は、以下のように多岐にわたります。それぞれの項目をどのように記載すればよいかを解説しますので、作成する際の参考にしてください。
- 工事
- 会社名
- 代表者名
- 建設業許可番号
- 安全衛生責任者
- 主任技術者
- 専門技術者
- 特定専門工事該当の有無
- 工期
工事
工事の部分には、工事内容を記載しましょう。工事内容とは具体的な作業を指します。例えば、型枠の組み立てと解体工事であれば、「型枠工事」と記載します。鉄筋工事であれば「鉄筋工事」、足場の組み立てと解体であれば「足場工事」です。
工事という項目のため、工事件名を書いてしまう方もいますが、記載するのはあくまでも工事で行う作業です。工事件名と間違えないように注意しましょう。
会社名
次は会社名を見ていきましょう。会社名はシンプルに作業を行う会社の名称を記載します。記載する会社名は、正式名称でなければいけません。社名が長いと、他の書類で省略して書くこともあります。しかし、下請負業者編成表に記入する際は、正式名称でなければいけません。
協力業者の中で、個人事業主の一人親方が入ることも珍しくありません。そのような場合は、一人親方の名前を記載しましょう。
代表者名
代表者名の欄には、会社の代表者の名前を記載しましょう。法人の場合は、基本的には会社の代表取締役などの名前を記載することが、一般的です。会社の役員が実質的な代表などというケースもあります。その場合は、どのようにするか元請業者と相談しましょう。
下請負業者が個人事業主の場合は、本人の名前をフルネームで記載します。
建設業許可番号
建設業許可番号には、下請負業者に割り当てられている建設業許可番号を記載します。記入する際は、番号だけでなく、一般か特定かどちらなのかも記載しましょう。番号は、建設業許可証に記載されているため、確認しながら書くと間違えることもありません。
受注額によっては建設業許可が必要ない工事もあり、建設業許可番号を持たない業者が施工することもあります。その場合は、記載する必要はありません。
安全衛生責任者名
下請負業者編成表には、安全衛生責任者の名前を記載する欄があります。ここには、現場で安全衛生を確保し指導を行う作業員の名前を記入します。基本的には安全衛生教育や職長教育を教育を受けた作業員が安全衛生責任者となり、特別な資格は必要ありません。
安全衛生責任者は、現場で常に作業を指揮する現場代理人や主任技術者である必要があります。そのため、適当に記入してはいけないことを意識しておきましょう。
主任技術者
主任技術者の部分には、工事の管理・監督を行う作業員の名前を記入します。主任技術者は、誰でもいいわけではありません。作業内容に適した国家資格を持つ作業員である必要があります。
主任技術者は、基本的に公共性の高い構造物や多くの人が利用する建築物などの工事において必ず配置しなければいけません。しかし、次の要件に当てはまる工事の場合は、配置しなくてもよいことがあります。
- 請負金額が500万円以下で建設業許可を取得していない
- 建築一式工事
- 請負金額が1,500万円以下もしくは延べ面積150m2未満の木造住宅工事
専門技術者
専門技術者は、土木や建築の一式工事を受注した際、専門工事が含まれる場合に記入しなければいけません。主任技術者同様に、作業の資格を持つ作業員の名前を記載することが一般的です。資格によっては主任技術者が兼務することもあります。
ただし、専門工事が500万円未満であれば軽微な工事とみなされるため、専門技術者の配置と記載は不要です。
特定専門工事該当の有無
特定専門工事該当の有無の欄は、有か無かどちらかに〇をつける方式です。特定専門工事に該当するのは、型枠工事か鉄筋工事です。土木や建築の一式工事でどちらかが含まれる場合は、有に〇をします。どちらも含まれない場合は無に〇をつけてください。
特定専門工事該当の有無は、令和2年の建設業法の法改正に対応するために新たに設けられました。建設業の経験が長い方だと見覚えがないこともあるため、注意しましょう。
工期
工期には、下請負業者として作業を行う期間を記載しましょう。よくある間違いとして、その工事全体の工期を記載してしまうことがあります。しかし、下請負業者編成表で記入する工期の欄に書くのは、あくまで下請負工事の工期です。
工事によっては、書類提出時点で工期が定まっていないこともあります。そうした場合は、空欄にするか元請業者と相談して工期を記入しましょう。
下請負業者編成表の作成ポイント
下請負業者編成表を作成する際は、以下のポイントを押さえておく必要があります。
- 再下請負通知書(変更届)を用意する
- 情報は正しく記載する
- 押印の必要性を確認しておく
- 協力業者が多い場合は複数枚作成する
どういった点を意識すればよいのかを理解して、書類作成に取り組みましょう。
再下請負通知書(変更届)を用意する
下請負業者編成表を作成する際は、協力業者に再下請負通知書を提出してもらわなければいけません。この書類は、一次下請負以下の業者が二次の協力業者と下請負契約を結ぶときに作成する安全書類です。
頻繁に工事を依頼する協力業者であれば、簡単に用意できます。初めて依頼する協力業者の場合、不備があることも珍しくありません。そのため、提出前に内容をよく確認し、問題がなければ元請業者に提出します。
情報は正しく記載する
下請負業者編成表を作成する際は、必要な情報を正しく記載することが重要です。そのために重要なのが、一次下請負業者より下位の協力業者です。下位の協力業者の情報が誤っていては正確な書類が作れません。
再下請負通知書は、下請負業者編成表のもとになるため、正確でなくてはいけません。そうした観点から、再下請負通知書には正確さが求められます。
押印の必要性を確認しておく
下請負業者編成表を作成する際は、ほとんど押印が必要ありません。なぜなら、先ほど解説した全建統一様式の様式第1号-乙を使用することがほとんどだからです。
現在は押印について見直しが行われているため、押印が不要な書類も増えてきています。しかし、押印しなければ認められない書類も多いため、作成する書類に押印が必要か確認しましょう。
協力業者が多い場合は複数枚作成する
協力業者が多くなる場合は、全建統一様式の第1号-乙を複数枚使用して、下請負業者編成表を作成しましょう。工事の内容によっては、専門性の高い作業が多く、その部分を協力業者に依頼するケースも少なくありません。
全建統一様式の第1号-乙を使用すると、協力業者は3社しか記入できません。協力業者が4社以上になる場合は、同じ用紙を必要な枚数だけ準備し、作成しましょう。
再下請負通知書についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
施工体制台帳作成建設工事についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
【まとめ】下請負業者編成表は安全書類の1つ!間違いや漏れなどがないよう作成しよう
下請負業者編成表は、元請業者が施工体系図を作成する際に使用する重要な書類です。そのため、必ず提出しなければならず、記載ミスや記入漏れがあってはいけません。
ミスや漏れがあったら、元請業者からの信頼を損ない、仕事を受注できなくなるケースもあります。作成する際は、今回解説した内容に注意し、ミスのない書類を提出しましょう。
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