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電気工事というと現場作業をイメージしがちですが、実は現場作業の前の下準備が大切です。そしてその下準備の中でも時間がかかるのが「電気回路図の作成」です。この回路図がしっかりできていないと、現場工事が滞るだけでなく、場合によっては電気事故につながりかねません。
今回は、その回路図を作成するためのCAD※ソフトの紹介です。どんなソフトがあるのか、無料のものでも実務に耐えられるのかなど、検証して説明しています。ぜひ、お役に立ててください。
※CAD(Computer Aided Design):コンピュータを使った設計・作図システム
電気工事に使用する図面の種類
電気工事は複雑なので、すべてを一枚の図面にまとめることは不可能です。そのため、それぞれの工事局面にあった電気図面を作成することになります。どのような図面があるのか、具体的にみていきましょう。
・外形図:各種パーツの外形や盤内の配置などを記した図面。
・単線結線図:電気が大まかにどこからどこへ流れているか分かりやすく記した図面。
・複線接続図:電気の流れのためには2本の線が必要で、実際の工事も一つのパーツに2本の線をつなげます。その図面です。
・展開接続図:機器の制御や、開閉器、リレーのコイルなどを操作順序にしたがって展開した図。
以上のほかにも、端子図や部品図など、さまざまな図面を準備します。
電気工事の回路図作成に使える「電気CAD」とは?
電気CADとは、前述した各種図面の作成支援に特化したソフトウェアです。電気設計図作成をサポートする機能に優れており、効率よく図面が作成できます。たとえば、制御盤や配電盤をクリックするだけで、図面に機器を配置することができます。
電気CAD専用ソフトというのは少なく、汎用CAD(建築・土木・機械など)の一機能として含まれていることが多くみられます。
電気工事の回路図作成用CADにおける「有料ソフト」と「フリーソフト」の違い
さて、電気CADソフトには無料のものもあります。どの程度、使えるのでしょうか。
この章では、無料ソフトと有料ソフトの特徴や、使用する場合の注意点などについて説明します。
フリーソフト
フリーソフト(無料ソフト)の特徴をひと言でいうと、「たいがいの図面は作成できるが、有料ソフトほど痒い所に手が届く機能はない」ということになります。たとえば、電設部品を自分で登録(有料版は最初から登録済み)する必要があるソフトなどです。
また、サポート体制も弱く(あるいはゼロ)、疑問点はネット上で慣れた人に問い合わせたり、非公式のFAQ※サイトで回答を探す必要があります。
※FAQ(Frequently Asked Question):よくある質問
有料ソフト
有料ソフトは、無料ソフトの裏返しになるのですが、まずはサポート体制がしっかりしています。最近は電話やメールだけでなく、チャットやLINEでの問い合わせに対応している会社もあります。また、問い合わせ時間の24時間対応やリモートサポートをウリにしているところもあり、自分の使用シーンに合致した会社を選ぶことができます。
また代金の支払い方法も、買い切り型のほか、月額サブスクリプション(定額払い)方式のものもあり、導入のハードルは下がっています。
電気工事の回路図作成用フリーソフトおすすめ5選(一部有料あり)
具体的に、個別の電気CADソフト「人気の5選」をみていきます。図面作製はパソコンに高いグラフィック機能を求めますので、ある程度以上のパソコン能力(CPUやグラフィックボードなど)を必要とします。
1:AutoCAD(無料期間あり)
AutoCADは、世界で数百万人が利用している汎用CADです。国内では、ゼネコン、建設業、土木業など多くの業界で使用されています。自動化とカスタマイズにより、2Dはもちろん3Dの設計についてもスピードアップしました。
・価格:214,500円(3年)、71,500円(1年)、8,800円(1か月)
・PCスペック:プロセッサ=基本2.5~2.9GHz(3GHz以上推奨)、メモリ=基本8GB(16GB推奨)、グラフィックカード=基本1GBのGPU{帯域幅29GB/s、DirectX11互換}(推奨4GB{帯域幅106GB/s、DirectX12互換})、ディスク空き容量=10GB(SSD推奨)
・サポート:電話サポート(予約制度あり)、webサポート(メール、チャット)、リモートデスクトップ
・その他:無料体験期間30日
2:Jw_cad(完全無料)
Jw_cadは1997年登場の国内発無料ソフトです。長い歴史の中でのバージョンアップを繰り返してきたことにより、非常に使いやすいものとなっています。それゆえ、国内で多くのユーザーに使用されています。無料ソフトですから責任を持って疑問に回答してくれる組織はないのですが、多くのユーザーが動画などを使い使用方法をネットに乗せています。
・価格:無料ソフト
・PCスペック:CPU=2GHz以上、メモリ=4GB以上、ディスク空き容量=500GB
・サポート:(無料ソフトにつき)なし。ただし「情報交換室」で質問可能。講習会の主催や解説書も販売されています。
3:CADWe’ll Tfas(有料)
CADWe’ll Tfasは、分かりやすい操作性と設計者の意図が伝わる表現力の高い図面作成機能を備えています。電気機能に関しては、JECAシンボルを標準搭載しています。また、他のCAD製品とのデータ互換を実現しています。
・価格:問い合わせ。時間課金レンタル版あり
・スペック:CPU=3.6GHz以上(Intel Core i5)、メモリ=8GB以上、ディスク空き容量=5GB以上、グラフィックカード=DirectX11が動作するもの
・サポート:メール、電話(別途契約要)
4:DraftSight(無料期間あり)
DraftSightの特徴は、AutoCADとコマンド操作が似ている点です。どちらかを操作できれば、もう片方も使用することができます。かつては無料版があったのですが、現在は有料版のみです。
・価格:Premium 58,200円/年、Professional 35,925円/年
・スペック:CPU=3.6GHz以上(Intel Core i5)推奨、メモリ2GB以上(8GB推奨)、ディスク空き容量=1.5GB、グラフィックカード=3D Graphics accelerator card
・サポート:コミュニティの設置、電話、メール
・その他:無料体験期間30日
5:plusCAD(有料)
plusCADは、電気専用CADで、シリーズ製品として他に「水道」「機械」の製品があります。作図がマウスだけで完結するシンプルさで、PCが苦手の社長さんでも導入直後から使用可能です。また図面から見積書へデータ連動でき、ワンクリックで見積書が完成します。
・価格:問い合わせ
・スペック:CPU=3.2GHz以上(Intel Core i3)推奨、メモリ=8GB以上、ディスク空き容量=64GB以上(SSD推奨)
・サポート:訪問サポート、電話サポート、リモートサポート、LINEサポート、いずれも無料
電気CADを扱う際の注意点
この章では、「いかにして電気CADのスキルを身に着けるか」について、説明します。
大手企業でCAD担当者になった場合、それら企業では複数のCADソフトを使用していることが通例です。いきなり複数ソフトの使い方を学ぶのではなく、まずは「得意なCADソフト」を作りましょう。各CADソフトは、操作方法は異なるとはいえ、その目的とするところは同一です。ですから一つマスターすれば、二つ目は短時間で身に着けられるでしょう。
【まとめ】電気工事の回路図作成に役立つ「電気CAD」のフリーソフトを有効活用しましょう!
電気CADのソフトについてまとめてきましたが、ご自身の状況に合う製品はみつかったでしょうか。
電気工事というと、そのほとんどが現場作業のようにイメージされますが、実際は図面作成等のデスクワークも結構な割合で発生します。そして、そのデスクワークの時間をどれだけ短縮できるかにより、できる作業量(=売上)が違ってきます。
この記事の内容を、ぜひ仕事の効率化に役立ててみてください。