施工台帳の重要性や書き方・作成時の注意点をわかりやすく解説

施工体制台帳 書き方

施工体制台帳は工事現場の企業情報をまとめた台帳です。

  • 施工体制台帳って何?
  • 施工体制台帳の書き方が分からない
  • 書くときに注意することってある?

こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は施工体制台帳について詳しく紹介していきます。また、施工体制台帳の左側部分と右側部分の書き方などを詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

施工体制台帳とは

施工体制台帳とは、工事現場内の元請や下請け会社、会社従業員などすべての重要情報を1つにまとめた書類です。施工体制台帳は直接工事を請け負った会社が作ります。建設業では建設業法第24条の8において施工体制台帳を作らなければならない義務が生じています。

施工体制台帳が必要な工事

施工体制台帳はすべての工事に対して作成するわけではありません。

  • 発注者から直接工事をもらった特定建設業者が工事に関して締結した下請け金額の総額が4,500万円(建築一式工事の場合7,000万円)以上の場合
  • 平成27年4月1日以降に公共工事を直接請け負った建設業者が工事に関して下請け契約を締結した場合

上記に当てはまる工事を請け負った元請け会社は施工体制台帳を作成します。

施工体制台帳の作成義務については、こちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
施工体制台帳の作成義務とは?必要な添付書類、法改正後の変更点も解説

施工体制台帳の保管期間

施工体制台帳の保管期間は約5〜10年です。発注したところに対して建設物を引き渡したあとは5年間の保管期間があります。新築住宅を建設したときの工事書類に関しては10年間の保管が必要です。職人さんの名前や資格、下請け会社の名前、工事の工期日などを保管しておきます。

施工体制台帳の項目と書き方

施工体制台帳には左側と右側に分かれています。

  • 左側部分の項目と書き方
  • 右側部分の項目と書き方

それぞれ見ていきましょう。

左側部分の項目と書き方

施工体制台帳の左側部分には元請け会社について記入します。

  • 会社名、事業者名
  • 建設業の許可について
  • 工事の名前、工事内容
  • 発注した人の名前と住所
  • 工期、契約日
  • 契約事務所
  • 発注者の監督員名・権限・意見申出方法
  • 監督員や現場代理人の名前と権限・意見申出方法
  • 監理技術者・主任技術者の名前や資格
  • 監理技術者補佐名・資格
  • 専門技術者の名前と資格内容・担当している工事内容
  • 一号特定技能外国人の従事状況
  • 外国人建設就労者・外国人技能実習生の従事状況
  • 健康保険などの加入状況

各項目について詳しく解説していきます。

会社名・事業所名

会社名や事業者名のところには元請けの会社名を記入します。建設キャリアアップシステムに登録している会社は事業者IDも記入します。事業所名は工事を行う場所を記入します。

建設業の許可

建設業の許可のところには、元請け会社の建設業許可を記入します。2つ以上建設業許可を保有している場合、一般と特定に分けて記載が可能です。記入するときに記載する業種については略語でも問題ありません。略語は以下の通りです。

  • 建(建築一式工事)
  • 筋(鉄筋工事)
  • 鋼(鋼構造物工事)
  • 園(造園工事)
  • しゅ(しゅんせつ工事)
  • と(とび・土木・コンクリート工事)
  • 板(板金工事)
  • 井(さく井工事)
  • 絶(熱絶縁工事)
  • 土(土木一式工事)
  • 通(電気通信工事)
  • 大(大工工事)
  • 左(左官工事)
  • ほ(ほ装工事)
  • 水(水道施設工事)
  • 具(建具工事)
  • ガ(ガラス工事)
  • 石(石工事)
  • 消(消防施設工事)
  • 屋(屋根工事)
  • 塗(塗装工事)
  • 防(防水工事)
  • 管(管工事)
  • 清(清掃施設工事)
  • 内(内装仕上げ工事)
  • 機(機械器具設置工事)
  • タ(タイル・れんが・ブロック工事)
  • 電(電気工事)

工事名称・工事内容

工事名称や工事内容のところには、元請け会社が請け負った工事の名前や内容について記入します。工事の内容を記載するところには数量や工事の種類を書きます。

発注者名・住所

発注者および住所には発注した会社や住所、名称を記入します。

工期・契約日

工期の記載部分には工事の開始と終了期間を書きます。契約日には、発注した会社と元請け会社との間で契約が交わされた日にちを書きましょう。

契約営業所

契約営業所の記載欄には、元請と下請の契約内容を書きます。契約をした会社が本社でも、実際に工事するところは営業所というケースがあります。この場合、本社と営業所との間では下請け契約が交わされます。だれが今どこの会社を受け持っているかを分かりやすくするために、下請契約には実際に作業を行っている営業所を書きます。

一方、元請契約には工事契約を実際に交わした会社を記載するので、本社の名前や住所を書きます。同じ住所のときでも、部署が違うときは部署名も記載する必要があります。全く同じ場所や部署の場合は「同上」と記載しましょう。

発注者の監督員名・権限・意見申出方法

発注者の監督員名には、発注先の監督員名を記入します。その隣の権限及び意見申出方法には「請負契約書の〜記載のとおり」と記入します。記入するときは実際の契約書を確認しながら行いましょう。

監督員名と現場代理人名・権限・意見申出方法

監督員名と現場代理人名には、自分の会社に配属されている監督員の名前をフルネームで記載します。また、権限および意見申出方法記入欄には、「下請け会社第〇条の記載とおり」と下請け会社と契約を交わしたときのやりとりについて記載します。

監理技術者・主任技術者名・資格

監理技術者、主任技術者、資格の記入欄には技術者の名前を書きます。
その際はフルネームで記載しましょう。建設業許可を取得した会社は請け負った工事すべてに主任技術者の配置が義務付けられています。また、特定建設業許可での工事の場合は元請け会社から監理技術者の配置が必要です。特定建設業許可の場合は、主任技術者の配属は必要ありません。監理技術者や主任技術者には以下のような資格が必要です。

  • 建築士試験(建築士法)
  • 技術士試験(技術司法)
  • 技術検定(建設業法)
  • 消防設備士試験(消防法)
  • 技能検定(職業能力開発促進法)
  • 電気工事士試験(電気工事士法)

監理技術者補佐名・資格

監理技術者補佐名および資格には、名前と資格を書きます。監理技術者が様々な現場を兼任するときに監理技術者補佐を配属します。監理技術者補佐には資格が必要です。

  • 一級施工管理技士等の国家資格
  • 一級施工管理技士補
  • 実務経験や学歴で監理技術者の資格を持っている人

専門技術者名・資格内容・担当工事内容

専門的な工事の場合、工事現場や業種ごとに専門技術者を配置しなければなりません。専門技術者は主任技術者になる資格を得ている必要があります。そのため、資格内容には専任技術者になるための条件を、専門技術者名には従事している人の名前を記載しましょう。

一号特定技能外国人の従事状況

会社で一号特定技能外国人を雇っている場合は「有」のところに〇を記入し、雇う予定がないときは「無」に〇をつけましょう。
一号特定技能外国人とは、外国人が特定の業種に対して、ある程度の知識や経験を持っていてなおかつ、在留資格を取得している人のことをいいます。

外国人建設就労者・外国人技能実習生の従事状況

会社で外国人建設就労者がいる場合、もしくは雇おうと考えているなら「有」に〇、予定がない場合は「無」に〇をつけます。

  • 建設に関する技能実習が完了しており、そのまま国内で働く人
  • 建設に関する技能実習が完了しており、一度自分の国に帰ってから国内に来る人

以上が外国人建設就労者の条件です。
外国人技能実習生の従事状況については、自分の国のために、日本の会社でスキルを学びにきた外国人がいる場合は「有」に〇をつけ、予定がないところは「無」に〇をつけます。

健康保険などの加入状況

健康保険などの加入状況部分には、健康保険、雇用保険、厚生年金保険の3種類を記入します。
各保険の事業所番号と事業所整理番号の記入が必要です。公共工事の場合、自治体が元請け管理を確認するため、記入ミスや漏れがないようにしましょう。

右側部分の項目と書き方

施工体制台帳の右側部分には下請負人について記入します。

  • 一次請負業者の会社の名前と住所
  • 一次請負業者の建設業許可の記入
  • 一次請負業者の現場代理人名の記載
  • 一次請負業者が外国人建設就労者を雇っているかの記載
  • 一次請負業者が健康保険に加入しているかの情報

各項目について詳しく解説していきます。

一次請負業者の会社名・住所

会社名や名前のところには一次請負業者の会社名を記入します。建設キャリアアップシステムに登録している会社は事業者IDも記入します。住所は工事を行う一次請負業者の場所を記入します。

一次請負業者の建設業許可

2つ以上建設業許可を保有している場合、工事に必要な建設業許可を書きます。記入するときに記載する業種については略語でも問題ありません。

一次請負業者の現場代理人名

自分の会社に配属されている現場代理人の名前をフルネームで記載します。また、記入方法は左部分と同じで、意見申出方法、権限のところには、「契約書記載のとおり」と元請け会社と契約を交わしたときのやりとりについて記載します。

一次請負業者の外国人建設就労者の従事状況

工事現場で働いている外国人がいるかいないかを記載します。会社で外国人建設就労者がいる場合、もしくは雇おうと考えているなら「有」に〇、予定がない場合は「無」に〇をつけます。

一次請負業者の健康保険など加入状況

一次請負業者が健康保険、雇用保険、厚生年金保険に加入しているかを記入します。健康保険、雇用保険、厚生年金保険など当てはまるところに事業所番号と事業所整理番号の記入を行います。

施工体制台帳を書くときの注意点

  • 添付書類を忘れない
  • 一次請負業者別に作る必要がある
  • 二次請負業者以下は再下請負通知書に記載する

施工体制台帳を記入する際は上記に気をつけましょう。

添付書類を忘れない

  • 施工体制台帳には貼りつける書類があります。
  • 施工体制台帳の原本
  • 工事担当技術者の原本
  • 元請と一次請負業者が契約した書類のコピー
  • 発注者と契約した書類のコピー
  • 主任技術者または監理技術者が元請けにいることを証明する書類
  • 主任技術者または監理技術者が資格を持っているかを証明する書類
  • 専門技術者が元請け業者にいることが証明できる書類
  • 再下請け通知書
  • 専門技術者が資格をもっているかを証明する書類
  • 再下請業者と契約を交わしたときの書類コピー

以上が添付する書類です。施工体制台帳以外にも添付する書類の量が多いので、前もって準備しておきましょう。

一次請負業者別に作る必要がある

施工体制台帳は一次請負業者ごとに作成する必要があります。1つの工事の中に様々な工事内容があります。多くの業者が出入りして工事を行うため、どの下請け業者がどの部分を請け負っているかを分かりやすくする必要があります。

二次請負業者以下は再下請負通知書に記載する

再下請け通知書は一次下請けより下の業者に対して契約した場合に記入する書類です。工事に多くの下請け企業が関わっている場合には再下請け通知書を作成する義務があります。
元請会社と契約している一次、二次、三次下請け業者、と工事に関わっているすべての業者が作成します。最後は元請けに書類が渡るので、一次や二次請負業者が保管することはありません。下請け会社が多いほど書類が増えるため、しっかり保管しましょう。

【まとめ】施工体制台帳は安心・安全な工事を保証する重要書類!不備なく作成・提出しよう

工事現場では安全に作業を行うために、様々な書類の作成が必要です。その中でも施工体制台帳は工事内容ごとに作成する義務があります。工事が終わっても保管しておく必要のある大切な書類です。記入例などを見ながら不備のないように作成しましょう。

安全書類の保管期間はこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
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