施工体制台帳作成建設工事の通知とは?必要性や書き方などを解説

施工体制台帳作成建設工事の通知

建設現場における適正施工の実現と品質確保のため、元請業者による施工体制台帳の作成と下請業者への通知は極めて重要な役割を担っています。しかし、施工体制台帳作成建設工事の通知の制度や運用方法について、十分な理解が浸透しているとは言い難いのが実情です。

工事の円滑な進行と目的物の品質・安全性を高めるためにも正しい知識を身につけ、適切に実践していくことが求められます。この記事では、施工体制台帳作成建設工事の通知に関する基本的事項や通知の方法、通知書への記載項目などについて、詳しく解説していきます。

施工体制台帳作成建設工事の通知とは

施工体制台帳作成建設工事の通知とは、施工体制台帳の作成が必要な工事である旨を、元請業者が下請業者に通知することを指します。元請業者は、施工体制台帳作成通知書などの書面を下請業者に交付しなければなりません。

一次下請から二次下請、さらにその先の下請負人に工事を発注する場合も、それぞれの下請契約の締結時に通知が必要となります。施工体制台帳は、工事現場での備え置きに加え、発注者への写しの提出も義務化されています。施工体制台帳は、工事完成後も一定期間保存することが求められます。

施工体制台帳作成建設工事の通知の必要性

施工体制台帳の作成と通知が義務づけられている理由は、工事全体の施工体制を元請業者が把握・管理し、適正施工と品質確保を実現するためです。建設工事では専門工事業者への分業化と下請の重層化が進みますが、行き過ぎた重層下請構造は手抜き工事などのリスクを高めかねません。施工体制台帳の作成と通知により、適正な施工体制の確保を図ることができるのです。

また、建設業許可を持たない不良業者の排除や一括下請負の防止にも有効です。施工体制台帳によって工事関係者の全容が「見える化」されることで、法令遵守の徹底にもつながります。手抜き工事等のリスクを未然に防ぎ、適正で効率的な施工体制を実現することが「施工体制台帳制度の目的」だと言えるでしょう。

施工体制台帳作成建設工事の通知の工事条件や方法

施工体制台帳作成建設工事の通知が必要となる工事の条件と通知の具体的方法について確認しておきましょう。

通知する業者

施工体制台帳の作成義務を負うのは元請業者です。作成した施工体制台帳は適切に保管し、発注者への写しの提出等にも対応しなければなりません。

下請業者には、再下請負通知書の提出義務が生じます。下請業者がさらに別の建設業者に工事を発注した場合、再下請負通知書を作成し、元請業者に提出する必要があります。下請が重層化している場合、下から上へ、そして発注者へと施工体制情報が伝達されていくことになります。元請・下請の各業者が、適時適切に書類作成や通知を行うことが肝要です。

通知する工事の条件

次のような建設工事が、施工体制台帳の作成・通知の対象となります。

公共工事 請負代金額に関わらず、全ての工事
民間工事 下請総額が4,500万円以上の工事(建築一式工事は7,000万円以上)

公共工事では金額の多寡を問わず施工体制の「見える化」が徹底され、民間工事でも一定規模以上の工事が対象となります。民間工事では、契約約款等で施工体制台帳作成を求められる場合もあるので注意が必要です。

通知する方法

元請業者は、下請契約の締結時に施工体制台帳作成通知書を下請業者に交付します。口頭だけの通知は認められず、通知書交付は工事着手前に行うのが原則です。下請それぞれに、同様の通知書交付が必要となります。下請業者は自社の下請負人に対し、通知書を交付する義務があります。

元請業者には、工事現場での通知書の掲示も義務付けられています。一般の人の目に触れるところで、施工体制を明示するわけです。発注者への施工体制台帳の写し提出も忘れてはなりません。

通知や掲示は工事着工前に行うことが大原則です。もし着工後の通知等となれば、建設業法違反として監督処分等の対象にもなりかねません。日頃から社内体制を整え、適切な施工体制台帳の作成・通知に努めましょう。

施工体制台帳作成建設工事の通知書の記入項目と書き方

施工体制台帳作成通知書には、法令で定められた事項を過不足なく記載する必要があります。記載に不備や虚偽があれば、法令違反の問題も生じかねません。正確な記載は、単なる事務手続きではありません。建設業者のコンプライアンス意識の表れであり、適正施工への意欲の表明でもあります。

この章では、主な記入項目と記入時の留意点をチェックしておきましょう。

日付

施工体制台帳の作成年月日を記入します。通知書交付日と同日が一般的です。後日変更があれば、その都度記載します。下請契約日との整合性にも気をつけましょう。

会社名

元請業者の正式名称を記載。略称は不可。支店等の場合は本店名も併記します。個人事業主なら「〇〇建設 △△△(氏名)」のように記入します。

事業所の名称

工事担当事業所(本支店・営業所等)の名称と所在地を正確に記入してください。本店等以外なら、その旨の明記も必要です。

元請名

発注者と契約した元請業者の本店等の名称・住所を過不足なく記載します。複数事業所がある場合は、契約窓口となった事業所を明記しましょう。

発注者名

発注者の正式名称と住所を記載します。個人なら氏名、法人なら会社名を記入し、連絡先の記載も忘れずに行いましょう。国や自治体の場合は、正式名称が必須です。

工事名

契約書に記された正式な工事名称等を記載します。略称は厳禁です。内容が分かる具体的な名称が望ましいでしょう。着工日と完成予定日の記入も必須事項となっています。

監督員名

発注者から通知のあった監督員名を記載します。発注者が監督員を置かない場合は空欄で構いません。元請業者の監督員を置く場合は、別記入欄を設け所属や連絡先も記載しましょう。

権限及び意見申出方法

監督員の権限と意見申出方法を記載します。「契約書記載の通り」が一般的です。具体的な申出方法(書面、定例会議等)の記載も必要となります。

提出先及び担当者

通常は発注者監督員が提出先・担当者。提出期限も明記するのが望ましいです。書類様式や部数など、発注者との取り決めも漏らさず記載しましょう。

再下請負業者に通知するときのポイント

一次下請業者が下請負を行う際は、通知書の写しを下請業者に交付します。その際、「さらなる下請負の際は、再下請負通知書提出と通知書写し交付が必要である」と伝えることが重要です。

再下請業者への通知時は、内容を分かりやすく説明して理解を得ることが求められます。再下請業者自身の通知義務の認識を促すことも肝心です。全関係者の法令理解と適切な対応が、円滑な工事の進行の鍵を握っています。

下請業者の中には通知制度への理解が十分でない場合もあります。元請や上位下請は、丁寧な説明を心がけ、協力を仰ぐ必要があるでしょう。手間を惜しまずに、建設業者間の相互理解と信頼関係の構築に努めていくことが重要です。

下請業者にとって、施工体制台帳や通知書の作成は負担に感じられるかもしれません。しかし、それは手抜き工事の防止と法令遵守の一翼を担う重要な作業なのです。建設業全体の信頼向上は、下請業者にとってもメリットとなるはずです。

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【まとめ】施工体制台帳作成建設工事の通知をよく理解して安全に工事を進めよう!

施工体制台帳作成建設工事の通知は、適正な施工と品質確保に不可欠の手続きです。元請業者は下請契約時に施工体制台帳を作成し、通知書の交付・掲示を必ず行わなければなりません。施工体制台帳と通知書は、工事の進捗に合わせて最新の状態にアップデートしていくことが肝要です。

通知書には、元請・下請の基本情報、監督員、意見申出方法等を洩れなく過不足なく記載しましょう。施工体制台帳は単なる書類ではありません。建設工事の品質向上と顧客信頼獲得のための強力なツールなのです。施工体制台帳作成建設工事の通知をよく理解した上で、安全に工事を進めましょう。

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