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独占的な業務が行える資格のひとつに、ボイラー技士があります。ボイラー技士免許は人気資格のひとつですが、なぜ多くの人が取得を目指しているのでしょうか。
本記事はボイラー技士免許の種類や難易度・取得により得られるメリットなど、ボイラー技士免許に関する基礎的な知識を紹介します。
ボイラー技士とは
ボイラー技士は国家資格の一種で、ボイラーの管理・点検・修繕などの作業ができることを証明します。
ボイラーはビルなどに欠かせない設備である一方、火気や高温ガスを使用してエネルギーを生むため管理・修繕には専門的な知識や技術が必要です。この知識と技術を身に付け、安全に管理できるボイラー技士は、設備管理に欠かせない存在であるといえます。
ボイラー技士とボイラー整備士の違い
ボイラー技士と似た資格にボイラー整備士があります。どちらも国家資格ですが、担当できる範囲が異なるため混同しないよう注意しましょう。
ボイラー技士はボイラーを操作することで施設内の空調調節や温水の作成ができます。一方、ボイラー整備士はボイラー設備のひとつである圧力容器の点検・整備ができる資格です。定期的にボイラーを分解・清掃する作業も仕事のうちに含まれます。
名称は似ていますが、それぞれできる内容が異なります。従事する業務にあわせて資格取得を検討する際は、どちらの資格を取るべきか、また両方取得する必要があるのかをよく考えましょう。
ボイラー技士免許を活かせる場所
ボイラー技士免許は、様々な場所で活躍できる資格です。主に活躍できる場所としては、以下の場所があげられます。
ビルの管理会社
ビル管理会社は、商業施設やオフィスビルなどの運営・管理を行う企業です。設備管理の関係から、ボイラー技士を雇用していることが多く、資格を活かした就職先のなかでも、代表的なものであるといえます。
ビルは大きさに関係なく空調管理や給湯設備にボイラー技士の技術が使われるため、場所を選ばず免許を活用できるでしょう。とはいえ、ビル数が多ければ多いほど需要も大きくなる関係から、大都市などの方が求人は多めの傾向にあります。
建設現場
ボイラー技士は建設現場でも必要とされる免許です。法律上、ボイラーを設置する施設を建設するときには、ボイラー技士の立会いが必要になります。
立会いでは依頼された現場で専門家の立場から、設置する場所の位置を確認する作業や、設置するボイラーの種類などについて、アドバイスや確認をします。
ボイラー技士の立会いがない限り工事が進まないため、ビルの管理会社同様、免許所持者の存在が欠かせない職場です。
ホテルや病院などの施設
ホテルや病院などの施設では空調管理や給油設備があるため、ボイラー技士を募集していることがあります。規模の大きい施設になると、常に空調管理や給湯設備を動かしている場所もあり、常駐の技士を募集しているところも少なくありません。
ボイラー技士の平均年収
様々な活躍場所があるボイラー技士ですが、平均年収はどれくらいなのでしょうか。
「求人ボックス 給料ナビ」のボイラー技士関連の年収・時給・給料の求人統計データによると、ボイラー技士の平均年収は約361万円と、日本の平均年収と比較すると低めであるようです。
この金額は月給に換算すると30万円、初任給では20万円ほどとなります。アルバイトやパートなどの時短労働者の場合、時給1,378円が相場です。
平均は低めですが、求人統計データ全体の給与幅を見ると、289〜645万円とかなり差が開いていることが分かります。
これは、ボイラー技士の給料が勤務先や経験などにより、待遇が大きく変化することを示しています。
ボイラー技士免許の種類と試験の難易度
ボイラー技士免許には複数の種類があり、それぞれ試験の難易度が異なります。試験対策の際は、この難易度の違いを理解しておくことが大切です。
次は、ボイラー技士免許の種類と試験の難易度について解説します。
二級ボイラー技士
まずはボイラー技士免許の中でも初歩的な階級である二級ボイラー技士について解説します。
二級ボイラー技士は、ごく一般的な冷暖房器具・給湯設備を扱えるようになる資格です。合格すれば、25㎡未満の給油設備や冷暖房器具のボイラーを操作できるようになります。
多くの小規模施設に設置されている設備を動かせるようになることを考えると、初歩的ながら活躍できる場所の多い免許といえるでしょう。
受験資格
二級ボイラー技士には、受験資格はありません。だれでも受験できます。受験の際は本人確認書類の提出を求められます。
合格率・難易度
二級ボイラー技士の合格率ですが、2019年度合格率が5割程度であることを考えると、資格試験のなかでは中程度の難易度といえるでしょう。
合格基準は4教科各10問の内、それぞれ40%以上の得点率・全教科の得点率60%です。難しいと感じる方もいるかもしれませんが、基礎知識をしっかり身に付け、過去問に根気強く挑戦し続ければ合格できるラインといえます。
一級ボイラー技士
一級ボイラー技士は、二級ボイラー技士として働いてきた方が次のレベルを目指す際に取得することが多い資格です。
二級ボイラー技士の資格があれば、25㎡以上500㎡未満のボイラーを扱えるようになります。これは、中規模の病院やビル・工事現場などに設置される規模です。
活躍できる場所が広がる分、二級よりも一級の方が需要も高く、待遇もよくなる傾向にあります。
受験資格
二級からのステップアップの資格として人気の高い一級ボイラー技士免許ですが、受験条件が定められています。受験を検討する際は、以下の資格を満たしているかチェックしましょう。
- 二級ボイラー技士の免許を有するもの
- 学校教育法における大学・高等専門学校・高等学校等でボイラーに関する学科を納め卒業したもので、その後1年以上の実地修習を経たもの
- 熱管理士免状(エネルギー管理士(熱)免状も該当)を有するもので、1年以上の実地修習を経たもの
- 海技士(機関3級以上)免許を有するもの
- ボイラー・タービン主任技術者(1種、2種)の免状を有するもので、伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーの取扱い経験者
- 保安技術職員国家試験規則による汽かん係員試験に合格したもので、伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーの取扱い経験者
二級ボイラー技士資格を取得していれば問題ないといえますが、この後解説する特級ボイラー技士免許の取得を目指す方のなかには、条件を満たすために最初から一級ボイラー技士免許試験に挑戦する方もいます。
合格率・難易度
受験条件が定められてはいますが、試験自体はそれほど難しいわけではありません。2019年度試験の合格率は52.5%と、二級と同じく中程度の難易度です。
合格ラインも二級と同じく、4教科各10問それぞれの得点率を40%以上、全教科の得点率60%以上が条件です。
特級ボイラー技士
特級ボイラー技士は、ボイラー技士免許の中でも最上位の免許です。取得すると500㎡以上のすべてのボイラーを扱えます。これは、大規模工場などで活用されている規模です。
大規模工場で事故が発生すると、その被害も大きくなります。大事故を防ぐための運営・管理・メンテナンスが必要です。特級ボイラー技士は、これらの作業とそれに伴う責任を負う業務に従事します。
大きな責任を伴う仕事に就くため給与をはじめとした待遇に優れますが、受験資格や試験難易度が高く、二級や一級に比べると保有者はあまりいません。
受験資格
受験資格を得るには、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 一級ボイラー技士免許を保有するもの
- 学校教育法による大学・高等専門学校でボイラーに関する講座または学科目を修めて卒業し、その後2年以上の実地修習を経たもの
- 熱管理士免状(エネルギー管理士(熱)免状も該当)を有し、2年以上実地修習を経たもの
- 海技士(一般海技士(機関)または二級海技士(機関))免状を有するもの
- ボイラー・タービン主任技術者(1種、2種)の免状を有するもので、伝熱面積の合計が500㎡以上のボイラーの取り扱い経験者
これまでボイラーに関わる仕事をしていなかった場合、一級ボイラー技士資格を取得するところからスタートします。受験計画を立てるときは、まずは一級合格を目指すところから始めるといいでしょう。
合格率・難易度
特級ボイラー技士の試験難易度は、二級・一級に比べて高めとなっています。2019年度試験の合格率は30.3%と、二級・一級に比べて非常に低く、生半可な試験対策では合格できないでしょう。
合格ラインは4教科各6問それぞれの得点率40%かつ全科目得点率60%となります。
なお、特級ボイラー技士試験を受けて一部の科目のみ合格点が得られた方は、以下の条件を満たせば次回試験時に合格した科目の免除が受けられます。
- 受験する資格が特級ボイラー技士であること
- 合格点を得た科目の試験が行われた月から2年以内に特級ボイラー技士試験を受験すること
- 受験申込時に免除科目を記入すること
免除となる科目は、免除試験結果通知書に記載されます。試験を受けて不合格だった場合でも、結果は必ず確認しておきましょう。
未経験者がボイラー技士免許を取得するなら二級からがおすすめ
未経験者からボイラー技士を目指すなら、二級取得から始めるのがおすすめです。
二級は合格条件が設けられておらず、今までボイラーに関わる仕事をした経験のない方でも挑戦できます。また、ここから基礎を学んで合格すれば、次の等級に挑戦する際の足掛かりになるでしょう。
基礎的なことが分からない状態で難易度の高い資格を目指すと挫折しかねません。未経験でボイラー技士免許取得を目指すなら、二級から順に取得する計画を立てましょう。
ボイラー技士免許を取得するメリット
ボイラー技士免許には、様々なメリットがあります。次はボイラー技士免許を持っていると得られるメリットについて解説します。
転職するときに有利になる
ボイラー技士は、求人広告やサイトでもよく見かける資格です。ボイラーを使用している事業所は多く、管理するためにはボイラー技士免許保有者が欠かせません。
多くの施設で募集が欠けられているため、取得していれば転職で有利に動けるようになるでしょう。
ボイラー技士の募集はもちろん、施設管理に関わる求人でも、有利に働くでしょう。
職業選択の幅が広がる
ボイラー技士の仕事は技士や管理者としてだけでなく、ホテルや病院・レジャー施設などでも募集していることがあります。
一番簡単に取れる二級ボイラー技士でも、持っておけば仕事の幅を広げる効果が期待できるでしょう。転職や就職だけでなく、現在従事している仕事のステップアップとしても有効です。
資格手当がつく
ボイラー技士免許は、施設の設備を管理する際に欠かせない資格です。そのため、取得者には資格手当やいい待遇を付与する企業がたくさんあります。
試験対策や受験にお金がかかっても、待遇が今よりもよくなれば資金回収もできます。
給与などの待遇を改善したい場合にも、ボイラー技士免許はおすすめです。
定年後の再就職に役立つ
ボイラー技士の仕事は危険ではあるものの、体に負担がかかるような仕事ではありません。正しい知識を用いて施設を管理する仕事も多く、腕力や体力のない高齢者でも活躍している仕事です。
定年後の再就職に二級ボイラー技士を取得する方も多く、取得しておけば定年後も安定した収入を得たい場合に役立ちます。
ボイラー技士免許を取得するための勉強方法
様々なメリットがあるボイラー技士免許を取得するには、試験対策が必要です。勉強方法は複数ありますが、それぞれ特徴があります。合格するには、自分に合った勉強方法を選択するのがポイントです。
ボイラー技士免許取得の際に利用できる勉強方法を解説しますので、試験対策にお役立てください。
独学
地bンでテキストや問題集をそろえればすぐにできる独学は、自分の好きなスケジュールで進められる勉強方法です。まとまった時間が深夜や休日にしか取れない方でも、独学なら計画的に勉強できます。
また、学費もテキストや問題集を用意するだけで済ませられるので、リーズナブルです。複数の教材を利用して、複数の専門家の知識を得ることもできます。
お金を気にせずのびのびできる一方、スケジュール管理などを自分で徹底して行わなくてはなりません。分からないところを理解しようとしても質問できないため、合格まで時間がかかる可能性もあります。
自分のペースで取り組める一方、教材の準備からスケジュール管理まですべて自分でやらなくてはならない勉強法であるといえます。
大学や専門学校
ボイラー技士免許に向けた勉強は、大学や専門学校に通う形でも可能です。設備工学科など、ボイラー技士について学べる学科のある大学や、工業系の高等専門学校が該当します。
大学や専門学校の場合、資格取得サポートだけでなく、就職先のサポートも受けられるため、資格を活かして就職・転職活動をしたい場合や、一級・特級を目指したい場合におすすめです。
便利ですが、学費がかかるうえに入学するには入学試験に合格しなくてはなりません。ある程度まとまった費用が必要なため、状況により費用を用意するところからスタートしなくてはならない可能性もあります。
通信教育
大学などに通うのは難しいが、独学で合格できる自信がない場合は、通信講座を活用しましょう。
通信講座なら自宅で気軽に学べます。また、基礎的な知識や試験対策なども分かりやすいテキストをもとにできるので、未経験者でも分かりやすく勉強できます。
費用は掛かりますが、大学や専門学校に通うほどではありません。独学や通学が難しい場合、特に短期間で資格取得したい場合におすすめです。
ボイラー技士の将来性
ボイラー技士は国家資格であり、有資格者にしかできない仕事があります。いわゆる業務独占資格に該当する免許です。
都心部で大型ビルや商業施設などの建設が進んでいる現状を考えると、ボイラー技士はこれからも求められる仕事であるといえるでしょう。
働きたい場所に合わせて免許を取得し経験を積めば、より広い範囲での就職・転職活動ができます。働く場所を選ばず、安定した収入を得られる仕事を探しているなら、おすすめの資格です。
【まとめ】ボイラー技士は様々な施設で需要のある仕事!免許を取得し仕事の幅を広げよう
ボイラー技士は多くの施設で求められている、需要のある仕事であり免許といえます。興味がある方は、ぜひ免許取得をご検討ください。
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