図面の拾い出しとは?コツや効率的に行う方法・注意点などを解説

図面の拾い出し

図面の拾い出しは、工事原価や見積もりを出す際に必要な作業です。専門的な知識と経験・正確性が要求されます。そのため、担当者のなかには作業の効率化に頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事はそんな図面の拾い出し作業を効率的に行うためのヒントをまとめました。業務効率化を検討されている方は、ぜひご覧ください。

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図面の拾い出しとは

図面の拾い出しとは、積算の一部であり、材料の数量や建設機械の使用料、工事日数まで現場に必要なあらゆる項目を測定するために行われます。

複数枚の設計図を確認しながら行う地道な作業ですが、工事費用に大きく関係することから、高い専門性が求められる業務です。

ここでは、図面の拾い出しについて詳しく解説します。

図面の拾い出しが必要な理由

図面の拾い出しは設計図をもとに、建設工事に必要となる材料や人員を算出します。工事をスムーズに進めるために必要な作業です。

拾い出し作業は工事の進捗や工事原価、見積もりに大きな影響を与えます。実際よりも多く拾い出せば原価の高さによる工事の失注を招き、低く拾い出してしまえば利益の減少や赤字工事を招いてしまうでしょう。

図面の拾い出しを正確に行うことで工事のスケジュールや予算を適切に算出できます。

図面の拾い出し手順

図面の拾い出しにおける手順は、内訳書に記載する工種ごとに数量を算出します。建設工事における拾い出しで行う作業は、実に膨大です。そのため、工種ごとに担当者と作業を分担して行います。以下の分担は実際の拾い出しの担当と区分例です。

  • 建設工事構造担当:仮設工事~鉄骨工事までの建設物の構造躯体に関係する部分
  • 建設工事意匠担当:構造躯体以外の防水工事以降の工種やその関係部分
  • 電気設備担当:電気設備一式
  • 機械設備担当:機械設備一式

このように、複数人で分担して作業し、最終的にこれらの数をまとめて原価や見積もりを出す際に反映します。

図面の拾い出しにかかる日数

拾い出し作業にかかる日数は、工事の規模により左右されます。100㎡程度の戸建て住宅なら14日ほどで算出できます。

しかし、1,000㎡を超える大型建造物となると、複数の担当者でも1か月近くはかかるでしょう。また、担当する部分によっても、かかる日数は大きく変化します。

例えば、学校の施設を新築工事する際、3,000㎡・3階建てのRC造の依頼が来たとしましょう。この場合、先ほど解説した分担で拾い出し作業をしたとすると、以下のようになります。

  • 建設工事構造担当:約1か月
  • 建設工事意匠担当:約1か月半
  • 電気設備担当:約2~3週間
  • 機械設備担当:約2~3週間

この例の分担でいうと、同時に作業したとしても約1.5か月はかかります。

図面の拾い出しに重要な基準

図面の拾い出し作業は、民間の場合は特にルールが決められているわけではありません。会社により作業ルールは異なります。しかし、国や地方自治体の公共物件を建造する場合は、国が定めている算定基準に従って積算しなくてはなりません。

以下の基準は、国土交通省が定める公共工事における積算基準類です。

  • 公共建築数量積算基準
  • 公共建築工事積算基準等資料
  • 建築工事標準歩掛り
  • 電気設備工事標準歩掛り
  • 機械設備工事標準歩掛り
  • 建築工事積算基準
  • 建築工事共通費積算基準
  • 建築工事数量積算基準
  • 建築設備数量積算基準
  • 公共建築工事標準単価積算基準

これらの基準類に則った拾い出し作業は、建築積算士などの専門資格と知識を持った担当者を配置しなくてはなりません。公共物件の依頼を受ける際は、資格保有者や専門知識の有無に注意しましょう。

参考資料:公共建築数量積算基準|国土交通省

図面の拾い出しを手際よく行うコツ

図面の拾い出しは地道な作業を長時間続けなくてはなりません。効率よく行うには、コツをつかんでおく必要があります。図面の拾い出しを手際よく行うコツをお伝えしますので、参考にしてください。

工事に必要な材料や道具を理解する

工事に必要な材料や道具が分からなければ、正確な拾い出しはできません。最低でも、以下のポイントをおさえておきましょう。

  • 工事ごとの必要な材料や道具
  • 材料とともに使用する建材や道具

建造物の材料には、建造物を作る際にビスやボルトが必要なものもあります。これらもきちんと把握しなくては、正確な数量は拾い出せません。製品カタログなどに掲載されている内容はおさえておきましょう。

エクセルでフォームを準備しておく

エクセルなどの表計算ソフトに、専用のフォーマットを作っておくと作業しやすくなります。職場で使われているフォーマットがあれば、使わせてもらいましょう。

職場によっては拾い出しのフォーマットがないまたは属人性が高い場合があります。この場合は自分のやりやすい形のフォーマットを作成・活用しましょう。

作業を続けていくうちに、使い勝手の悪い部分などが分かるようになるはずです。その都度修正すれば、失敗しにくく、効率に優れたフォーマットを手に入れられるでしょう。

マーカーで視認性を向上させる

拾い出しの際あると便利なのが、イエローやピンクなどの図面に対して視認性の高いマーカーです。必要な部分に見やすい色でチェックを入れていくことで、効率的に作業できます。

なお、図面により視認性の高い色は異なるため、マーカーをひいた後の図面を印刷し、写りを確認しておくのもおすすめです。

数量積算基準を確認する

拾い出しにおける国の基準は、効率的な拾い出しをする際にも有効なものでもあります。社内の基底などが特に決まっていない場合は、基準のうち「建築数量積算基準」を参照しましょう。

活用し始めの時期は、実際に拾い出しをする前にルールの内容をよく読み込み、適宜読み返しながら作業しましょう。何度も繰り返せば、ルールに則った拾い出しが自然とできるようになるはずです。

図面の拾い出しを効率的に行う方法

図面の拾い出しを効率的に行うコツだけでなく、方法もおさえておけばよりスムーズに作業できるようになります。また、ツールや専門家の力に頼ることもおすすめです。次は、図面の拾い出しを効率的に行う方法を解説します。

積算ソフトを利用する

積算ソフトは、デジタルやITの力で積算ができるソフトです。ソフトにより細かい部分が異なりますが、便利な機能の1つに連携機能があります。これは、連携している製図ソフトやアプリで作図した図面の材料や数量を、自動で拾い出す機能です。

連携機能がなくても過去のデータをソフト内に集約できるため、拾い出しや建設業界自体の経験が浅くても過去データを確認しながら業務できます。このデータは、原価計算や見積もりに流用することも可能です。

建築積算ソフトおすすめ15選についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

建築積算ソフトおすすめ15選!選び方やメリットなども解説 建築積算ソフトおすすめ15選!選び方やメリットなども解説

積算スキルを向上させる

積算技術は専門知識だけでなく経験やそれによって培われた勘も要求されます。これらのノウハウをベテラン作業員から教えてもらうのも有効です。勉強会では、以下の情報を共有・交換できます。

    • 積算ミス事例
    • 積算テクニック
    • 新技術

勉強会は1回だけの開催では得られる情報が限られてしまいます。定期的に開催して、積算に関わる全作業員の知識やノウハウを共有できる体制を整えておきましょう。

専門家に外注する

積算は専門家に発注できます。積算専門の事務所やアウトソーシングサービスの活用が可能です。

積算事務所では、拾い出しから積算までを行ってくれるため、従来業務にかかわっていた人員や工数を削減できます。削減できた分を営業や施工管理に上手く回せれば、業績アップも期待できるでしょう。

また、アウトソーシングサービスでは専門的なスキルを持った担当者が業務を代行します。必要な業務のみを選び依頼できるため、コストや効率をコントロールしやすくなります。さらに、サービスによっては自社で行うよりも正確な拾い出しが可能です。

積算代行サービスおすすめ6選についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

積算代行サービスおすすめ4選!種類や選び方・メリットを解説 積算代行サービスおすすめ4選!種類や選び方・メリットを解説

図面の拾い出しに積算ソフトを活用するメリット

上記の方法の内、図面の拾い出しソフトには様々なメリットがあります。次はソフトが持つメリットを、深く掘り下げて解説します。

作業効率を向上できる

拾い出しソフト最大のメリットは、作業の効率化です。ソフトごとに機能は異なりますが、なかにはマウスで図面をなぞるだけで拾い出し作業を自動かつ正確に行えるものもあります。

簡単に作業できるソフトを導入できれば、従来属人化しがちだった拾い出し作業を部署・作業員全体で対応できるでしょう。ソフトの連携ができれば、拾い出し作業自体を自動化し、作業をより効率的に行えます。

精度を向上できる

積算ソフトを利用することで、拾い出しや数量の算出を正確に行え、作業の精度を向上できる点がメリットです。

手作業で拾い出しを行う場合、拾い漏れや転記ミス、複雑な計算による数値の誤りなどのヒューマンエラーが起こる可能性が高くなるでしょう。

しかし、図面からの拾い出しを正確に行ってくれる積算ソフトを利用すれば、複雑な計算も自動で行ってくれるため、ヒューマンエラーを低減でき、より精度の高い図面の拾い出しを行えます。

データ管理や分析ができる

専用ソフトは過去に拾い出ししたデータを蓄積できます。また、蓄積するだけでなく、設定条件に応じて自動集計・分析も可能です。似たような規模や工法のデータをまんべんなく蓄積・参考にできれば、大幅な拾い漏れなどのミスを防ぐのにも役立ちます。

過去データを効率的に活用できるようになれば、業務改善や効率化に期待できるでしょう。これも拾い出しソフトの持つメリットです。

図面の拾い出しを効率化できる積算ソフトおすすめ3選

図面の拾い出しを効率化できる積算ソフトは種類が豊富です。それぞれの特徴を把握し、自社に合うソフトを選びましょう。

図面の拾い出しを効率化できる積算ソフトおすすめ3選は以下のとおりです。

  • Excel積算ソフト:Excelを活用して図面から数量を自動的に抽出するソフトです。工事別やシート別など、24種類以上の見積書を自動で作成できます。
  • せきさん係長:複雑な図面入力が不要です。間取りを画面上の方眼紙に単線入力することで、必要な数量を自動計算します。また、リフォームの積算業務にも対応しています。
  • KENSEKI:床や天井、回縁などの数量を算出できる、建築内装工事用のフリーソフトです。対応している室数は60室あり、仕上げ材を60種類登録できるため、大規模な工事にも対応可能です。

図面の拾い出しの注意点

図面の拾い出し作業にはいくつか注意点があります。手作業はもちろん、ソフトを使う場合も、以下の点に注意しながら作業しましょう。

項目の拾い忘れに注意する

図面の拾い出しは、記載されている項目をもれなく計上する必要があります。項目の拾い忘れは、大きなミスにつながる要因です。項目漏れを防ぐには、以下の2点に注意しなくてはなりません。

  • 設計図の特記事項
  • 作業分担の境界部

手作業の場合、記載の線を1つずつマークしながらチェックしますが、このとき漏れがちなのが、図面上の表現を省略するための特記事項です。ここを拾い忘れると、大きなズレにつながります。

また、作業を分担する場合、その境界部は項目漏れが発生しやすい部分です。平面図だけでなく、小サイズも参照しながら作業分担範囲を設定・把握しましょう。

過少や過大な算出ミスに注意する

項目漏れに続いてよくあるのが、計算や桁違いです。計算違いは現場の材料・道具不足につながりかねません。桁違いは内容によっては取返し不可能なミスにつながる恐れがあります。

拾い出しの数値は少なくても多くても、施工や利益に大きな影響を与えてしまいます。必ず正確な数字と計算ができているかを確認しましょう。

転用・転記ミスに注意する

数字を拾う際、以下のミスは、積算ミスを招く要因です。

  • 文字
  • 数字
  • カンマの位置
  • 転記

拾い出しの際は、転用・転記ミスがないか、常に確認しましょう。1つずつ確認するだけでなく、時間をおいてのチェックやダブルチェックなどを通して、間違いがあってもすぐ発見できる体制を整えておくことをお勧めします。

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図面の拾い出し業務はプロへのアウトソーシングもおすすめ

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従業員のリソースがひっ迫している場合や、積算業務に対応できる人材が不足している場合などは、アウトソーシングサービスを活用すると、少ない工数で積算を実施できます。

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【まとめ】図面の拾い出しは積算における重要な作業!ソフトの導入などで効率化を図ろう

図面の拾い出しは専門的な知識や経験が要求される、地道な作業です。間違いが施工や利益に直結するため、正確に行わなくてはなりません。自社で行う際はチェックを入念に行いましょう。

また、作業にかかる時間や手間を効率化したい場合は、専用ソフトの導入や専門家に力を借りることも検討しましょう。

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