建設業の平均原価率とは?計算方法や原価率の下げ方も解説!

建設業で十分な利益を得るために、原価率の見直しは非常に重要です。
売上が多くても原価率が高ければ、それだけ利益が少なくなってしまいます。

ずばり、建設業の平均原価率は、2020年度決算実績で76.5%。
(参考元:中小企業実態基本調査 令和3年確報(令和2年度決算実績) 確報 | 政府統計の総合窓口

原価率が平均より高い場合は、とくに原価率を下げる対策をすべきでしょう。
そこでこの記事では、建設業の原価率について以下の内容を解説していきます。

  • 原価の構成要素
  • 原価率の平均値(従業員規模別)
  • 原価が高くなる原因とその対策方法

正しい原価率の把握は、会社の経営状態を見直すきっかけになり、問題点の発見・改善が期待できます。ぜひ最後までご覧ください。

建設業の原価とは

建設業の原価とは、高速道路や建物を作る過程で発生する費用のことです。
売上金額の総額(売上高)から原価を引くと、事業の利益を明らかにできます。

原価を構成する要素は、以下のとおり4つです。

  • 材料費
  • 労務費
  • 外注費
  • 経費

一つずつ順番に解説していきます。

材料費

木材や鉄材など、建設工事に必要な材料の仕入れにかかる費用が材料費です。
材料費は、建設工事で使われた材料のみが該当し、在庫として購入した場合、原価の材料費とはなりません。

建設工事に使う材料の数は、工事の品質にかかわるため増減は難しいでしょう。
そのため材料費は、仕入れる材料の数ではなく仕入れ単価が大きく影響すると考えられます。

労務費

労務費とは、建設工事を行う職人や技術者にかかる人件費のことです。
アルバイトや正社員など、雇用形態にかかわらずすべての人が当てはまります。

建設工事を行う従業員の数が多く、工事が長時間になればなるほど労務費は高くなるでしょう。
ただし、建設工事に直接かかわらない営業職や事務職にかかる費用は、労務費から除外されます。

建設業の労務費計算の方法!重要性や人件費との違いについても解説

外注費

外注費とは、建設工事の一部を外部の職人や企業に委託したときの費用のことです。

工事の外部発注は、自社対応できない工事がある場合や、人手が足りないときに行う会社も多く見られます。
外注費は、人手不足が深刻化する建設業において、削減しにくいかもしれません。

外注費で注意したいのが、材料を自社で準備し、工事のみを外部に依頼した場合です。
材料費が含まれない人件費となるため、「外注労務費」に分類されることがあります。

とはいえ外注費と外注労務費の境界線はあいまいです。
外注費と労務外注費の分け方については、税理士や会計士に相談するべきでしょう。

建設業での外注費はどのように仕訳する?仕訳の内容やポイントを解説!

経費

経費とは、材料費や労務費、外注費以外で建設工事にかかわる費用です。
たとえば、機械や工具を動かす光熱費や、建設現場までの交通費が該当します。
事務所の光熱費や営業の交通費と混同しないよう注意しましょう。

また、現場までの交通費でも、工事はせず調査のみ行った場合のように、経費に該当するのか判断しにくい場合があります。
経費の考え方が人によって異ならないよう、会社内で明確なルールを設けるべきでしょう。

建設業の原価率の計算方法

原価率とは、売上高のうち原価がどれくらいあるかを示す割合のことです。
原価率が低いほど、売上に対する利益が多いと考えられます。

  • 原価率の計算方法
    原価率(%) = 原価 ÷ 売上高 ×100

受注した建設工事ごとに原価率を計算すれば、どの工事に原価が多くかかっているのか、利益を多く得られているのかがわかり、受注金額が妥当であるか確認できます。

原価率が高ければ、原価率を下げるのか、別の工事で利益をまかなうのか事業方針を決める判断材料にもなるでしょう。

建設業の平均原価率

ここでは、あらためて建設業の平均原価率を従業員規模別にご紹介します。

・平均原価率(2020年度決算実績)

建設業の従業員規模原価率(%)
5人以下の法人企業71.2
6~20人の法人企業75.6
21~50人の法人企業80.8
51人以上の法人企業82.5
個人企業44.7
建設業合計76.5

参考元:中小企業実態基本調査 令和3年確報(令和2年度決算実績) 確報 | 政府統計の総合窓口

建設業全体の平均原価率は76.5%ですが、表を見ると会社の規模が大きいほど原価率が高いことがわかります。
なぜなら、大手企業は原価率が高くても、建設工事を多く受注することで利益を確保しているからです。

また、原価以外の販売費や一般管理費をおさえ、最終的な利益率を上げているとも考えられます。
経営者は、原価と最終利益のバランスがとれた事業方針を検討するべきでしょう。

ちなみに、製造業や小売業などを含む、全業界の平均原価率は73.1%なので、建設業の原価率は比較的高いといえます。

建設業の原価率が高い原因

ここでは、建設業の原価率が高い原因を解説していきます。
その原因は、以下のとおりです。

  • 販売価格が低い
  • 仕入れ価格が高い
  • 施工ミスが多い

一つずつ順番に見ていきましょう。

原因1:販売価格が低い

販売価格が低いことは、原価率が高い原因の一つです。
売上を優先して、安さを売りに工事を受注すれば、それだけ原価率は高くなります。

販売価格の値下げは契約につながり、十分な利益を確保している、または工事実績を目的にしている場合は有効的ともいえます。

しかし、一度販売価格を値下げすれば、それが基準となってしまい元に戻しづらくなるでしょう。
他社との価格競争に巻き込まれるリスクもあります。

原因2:仕入れ価格が高い

建設工事で使う材料の仕入れ価格が高いことも、原価率が高い原因の一つです。
材料を1社のみから仕入れる場合、仕入れ価格を他社と比較し、価格交渉に活かせません。

さらに、一度に仕入れる材料の量が少ないと、仕入れ回数が増え、運送費や梱包費などの諸経費も高くなってしまいます。

原因3:施工ミスが多い

最後の原価率が高い原因は、施工ミスが多いことです。
施工ミスで無駄になった材料も材料費になるため、施工ミスが多ければ原価率が高くなる原因になります。

施工ミスはお客さまからの信用にかかわるため、建設工事の技術を磨き、施工ミスをしないよう注意しましょう。

建設業の原価率を下げる方法

ここでは、建設業の原価率を下げる方法を解説していきます。

その方法は、以下のとおりです。

  • 販売管理を見直す
  • 仕入管理を見直す
  • 歩留まりの改善

こちらも、ひとつずつ順番に見ていきましょう。

方法1:販売管理を見直す

原価率を下げる方法の一つ目は、販売管理の見直しです。

・値下げ価格の限度額を定めて原価率が高くなることを防ぐ
・原価率が高い工事は原価率の低い工事で利益をまかなう

など、受注する建設工事の管理で、原価率が上がるのをおさえられます。

もし、お客さまから大幅な値下げを求められた場合は、少しでも利益を確保するために、契約数の追加を交渉してもよいでしょう。

方法2:仕入管理を見直す

仕入管理の見直しも、原価率を下げる方法の一つです。

・仕入れ先を増やし、仕入れ価格の比較や価格交渉につなげる
・まとめ買いで値下げ交渉や諸経費(運送費・梱包費など)の削減につなげる

などを実践すれば、仕入れ数を減らさずに材料費を削減できます。

また、複数の会社から材料を仕入れれば、仕入れ先の倒産や災害の緊急時にも柔軟に仕入れ先を変更可能です。

なお、建設工事の材料は在庫から使用し、必要以上に材料を仕入れないよう注意しましょう。

方法3:歩留まりの改善

最後の原価率を下げる方法は、歩留まり(ぶどまり)の改善です。
建設業の歩留まりとは、材料に対する使用部分の割合のこと。

建設工事では、材料のほとんどを使用するサイズにカットしますが、使用しない部分が多くでると歩留まりの悪化となります。

仕入れた材料をそのまま使うことで、歩留まりを改善。材料のロスをなくし、材料をカットする労力、工具の電力削減にもつながります。

歩留まりの改善は、材料費、労務費、経費とさまざまな原価を削減できるでしょう。
また、施工ミスを減らすことも材料の無駄をなくせます。

【まとめ】建設業の平均原価率は76.5%!原価率の下げ方も要チェック!

建設業の原価は、材料費や労務費、外注費、経費で構成されます。
建設業の平均原価率は76.5%(2020年度決算実績)と、全業界のなかでも比較的高い数字です。

考えられる原価率が高くなる原因は、建設工事の価格値下げによる売上高の減少や、材料の仕入れ価格が高いこと、施工ミス。

原価率を下げようと、材料費や労務費を大幅に削減すれば、工事の品質が下がり会社に対する信用にかかわります。

無理なコストカットをするよりも、原価と最終利益のバランスがとれた販売管理や仕入管理を心がけ、材料ロスを減らすことが大切です。

ぜひ、利益の増加や経営状態の改善を目指し、原価率を下げる方法を実践してみてください。

建設業会計とは?特徴や勘定科目・対応方法などを徹底解説!建設業の原価計算にはエクセルが一番!エクセルで原価管理を行う際の注意点も合わせて解説