一人親方は経費として労災保険を勘定科目に入れられる?経費や注意点についても徹底解説!

年度末の確定申告の際に、出費を経費として計上していいものか、控除の対象となるのか悩んだ経験がある一人親方は多いのではないでしょうか。数々の支出の中でも労災保険の取り扱いが難しいという声を多く伺います。リスクの多い現場で働く一人親方にとって労災保険は欠かせないものですが、一人親方が加入する労災保険の扱いは特殊な取り扱いとなっています。今回は、一人親方の労災保険の取り扱いと、経費計上できる項目について解説していきたいと思います。

一人親方は労災保険は経費として勘定科目に入れられる?

結論から言うと、一人親方の労災保険料は経費として計上できません。一般的な会社では「雇用主が労働者に支払う」という形をとっているので労災保険料を経費として計上しています。しかし一人親方の場合、本来は労働者ではないため労災保険に加入できませんが特別加入制度を用いて加入しています。そのため労災保険料は経費では計上できないのです。しかし、社会保険料として控除の対象にはなり、控除を受ければ所得税や住民税が安くなります。

一人親方の労災保険の内訳とは

一人親方の労災保険は経費として計上できませんが、一人親方が労災保険の加入先団体に支払うお金に関しては、経費として計上できます。一人親方の労災保険で経費として計上できるのは、
・入会金
・組合費
・事務手数料
の3つです。そして、上にあげた3つを経費として計上する場合は、労災保険を「勘定科目」を使用して仕訳をおこなう必要があります。どの勘定科目を使って仕分けするかは明確に定められていませんが、今回は以下の4つに分けて労災保険の内訳を説明していきましょう。

労災保険料

労災保険料は労災保険に加入するために支払う保険料を指します。一人親方労災保険は、毎年4月1日から翌年3月31日までを単位としています。そのため、通常は年度単位での支払いとなっていますが、団体によっては分割で支払えるケースもあるので加入前に確認しましょう。労災保険料は、一律ではなく給付基礎日額によって算出される仕組みです。給付基礎日額は16段階で構成されており、何を選択するかによって納める保険料は大きく変化します。

入会金

入会金は、団体に加入する際に支払う金額を指します。入会金は一人親方団体によって大きく異なります。例えば、入会金が1,000円の団体もあれば、10,000円前後の価格設定をしている団体もあるので平均値は伝えられません。基本的には入会時に支払えば、以後は入会金と同等の額を支払う必要はありません。しかし、団体によってはその他に保険料とは別に年会費を設定しているケースも見受けられます。労災保険を選ぶ際は、入会金の金額だけではなく年会費の存在もチェックしましょう。

組合費

一人親方団体に対して、運営するための事務手数料として支払うものです。「組合費」ではなく「会費」と呼ぶケースも見受けられます。組合費は一律ではなく団体によって金額は異なりますが、多くの団体では年間6,000円、月額にすると500円前後が相場と言われています。年度の途中に加入する場合は保険料と同様に、年度内の加入月数で月割りした額を計算し、計算し支払う形になります。先述したように保険料とは異なりこちらは経費として計上できるので、確定申告の際は注意しましょう。

その他の諸経費

組合費や入会金以外の費用が発生することもあります。例えば、団体によっては毎年の更新手数料や、事故が起きた際の対応手数料、退会する際の退会手数料などを請求するケースも見受けられます。また、組合相を紛失した際に、再発行の手数料が発生する団体も中には見受けられます。「翌日加入」「スマホから加入すれば番号は即日発行」「業界最安値」など、簡易な手続きや安価な保険料を掲げる団体は増えていますが、これらの諸経費がかかる可能性があるので注意しましょう。

そもそも一人親方が経費にできるものは?

一人親方として独立してから、何を経費にできるのかよく分からないまま毎年の確定申告を終えていませんか?基本的には「事業をおこなうために使用した費用」はすべて経費として精算できます。当然のことですが税金は所得、つまり収入から経費を差し引いた額を基準に計算されるので、経費が大きく所得が小さいほど節税になるのです。つまり、経費になるものを把握して正確に計上することは事業を安定させていく上で非常に重要です。以下で一人親方が経費に計上できる項目を6つに分けて解説していきます。

接待交際費

接待交際費とは、取引先や元請など事業に関係のある企業の人に謝礼や接待をした際にかかった費用です。例えば
・取引先との会食、及びタクシーの料金
・元請けに送るお中元やお歳暮
・自社社員との飲食代
・取引先を招待するゴルフや旅行の費用
・祝儀や香典など自社社員や取引先の慶弔時の費用
は接待交際費として計上可能です。しかし、1人当たり5,000円以下の会食は取引先を伴っても接待費としては計上できないので注意してください。また、自社社員のみの社員旅行や社内運動会などのイベントも、接待費には該当しません。

旅行交通費

旅行交通費は、業務上で発生する移動や宿泊費のことを指します。具体的には、私的な利用ではなく、現場の移動や営業活動、出張などで生じた費用が該当します。例を挙げていくと、計上できるのは以下のような項目です。
・電車、バス、タクシー、飛行機などの移動費用
・出張の際の宿泊費
・コインパーキングの料金
・高速道路の料金
カードや電子マネーで直接支払った場合、カードや電子マネーの利用明細書を保管して経費の申請を行ってください。

光熱費

事務所を運営する際に必要な光熱費(水道代やガス代、電気代などのエネルギーに関する費用)や地代家賃(借りている土地や建物の賃料)、通信費も経費精算の対象になります。一人親方の方は、自宅の一部を事務所として運営している方も多いと思います。その場合、経費として精算する際は事業に係る部分を、業務時間や勤務日数や専有面積などをもとに算出して割り振ります。全てを経費として計上できるわけではないので注意してください。

減価償却費

固定資産を購入する際にかかった費用を一度に計上せず、使用可能期間にわたって、分割して計上する会計処理を減価償却といいます。対象となるのは、設備や機械装置などの経年とともに資産価値が減少する資産のことを指します。減価償却の代表的な例として自動車が挙げられます。自動車の耐用年数は6年と考えられているため、300万円で購入したのであれば毎年50万円ずつ減価償却費として計上していく必要があります。耐用年数は各資産ごとに国税庁によって定められています。

組合費

先述したように労災保険料は経費精算できませんが、団体に支払う組合費や入会金は経費として計上できます。組合費以外にも、確定申告の際に経費計上できる租税公課は幾つかあります。基本的には、事業を運営するうえで必要となるものにかかる税金が対象になります。
例えば
・個人事業税
・固定資産税
・社用車にかかる自動車税
・事業で使用した印紙税は
租税公課として勘定されるため経費精算の対象になります。しかし、自宅兼事務所の所得税や住民税は、個人にかかる税金なので租税公課にならないので注意しましょう。

雑費

雑費とは、ほかの勘定項目に該当しない一次的な支払いをした際に使う勘定科目です。一般的には少額であることも条件として挙げられます。事業用として利用したが、接待費にも交通費にも当てはまらない時には、雑費として計上するケースが多く見受けられます。具体的には
・クリーニング、掃除費用
・クレジットカード、サブスクリプションなどの年会費
・引っ越し費用
・粗大ごみの処分費用
・振込手数料
などが雑費の代表的な例として知られています。

労災保険の勘定科目は?

一人親方をはじめとする個人事業主は、帳簿をつける際に事業とプライベートを区分する必要があります。その際、事業用の資金を生活費など事業に関連しない資金として使った場合に使用する勘定科目を「事業主貸」といいます。一人親方は労災保険料をこの「事業主貸」勘定を使用して仕訳します。所得税や住民税なども事業主貸に該当します。ただし、同居している家族の従事者の労災保険料は「法定福利費」として計上できるため注意してください。す。

一人親方が経費を計上するには確定申告が必要

一人親方が経費を計上するためには、確定申告をしなければなりません。確定申告の期間は通常2月中旬〜3月中旬で、税務署に個人の所得を正しく申告することで、所得税が決定します。ここでは確定申告の提出方法から提出期限まで解説していきます。確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、それぞれで手続き方法や得られる控除が変わってきます。2種類の確定申告の方法や、必要書類などについて以下で詳しく説明していきましょう。

青色申告

青色申告は、複式簿記の帳簿をもとに、申告することで様々な控除が受けられる確定申告です。青色申告をするためには事前に「青色申告承認申請書」を提出し承認されなければならず、さらに帳簿には収入金額や必要経費に関する日々の取引状況を記録し保存しておく必要があります。青色申告をする最大のメリットは、一定の条件を満たすと最大で65万円の特別控除が受けられることです。その他にも、赤字を3年間繰り越しできるだけでなく、家族への給与を経費として精算することも可能です。それだけではなく30万円未満の固定資産を全額経費にできるなど、一人親方にとって多くのメリットのある確定申告の方法と言えます。

白色申告

青色申告の事前承認がない、もしくは複式簿記の帳簿がない場合は白色申告になります。白色申告をする最大のメリットは手続きのシンプルさです。提出する帳簿は単式簿記で記入したもので良いため青色申告をするほどの負担にはなりません。しかし、青色申告にあるような特別控除がないため、収入が増えても節税の対策が取りづらいのはデメリットです。赤字繰り越しの制度は設けられていないため、資金繰りが困難になった際にリスクとなる可能性はあります。

申告に必要な書類

一人親方が確定申告をする際に必要な書類は以下の通りです。
青色申告
・青色申告決算書(一般様式)
・確定申告書
・医療費の領収書、保険料の控除関係書類などの添付書類
白色申告
・確定申告書
・収支内訳書
従来確定申告書は、白色申告は確定申告書A、青色申告は確定申告書Bに分かれていましたが、2023年提出分から「令和〇年分の所得税及び復興特別所得税の申告書」という1つの書式に統合されました。国税庁のホームページから各種様式はダウンロードできます。

申告書の提出方法

確定申告書類の提出方法は3つあります。1つ目は税務署の窓口に記入した書類を持参する方法です。窓口で担当者と対面するため、書類の不備があった際は指摘してもらえるというメリットはありますが、例年非常に混雑するというデメリットがあります。2つ目は郵送での提出です。この場合、消印の日付が提出日としてみなされます。3つ目はe-Taxでの提出です。e-Taxはインターネット上の納税システムで、電子の申告データを用いて申告します。手軽なだけではなく青色申告の控除額が10万円上がり65万円控除を受けられるようになるというメリットもあります。

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【まとめ】労災保険料は経費にできない!ただし確定申告で控除を受けることは可能

労災保険料は経費精算できませんが、確定申告をする際に「社会保険料控除」として節税の対象になります。また、労災保険料ではなく、団体へ支払う入会金や組合費、事務手数料等は経費として精算可能です。確定申告は「白色申告は楽で青色は大変」というイメージがありますが、書式が統合されてから添付書類以外の双方の事務作業の差はさほど目立たなくなりました。青色申告は特別控除などのメリットが多くありますので、一人親方の方は青色申告を利用して申告することをお勧めします。
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また、一人親方の労災保険や建設国保の組合費が経費になるかについてはこちらの記事でも解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

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