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皆さんは安全協力会をご存じでしょうか?
安全協力会は建設現場での事故や労災防止を目的とした団体です。安全協力会費はこの協力会にかかる費用を指しますが、この会費の扱いや区分についてご存じない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は安全協力会費の詳細、消費税の課税区分や計算方法まで詳しくご紹介していきます。
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安全協力会費とは?
安全協力会費とは、工事現場での事故を防ぎ、現場に出入りする業者が安全に工事を完了させるために徴収する会費のことです。
工事の際に「安全協力会」という組織が作られ、その運営の運営にかかる会費であるため、安全協力会費と呼ばれます。
この協力会費の支払い方法は様々にあり、定例会などで直接現金で徴収されることもあれば、工事の発注段階で報酬額から予め会費分が差し引かれるケースもあります。
そもそも安全協力会とはどのような組織?
安全協力会は工事を取り仕切る元請と協力会社によって共同で運営されています。協力会の主な目的は建設現場における安全の確保です。
協力会は定期的に講習会を開いて安全意識を高める啓発活動を行ったり、安全確保のための現場でのルールの確認やすり合わせを行う場となります。
安全協力会は以下のような活動を行います。
- 安全情報の収集・提供
- 安全講習の実施
- 注意喚起のポスター、パンフレットなどの作成
- 安全パトロールの実施
安全協力会費のしくみ
安全協力会費の仕組みは建設業界特有の仕組みに由来します。通常であれば労災保険は会社毎に各々が加入するのが一般的です。
しかしながら、建設業では、工事を取り仕切る元請会社が、協業する下請会社の分の保険をカバーすることが通例となっています。
したがって安全協力会費は元請会社が負担する協力会社の保険金の補填として支払われるのです。その他には、会社間の親睦を深める懇親会費や現場に導入される機器の購入費用などにも充てられます。
安全協力会費の金額
安全協力会費の金額は法律などで定められているわけではありません。月額で定額になっている場合もあれば、請負金額の〇%とされている場合もあります。
また、安全協力会費の具体的な金額は「請負工事下請基本契約書」や「注文書」などに記載されています。
安全協力会費の支払いは義務?
安全協力会費の支払いは以下の2つの法律が根拠となっています。
つまり、安全協力会費を徴収することには妥当性があります。
しかしながら建設業法第18条には契約に関する明確な規定があるため、会費が強制的に徴収された場合は法令違反に当たる可能性があります。建設業法の業務契約に関する記載によれば、元請・下請間の契約は対等な立場によって結ばれ、遂行されることが義務づけられています。
また、国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインでも安全協力会費の透明性の確保が必要とされています。
例えば、安全協力費については下請工事の完成後に当該費用の収支について下請負人に開示するなど、その透明性の確保に努め、赤伝処理による費用負担が下請負人に過剰なものにならないよう十分に配慮する必要がある。
引用元:建設業法令遵守ガイドライン(第9版)
したがって安全協力会費の支払いや請求額に関しては双方の合意が何よりも重要となります。また会社間の信頼関係構築の為にも、元請会社は協力会費の使途を明瞭に開示する必要もあるのです。
参考:建設業法 | e-Gov法令検索
赤伝処理の詳細と注意点についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認くださいね。
赤伝処理とは?建設業法違反になる事例や注意点も解説安全協力会費の勘定科目
勘定科目とは会社の取引における資金の増減を一定の科目で分類することによって、資金の流れを分かりやすく可視化するための項目のことです。会計処理や決算報告を行う際に、勘定科目の分類に沿って清算することで会社間の取引の内容がわかりやすくなるのです。
この勘定科目の上では、一般的に安全協力会費は、業務関連の支払いにあたる諸会費として分類される傾向にあります。
安全協力会費の消費税区分とは
安全協力会費の税制上の取扱いについて、とりわけ消費税区分について頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?実際のところ安全協力会費が課税対象となるかどうかはケースバイケースであると言えます。
続いて安全協力会費の課税区分の判断基準について、どのようなケースで課税対象となるのか、幾つかの具体的な例を挙げながら詳しくご紹介していきます。
安全協力会費は基本的に非課税
安全協力会費は基本的に課税対象とはなりません。とりわけ、会費の主な使い道である社会保険料の補填分として計上された場合は非課税となります。
これは社会保険料が国税庁の規定によって課税対象外の項目であるからです。また会費が協力会の運営費や懇親会費として用いられる場合も、計上が保険料の名目であれば非課税となります。
これらの場合は、会費の使用に見合った対価が発生しないという扱いとなるため、安全協力会費は非課税となるのです。
課税対象となるケースも
安全協力会費は大半の場合、課税対象外ですが場合によって一部税を課されるケースがあります。続いて安全協力会費が課税対象となる例をご紹介していきます。
課税対象となる具体例
安全協力会費が課税対象となるのは次のようなケースです。
- 労災防止のための新機器を導入した場合
- 研修会の人件費
- 懇親会費を負担した場合
課税・非課税を見分けるポイント
先程もお伝えしたように、安全協力会費が課税対象かどうか見分ける基準は会費の支払いに見合ったサービス、対価があるかどうかです。非課税となるケースは社会保険料の充当などの諸会費に該当する場合です。
一方で課税対象となるケースは、機器の購入や研修などと言ったサービスの対価に対して会費が支払われた場合です。したがって先程例に挙げた懇親会費も社会保険料として計上されずに、交際費として計上されれば課税対象となるのです。
また、中には支払いの対価性を見極めることが難しい事例もあります。この場合は双方の確認の上で課税か非課税かを決定することが重要です。
- 消費税が課税となる場合:支払いに見合ったサービス、対価がある場合
- 消費税が課税とならない場合:支払いに見合ったサービス、対価がない場合
安全協力会費の計算方法
安全協力会費の求め方は事業者によって様々です。請求額の大小にかかわらず一律定額の場合もあれば、計算式を用いて求めるケースもあります。それでは安全協力会費の具体的な計算方法についてご紹介していきます。
まずはお互いの合意を確認
「安全協力会費の支払いは義務?」でもお伝えしたように安全協力会費の支払いは義務ではありません。しかしながら安全上の観点から協力会に参加することは重要であると言えるため、双方が予めしっかりと協議し契約に関する合意を取ることが重要です。
請求書から計算しましょう
安全協力会費の計算方法としてメジャーな方法は、協力会社への支払い額に一定のパーセンテージを掛け合わせるやり方です。この計算式で求めた額から税の控除額を引いたものが安全協力会費になります。
請求額にかける率が一定であれば良いのですが、場合によっては協力会社ごとに異なることもあるでしょう。このような煩雑な処理にはエクセルなどのツールを用いると計算が楽になります。
各協力会社ごとのパーセンテージを事前に設定しておくことで支払額が自動計算されます。請求業務の面倒な手間を簡略化することができるため、是非とも自動計算ツールを導入しましょう。
【まとめ】元請けと協力会社双方の合意のもと、安全協力会費を適切に扱おう
今回は安全協力会費の概要や税区分、そして計算方法についてご紹介してきました。
安全協力会は労災などを防止するためにも積極的に参加することが望ましい組織です。また建設現場での作業と同様に、協力会もまた参加会社が皆で協力して運営していくものとなります。
とりわけ安全協力会費の支払いに関しては、後々に揉めることの無いように双方がしっかりとコミュニケーションを取ることが重要です。
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