一人親方の組合費は経費になる?労災保険に関する費用も解説

今回は一人親方労災保険について分かりやすく紹介します。

「一人親方」とは、建設業などで労働者を持たずに事業を行う自営業者、ならびにその事業に従事している家族、企業の役員のことを指します。建設現場では一人親方、企業の役員などは、労災保険の対象外となっているために、労災保険に加入していなければ建設現場に入れないこともあります。したがって仕事中の事故の保障もないのです。

一人親方の方には法人化される事例も多くみられます。法人化することでどんなメリットがあるのか、全国9万人程加入している「一人親方労災保険組合」を例にとり労災保険特別加入制度の仕組み、労災保険に関する費用なども詳しく解説していきたいと思います。

一人親方は組合費を経費計上できるのか

一人親方でも法人化することで組合費を経費として計上できます。法人化することの利点としてあげられるのが経費にできる幅が広くなることです。法人化することにより法人税法の規定に従い給与額を設定することで、給与を経費として計上出来ます。したがって毎月の給与から引かれる、組合費、保険料、退職金なども経費として計上できます。経費として計上することで節税対策にもなるのです。

労災保険で発生する費用

一人親方が労災保険にに加入した際にかかる費用は次の2つあります。

・労災保険料 

給付基礎金額によって決められた国に支払う金額

・入会金・組合費

加入した団体に支払う金額(団体によって異なります)

次はこの費用についてそれぞれ詳しく述べていきます。

労災保険料

労災保険料は給付基礎金額により算出され16段階に分けられています。

 例として給付基礎金額がそれぞれ以下だった場合、

  3500円→22,9860円 

  25,000円→164,250円

このように年間支払う労災保険料の金額が変わります。給付基礎金額に基づいて決まるので確認しておくことが大切です。

入会金

加入した団体に支払う金額です。この金額はどの団体を見ても一律1000円です。

組合費

加入した団体に支払う金額です。およそ月々500円程になります。加入した団体によって支払う金額が異なりますので、加入する際に確認しておきましょう。

事務手数料

事務手数料は年間12,000円程になります。一人親方の特別加入は一人当たり6000円程になります。加入した団体によって費用が異なりますので確認しましょう。

労災保険で計上できる費用

労災保険に加入することで、その団体に支払う金額を費用として計上することができます。その内訳としては下記の通りです。

入会金

年会費

労災保険料

 *給付基礎金額によって変動するので注意が必要です

更新料

 *団体によって手数料がない場合もあります

労災事故の際の手続き時にかかる手数料

 *団体によっては手数料がかからない事もあります

組合員証を再発行するときの手数料

 *団体によっては手数料がない事もあります

退会の際の手数料

 *加入した団体により支払いが発生することもあります

このようにかかる金額が変わるので計上できる費用も異なってきます。給付基礎金額や加入した団体によってこれらの金額は変わるので加入する時確認しておくようにしましょう。

労災保険は経費として計上できないが社会保険料控除が受けられる

法人化した上で一人親方の特別加入保険料として支払えば、「事業主貨」とする事ができます。そうすることで個人として支払わなければならない金額を仕事で立て替えたとして勘定科目とすることができます。家族がこの特別加入保険に加入して発生する保険料を勘定科目とし、「法定福利費」として経費として計上することができます。ですが気を付けなければならないのは、事業主である一人親方の労災保険に加入した際の入会金、手数料は「諸経費」として計上できますが、保険料のみ計上することができないことです。ただし所得控除は受けることができます。

社会保険料控除を受けられるその他の費用

一人親方の労災保険料は、「社会保険料控除」となり所得控除の対象となります。保険料が加入した団体を通じて国に納められているために控除が受けられるのです。それ以外にも扶養控除・配偶者控除・基礎控除など種類は多くあります。所得控除を受ければその分所得税にかかる金額が少なくなるので、節税対策にもなります。確定申告の時は労災保険料も忘れずに記入してください。

【まとめ】一人親方は労災保険料は経費計上できないが組合費は経費計上できる

いかがでしたでしょうか。一人親方は労災保険料は経費計上できませんが、組合費や手数料は経費計上できます。また一人親方の特別労災保険に加入した場合、家族がその保険に加入していれば保険料は「法定福利費」として経費として計上することができます。ただし自身の保険料は経費として計上することができないので、保険料は所得控除の「社会保険料控除」が認められています。どちらも節税対策として重要な事柄なのでしっかりと把握しておく事が重要です。また確定申告の際には、記載漏れのないように気をつけましょう。