公共工事の受注から引き渡しまでの流れや民間工事との違いを解説!

建設業 受注 流れ

工事は民間から受注する民間工事と、行政から受注する公共工事に大きく分類されます。

そこで今回は民間工事と公共工事、それぞれの受注方法や大まかな流れ、異なっている点などを解説していきます。

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公共工事の基本

公共工事は、公共の利益を守るために国や地方自治体が行う建設事業です。公共資金を用いて実施されるため、社会インフラや防災の整備を担い、住民の安心と安全に直結します。

また、工事の種類ごとに法令や手順が定められ、適正な施工管理と品質確保が大切です。そのため、公共工事を受注する際には基本概念を理解し、適切な手続きと法令遵守が不可欠といえるでしょう。

公共工事とは

公共工事とは、国や地方公共団体が公共性の高い施設やインフラを建設する事業です。公共工事は国家や地方自治体、特殊法人などが発注者となり、公共の安全・利便性の向上を目的に行われます。

例えば、工事は以下のようなものです。

  • 道路や橋梁
  • 河川改修
  • 港湾整備

さらに、災害時の復旧工事や学校・病院などの公共施設も含まれます。

このように、公共工事は社会基盤の維持・強化に欠かせないため、適正な入札と高い品質管理が必要です。

公共工事の種類

公共工事の種類には、道路・橋梁・河川・港湾・公共施設・上下水道などさまざまな分野が含まれます。具体的には、道路工事では道路の新設や拡幅、舗装の改良などです。

また、橋梁工事では橋の新設や耐震補強、河川工事では堤防やダムの整備が行われ、水害を防ぐ役割を担います。さらに、港湾工事では港の浚渫や護岸工事、公共施設工事では学校や病院などの建設が挙げられます。

このように、種類ごとに目的や施工内容が異なるため、専門知識と適切な施工体制が求められるでしょう。

公共工事の受注に必要な要件

公共工事を受注するためには、法律で定められた複数の要件を満たす必要があります。

ここでは、公共工事の受注に必要は要件について詳しく解説します。

建設業許可を取得している

公共工事の受注には、対象となる工事業種に応じた建設業許可の取得が必須です。建設業許可は請負金額や工事種別ごとに区分されており、無許可で公共工事を受注することはできません。

例えば、土木一式工事や建築一式工事など各種業種ごとに免許が定められており、管理技術者の配置も含めた要件を満たす必要があります。

また、許可証の更新や業種追加には手続きが必要で、申請書類や経営状況の確認が行われます。そのため、対象業種を確認し、適切な許可を取得・維持することが公共工事参加の前提条件です。

経営事項審査を受審している

公共工事を受注するには、経営事項審査を受審していることが必要です。経営事項審査では、財務状況や技術力、社会性などの項目を評価し、総合評点が一定以上でないと入札参加資格を得られません。

例えば、資本構成や売上高、技術者数、法令遵守状況などが審査対象となり、結果は県や市町村が実施する入札資格審査に活用されます。

また、審査を受けることで、自社の経営状況を客観的に把握でき、改善点の発見にも役立ちます。そのため、経営事項審査は公共工事受注のためだけでなく経営管理の向上にもつながる重要な制度です。

欠格要件に該当しない

公共工事の受注者は、欠格要件に該当しないことが求められます。欠格要件には、破産手続中で復権していない場合や成年後見・保佐を受けている場合、重大な法令違反や談合などで罰金以上の刑を受けた場合などが含まれます。

例えば、故意に工事を中断したり、不正な競争を行ったりした場合は一定期間入札に参加できません。

また、会社役員や主要株主が欠格要件に該当する場合も対象になるので、役員全員の状況を確認する必要があります。企業は法令遵守とコンプライアンスを徹底し、不正が起こらない体制づくりを行うことが重要です。

各種税金を完納している

公共工事の受注要件の一つとして、法人税や消費税など各種税金を完納していることが求められます。

税金に未納や滞納がある場合、入札資格を失う可能性があり、証明書の提出が求められます。

例えば、公共工事の入札参加申請時には税務署からの納税証明書や市区町村の納税証明書を添付し、納税状況を証明します。

また、滞納が発覚した場合は入札参加が停止されることがあるので、経理部門と連携して納付期限を守ることが重要です。

公共工事の受注を目指す企業は日常的な資金管理と税務管理を徹底し、税負担を確実に履行する体制を整えましょう。

【公共工事】建設業の受注から引き渡しまでの流れ

公共工事は民間工事とは異なる方法で、受注や施工が行われます。また、公共工事の場合には、発注する側と受注する側によっても多少流れが変わってくるのが特徴です。

発注する側は企画、設計、積算、入札、引き渡しという流れで進めていきますが、今回は建設業者に焦点を当て、受注する方の流れを紹介していきたいと思います。

どのような流れで進めていくのかを詳しく確認してみましょう。

1:入札資格の審査

公共工事は、入札前に入札会社の資格審査が行われます。入札に必要な審査事項は下記の4点です。

  • 経営事項審査
  • 税金の未納
  • 欠格要件
  • 建設業許可を取得しているかどうか

経営事項審査では国や地方自治体が入札事業者の経営状況を審査します。経営事項審査では、経営状況、経営規模、技術力、社会性の4項目が審査されそれぞれの項目ごとの点数を合計して最終的な評価が下されます。

2:入札

公共工事の場合には、最初に入札を行わなければいけません。入札を行うためには、3つの条件を満たしている必要があります。

1つめは建設業許可を得ていることです。建設工事を行うためには建設業許可が必要です。無許可では工事を実施することはできません。

2つめは経営事項審査を受けていることです。経営事項審査というのは、建設業者の経営状態、経営している規模といった内容の審査を行うことです。

問題がなければ総合評定値通知書を取得することができますが、取得していないと入札は行えません。

3つめは入札参加資格審査の申請を行っていることです。申請方法は発注する機関によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

一般競争入札

国や地方公共団体の入札方法としてよく用いられる方法が一般競争入札です。一般競争入札は、不特定多数の事業者が入札可能です。

発注者は最もよい条件を提示した入札者と契約を結びます。一般競争入札は落札方法の公平性が高い点が特徴です。

一般競争入札には最低価格落札方式と総合評価落札方式の2つの落札方式があります。最低価格落札方式は上述のとおり、価格条件によって入札者が決まります。総合評価落札方式は価格に加えて、入札者の経営状況や雇用状況などを加点要素とした総合点で入札者を決定します。

指名入札

指名入札は指名競争入札とも呼ばれ、発注者が事前に特定の企業を候補者として選定します。以前はよく用いられていた入札方式ですが、現在では公平性の観点から使用が減っています。

発注者は入札工事の種類や案件ごとに特定の基準に則って候補事業者を指名します。また、指名入札にも一般競争入札と同じく最低価格落札方式、総合評価落札方式の2種類の入札方式があります。

公共工事の入札に参加する方法はや経営事項審査の点数についてはこちらの記事で解説しています。

公共工事の入札に参加するには?必要な資格や入札の流れについて解説! 公共工事の入札に参加するには?必要な資格や入札の流れについて解説!

経営事項審査の点数とは?点数の目安や点数をアップさせるコツをご紹介! 経営事項審査の点数とは?点数の目安や点数をアップさせるコツをご紹介!

3:受注するための価格を算出

入札が終わったら、今度は発注側が会社の選定を行います。

選定の基準は技術力や知識、過去の実績などいろいろとあるのですが、最も重要になるのは価格です。ただし、発注者によってどこを重要視するのかは変わってきます。

発注する側はこの時点で価格をあらかじめ決めているので、最低落札価格を下回ってしまうと、当然発注者側から選んでもらうことはできません。

無事に落札することができたら契約を交わし、施工計画書を作成していきます。

4:打ち合わせをしながら施工計画書を作成

契約を交わしたら、発注者側と綿密に施工計画書を作成していきます。

工事をどのように進めていき、いつまでに完成させるのか、現場では誰がどの作業を担当するのか、周辺住民や周りの人への配慮などです。

他にも使用する機械の種類、使用する資材の種類や搬入方法、安全対策や緊急時の対応方法などもしっかりと打ち合わせしていきます。工事の内容によっては、交通規制が必要になる場合もあるので、交通管理についても協議しておく必要があるでしょう。

5:引き渡し

施工計画書に問題がなければ、工事に移ります。工事がある程度進むと、発注者から写真台帳や工事の図面などを提出するように求められます。
発注者によって提出しなければいけない書類の種類は異なるので注意しましょう。

書類の提出が完了したら検査を行い、問題がなければ発注者から引き渡されます。

引き渡し後は代金を受け取り、工事が竣工するというのが公共工事の受注者側の流れです。

工事は計画通り進めることも重要ですが、作業者や周辺住民への安全管理は特に重要視されます。

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民間工事と公共工事の違い

続いて民間工事と公共工事の違いを解説します。下記の3つのポイントをチェックしてみましょう。

発注者

民間工事と公共工事では工事の発注者が異なります。民間工事の発注者は個人から企業まで様々です。

一方で、公共工事の発注者は国や官公庁といった公共団体です。

資金の調達方法

民間工事と公共工事では資金の調達方法も異なります。民間工事では銀行からの融資や各種補助金によって資金を調達します。一方で、公共工事の資金調達は主に税金で賄われます。

受注までの流れ

民間工事と公共工事では工事の受注の流れが異なります。民間工事は、事業者とクライアントとの直接交渉によって工事の受注が決まります。

公共工事では、工事の受注は入札によって決定されます。入札方式は前述のとおり、一般競争入札と指名入札の2種類です。

公共工事

公共工事を受注するメリット

公共工事を受注するメリットは、安定した収益とスキル向上、地域貢献ができることです。

ここでは、公共工事を受注するメリットについて、詳しく解説します。

収入が安定する

収入が安定するというのが、公共工事の大きな魅力です。

公共工事は国や自治体が発注者であるため、景気の影響を受けにくく、民間工事が減る不況期でも受注が見込めます。さらに、前払い金制度があることで資金繰りもスムーズになり、経営の安定につながるでしょう。

このように、安定した収益基盤が得られることから、公共工事は長期的な経営に適しています。

スキルを向上できる

スキルを向上できる点も公共工事の大きなメリットです。大規模な工事や高度な技術が要求される現場での経験は、新しい工法や材料の習得につながるでしょう。

また、厳しい品質管理や安全管理に対応する中で社員の能力が高まり、企業全体の技術力も向上します。

このように、公共工事は会社の競争力を高める学習の場にもなります。

地域に貢献できる

地域に貢献できることも公共工事の重要な側面です。

公共工事では道路や橋、学校などの社会インフラを整備することで地域住民の生活を支えます。

また、工事の施工に伴う地域社会や住民への配慮や活動は評価対象になり、企業が地域と協力しながら取り組むことで信頼関係が深まります。

公共工事は、地域社会への貢献と企業の評価向上の両方につながります。

公共工事を受注するデメリット

公共工事を受注するデメリットは、競争の厳しさや手続きの煩雑さが挙げられます。

ここでは、公共工事を受注するデメリットについて、詳しく解説します。

競争率が高い

競争率が高いことが公共工事の大きな課題です。

入札には多くの企業が参加し、最低価格を競うため利益が圧迫される場合があります。

特に中小企業は大手企業との競争にさらされ、落札が難しくなることもあります。そのため、技術力や過去の実績をアピールし、独自の強みを示すことが重要です。

入札手続きに手間がかかる

入札手続きに手間がかかる点もデメリットです。

公共工事では経営審査や入札参加資格登録などの事前手続きが複数あり、それぞれに多くの書類と費用が必要です。

また、受注後も施工計画書や安全管理書類など、民間工事では求められない膨大な資料を作成する必要があります。

こうした煩雑な作業は企業の負担となるため、専門家への委託や社内体制の整備が求められます。

公共工事を受注するためのポイント

公共工事を受注するためのポイントは、評価値向上と入念な準備を両立させることです。

まず、経営事項審査の総合評定値を高めるために、技術者の採用・育成や自己資本の充実に取り組みます。

また、市場価格や自社のコストを綿密に分析し、適正な入札価格を算出することが重要です。提案型入札では自社の実績や技術力を具体的に示し、評価者に伝える力も求められます。

これらのポイントを意識して準備を整えれば、公共工事での受注機会を高められます。

【まとめ】建設業の受注の流れについて要チェック!民間工事と公共工事でも流れが違うので注意!

民間工事は設計業者選び後に設計、積算を行い、見積もりを取ります。相見積もり後に工事業者を選定し、協議や調整を行い、内容と価格がまとまったら発注・契約という流れです。

公共工事は最初に入札を行い、発注者に選ばれれば受注が可能になります。

どちらも竣工までの全ての段階がとても重要です。スムーズかつ安全に工事を進めるためにも、民間工事と公共工事の違いに注意して案件の受注、工事を行いましょう。

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