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建設業界は慢性的な人手不足に陥っています。特に施工管理職は体力が必要な重労働であり、さらに責任の重い職種のため人手不足が当たり前と思われがちです。
建設業界で施工管理に携わっている人の中には、どうにかして人材を確保したいと悩んでいる方も多いでしょう。
今回は、施工管理の人手不足が当たり前といわれる理由や、人手不足の根本的な原因と対策について解説します。
施工管理士を確保する具体的な方法についても解説するので参考にしてください。
施工管理の人手不足の現状
建設業全体の就業人数は1997年をピークに年々減少しています。令和4年(2022年)の就業人数は1997年と比較して7割程度です。
施工管理に目を向けると、施工管理技術者数は横ばいで推移していますが、建築需要が伸びていることから相対的に人材不足が発生しています。
人手不足の根本的な原因について、詳しくは後述しますが、就業者の高齢化と若年層の求職者数減少の影響が大きいといえるでしょう。
国土交通省が提唱する働き方改革の更なる推進が期待されます。
施工管理の人手不足は当たり前といわれる理由
施工管理の人手不足が当たり前といわれる理由について解説します。ここでは施工管理業務の特徴を踏まえて次の6項目をピックアップしました。
- 体力的にきつい
- 仕事量と比較して給料が低い
- 労働時間が長い
- 休みが取りにくい
- 転勤や出張が多い
- 女性が働きにくい
以下、詳細に説明します。
体力的にきつい
施工管理の仕事が体力的に厳しいことも、人手不足が当たり前といわれる理由の1つです。
建設業の職場は体力的に厳しい環境に置かれています。特に現場で従事する職人は肉体労働で体力を使うのできつい仕事です。
施工管理は管理が主な業務内容ですが、毎日のように現場に通って仕事をします。現場はオフィスワークのように冷暖房がきいた環境ではありません。
現場の騒音や粉塵にも晒されます。屋外の仕事がほとんどなので暑さ寒さに耐えながら長時間体を動かす重労働です。
厳しい職場環境による蓄積疲労による健康被害への恐れから離職を考える人もいます。
仕事量と比較して給料が低い
仕事量に対する報酬(給料)が低いと感じる点も施工管理の人手不足が当たり前といわれる理由です。
建設業の給与水準は会社の規模や所有する資格、所在地の違いなどで大きく差があります。施工管理の年収は平均500万円前後で全業種平均の年収(450万円)と比較して高水準です。
施工管理技士資格によっても差があり、一級施工管理技士と二級施工管理技士では約100万円違います。
全業種の平均年収より高い賃金レベルでも、厳しい労働環境下での仕事量と照らし合わせると給与水準が低いと感じるケースもあるようです。
労働時間が長い
施工管理の人手不足が当たり前といわれる理由の3つめは労働時間が長いことです。残業時間は建設業界トップクラスで、平均すると月平均30時間を大きく超えます。
施工管理の労働時間が長い理由は、通常の定時間内ではこなしきれないほど仕事量が多いことです。
仕事内容も、現場の工程管理や品質管理に目を配りながら、資材発注や原価管理、クライエントとの打ち合わせなど多岐にわたります。
更に、人手不足のあおりを受けて施工管理士1人当たりの負担が増加している現状です。
残業が多く長い労働時間から施工管理を離職する人も増えています。
休みが取りにくい
建設現場では、天候などの季節要因でスケジュールが遅れることもあるので、決められた納期を守ろうとすると休日出勤も免れません。
有給休暇や休日が思うように取得できないのも施工管理の実情です。人手不足が当たり前といわれる理由はここにもあります。
建設業では週休2日を確保できる割合は全体の2割程度です。さらに、休日が週1日以下の割合が3割を超えています。
リフレッシュするための休日が思うように取れないことも、人手不足が当たり前といわれる理由の1つです。
転勤や出張が多い
施工管理は、工事によって現場の場所が変わるので出張や転勤が多い職種です。
大手企業では国内外に多くの現場を抱えているので、各地で建設プロジェクトに携わる場合は、出張や転勤は免れません。
転勤や出張が多いことも人手不足が当たり前といわれる理由です。現状では転勤を命ぜられて単身赴任している施工管理者は全体の4割を超えます。家族と離れて暮すことや、慣れない場所での生活にストレスを感じる人も多いでしょう。精神的な疲労が蓄積されると健康状態にも影響します。
転勤や出張が多いことも人手不足が当たり前といわれる理由です。
女性が働きにくい
施工管理の人手不足が当たり前といわれる理由の1つに、女性の就業率が低い点が挙げられます。
施工管理技士も含めて建設業における技術者の男女比率は15:1で、男性15人に対して女性1人の割合です。建設業全体で見ても、女性の就業率は18%程度と低く、働きにくい環境であることがうかがえます。
施工管理で女性が働きにくい主な理由は次の点です。
- 現場で行う様々な管理業務が体力的に厳しい
- 現場に女性専用のトイレや更衣室などの設備が整っていない
- 施工管理は全般的に休日が取り難く、妊娠や出産などの長期休暇の取得が困難
人手不足を解消するために女性の就業率を上げる工夫が喫緊の課題でしょう。
施工管理の人手不足の根本的な原因
この項目では、施工管理が人手不足になっている根本的な原因について掘り下げていきます。人手不足の原因として次の点を挙げました。
- 作業員の高齢化が進んでいる
- 建設需要が高まっている
以下、項目別に詳しく説明します。
作業員の少子高齢化が進んでいる
建設業界では慢性的な人材不足が大きな問題になっています。施工管理でも同様です。
人手不足の原因として施工管理技術者の少子高齢化が挙げられます。
国土交通省のデータによると建設業の技術者のうち25%は60歳以上で、今後数年の間に引退される方が増える見込みです。
一方、これからの建設業を支える29歳以下の技術者は全体の12%と極端に少なくなっています。
熟練された技術ノウハウを継承するためにも若年層の技術者確保が重要な課題です。
施工管理技術者を含めた作業員の少子高齢化が進んでいることが、施工管理の人材不足に拍車をかけています。
需要が高まっている
昨今の経済動向を見るとインフラ整備への投資が増加傾向です。
国土交通省のデータを見ると建築に対する投資額は2012年ごろから増加の一途をたどっています。ダムや堤防などの防災インフラや交通関係の整備事業などの大型プロジェクトが堅調です。
需要は増加していますが供給は間に合っていません。技能者(職人や工事作業者)の不足は工法の効率化や工期の調整でリカバリーできますが、施工管理技術者が不足すると施工自体に支障をきたします。
高まる需要に施工管理技術者の人材供給が間に合っていないのが実情です。
施工管理の人手不足を解消するために行う対策
この項目では、施工管理の人手不足を解消するための対策を解説します。対策項目として挙げたのは以下の5点です。
- 働き方改革に取り組む
- ITツールを活用する
- 給与体系を改善する
- 教育・サポート制度を充実させる
- 就業希望者を増やす
以下、詳細に説明します。
働き方改革に取り組む
施工管理の人手不足を対策する方法の1つが長時間労働の是正です。
2024年の働き方改革の改訂で、建設業にも労使間で残業時間の上限を設ける36協定が適用されました。36協定を締結していなくても残業時間は週45時間、年間360時間が上限に設定されます。
仕事量は変わらないので、労働時間の制限に対応するためには、IoTやDXツールを活用した業務効率向上が必要です。
働き方改革に取り組むことで労働時間の見直しや合理化が進み労働環境の改善が期待されます。
ITツールを活用する
施工管理の労働環境を改善するための手法として、業務効率を改善して労働時間が短縮できるITツールの導入があります。具体的には次の2点です。
- 施工管理アプリを導入する
- DX化による生産性向上を図る
施工管理アプリは、現場作業に必要な書類や図面、写真などを一括して管理できるツールです。
スマートフォンやタブレットを使って、いつでもどこからでも人員の過不足やスケジュールが管理できるので施工管理業務の効率化が期待できます。
DX化はデジタル技術を駆使することで生産プロセスに劇的な進化をもたらす方法です。
具体的にはドローンによる現場の高所撮影や、ICT建機の導入による建設機械の自動操作などがあります。
ITツールを積極的に導入することで施工管理業務の大幅な効率向上が可能です。
給与体系を改善する
施工管理の人手不足を解消するために、仕事量に見合う給与体系に改善する方法があります。
有効求人倍率が向上している昨今の労働者市場は売り手市場です。
施工管理業界では優秀な人材を確保し定着させるために給与体系の抜本的な見直しに取り組んでいます。給与面の充実度は人材確保には欠かせません。
各企業は、給与金額を上げるだけではなく、継続的に雇用を確保するための昇給制度やボーナスの充実を図っています。
給与体系の改善は施工管理の人手不足を解消するために必須の対策です。
教育・サポート制度を充実させる
施工管理の人手不足を解消するためには、人材の確保だけではなく業務として定着するまでのサポートが必要です。
各企業では独自の研修制度や教育制度を構築しています。若年層が定着しない実情を踏まえて、未経験でも勉強しながら実務が身に付く環境を整備することが重要です。
特に人材育成のマニュアル整備は、人材不足のデメリットであるノウハウの継承にも役に立ちます。
建設業で働くための技術ノウハウや施工管理の仕組みなどがまとめられていれば、企業の資産として継続的に活用できるでしょう。
就業希望者を増やす
施工管理の人手不足が当たり前といわれる理由の1つに女性の就業者が少ない点がありました。
現場の環境や休暇制度など女性が働きやすいように労働環境を整備することで、女性の希望者が増え人手不足解消につながるでしょう。
国土交通省も女性雇用促進を提唱し目標と具体的な取り組みを下表のように提案しています。
目標 | 具体的な取組み |
働き続けられるための環境整備を進める | ・働き方改革を促進する ・働き方に多様性を持たせる ・現場に女性用トイレや更衣室を設置 |
女性に選ばれる建設産業を目指す | ・教育現場と連携し建設産業の魅力を伝える ・女性が職場で定着した事例を紹介する ・働き方改革取組み状況を発信する |
建設業で働く女性支援の取り組みを全国に根付かせる | ・広報活動 ・建設産業女性定着ネットワーク活動の充実と全国展開 ・地域中小建設企業における女性技術者・技能者の確保育成 |
施工管理士を迅速に確保する方法
この項目では、施工管理の人材確保方法について具体的に解説します。前述した人材確保のための対策も進めながら人材確保を目指しましょう。
今回は以下の3点にスポットを当てました。
- 求人サイトを活用する
- 自社のホームページを活用する
- 人材マッチングサービスを活用する
以下、具体的に説明します。
求人サイトを活用する
迅速に施工管理士を確保する最もポピュラーな方法は求人サイトの活用です。ハローワークをはじめとする求人サイトは、広範囲な求職者を対象に求人票が掲載できます。
ハローワークは無料で利用可能です。他の求人サイトは掲載期間や条件によって料金が発生する可能性があります。
施工管理士の人手不足を改善するために、採用要件を緩和して求人票を掲載する企業も増えてきました。「未経験者歓迎」の文言がよく見られるようになり、意欲と興味があれば施工管理士として就職できる可能性があります。
自社のホームページを活用する
自社のホームページを活用して求人広告を発信する方法も効果的です。
求人サイトでは掲載期限がありますが、自社ホームページ掲載であれば長期的に人材を確保する広告が発信できます。
自社ホームページに採用サイトを設置するので、閲覧した視聴者は建設会社や施工管理に興味がある人です。応募してくる求職者も自社や建設に興味を抱いているので、求人サイトより採用の確度が高いといえます。
効果的に採用サイトとして活用するためには、インターネットやSNSを使ってホームページの存在を広告する必要があります。採用までには時間と費用がかかることを見越して準備しましょう。
人材マッチングサービスを活用する
自社が希望する人材をいち早く採用したい場合は、求人マッチングサービスを利用すると効果的です。
マッチングサービスでは自社の要望に適合した人材をサービスの登録者から探し出せます。登録者のクオリティや登録人数の規模などはマッチングサービスによって異なるので事前に比較調査しましょう。
企業と登録者のニーズを正確にマッチングさせるために、ヒアリング時には業務内容や勤務条件など細かい点まで明確にして臨みましょう。採用コストが必要な場合もあります。
建設業の人手不足解消ならツクノビBPOがおすすめ

建設業の人手不足を解消するためには、アウトソーシングサービスの利用もおすすめです。
従業員のリソースがひっ迫している場合や、業務に対応できる人材が不足している場合などは、アウトソーシングサービスを活用すると、少ない工数で業務を実行できます。BPOサービスでは、専門的な知識を持っているスタッフが対応するため、さまざまな業務をスムーズに進められます。
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【まとめ】施工管理士の人手不足が当たり前な状況に陥らないよう労働環境を整えよう
施工管理が人手不足になるのが当たり前といわれる理由には、厳しい労働環境や長時間労働の実態から、就職を見合わせたり離職する人が増えていることが挙げられます。
施工管理技士の高齢化も深刻な問題です。多くの方が引退される数年後には、技術者の大幅な減少が予想されます。
人材を確保するためには、労働環境の見直しや長時間労働の是正が必要です。若年層や女性の人材を確保する必要性から、各企業は「働き方改革」の積極的な推進に取り組んでいます。
施工管理士の人手不足が当たり前な状況にならないように、若年層や女性の雇用も視野に入れた労働環境の改善を実現しましょう。
施工管理DXや施工管理士を新卒1年目で辞める理由についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

