施工管理の働き方改革とは?進まない理由や改善ポイントなどを解説

施工管理 働き方改革

施工管理をはじめ、建設業の人手不足は深刻化しています。改善のために国土交通省より働き方改革が推奨されていますが、浸透していないのが現状です。まずは施工管理の仕事の内容を理解し、なぜ人手が不足しているのか、原因を把握する必要があります。原因を把握し適切なアプローチを行い、働き方改革を進めていきましょう。

施工管理の仕事がきついといわれる理由

施工管理は職人などの技術者とは業務の内容が異なります。現場の原価や工程、品質の管理や、安全の確保など、仕事の内容は多岐に渡り、建設業界のなかでも施工管理はきつい業務であるといわれています。その原因についてみていきましょう。

業務量が多い

施工管理の仕事は、現場の管理だけでなく施主との打ち合わせや必要書類の作成、近隣住民へのあいさつ回り、業者とのやりとりなど多岐に渡ります。とくに書類作成などの事務処理は、社内の他部署との連携が必要な業務が多いです。施工管理はとにかく対応が必要な業務が多いのです。勤務時間中に全てをこなすことは難しいため、残業はほぼ必須といえます。

イレギュラーな問題が多い

建設現場は、大規模であることが多いです。加えて全く同じ状況の現場は存在しません。土地や施工する内容に合わせた対応が求められます。施工をスムーズに進めるために調整をしても、天候や作業者のミスなどでイレギュラーな対応が必要になります。イレギュラーな問題への対応は、決まった単純作業よりも時間や労力を要します。

事故などのリスクが高い

施工現場では他の職場と比較して事故の可能性が高いです。安全計画に対する労働基準監督の指導が以前よりも厳しくなり、現場の安全環境の整備が進んではいますが、ヒューマンエラーや把握ができない施工条件による事故は防ぐことが難しいです。

事故によって人身災害が発生すると、関係者への謝罪や説明などの対応が求められます。業務量が増えるだけでなく、メンタル面でも負担となるでしょう。

施工管理の働き方改革

施工管理の負担を問題視し、国土交通省は働き方改革加速プログラムを公表しました。プログラムの内容は3つの柱で構成されています。それぞれの内容についてみていきましょう。

長時間労働の是正

施工管理の残業などによる長時間労働を改善するため、働き方改革では下記の2点を掲げています。

  • 週休2日制の導入
  • 適切な工期設定

週休2日制の導入では、実践をしている企業を評価する制度の確立が進められています。元請けと下請け、現場作業員によって異なる休日日数を、可能な限り週2日確保する必要があります。

適切な工期設定では、「適切な工期設定等のためのガイドライン」の改定が進められています。施主が希望している工期に合わせて施工スケジュールを組む必要がありますが、長時間労働でカバーしなければならない場面も出てくるでしょう。

給与・社会保険

建設業界では、現場の技術者を中心に給与や社会保険などの待遇が、他の職種と比べて十分ではありません。これを問題視した政府により、建設キャリアアップシステムの導入が推奨されています。

建設キャリアアップシステムでは、技術者の資格や社会保険への加入状況、現場への就業履歴などを登録し、データとして蓄積することが可能です。就業履歴に関しては、現在とは関係ない業界での内容も蓄積できます。

蓄積されたデータにより、スキルや経験を適切に評価でき、給与の設定を行えます。これにより、建設業界全体の給与面に関して労働環境を整えられます。

働き方改革では、協力会社を含め社会保険に加入している会社のみに発注を限定するよう要請する必要があります。社会保険へ未加入の企業は、建設業の許可申請や、更新を認めない仕組みも構築されています。

生産性向上

建設業界では人手不足の改善や残業を削減させるためにITの導入が進められています。「建設DX」の言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。スマートフォンやタブレットなどを使用することでアナログ作業による非効率から、業務をより効率的に進めるよう推進されています。

生産性向上のために、さまざまな企業があらゆるシステムを導入しています。例えば施工管理ソフトの「アイピア」はあらゆる情報を一箇所にまとめられるため、情報管理や共有が簡単にでき、多くの企業で導入されています。

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施工管理の働き方改革が進まない理由

国土交通省により建設業の働き方改革加速プログラムが公表されていますが、施工管理について、まだまだ実践ができていない企業が多いことが現実です。では実際に推進を妨げている原因には、どういったものがあるのでしょうか。

工期を変更できない

仕事を受注する下請けは、単価やスケジュールに多少厳しい部分があっても仕事を受注する傾向にあります。それにより現場の負担に繋がっています。「適切な工期設定等のガイドライン」は強制力はなく要請レベルでしかないからです。ガイドラインを守っていなくても、法的になにか罰則があるわけではありません。そのため元請けも多少無理のある作業内容でも発注が可能です。

本来の工期に余裕があったとしても、現場は天候に左右されやすいです。また、資材がトラブルによって届かないなどで工期がギリギリになる場合もあります。

しかし、工期は基本的に変更することができません。住宅などの建設に携わる現場であれば、工期が遅れることで住人は予定していた入居日に住むことができなくなってしまうからです。

こうしたトラブルが発生した時に、施工管理が各方面に調整をする必要があります。通常とは異なるイレギュラーな対応が求められるため、施工管理の残業時間が長くなり、働き方改革が進まない原因になるのです。

人材の不足が深刻化している

施工管理に限らず、建設業では人材不足が深刻化しています。国土交通省の調査によると、建設業界の人材は平成9年から減少しており、令和2年の時点では492万人にまで減少しています。

平成9年の685万人から193万人も減少しているのです。人手が足りない分、施工管理1人の業務量も増えてしまいます。技術者が足りないことで、元請けや下請けとの工期の調整などが追加で必要になる場合もあります。

事務作業が多い

施工管理の業務には、事務作業も含まれます。しかし、日中は現場に行ったり打ち合わせの対応をしたりする必要があるため、事務作業は自分が担当している現場が終わった夕方以降に行われます。

事務作業の内容は、工程管理や原価管理、資材の発注など多岐に渡ります。夕方以降の限られた時間で期日までに対応をする必要があるため、残業をしなくてはいけない状況になってしまうのです。

建設業における原価管理についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

建設業における工事原価管理とは?原価管理のメリットや難しい理由も解説!

施工管理の働き方改革で改善されているポイント

なかなか進まない施工管理の働き方改革ですが、一部では実際に改善されている内容もあります。まだまだ影響は少ないですが、施工管理がより働きやすい環境にするために、引き続きガイドラインの改定や法改正なども進められるでしょう。

週休2日制の実現

働き方改革により、週休を2日取得しやすい傾向になってきました。官庁工事では、受注の際に4週8閉所(土日を休工日にする)ではない建設会社は入札できないことが一般的になっています。

民間工事でも、4週6閉所(4週間のうち休日が6日)の現場が増えています。土曜日に現場が稼働する場合でも、土曜日の休日を交代制にしたり、振替休日を推奨したりすることで、週休2日を実現しています。

人間関係のトラブル防止・解決

以前までの施工管理は、技術者や所長に無理を言われたり、きつい言葉を投げられたりといったイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。現在のパワハラやセクハラなどのハラスメント行為が問題視される時代において、ハラスメント行為を防止するために、上長の教育が積極的に行われています。

会社によっては、ハラスメント行為を相談しやすい環境の整備などが進められています。このような対策によって施工管理においても以前と比べて人間関係のトラブルが少なくなっているといえます。

施工管理の働き方改革を進める方法

まだまだ国土交通省による働き方改革の項目全てが浸透していない状況ですが、引き続き進めるためにはどういった動きが必要なのでしょうか。

残業時間を削減する

施工管理は残業や休日出勤が多いです。その原因は、業務量やトラブルへの対応によるものですが、細かく可視化することで、対策ができるかもしれません。

原因を突き止めることで、効果的な改善が可能になり、残業時間を短くできます。

給与や福利厚生を見直す

人事評価を見直し、給料や福利厚生を見直すことで、生産性の向上につながるとされています。待遇がよくなることで、施工管理だけでなく会社全体のモチベーションを向上でき、人材不足の解決にも繋がるでしょう。

給与や現状の福利厚生の見直しが難しい場合は、法定外福利厚生の活用も検討してみましょう。法定外福利厚生は、任意で設定することができるプラスアルファの福利厚生の制度です。これらを導入することで、従業員の健康維持や生産性の向上が期待できるでしょう。

テレワークを活用する

建設業界でも、テレワークを導入する業者が増えてきています。事務所に出社しないと確認ができないメールなどを、スマートフォンなどでも確認できるようにするだけでも、移動の手間を省けます。特別なツールを導入しなくても、社内の取組として少しずつ浸透させることで、施工管理の作業効率の向上を図れます。

業務効率化システムを導入する

業務を効率化するツールを導入することも、施工管理の残業時間の削減に繋がります。例えば施工管理システムのアイピアは、案件管理や原価管理、勤怠管理など、様々な情報の管理・共有をスムーズに行えます。

業務効率化システムの導入による恩恵は、施工管理だけではありません。日々の技術者による日報なども、紙から業務効率化システムに切り替えるだけで、現場の仕事により集中できるようになります。これによりスタッフの作業効率の向上にも期待できるでしょう。

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施工管理の働き方改革には「適正な工期設定のためのガイドライン」の理解も必要

施工管理の働き方改革を進めるためには、国土交通省の「適切な工期設定のためのガイドライン」をきちんと理解する必要があります。きちんと理解をすることでガイドラインに記載のある内容を適切に進めることが可能です。

国土交通省:https://www.mlit.go.jp/common/001199096.pdf

適正な工期の設定・施工時期の平準化

休日や残業時間を考慮し、適切な工期を設定しましょう。適切な工期を設定するためには、資材を調達するまでの日数や天候も考慮する必要があります。BIM/CIMの活用も推奨されています。BIM/CIMとは、計画、調査、設計段階から3次元モデルを導入することで、関係者への情報共有を容易にし、生産性の向上が期待できるワークフロー計画のことです。

国土交通省によるBIM/CIMポータルサイトでは、紹介パンフレットや活用事例なども確認できます。

必要経費へのしわ寄せ防止の徹底

元請けから仕事を受注する際に、社会保険料を含んだ工事代金を請求することが大切です。社会保険料が考慮されていないと、結果的に利益が少なくなってしまいます。社会保険だけでなく、法定福利費や安全衛生経費などの必要経費を見積書や請求書に記載することで、必要経費へのしわ寄せを防止できます。

生産性向上

適正な工期設定のためのガイドラインでは、建設生産プロセス全体の生産性向上を推進させることが強調されています。業務効率化システムの導入だけでなく、給与や福利厚生の見直しによる会社全体のモチベーションを上げることでも、生産性向上に繋がります。

生産性を向上させることで、残業時間を減らしたり、週休2日を確保したりできます。

下請契約における取り組み

下請契約においても、適切な工期や請負代金で工事を受注する取り組みが必要とされています。適切な工期であれば、残業時間を減らすことや週休2日の確保を推進できます。請負代金についても、会社全体の賃金や処遇を改善するために、適切である必要があります。

一人親方に関しても、長時間労働の是正や週2日の確保がガイドラインに記載されています。業界全体の水準を上げるためにも、少しずつ下請けも努力が必要になるのです。

適正な工期設定に向けた発注者支援の活用

工事を発注する際、適切な工期の設定について世間とのギャップが生じているかもしれません。そのため、ガイドラインでは建設コンサルタントなどの発注者支援が可能な外部機関の活用も記載されています。工事の特性を踏まえ、外部のコンストラクション・マネジメント企業などを活用し、より適切な工期を設定しましょう。

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【まとめ】施工管理の働き方改革は取り組みやすい業務効率化から進めよう!

施工管理の働き方改革には、さまざまな外部的要因により取り組みが難しい項目もあるでしょう。しかし、少しずつでも業界全体の水準を上げなければ、建設業界の人手不足を改善することは難しいといえます。現状の問題点をピックアップし、取り組める内容から改善を進めましょう。

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