建設業社長の平均年収はどれくらい?業種別・企業別の平均年収についてもご紹介!

建設業界は就職活動では比較的人気のある業界です。チームプレイでのものづくりに取り組めるとやりがいを感じられることや、手に職をつけられるという安定性が理由です。また、「建設業=男社会」という概念が以前はありましたが、現在は建築士や現場監督などの専門職で働く女性が増えているため、業界内の男女比は縮まってきています。
そして、建設業界は給与面の待遇が良いことでも知られています。今回は業界内の社長の平均年収について、業種や企業に分けて解説していきたいと思います。

建設業社長の平均年収はどれくらい?

建設会社のトップというと、高収入が期待できると思う方が多いでしょう。しかし、当然のことながら企業の規模や経営状況によって収入にばらつきがあります。数百万円の年収の社長もいれば数億円を稼ぎ出す社長もいる業界です。さらに、景気に大きく左右される業界であるため、一概に高収入とは言えないのも業界の特徴です。
一般的に建設業界は企業の規模ごとに、スーパーゼネコン、準大手ゼネコン、中小ゼネコンに分けられます。まずは業界の平均年収について企業規模ごとに解説していきましょう。

スーパーゼネコンの場合

スーパーゼネコンとは、売り上げが1兆円を超える特に規模の大きなゼネコンを指します。が該当します。一般的には「鹿島建設」「大林組」「大成建設」「清水建設」「竹中工務店」の5社の総称として使用されています。会社規模が顕著に大きいことが特徴で、従業員数は7500人から1万人程度にも上ります。
スーパーゼネコンの5社の平均年収は、2022年度で1017.5万円となっています。中でも最も年収が高かったのは、鹿島建設で1128.0万円でした。
(参考URL:https://archi-book.com/news/detail/310、https://archi-book.com/news/detail/312)

準大手ゼネコンの場合

準大手ゼネコンとは、年間売上高が3000億円を超える、スーパーゼネコンに次ぐ規模の大きなゼネコンです。「五洋建設」「長谷工コーポレーション」「熊谷組」「フジタ」「前田建設企業」「安藤ハザマ」「西松建設」「三井住友建設」「東急建設」「戸田建設」の10社が該当しています。
2022年度の準大手ゼネコンの平均年収は約867.5万円です。最も年収の高い準大手ゼネコンは前田建設工業で、983.0万円というスーパーゼネコンとほぼ変わらない数字となっています。
参考URL:https://archi-book.com/news/detail/310

中小ゼネコンの場合

上2つに該当しないゼネコンを中小ゼネコンと呼びます。年間売上高が1000億円を超える「東亜建設工業」「奥村組」「淺村組」「東洋建設」「飛鳥建設」「鉄建建設」「錢高組」「大豊建設」の5社を中堅ゼネコンとして呼ぶケースもあります。
中堅ゼネコンの2022年度の平均年収は約856.5万円となっています。中堅と言っても売上高は日本の中で有数の大企業です。それに満たない規模のゼネコンも多数存在しており、その場合平均年収は430万円から480万円程と言われています。
参考URL:https://archi-book.com/news/detail/310#section3

建設業の業種別平均年収

ゼロから建物を作り出すことは決して簡単ではありません。そのため建設業は、各プロセスごとに様々な職種が配置されています。そして各職種ごとに業務内容が大きく異なるだけではなく、年収にも大きな違いが見受けられます。ここでは、それぞれの職種における平均年収の目安について説明します。専門的な知識とスキルを持つ技術職と現場の労働を担う建設・採掘職、仕事を受注する営業職、そしてバックオフィスを担う事務職の4つに分けて、解説していきましょう。

技術職

技術職は専門的な知識・技術をもち、建物の計画や現場の監督などの立場から、建築に間接的に関わる職種です。代表的なものとして建物の設計をする建築士、土地や面積の測量をし図面作成する測量士、建設現場で施工監理技術者という立場で現場の監督や安全管理を行う現場監督が挙げられます。それぞれの平均年収は
・建築士…1級建築士約640万円、2級建築士約480万円
・測量士…約415万円
・現場監督…約435~580万円
となっています。

測定士の年収はこちらの記事でも解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
測量士 年収測量士の年収は?企業規模による違いや収入アップの方法などを解説

建設・採掘職

建設・採掘職とは大工や電気工事や石切りや土木工事などの現場で作業をする、いわゆるガテン系の仕事を指します。建設・採掘職は、建物の基礎を作る建設躯体工事職、外壁や内装の塗装など建物の仕上げに当たる作業を行う建設職、電気配線や照明の取り付けを行う電気工事職、現場の造成や基礎を行う土木作業員、鉱業に従事する採掘職の5つに分類されています。それぞれの平均年収は
・建設躯体工事職…約435万円
・建設職…約345万円
・電気工事職約430万円
・土木作業員…約380万円
・採掘職…約670万円
となっています。

営業職

ゼネコンの営業は、基本的にはBtoBのスタイルで行われます。コンペを勝ち抜いて企業から受注・契約を受けなければ建設業は成り立たないので、非常に重要な役割を担っています。業務内容はプレゼンや提案だけでなく、情報収集や企業からの信頼度を上げるための接待など多岐にわたります。また営業職は、企業の規模によって年収に大きく差が開くのが特徴です。営業職全体の平均年収は約700万円ですが、大手ゼネコンの場合は1000万円を超えるケースもあります。

事務職

建設業の事務職の業務内容は、他業種の一般職とほぼ変わりません。電話やメールの対応や、請求書や伝票などの書類作成、データ入力や備品補充など、縁の下の力持ちとして営業職や技術職の業務を支えます。企業によってはCADで図面作成などの専門的な領域も担うケースも見受けられるため、建築業の知識が身に着くことは他の事務職と一線を画すと言えるでしょう。建設業の事務職の平均年収は約420万円で一般の事務職よりやや高めの水準となっています。

建設業企業の年収ランキング

建設企業の年収ランキングの上位5位は、スーパーゼネコンが独占しています。ここで注目すべきは、企業の平均年収は1000万円台で均衡していることに対して、役員報酬は3000万円台から7000万円台までと大きな開きがあることです。スーパーゼネコン5社の平均年収と売上高、役員報酬を一覧に以下でまとめました。

企業名 平均年収 役員報酬 売上高
鹿島建設 1,138万円 約6500万円 約1兆9,742億円
大林組 1,052万円 約3,300万円 約2兆396億円
大成建設 1,051万円 約8,850万円 約1兆6,508億円
竹中工務店 1,028万円 約3,600万円 約1兆3,536億円
清水建設 1,010万円 約7,740万円 約1兆6,649億円

建設業の年収を決めるための要素

建設業界の年収は企業規模や職種によって大きな差があります。しかし、それだけではなくキャリアの期間や資格の有無によっても年収が左右されるという特徴もあります。建設業界の年収を決める基準には、資格、経験年数、役職、残業代の4つが大きく影響するのです。キャリア年数や資格によって、給与だけではなく業務内容も大きく変化すること、さらに役職や残業時間がどれほど年収に影響を及ぼすかについて以下で説明していきます。

資格の有無

建設業界は技術の進歩が著しく日々進化する技術や法改正に対応するため、高い技術力と確かな知識があることが評価されます。そのため、その基準として資格の有無は重視されるのです。そして、資格があるだけで対応できる業務の範囲がぐっと広がるのも建設業界の特徴です。たとえば、一定の規模以上の現場仕事で必要不可欠な専任技術者を名乗るためには10年のキャリアの証明か国家資格のコピーが必要です。そして、建築士の一級と二級には160万円ほどの平均年収の開きが見られ、一級を取得すれば対応できる建物の範囲が大きく変わります。

資格の詳しい内容は、こちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
解体業で必要な資格とできる作業とは?金額の違いや申請時の注意点についても解説

残業代の割合

残業代の割合によって年収が大きく変化することは、建設業界の大きな特徴の1つです。慢性的な人手不足と休日が少ないことから、建設業界は残業が多い傾向があります。特に現場監督は作業現場の業務の後、オフィスワークをするため残業が多い傾向がありますが「管理監督者」扱いをし、残業代を支払わないケースが目立ち問題視されています。大手ゼネコンでは、残業が多い職種と少ない職種では、200万円〜400万円ほどの年収の開きが見受けられるケースもあるのです。

経験年数

経験年数も平均年収を左右する要素の1つです。建設業界は年功序列の企業が殆どです。定められた工期の中、専門的な技術で安全性の高い業務を行う必要があるため、経験年数は即戦力として評価されます。国家資格を有していても経験不足の新人と、ベテランの施工管理士では後者の方が仕事の質が高いと評価されます。そのため、大手ゼネコンでは経験の少ない20代と比較すると、キャリアの長い40代の年収は倍以上になることも珍しくはありません。

役職

建設業界では他業種と同様に役職の有無も平均年収に大きく影響します。一般的には就業年数や実績などに応じて役職が与えられ、その内容に応じた給与が支給されます。そして、主に管理監督者や管理職に対して責任を有する業務の対価として支払われる報酬を役職手当というのです。例えば、主任は+〇万円、課長は+〇万円というように、役職に応じて額が決まっています。注意すべきは、管理監督者には残業代が支払われないということです。大手ゼネコンでは40代の役職者と20代の社員の年収は2倍ほどの違いがあるというデータもあります。

今後の建設業の年収水準は上昇する?

結論から言うと、今後は建設業の年収水準は上がると予想されています。なぜなら、高度経済成長期に多額の投資を受けて建築された建物やインフラ設備が築50〜60年を迎えるために、解体作業や建設業の需要が高まると予想されるからです。また、リニア新幹線や大阪万博などの大規模なプロジェクトも控えているために、人不足の解消のために給与を上げて人材を募集すると考えられます。建設業界の先行きは明るいものと考えて良いでしょう。

建設業界社長の年収を上げていくためにも、プロジェクトを拡大させていこう

経験とスキルがものを言う建設業界では、社長へ支払われる額は大きなものとなっています。不況に関わらず業績が伸びている建設業界ですが、今後もその傾向は続き給与水準はますます高いものになっていくでしょう。スーパーゼネコンの社長では1億円を超える報酬総額を貰っている方も見受けられるようになりました。また、国は中小企業で1.5%・大企業で3%の賃上げを目標にしており、2022年度には大手4社が3%の賃上げに合意しています。建設業の社長であれば、プロジェクトの拡大や新規事業にも乗り出し、会社自体を大きくして年収アップを目指しましょう!

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