建設業界の安全パトロールとは?実施する頻度や効率化する方法を解説

「現場での安全パトロールって、どこまでやれば十分なの?」「毎回チェックリスト通りに見回っているけど、効果があるのか分からない…」「もっと効率的に、確実に事故を防ぐ方法ってないの?」 そう感じる方は少なくありません。

結論からお伝えすると、安全パトロールは単なる形式的な作業ではなく、実施する頻度・方法・記録の仕方を見直すことで現場の安全性は大きく向上します。また、近年ではITツールの活用によるパトロールの効率化も進んでおり、事故防止だけでなく、管理者自身の負担軽減にもつながっています。

この記事では、建設業界における安全パトロールの基本的な目的や実施頻度、現場でのチェックポイントから、近年注目されている効率化のための方法やツールの活用法まで、現場監督や安全管理者に役立つ情報を分かりやすく解説します。

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建設業界の安全パトロールとは

建設業界における「安全パトロール」とは、現場の安全性を確認・維持するために定期的に実施される見回り活動のことを指します。

主に、現場内での潜在的な危険箇所や作業手順の乱れがないか、指示された対策が実施されているかなどをチェックする役割があります。

特に建設現場では、高所作業や重機の運転、電気設備の工事など、常に多くのリスクが存在しています。作業員の安全を守りながら工期を遅らせないためにも、安全パトロールは欠かせない業務とされています。

建設業界の安全パトロールの重要な役割

建設現場の安全パトロールは、重大事故の予防、多様な作業員の安全確保、現場ごとのリスク対応といった重要な役割を担います。

日常的に現場を点検することで、潜在的な危険を早期に把握し、事故を未然に防ぐ体制を整えることが可能です。

重大な事故に対する予防

建設現場は、重機の稼働や高所作業、危険物の取り扱いなど、重大な事故につながるリスクが常に存在しています。

万が一の事故が起きれば、作業員の命に関わるだけでなく、企業の信用や工事の進行にも大きな影響を与えることになります。

安全パトロールは、こうした重大事故を未然に防ぐための第一歩で、定期的なチェックにより危険因子を早期に発見し対処することが重要です。 日々の作業に追われがちな現場でも、計画的にパトロールを実施し、リスクを1つずつ潰していくことが大切です。

指揮命令系統の異なる作業員の安全確保

建設現場には、元請け・下請け・専門業者など、様々な企業に所属する作業員が集まり、それぞれ異なる指揮命令系統のもとで動いています。

このような環境では、情報共有のズレや安全意識の温度差が原因で、予期せぬトラブルや事故が発生しやすくなるため、現場全体の安全管理には一層の注意が必要であることが分かります。

安全パトロールは、こうした分断を補い、現場全体に共通した安全ルールの浸透を図る役割を担っています。

共通ルールを明確に示し、全作業員に対して一貫した目線で確認・指導することが、事故の防止につながります。

現場によって変わるリスク対応

建設現場は、場所や工事内容、工期によってまったく異なるリスクが発生します。工事の規模によって出入りする作業員の人数や使用する重機の種類や数も変わります。

また、同じ規模の建設物でも建設する立地によっても使用可能な重機や工期、作業工程などが変動します。このように、現場ごとに状況は様々なため、適切なリスク対応を行うためには、安全パトロールが重要な役割を果たします。

パターン化した確認作業ではリスクを見逃す可能性があるため、マニュアルだけに頼るのではなく、現場ごとの特性をしっかり把握し、その場に応じた確認と改善提案が求められます。

建設業界で安全パトロールを実施する3つの目的

建設現場で安全パトロールを行う目的は、単なる「見回り」ではありません。実際には、「災害リスクの把握」「指示内容の遵守確認」「作業員の安全意識向上」といった3つの大きな目的があります。

これらは、安全を守るだけでなく、現場全体の信頼性や生産性の向上にもつながります。

災害のリスク確認

建設現場は、高所作業や重機の運転など、常に災害の危険と隣り合わせです。

そのため、安全パトロールでは「現場に災害のリスクが潜んでいないか」を見逃さずチェックし、危険が予測される場合はすぐに是正するか、作業を中止する必要があります。

危険箇所の早期発見と、迅速に対応することで、重大事故を未然に防ぐだけでなく、作業員が安心して作業できる環境を保つことが可能になります。

指示内容の遵守状況の確認

安全パトロールは、単に危険を探すだけではなく、すでに決められている指示や安全ルールが現場で守られているかどうかを確認するためにも行われます。

ルールの運用実態を見極めることもパトロールの重要なポイントです。もしも、指示が守られていなければ、その理由を現場で直接確認し、すぐに改善策を講じられます。ルールが「形骸化」せず、実効性のある管理体制が維持できます。

作業員の安全意識の向上

安全パトロールは、現場の空気を引き締め、作業員一人ひとりの安全意識を高める効果もあります。ただ見回るだけでなく、声かけや対話を通して、安全についての意識づけを行うことが大切です。

「見られている」という意識が生まれることで、現場全体が安全に対して前向きになり、ミスや油断を減らせ、安全文化の形成につながります。

建設業界で安全パトロールを実施する頻度

建設現場で安全パトロールを実施する頻度は、工事の規模や内容、進行状況によって異なりますが、一般的には「週に1回」もしくは「月に1回」が基本とされています。

特に大規模な工事現場や、複数の業者が同時に作業を行う現場では、日々の安全確認が必要になるケースもあります。現場の安全は一瞬の油断から崩れることもあるため、頻度が少なすぎるとリスクの見逃しに繋がります。

定期的なパトロールだけでなく、悪天候の次の日に臨時で実施するほか、重点項目のみ実施する日を追加で設けるなど、形式的に実施するのではなく、現場の状態に合わせて実施計画を見直すことが重要です。

建設業界で安全パトロールを実施する際の注意点

安全パトロールは、ただ形式的に見回るだけでは効果が薄く、現場での信頼関係やルールの徹底など、いくつかの重要なポイントを押さえて実施することが必要です。

このセクションでは、安全パトロールを効果的に行うための具体的な注意点を紹介します。

基本的なポイントを押さえておく

パトロールを実施する際は、毎回確認すべき「基本項目」を明確にしておくことが大切です。

例えば「足場の固定は適切か」「重機の稼働エリアは整理されているか」「保護具は適切に着用されているか」など、リスト化して事前に共有することで、チェック漏れを防げます。

また、毎回のチェックを積み重ねることで、安全管理の精度を高めることも期待できます。定型的な確認を怠らず、その日の現場状況に応じた柔軟な目線での確認も心がけましょう。

管理者と作業員の信頼関係を築く

安全パトロールは、作業員と直接対話する機会でもあります。

一方的に指摘するだけではなく、日ごろからコミュニケーションを取り、現場の雰囲気を和らげながら信頼関係を築くことが大切です。

日頃からこまめに声掛けすることで作業員自身の安全意識を高めることや危機察知能力の向上にも繋がります。さらに、信頼関係があれば、作業員側からも「ここが危ないと思う」といった声が上がりやすくなり、パトロールの質が向上します。

整理整頓を習慣化する

現場が散らかっていると、それだけで事故のリスクが高まります。

必要なものは定位置に整理し、不要なものは処分する、という整理整頓の基本ができていないと、現場が散らかり、つまづき事故の原因になったり、作業自体が非効率になることで、作業員の疲弊にも繋がります。

また、整理整頓されていない状況が続くと、それが当たり前になってしまうため、安全パトロールの際は、作業後の片付け状況や通路の確保状態など、「整理整頓が徹底されているか・習慣化されているか」を常にチェックする必要があります。

ルールを明確に提示する

現場の安全ルールは、作業員全員が目的や効果を理解できる形で明確に提示されていなければ意味がありません。

曖昧なルールや、掲示のみで伝達されないルールでは、現場の安全管理が形骸化してしまうため、ルールが現場でしっかり運用される仕組みづくりが求められます。

現場ごとにルールの浸透度を確認し、不明点や曖昧な点があればその場で説明・再確認を行う姿勢が大切です。

下請業者の作業員相手でも指導する

安全パトロールでは、元請けの作業員だけでなく、下請け業者の作業員に対しても平等に安全指導を行う必要があります。立場の違いや遠慮があると、危険行動の見逃しにつながってしまいます。

下請業者の労働者に元請け事業者が直接指導や指示をすることは、労働者派遣法に抵触しますが、労働安全衛生法第29条に基づき、元請け事業者は下請け業者が法令や命令の規定に違反しないように指導することが定められています。

現場全体が1つのチームとして機能し、全員が安全に作業するためには、誰が作業していても同じルールで安全管理が行われるべきです。

建設業界の安全パトロールの課題

建設現場での安全パトロールは、安全性を高めるうえで欠かせない取り組みですが、実際には現場ごとに様々な課題が存在しています。

特に、報告書の作成・管理や、写真撮影・共有などの作業における負担が現場管理者に重くのしかかっているケースが多く見られます。

安全パトロールを実施する上で直面しやすい代表的な課題を2つ取り上げ、それぞれの実情と背景を解説します。

報告書の作成・管理の負担が大きい

安全パトロールを行ったあとは、パトロール内容や指摘事項、是正内容などを記録に残す「報告書」の作成が必要です。しかし、この報告書の作成や管理は手間と時間がかかり、現場を管理する側にとって大きな負担となっているのが現状です。

特に、問題点が見つかって是正した場合、その証拠として写真や映像で報告するため、紙ベースでの管理をしている場合には、作業の非効率さが目立ちます。

写真撮影・共有に労力がかかる

パトロール中に発見したリスクや是正事項を記録として残すためには、写真撮影が不可欠です。しかし、その撮影から整理、共有までの一連の作業が現場担当者の大きな負担となっているケースも多くあります。

具体的に、

①パトロール中に問題点が見つかった場合、その是正内容を現場へまとめて共有する
②現場はそれを受けて改善・報告をする
③是正箇所を確認して写真やExcelデータとともに報告書を作成する

という流れで報告書が作成されますが、撮影・整理・共有をアナログで行う場合、非効率な作業となってしまい、業務負担が増えます。

建設業界の安全パトロールを効率化する方法

安全パトロールは重要である一方、報告書の作成や写真の管理など、担当者の業務負担が大きいという課題があります。

こうした問題を解決し、現場の安全性を保ちつつ業務効率を高めるために、最近ではITツールや遠隔管理の導入が注目されています。

例えば、現場に設置したカメラ映像を遠隔から確認することで、危険な作業中でもリアルタイムでの安全確認が可能になります。

また、写真付きの報告書をクラウドで一元管理するツールを導入すれば、撮影から報告、共有までのフローが簡略化されます。

スマートフォンやタブレットからその場で記録が取れるため、帰社後の書類作業が不要となり、担当者のストレスも軽減されるでしょう。

これらの効率化ツールは、導入に初期費用がかかる場合もありますが、長期的には人手不足の解消や業務の質の向上につながる投資といえます。今後、建設業界全体がデジタル化にシフトする中で、こうしたパトロール業務の効率化も「当たり前」の時代になっていくと考えられます。

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【まとめ】安全パトロールは建設業で重要な活動!現場の問題点を早期に把握し作業員の安全を守ろう

建設業における安全パトロールは、事故の予防だけでなく、現場の信頼性や作業効率を支える重要な業務です。重大な事故を未然に防ぎ、作業員の安全意識を統一し、現場ごとに異なるリスクに柔軟に対応するためにも、定期的なパトロールは欠かせません。

また、ただ実施するだけでなく、指示の遵守状況や安全意識の向上を図ることが、パトロールの本来の目的です。

その一方で、報告書作成や写真の共有といった業務負担の大きさも課題となっており、ITツールの導入による効率化が求められています。現場の安全を守るためには、形式的なパトロールではなく、「人」と「現場」に向き合った質の高い安全管理が必要です。

日々の確認を積み重ねることが、作業員の命を守り、企業の信頼を築く第一歩です。

ぜひ、今回紹介したポイントを参考に、自社の安全パトロールを見直し、より実効性のある取り組みへと進化させてください。

施工管理における安全管理についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

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