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施工はたくさん引き受けているのに利益が少ないと悩んでいる塗装業者は少なくありません。原価率が高い塗装業では利益率が低くなる傾向にあります。
本記事では原価率と利益率に着目しながら、利益率が低くなる原因と、利益率をあげるための対策について紹介していきます。
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塗装業の原価率とは?
原価率とは売り上げのうち原価が占める割合のことを言います。原価率が低ければ利益性が高く、原価率が高ければ利益性が低いということになります。ビジネスをする上で、原価率は利益のことも考慮して30%が適切と言われています。
塗装業の原価率は60%以上?
塗装業における原価率は大体60〜70%と言われています。この場合の原価の内訳は人件費や材料費等となります。一見原価率が高く、利益性が低く見えるかもしれません。しかし建設業は原価率が高く、60〜80%が一般的となっています。
大工業や住宅のリフォーム業ではおおむね70%、内装業者に関しては80%を超えることもあるくらいですから、外壁塗装は建設業界では原価率が良いことになります。
とはいえ、他業種と比較すると原価率が高いことには変わりはなく、利益率が低下して経営が落ち込みやすいのも事実です。
塗装業の人件費
塗装業における人件費について考えていきましょう。塗装業の原価の中で最も大きなウェイトを占めるのは人件費です。建設業は他業種とは異なり、機械で代替できる業種ではなく、職人の技術に頼っているため、必要不可欠なのです。
塗装業の人件費は人にもよりますが、おおよそ1日1人15,000〜20,000円必要といわれています。人件費を算出する場合には『人工(にんく)』という単位を用いて計算します。1人工で、ひと1人が1日で行える作業量を示し、とある作業を1人が2日かけても、2人で1日かけても2人工と示します。
塗装業の材料費
塗装業における材料は主に、塗料になります。塗料は塗る箇所や仕上がりなどによって塗料の種類が異なります。
また、一種類を塗るのではなく何層も下塗り、中塗り、上塗りとそれぞれ種類の異なる塗料を重ね塗りするため、いくつもの種類の塗料が必要になります。
また、塗るための道具である刷毛や養生するためのテープなども現場ごとに使い捨てるため、その都度購入が必要です。そのため、塗装業において材料費がかさみがちになります。
塗装業が利益率を重視すべき理由
利益率とは売り上げの中で利益が占める割合を指す言葉です。利益率は業種に限らず商売をする上では重要ですが、建設業を経営する場合特に注意する必要があるでしょう。
売り上げから利益を算出する上で、人件費や材料費などの必要経費を差し引きます。
人件費や材料費などの原価率が高い塗装業では利益に当たる売り上げ部分が少なく、利益率が低くなってしまうこともよくあります。 また、利益率を注視していない場合、気づかないうちに赤字になっていることも少なくありません。
利益率を把握しながら、適切な経営状況を維持していくことが重要です。
利益率の低い塗装業者の特徴
利益率が低くなりがちな塗装業ですが、その原因を明確にして考えてみましょう。以下、利益率の低い塗装業者の特徴を詳しく紹介していきます。
特徴1:下請けの受注が多い
塗装業の利益率が低くなる原因として、下請けの仕事が多いことが挙げられます。
下請け業者と元請け業者の間には上下関係があり、下請け業者は元請け業者の言い値でしか仕事を引き受けることができない現実にあります。
自社の経営状況を鑑みて、価格を設定できないため、利益率を上げるためには経費を削るなどして値上げ以外の方法で利益を産出していく他ありません。
ただ、人件費や材料費は塗装業において必要不可欠であるため、削減できる経費には限りがあります。そのため、利益が少ない仕事をたくさん受けて数をこなすことで、利益を増やすという経営方針になることは珍しくありません。
下請け業者のまま、高い利益性を目指すことは不可能に近く、どうにか下請けから抜け出す必要もあるでしょう。
特徴2:値下げを売りにしている
他社競合との顧客獲得争いに勝つべく、セールスポイントとして価格の低さを売りにしていることが多々あります。 しかし、価格が低ければ利益も少なくなることは考えるまでもありません。尚且つ、一度値下げを行ってしまった後で、価格を改正し値段を上げると顧客離れの恐れが生じる可能性もあります。そうすると結果として価格を上げることが困難になりかねません。
値下げを検討するときは会社内で意見を聞くなど、もう一度検討してみるのも良いかもしれません。
塗装業者が利益率を改善する方法
では塗装業を経営する上で、利益率を向上させるためにはどうすべきでしょうか。具体的にポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
単価を上げる
業種に限らず、利益を上げるための最も単純かつ容易な方法は単価を上げることです。
しかし、注意すべきなのは顧客離れが起きる可能性があるということです。これは塗装業者も例外ではありません。
価格の安さに魅力を感じ、検討している場合、顧客はより安い施工会社を選択するでしょう。値上げを行う際にはメリットとデメリットを天秤にかけて、考えるようにしましょう。
職人を雇う
施工を人の手に頼りきっている塗装業において人件費は必要不可欠であり、削ることが難しい経費です。しかし、職人を自社で雇うことにより、外部に職人の派遣を依頼する必要がなくなり経費を抑えられます。また、より柔軟な対応が可能になり、緊急性の高い仕事にも派遣しやすくなります。
育成する期間や手間は必要になりますが、外部の職人と比較しても自社の職人の方が信頼もおける上に、社内にさらなる一体感が生まれるでしょう。
原価管理システムを活用する
そもそも原価が正しく把握できておらず、原価率の改善ができないというケースもあります。そうした場合には、原価管理システムなどを導入し、案件ごとの原価管理などができるようにしましょう。建設業における原価管理システムには様々なものがあるので、機能や費用を比較し、自社に合ったものを導入しましょう。
原価管理システムを導入することで簡単に原価が把握できるようになるだけでなく、経理業務の負担軽減にもつながります。
おすすめの原価管理システムはこちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
建設業における工事原価管理とは?原価管理のメリットや難しい理由も解説!
工程管理を重視する
経費を抑えるために、意外と見落としがちなのが社内管理の徹底です。特に塗装業では計画や工程を綿密に練り、納期通りに納めることが経費を抑える上でも顧客の信頼を得る上でも重要になります。最低限の材料を準備し、人材を配置して、作業時間を管理するなどして効率よく工事を進められるようにしましょう。
人材や材料費を削減するだけではなく、余分な時間と経費を費やしていないか見直してみましょう。
材料を安く仕入れる
経費を削減するとなると、比較的思いつきやすいのが材料費を抑えることです。
ただ、価格を抑えるために材料の質を落とすことは避けたいので、価格交渉をして値下げを行ってもらうことが良いでしょう。ただし、値下げはあくまでご厚意であり、メーカーや販売代理店との間における信用と信頼によって行われるものです。
強要したりせず、値下げしてくださることを当たり前には思わないことを心に留めておきましょう。
広告宣伝費を見直す
仕事をより多く獲得するために、広告は重要な役割を果たします。
広告は様々な出し方がありますが、時に全く効果がないまま継続している場合もあります。少し工夫をして、新たに仕事を受けられるような効果的な広告を出しましょう。
例えば、お年寄り世帯が多い地域ではインターネットの広告はあまり効果が見込めないため、チラシ等でのポスティングなどアナログな方法が良いでしょう。
反対にインターネット上での広告の場合、どのような効果があったか広告のアナリティクスを確認することができるのでより、効率的に広告運用が行えるでしょう。
また、効果が大きくとも広告費用があまりにもかさむようであれば、一度検討しなおしてみるのも良いでしょう。
予算と見合って、ある程度効果が見込める広告を利用しましょう。
下請けでなく元請けとして受注する
そもそも下請けでなければ、価格を自由に設定できるため利益を増やすことができます。
下請けであれば元請けから仕事依頼が来るため、直接的に顧客から仕事を獲得してくる必要はありません。しかし、元請けとなると自力で顧客に営業をかけて仕事を獲得していく必要があります。
そのため、営業に長けた人材の存在が重要になっていきます。営業人員が足りない場合は営業代行サービスを利用するという手もあります。
パック商品を用意する
普通の買い物とは異なり、多くの人にとって塗装は馴染みが少なく、相場を知らないことがほとんどです。そのため、見積もりを行ってもその価格が適正なのかわからないと感じることがあるようです。そこで、顧客に施工をリーズナブルに感じさせ、尚且つ塗装工事の依頼のハードルを下げることのできるパック商品の提供の用意をおすすめします。
例えば、「期間限定で湿気やカビに強い特殊塗料△△%引き」等のパック商品を準備することで顧客は気軽に問い合わせや見積もりを依頼しやすくなるでしょう。
キャンペーンや割引、プレゼントなど、様々な方法から自社に適したものを行ってみましょう。
独自性を重視する
他社競合と比較したときに、顧客に選んでもらうためには、他社とは異なる独自の魅力をアピールできるかが重要です。質の良い施工内容なのは勿論のことですが、プラスアルファの価値も生み出しましょう。例えば、地域密着型であることなどが挙げられます。
「△△区内施工実績特化!□□マンション、○○アパート施工実績多数!」などと記載があれば、他の施工会社に依頼するよりも顧客は施工実績から信用して依頼しやすいでしょう。
また、実際に現場で施工する職人や営業担当のマナー、見積もりや問い合わせなどに対する迅速な対応なども重要なポイントです。
万が一に備えての保証制度や施工後のアフターケア等も大きな魅力になるでしょう。
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営業代行には獲得のプロがいますので、外部に頼ってみるのも一つの手です。
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【まとめ】塗装業の原価率は60%!原価率だけでなく利益率が重要!
本記事では塗装業の原価率の高さと利益率の低さに着目して、その原因と対策について解説してきました。利益率が低くなりがちで、経営が落ち込みやすい塗装業ですが、経費を見直したり、独自の魅力を発信したりするなど、利益率を改善させるためにできることは多岐に渡ります。
会社の規模や社風、施工可能地域などを鑑みて無理のない範囲で挑戦してみましょう。
建設業の原価率の平均はこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
建設業の平均原価率とは?計算方法や原価率の下げ方も解説!
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