塗装業は資格や許可がなくても営業できるのはご存じですか?
「塗装店です!」と名乗るだけで、実は営業することが可能なんです。
そのため、なかには知識やスキルがない塗装店や、悪徳業者も紛れています。
そんな塗装業だからこそ、社長や作業員が国家資格をもっていると消費者の安心度や信頼度につながります
この記事では、塗装業を営むうえで欠かせない資格をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
塗装業の資格の必要性について
塗装業にはさまざまな国家資格があります。
「依頼する塗装会社に有資格者がいる」というのは、塗装会社を選ぶにあたって1つの判断材料にもなるのではないでしょうか?しかし、資格がない=悪徳業者や腕がない職人という訳ではなく、資格がなくても知識や技術がある腕のいい職人はたくさんいます。
ただし、有資格者のいる会社と有資格者のいない会社では、やはり消費者の信頼度が異なってくることは頭に入れておきましょう。
塗装業で重要な資格5選
塗装業に関する資格はたくさんあり、比較的簡単に取得できる資格から、受講資格に厳しい条件がある資格まで様々です。
ここからは、塗装業において特に重要な資格を5つご紹介していきます。
下記の5つの資格を取得すれば
・仕事の幅が広がる
・収入アップが期待できる
・消費者からの信頼度が高まる
・会社から重宝される
・就職や転職に有利になる
などのメリットが期待できます。
どのような資格がどのように役立つのか、ぜひチェックしてみてください。
重要な資格1:一級塗装技能士
厚生労働大臣が認定する「一級塗装技能士」は国家資格であり、塗装業を営むにあたってとても重要な資格です。
塗装業として7年の実務経験、もしくは二級塗装技能士になってから5年経過後に受講資格が与えられます。
受講条件が厳しいうえに難易度も高く、合格率は50%前後となっています。
資格や知識がなくても始められる塗装業の世界ですが「一級塗装技能士」の資格をもつという事は、
・経験
・知識
・技術
を認められた証でもあり、会社からだけではなく消費者からの信頼度も高まるでしょう。
重要な資格2:有機溶剤作業主任者
誤った取り扱い方をすると、人体に被害を及ぼす可能性が高い「有機溶剤」。そのため取り扱い方には十分注意しなければなりません。
有機溶剤作業責任者とは、有機溶剤の被害から労働者を守るために、作業方法の指揮・監督を行う資格です。塗装工事でシンナーやラッカーを扱うため、有機溶剤作業責任者の配置が労働基準法で定められています。
有機溶剤作業主任者の資格を取得するには「有機溶剤作業主任者技能講習」を受講し、修了試験に合格する必要があります。
重要な資格3:外装劣化診断士
外装劣化診断士とは、塗装や建物の構造への深い知識が必要とされます。少しでも工法を間違えて施工すると、やり直しになったり余計な費用がかかったりする場合があるからです。住宅の屋根や外壁などの外装部分の劣化状況を調査、診断し、的確な提案を行います。
資格を取得する際は試験を受ける必要があり、受講資格は建設業または不動産業で実務経験が3年以上もしくは、建築士や宅地建物取引責任者の資格を有するものとされています。合格率は50%前後です。
重要な資格4:色彩検定・カラーコーディネータ検定
近年では色彩検定やカラーコーディネーター検定の有資格者がいる塗装会社も増えています。
塗り替え工事を行う際、外壁の色選びで迷う消費者は多いでしょう。そんな時に色彩検定やカラーコーディネーター検定の有資格者がいる会社なら、色選びのプロに相談できます。プロからアドバイスがもらえることで、消費者の信頼度・満足度も高まるでしょう。
色彩検定、カラーコーディネーター検定どちらとも、難易度が高い順に1級、2級、3級とあります。
重要な資格5:足場の組み立て等作業主任者
塗装工事をする際に、高所での作業で必要となるのが「足場」です。
高さ5m以上の高所での足場の組み立てには「足場の組み立て等作業主任者」の資格をもつ人材の配置が、労働安全衛生法で定められています。
作業の指揮・監督を行う者は技能講習の修了、そして足場の組み立てを行う作業員も特別教育を受けなければなりません。
受講せずに足場の組み立ての作業を行った場合は、違法行為となり
・災害や事故があっても労働災害保険が適用されない。
・作業員や責任者が書類送検される。
などの可能性があります。
塗装業のその他の資格7選
塗装業の重要な資格を5つご紹介しました。
5つとも消費者の安心や信頼を獲得し、塗装業を営むうえで欠かせない資格といえるでしょう。ここからはその他の7つの資格をご紹介していきます。引き続き参考にしていただけたら幸いです。
その他の資格1:二級塗装技能士
二級塗装技能士の受講資格は、職業訓練校に通う、または塗装業での2年以上の実務経験があることです。二級塗装技能士の資格を取得しても、実は仕事の幅はあまり変わりはありません。
しかし二級塗装技能士の資格を取得することで、自分の知識・実績・技術の証明になります。また、一級塗装技能士の資格取得を目指す際の自信にも繋がるでしょう。
キャリアアップや将来的に独立を考えている方は取得しておきたい資格です。
その他の資格2:職業訓練指導員
職業訓練指導員は資格ではありません。学校の先生の「教員免許」のように、職業訓練指導員になるためには免許の取得が必要です。
塗装業で15年以上の実務経験、または一級塗装技能士の有資格者のみに受講資格があります。さらに厚生労働大臣が指定する48時間講習を受け、確認テストに合格しなければなりません。
職業訓練指導員の免許を取得するにあたってかなり厳しい条件がありますが、免許を取得した際は職業訓練校で講師として活躍できます。
その他の資格3:特定化学物作業主任
健康被害を発症させる可能性が高い化学物質。
特定化学物質作業主任とは、厚生労働省が認定する国家資格であり、化学物質から作業員を守るための指揮・監督をする資格です。労働安全衛生法で定められている作業主任者のひとつで、特定化学物質を扱う場所では必ず配置しなければなりません。そのため特定化学物作業主任の資格取得者は、就職や転職の際に有利になるでしょう。
満18歳以上で、日本語の読み書きに問題ない方なら受講できます。
その他の資格4:高所作業車運転者
高所作業車とは、高所での工事や点検の際に使用される機械です。トラック式高所作業車と自走式高所作業車がありますが、どちらも運転操作をする時は「高所作業車運転者」の資格が必要になります。
高所作業車運転者の資格を取得することで、作業床10m以上の高所作業車の運転が可能になります。
資格を取得する際は満18歳以上で、高所作業車運転講習を受講し、学科試験と実務試験に合格しなければなりません。
その他の資格5:2級施工管理技士
2級施工管理技士とは、国土交通大臣指定機関が実施する国家試験です。
建設現場での
・施工計画
・工程管理
・品質管理
・安全管理
を行うにあたって欠かせない資格です。
また2級施工管理技士の資格を取得することで、仕事の幅が広がり、中小規模の建設現場で主任技術者となることが可能です。主任技術者になると資格手当や一時金支給、収入アップなどの金銭面でのメリットも期待できるでしょう。
比較的合格率も高く、取得しやすい資格といえます。
その他の資格6:1級施工管理技士
1級施工管理技士は、2級施工管理技士のさらに上位の資格です。業務の制限がないため、大規模な工事現場でも監督・管理者として関われます。また1級施工管理技士の有資格者は、専任技術者や監理技術者のどちらもなれる権利が与えられ、数ある施工管理職の中でもトップクラスの人材といえるのではないでしょうか。
収入アップや転職で有利になるなど、資格を取得するメリットは大きいでしょう。
その他の資格7:乙4種危険物取扱者
乙4種危険物取扱者の資格を取得すると
ガソリン
・重油
・軽油
・灯油
などの引火性液体が取り扱えます。
危険物のなかでも現場でのニーズが高い引火性液体が取り扱えるようになるので、他の乙種試験と比べると人気が高い資格です。この資格を取得すると就職先の幅も広がり、就職・転職にも有利といえるでしょう。
また、会社によっては資格手当が受け取れる可能性もあります。受講資格がないので、チャレンジしやすいのもメリットです。
【まとめ】塗装業にも様々な資格がある!重要な資格についても要チェック
塗装業の様々な資格をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
「資格がなくても腕のいい職人もいる」とはいえ、やはり
・社長が国家資格を取得している
・現場の監督が有資格者である
・作業する職人に知識や技術がある
上記のような会社に依頼したいのが消費者の本音ではないでしょうか。
職人全員が資格を取得するのが理想ですが、現実的に難しいこともあるでしょう。
しかし社長や現場監督が有資格者であれば、消費者の安心・信頼に繋がるのは間違いありません。ぜひこの記事を参考に資格取得にチャレンジしてみてください。