【原則義務化】建設キャリアアップシステム(CCUS)の義務化はいつから?

みなさまは、「建設キャリアアップシステム」について詳しくご存じでしょうか。建設キャリアアップシステムは、2023年度より利用を義務付けられる予定です。なぜ義務化されるのか疑問に思っている方や、義務付けられるとどうなるのか不安な方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、建設キャリアアップシステムの概要、義務化の背景、義務に反した際に罰則はあるかを解説します。ぜひ本記事を参考に、建設キャリアアップシステムに登録しましょう。

建設キャリアアップシステム(CCUS)とは

「建設キャリアアップシステム」は、建設技能者の就業実績や資格、保険加入状況などを登録し、技術・経験の適切な評価、工事品質向上につなげるシステムです。建設キャリアアップシステムは、英語訳の「Construction Career Up System」の頭文字を取り、「CCUS」とも呼ばれます。国土交通省が主導し、建設業振興基金が主体となって2019年4月に運用が開始されました。技能者の処遇改善、雇用・育成の推進によって、若手が安心して働き続けられる環境づくりを目指しています。

【2023年最新】建設キャリアアップの現在の利用状況

国土交通省の公表によると、全国の建設業技能者数約300万人に対し、約4割の120万人以上が建設キャリアアップシステムに登録しています。事業者の登録数は、20万社以上です。毎月の就業履歴登録数も増加傾向にあり、2023年8月には、累積の就業履歴登録数が1億件を突破しました。2023年9月には、42道府県が企業評価の導入を表明し、他の都道府県も導入検討中です。企業評価が導入されている自治体では、工事成績評定や総合評価、入札参加時などで加点されます。

【2023年から原則義務化】建設キャリアアップシステムの登録義務について

国土交通省は、2023年度中の建設キャリアアップシステムの登録義務化、完全実施を目指しています。技能者が建設キャリアアップシステムを利用する際には、本人情報や保有資格、社会保険加入状況などの登録が必要です。登録すると、建設キャリアアップカードが発行され、現場に設置されているカードリーダーでの読み取りによって就業履歴が記録されます。建設キャリアアップシステムが義務化されると、カードを持っていない技能者の現場入場が禁止される可能性があります。

建設キャリアアップシステムが義務化された背景

建設キャリアアップシステムの義務化の背景には、以下の理由があります。

・社会保険や年金加入状況を把握するため
・建退共の掛金未納を解消、加入促進するため
・公共工事での活用の促進のため
・建設技能者の能力に応じた賃金支払のため
・現場の生産性向上のため

それぞれの内容を解説します。

社会保険や年金加入状況を把握するため

建設キャリアアップシステム義務化の背景には、社会保険や年金加入状況の把握という理由があります。建設業では、健康保険や厚生年金保険、雇用保険といった社会保険に加入していない現場作業者や、社会保険料を適切に負担しない業者がいることが、長年問題視されています。社会保険に加入していないと、いざというときに公的な保証を受けられません。建設キャリアアップシステムで保険加入状況を管理することで、保険加入の徹底や確認作業の効率化ができます。

建退共の掛金未納を解消、加入促進するため

建退共(建設業退職金共済制度)の掛金未納の解消、加入の促進も、建設キャリアアップシステムの目的の一つです。建退共は、現場作業者が退職金を得るための大切な制度です。しかし、証紙発行の事務作業が煩雑であること、証紙の交付が適切に実施されないケースがあることなどが原因で、掛金の未納が問題になっています。建設キャリアアップシステムによって管理することで、事務作業の効率化、掛金の納付・充当の徹底が可能となり、加入者促進が期待できます。

公共工事での活用の促進

国土交通省は、建設キャリアアップシステムの義務化により、公共工事での活用の促進を狙っています。これまでに、国直轄の土木工事において、事業者・技能者登録率、就業履歴蓄積率(カードタッチ率)に応じて工事成績評定時に加点する、建設キャリアアップシステム義務化モデル工事が多く実施されました。UR都市機構やNEXCO西日本・東日本といった独立行政法人や特殊企業でも義務化モデル工事が実施されており、建設キャリアアップシステム活用の促進が今後も見込まれます。

建設技能者の能力に応じた賃金支払のため

建設技能者の能力に応じた賃金支払も、建設キャリアアップシステムの目的に挙げられます。建設業に従事する若手が年々減少していることが、建設業界全体の課題です。若手が少ない理由には、「3K(きつい、危険、汚い)」という悪いイメージ、長時間労働、低賃金以外に、キャリアアップの道筋が見えにくいことが挙げられます。建設キャリアアップシステムの活用によって、建設技能者の保有資格、経歴、技能が客観的に評価され、適切な賃金支払につながるでしょう。

現場の生産性向上のため

建設キャリアアップシステムの活用によって、現場の生産性向上も見込まれます。建設キャリアアップシステムの記録によって施工実態の把握・分析をすることが、生産性向上につながります。また、それぞれ紙で管理されていた保険加入証書や技能講習修了証といった各種書類を、建設キャリアアップシステムに一本化することで、事務の手間を省けるでしょう。保有資格や経験に対する適切な評価が広まれば、技能者のスキルも上がり、生産性の向上も期待できます。

原則義務化までの流れ

2020年から建退共の電子申請試行が始まり、2021年から本格実施されました。2023年度内に、民間工事も含めて電子申請への完全移行が計画されています。また、2020年10月の建設業法改正により、施工体制台帳への作業員名簿の添付が義務付けられました。作業員名簿の義務化に併せて、労働者が現場に入場する際の社会保険加入状況の確認では、建設キャリアアップシステムを用いることが原則化されました。国直轄工事では、建設キャリアアップシステム活用義務化モデル工事が実施され、2023年度内に、地方公共団体や民間も含めたあらゆる工事への義務化が予定されています。

建設キャリアアップシステムに登録しなかった場合、罰則等はある?

2023年10月現在では、建設キャリアアップシステムに登録しなくても、罰則はありません。ただし、一部の自治体では、建設キャリアアップシステム用カードリーダーが設置され、利用が義務化された公共工事をすでに実施しています。マイナンバーカードとの連携により、安全衛生法における資格者証、技能講習の修了証、保険加入状況などをキャリアアップカードに一体化することも計画されています。今後、キャリアアップカードがないと現場に入場できなくなるかもしれません。

建設キャリアアップシステムの料金や申請方法

建設キャリアアップシステムの登録には、事業者登録、現場登録、施工体制の登録、技術者登録が必要です。インターネット、もしくは認定登録機関の窓口で申請可能です。登録料は、技能者と事業者で異なります。技能者がインターネットで申請する場合、簡略型は2,500円、詳細型は4,900円かかります。また、管理者ID利用料の支払いが毎年必要です。建設キャリアアップについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。

建設業振興基金が運用する「建設キャリアアップシステム」とは?登録料の勘定科目についても解説!

【まとめ】2023年から建設キャリアアップシステム(CCUS)は原則義務化!

建設キャリアアップシステムの概要、義務化の背景、義務に反した際に罰則はあるかを解説しました。2023年度中に建設キャリアアップシステムの利用の義務化が計画されています。義務化の背景には、社会保険や年金加入状況の把握、建退共の掛金未納解消・加入促進、建設技能者の能力に応じた賃金支払といった目的があります。建設キャリアアップシステムが適切に活用されれば、建設業界が抱える問題の多くを解決できるでしょう。ぜひ本記事を参考にし、建設キャリアアップシステムの活用を始めましょう。

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