JV(ジョイントベンチャー)とは?建設業におけるJVのメリット・デメリットも解説!

みなさまは、「JV(ジョイントベンチャー)」をご存じでしょうか。複数の企業が集まって結成するJVによって、自社単独では受注できない大型案件にも参加できるかもしれません。しかし、JV結成のデメリットを十分把握していないと、工事完了後にトラブルに発展する恐れがあります。
本記事では、JVの概要や種類、メリット・デメリットを解説します。ぜひ本記事を参考にして、大型案件を受注するために、JVの結成を検討してください。

JV(ジョイントベンチャー)とは?

「JV(ジョイントベンチャー)」とは、「Joint Venture」の略称で、複数の企業で共同して事業に取り組むことを指します。日本語では、「合弁企業(事業)」や「共同企業体」といいます。トンネルや橋、高層ビルといった大規模工事の場合、土木や電気、配管など様々な分野のスキルを持つ作業員、管理者が必要です。様々な専門スキルを持った企業が集まってJVを組むことで、単独1社では請け負えない大きな案件でも受注できます。

JVの出資比率

2社でJVを結成する際は、50%ずつ出資することが一般的です。平等に出資することで、上下関係なく対等に業務を進められるでしょう。各企業の出資比率が異なる場合、出資額に応じて各企業が人員や資金、建設機械を出します。後述する甲型JVの場合は、出資比率が最も高い企業が最終的な決定権を持ちます。2社より多くの企業でJVを結成する際には、可能な限り出資比率を平等にすることで、トラブルを減らせますが、いつまでも意思決定できず受注のチャンスを逸するかもしれません。

JVの種類

JVは、いくつかの種類に分けられます。

  • 【地域維持型】地域維持型建設共同企業体
  • 【特定型】特定建設工事共同企業体
  • 【経常型】経常建設共同企業体
  • 【復興・復旧】復興復旧建設工事共同企業体

それぞれの特徴を解説します。

【地域維持型】地域維持型建設共同企業体

「地域維持型建設共同企業体」は、地域のインフラの維持管理を目的としたJVです。降雪や台風被害の多い地域では特に、インフラ維持管理の技術やノウハウを持った建築業者が欠かせません。しかし、地域によってはインフラ維持管理の建築業者が少ないことがあります。業者が少なくても、JVによって共同し、安定的に継続して工事に取り組めるようにする狙いがあります。地域維持型JVを結成しても、単独1社での入札登録、特定・経常JVの同時結成も可能であることが特徴です。

【特定型】特定建設工事共同企業体

「特定建設工事共同企業体」は、特定の案件を施工することを目的としたJVです。受注した案件の施工が完了すれば、JVは解散します。単独1社では受注できない大型案件や難易度の高い案件があったときに、様々な分野の技術を持った企業が集まって、受注を目指します。ただし、技術が不足している業者が参加すると、施工の遅れや欠陥が発生するかもしれません。やみくもに業者を集めるのではなく、工事に合った技術を持つ業者を適切な数だけ集めましょう。

【経常型】経常建設共同企業体

「経常建設共同企業体」は、各企業が経営力や施工力を向上することを目的として結成するJVです。様々な得意分野を持つ業者を集め、継続的に共に働くことで、安定的に案件を受注できます。小規模な企業でも、単独では受注できなかった大規模案件に参加して、スキルを向上したり実績を増やしたりできるでしょう。経常建設共同企業体を結成すれば、単独1社と同様に、入札に参加可能です。ただし、経常建設共同企業体として入札参加申請した場合、1社単独では参加できないケースがあります。

【復興・復旧】復興復旧建設工事共同企業体

「復興・復旧建設工事共同企業体」は、大規模災害が起こった際に、迅速に復興・復旧するために結成されるJVです。被災時に、地元の業者だけでは、急増する建設工事に対応できないケースが多くあります。一方で、作業員や建設機械の移動コストがかさむため、他の地域の業者が工事に参加するのは難しいかもしれません。被災地域以外の業者も含めたJVの結成によって、作業員不足に対応し、被災地域に詳しい地元の業者の施工力を強化できます。

JVには2つの施工方式

JVの施工方式は、「甲型(共同施工方式)」と、「乙型(分担施工方式)」の2つがあります。それぞれの特徴を解説します。

【甲型】共同施工方式

甲型(共同施工方式)は、参加した各企業が、資金や人員、建設機械などをどれだけ拠出するかを定めて、共同して施工するJVです。財産価値のあるものすべてが出資の対象であり、計画の進捗に合わせて各企業が出資します。工事で得た利益をすべて合算し、出資比率に応じて各企業に分配されます。ただし、損失があった場合にも、出資比率に応じて各企業に分配されるので、自社に不備がなくても赤字が出るかもしれません。また、最も出資比率が高い企業がJVの代表となり、最終的な決定権を持ちます。

【乙型】分担施工方式

乙型(分担施工方式)は、1つの工事案件を複数の工区に分割して、参加した各企業に割り振って施工するJVです。共同で施工する甲型JVとは異なり、各企業がそれぞれ決められた工事の箇所を分担して施工します。各企業が経費や利益を個別に計上できるので、利益分配のトラブルが発生しにくいことが特徴です。ただし、工事の品質や安全に問題が発生した際には、自社の施工と無関係であっても、連帯で責任を負わなければなりません。

建設業におけるJVを結成するメリット

建設業でJVを結成すると、以下の6つのメリットがあります。

①資金調達力が増える
②技術力が上がる
③リスクの減少
④工事の流れが良くなる
⑤受注範囲が広がる
⑥低コスト・低リスクで新規事業が立てられる

メリットの内容をそれぞれ解説します。

①資金調達力が増える

JVを結成することで、資金調達力が増えることが、メリットのひとつです。建設業では、材料費や人件費のために多額の資金が必要です。単独1社では大型工事を請け負うほどの資金がなくても、複数の会社が集まるJVであれば、資金を集められるかもしれません。また、複数企業が集まるJVによって、信用度が高まり、融資も受けやすくなります。大手ゼネコンや有名企業が集まると、非常に期待が高まり、多くの資金を集められるでしょう。

②技術力が上がる

技術力が上がることも、JV結成のメリットです。それぞれの独自の強みを持った複数の企業が集まることで、技術やノウハウを共有でき、自社の技術力が上がります。自社単独では雇えなかった人材と共同して働けるかもしれません。ただし、他社の技術やノウハウを手に入れられるということは、反対に、自社独自の技術やノウハウが流出する恐れもあります。JVを結成する際は、契約書に秘密保持義務を盛り込み、慎重にパートナー企業を選びましょう。

③リスクの減少

JVの結成によって、リスクの減少を見込めることもメリットです。取り組んでいた大規模な工事が万が一失注した場合、単独1社では負担できないほどの赤字になる恐れがあります。JVを結成していれば、負担を複数の企業で分散できます。単独1社ではなかなか受注できないような大型案件に安心してチャレンジできるでしょう。また、自社が経営難に陥っても、JVを結成している他の企業の経営が安定していれば、仕事を継続できます。

④工事の流れが良くなる

JVを結成して工事に取り組めば、工事の流れが良くなるでしょう。様々な分野のプロフェッショナルが集まって、役割分担して取り組めば、クオリティを上げつつ大型工事を速やかに完了できます。工事を取りまとめる役割の企業は、業務の負担が大きく増えますが、各現場は集中して工事を進められるため、全体の流れは良くなるでしょう。また、他社の仕事の進め方を見て、勉強したり刺激を得たりできるため、自社の仕事の改善にもつながります。

⑤受注範囲が広がる

受注範囲が広がることも、JV結成のメリットです。自社単独では入札できなかった大型案件も受注できるかもしれません。自社だけでは技術力や人員が足りない案件でも、様々な専門技術を持つ複数の企業が集まれば、不得意な分野を互いにカバーでき、得意分野の技術を存分に発揮できます。無理をして汎用性の高い技術を会得しなくても、自社の得意分野をさらに伸ばしながら、会社を成長できるでしょう。また、JVでの受注も、自社の実績だといえます。JVで多くの案件に携われば、実績が増えて信頼度が上がり、さらに受注が増えるでしょう。

⑥低コスト・低リスクで新規事業が立てられる

低コスト・低リスクで新規事業が立てられることも、JVを結成するメリットに挙げられます。1社単独では資金が足りず難しくても、複数の企業で出資すれば、各企業は低コストで新規事業にチャレンジできます。新規事業の経営が上手くいかず、事業を撤退することになっても、損失を複数の企業で分散して負担できるので、低リスクです。JVに参加する複数の企業の人脈を活用すれば、自社とつながりのなかった顧客とも新たに取引できるかもしれません。

建設業におけるJVを結成するデメリット

建設業において、JVを結成することには、メリットだけでなくデメリットもあります。

  • 出資比率が多い企業に決定権がある
  • 連帯責任になる場合がある

デメリットの内容をそれぞれ解説します。

出資比率が多い企業に決定権がある

出資比率が多い企業に最終的な決定権があることが、デメリットの一つです。見積や入札金額、受注契約、協力会社の発注などは、多くの場合、出資比率が最も多い企業が決定します。必ずしも、自社にとって都合のいい決定にはならないかもしれません。一方で、出資比率を各企業で均等にすると、話し合いで合意が得られなかった場合、いつまでも意思決定ができず、受注のチャンスを逃す可能性があります。デメリットを十分に把握したうえで、JVを結成しましょう。

連帯責任になる場合がある

連帯責任になる場合があることも、デメリットに挙げられます。甲型JVでは、出資比率に応じて利益が配分される一方で、他社の損失も、出資比率に応じて自社が一部を負担しなければなりません。もし工事の途中で他社が倒産してしまった場合でも、工事を続けられるよう自社が負担して手配する必要があります。乙型JVであれば、自社の利益をそのまま得られますが、他社の工事で品質や安全に関する問題が発生した際に、連帯して責任を負わなければなりません。

【まとめ】JVは受注数や技術力の向上が期待できる!種類や施工方式を確認して自分にあった場所を選ぼう

JVの概要や種類、メリット・デメリットを解説しました。様々な技術を持つ複数の企業が集まってJVを結成することで、単独1社では受注しにくい大型案件にもチャレンジできます。資金調達力が増える、技術力が上がる、工事の流れが良くなるといったメリットがある一方で、自社とは無関係なケースでも、連帯責任によって自社に損失が発生する可能性があります。本記事を参考に、ぜひJVを結成して、大型案件の受注を成功に導いてください。

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