普及に失敗?建設キャリアアップシステム(CCUS)は無駄だったのかについて解説

建設業の深刻な人材不足に対して、鳴り物入りで2019年に運用が開始された建設キャリアアップシステム(CCUS)ですが、かかるコストに比べて効果を実感できていないとお悩みの方も多いのではないでしょうか?そこで今回は建設キャリアアップシステムの概要から、現状、今後の展望について詳しくご紹介していきます。

建設キャリアアップシステム(CCUS)とは

まずは建設キャリアアップシステムの概要についてご紹介していきます。建設キャリアアップシステム(CCUS)は、少子高齢化社会において慢性的な人材不足に悩まされる建設業界の問題解決のために2019年より実用が開始された人材登用システムです。交付される個人カード上に保有資格や経験といった情報を記録することで、個々人の技能が客観的に評価される点がメリットです。

建設キャリアアップシステムが生まれた背景

建設キャリアアップシステムは建設業界の人材問題を解決するシステムとして多大な期待を背負って登場しましたが、この背景には業界が抱える大きな問題があります。建設業では、他の全産業と比較して若者の就業者の割合が約5%ほど低く、若者の人材登用が急務です。現在の主力の就業者である中高年層が今後10年前後で大幅に退職した後に、業界の担い手がいなくなってしまうからです。建設キャリアアップシステムは技能労働者を適切に評価することで、建設業界で若者が着実にキャリアを積める仕組みとして期待されていたのです。

【2023年最新】建設キャリアアップの現在の利用状況

建設キャリアアップシステムの利用者数は年々増加傾向にはあるものの当初期待されている数値には届いていません。建設業における技能労働者数が約302万人であるのに対してシステム登録者数は約126万人と伸び悩んでいます。
参考:国土交通省

建設キャリアアップシステムが失敗・無駄と言われる理由

続いては建設キャリアアップシステムが現状では失敗と言われる理由・原因は以下の4つです。

  • 普及率が低い
  • 赤字が続いている
  • 料金が大幅値上げに
  • システムのメリットが感じられない

それぞれ具体的にご紹介していきます。

普及率が低い

建設キャリアアップシステムが失敗と言われる一番の原因は普及率の低さです。確かに運用が始まった2019年から技能労働者の登録数は右肩上がりです。しかしながら、国土交通省の立てた当初の目標が300万人を超える全ての技能労働者のシステム登録であったのに対して、現状では全技能労働者の30%ほどの登録に留まっています。

運用は赤字が続いている

登録者数が伸び悩んでいることも相まって、建設キャリアアップシステムは運用にあたって毎年赤字を計上しています。2023年度での単年黒字化が見積もられていますが、建設キャリアアップシステム運用当初の想定通りに推移していないことは事実です。
参考: 一般社団法人 日本建設業連合会

料金が大幅値上げに

建設キャリアアップシステム利用者はシステム利用料を支払う必要がありますが、2020年の改定後に利用料が大幅に引き上げられています。事業者登録料が軒並み値上げされた他、技能者登録料も引き上げられています。技能者の登録は二段階制となり、本人情報のみの簡易登録は2500円ですが、保有資格などを追記する詳細登録には4900円がかかり、建設キャリアアップシステムの本来の目的である資格や経歴のデータ化には余分な登録料がかかる仕組みとなっています。また元請が支払うこととなる現場におけるシステム利用料は、技能労働者一人につき3円から10円へと大幅に引き上げられています。

システムのメリットが感じられないという声

建設キャリアアップシステムについては、利用にかかるコストに見合ったメリットがないという声も聞かれます。建設キャリアアップシステムに関するアンケートによれば、システムを利用するメリットが無いと約6割が回答しています。更には建設キャリアアップシステムを利用することによる業務効率化に関する質問では、効率化を「図れている」と答えたのは僅か9%に留まっています。
参考: https://www.zenken-net.or.jp/wp/wp-content/uploads/a802321d2c88d2b4d737f0d205b5d2ef.pdf

建設キャリアアップシステムの今後

今のところ順調な滑り出しとは言えない建設キャリアアップシステムですが、今後は一層官民一体となって建設キャリアアップシステムの普及に取り組むことが宣言されています。令和5年度はあらゆる工事に建設キャリアアップシステムを使用することが原則化される他、技能労働者の社会保険加入にシステムを用いるなど、あらゆる過程を建設キャリアアップシステム上行えるように一本化していくことが計画されています。

建設キャリアアップシステムの料金や申請方法

建設キャリアアップシステムの登録には、事業者登録、現場登録、施工体制の登録、技術者登録が必要です。インターネット、もしくは認定登録機関の窓口で申請可能です。登録料は、技能者と事業者で異なります。技能者がインターネットで申請する場合、簡略型は2,500円、詳細型は4,900円かかります。また、管理者ID利用料の支払いが毎年必要です。建設キャリアアップについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。
建設業振興基金が運用する「建設キャリアアップシステム」とは?登録料の勘定科目についても解説!

【2023年から原則義務化】建設キャリアアップシステムの登録義務について

2023年度中に建設キャリアアップシステムの利用の義務化が計画されています。義務化の背景には、社会保険や年金加入状況の把握、建退共の掛金未納解消・加入促進、建設技能者の能力に応じた賃金支払といった目的があります。詳しくはこちらの記事も参考にしてください。

建設キャリアアップシステムの義務がいつから始まるのかについてはこちらの記事で解説しています。
建設キャリアアップシステム(CCUS)の義務化はいつから?罰則についても解説

【まとめ】キャリアアップシステムには厳しい意見も多い。

今回は賛否の分かれる建設キャリアアップシステムについてご紹介していきました。令和5年度はキャリアアップシステムの原則化フェーズとされています。システムのより一層の普及が計画されていますが、利用コストの引き上げなどが原因となって、目標に対して普及が追い付いていないという現状があります。現在のところ登録は任意ではありますが、あらゆる過程が建設キャリアアップに一元化されることが計画されているため運営方針の注視が必要です。

建設キャリアアップシステム(CCUS)のデメリットは?料金や登録しないとどうなるのかについて紹介

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