建設業における勤怠管理の課題とは?

勤怠管理は安定した企業経営には欠かせない業務です。近年、働き方改革の推進によって労働基準法などの法律が改正され、時間外を含む労働時間の管理が複雑になってきました。建設業でも、法改正等にともない勤務時間の管理が難しくなっている状況です。そんな中で、正確な勤務時間の管理集計などに苦労している管理者も多いのではないでしょうか。
今回は、建設業における勤怠管理の課題や対応方法について解説します。今後の自社の勤怠管理に生かしていただければ幸いです。

勤怠管理が必要な理由

次に勤怠管理が必要な理由を具体的に2つ紹介します。
勤怠管理の目的は、働き方改革に沿った労働基準法などの法律を遵守すること、それにより従業員の健康管理を推進することです。
以下それぞれについて詳しく紹介していきます。

働き方改革への対応

働き方改革は、労働者個人の事情や生活環境なども考慮して、各労働者に適した多様な労働環境を構築するために、近年政府主導で推進している施策です。その中には、時間外労働時間の上限や企業への労働時間把握の義務付けだけでなく、有給休暇の取得やフレックス勤務制度への柔軟な取り組みも含まれています。近年は、働き方改革にともない定期的に労働基準法が改訂され、適切で法に沿った勤怠管理が企業としても重要な位置づけになりました。

従業員の健康管理

過度な労働は従業員の健康状態に直接影響します。働き過ぎで身体的な異常をきたすだけでなく「うつ」などの精神的な病気の引き金になりかねません。労働基準法では時間外労働の上限(月45時間/年360時間)の遵守と、管理者による労働時間の把握が義務付けられています。遵法のみならず、従業員の健康状態を把握することも、企業の重大な責務です。勤怠管理で常に従業員の労働状況を把握し、必要があれば時間外労働時間の調整や業務の負荷軽減を考慮する必要があります。

建築業界における勤怠管理の4つの課題

建設業の労働環境では、現場に直行直帰することも少なくありません。労働時間の計算を日報やタイムカードの打刻に頼っている企業も多いでしょう。しかしそうした勤怠管理では集計や把握のしづさなどの課題もあります。
ここからは、建設業界における勤怠管理の課題を4つ具体的に解説します。

紙ベースの勤怠管理は集計しづらい

建設業の多くは現場仕事となり、勤怠管理は日報による勤務時間申告やタイムカードの打刻など紙ベースです。日報などの紙ベースでの勤怠管理は、人の作業になるので勤務時間の集計に時間がかかるのは否めません。パソコンソフトの表計算などで集計すれば計算ミスは防げますが、キーボードの打ち間違いがあると間違った集計になるので確認に手間がかかります。多くの労働者が在籍する企業では、一つの打ち間違いで膨大な修正時間が必要です。紙ベースでの勤怠管理では集計はしづらいといえます。

正確な労働時間の把握が難しい

建設業では、他の産業と異なり営業所や事務所内から離れた現場での仕事が多いというのが特徴です。また、多くの労働者が複数の現場で仕事をする企業では、就業する現場が分散します。そのため、管理がまちまちになり正確な勤務時間の把握が困難です。

労働者が自宅から現場へ直行し、終業後そのまま帰宅するケースもあります。勤怠管理は、日報やタイムカードの打刻が主体です。日報では書き忘れや動労時間の記入ミス、タイムカードにおいても不正打刻起こる可能性があり、定常的で正確な労働者の勤怠管理とはいえません。

正確な労働時間の把握が難しいということも勤怠管理にタイムカードを用いるデメリットです。建設業ではタイムカードの打刻タイミングが現場や事業者ごとに異なることがあります。タイムカードを事務所で打刻するか、現場で打刻するかによって労働時間が異なるため、作業員全員の正確な労働時間を把握することは困難です。

法改正に向けて労働時間を把握しなければならない

建設業においても、2024年に改正施行される働き方改革関連法にともなって、時間外動労時間の上限を遵守することが義務化されます。建設業では深刻な人材不足や後継者不足から5年の猶予期間が設けられていました。2024年4月以降は、他の業態と同様に労働時間や残業時間を把握して規程時間上限を超えないように管理しなければなりません。万が一超えてしまうと労働基準法違反となります。また、法改正では、3年間勤務管理データを保管する必要があるので、データ保管の環境づくりも必要です。

全ての現場の従業員の健康管理がしにくい

建設業の勤務形態はさまざまです。実際に、営業所や事務所を執務場所にしている従業員もいれば、主に現場で仕事をする従業員もいます。公共施設や道路工事では、夜間の作業を主体に動いている現場もあるでしょう。このように、勤務場所も勤務時間も異なる現場では、従業員の勤務管理だけでなく健康管理も難しくなります。複数の現場を抱えている企業ではなおさらです。

前述の働き方改革に関連して、長期間健康に働ける環境づくりを旗印に「健康経営」をセットで考える企業が増えていますが、建設業界では難しいといえます。

紙ベースでの勤怠管理は、労働時間の把握だけではなく作業員の健康状態の把握にも難があります。工事の進捗は天候などの様々な要因によって遅延するため、作業員の休みは一定ではありません。またこれらが原因で有給の消化具合も作業員ごとにばらつきがでます。作業員の労働状況を一元管理できない紙ベースの勤怠管理では、すべての現場作業員の健康管理ができません。

建設業に勤怠管理システムを導入するメリット4選

2024年の働き方改革関連法の改正に対応するには、前述した課題への対策が必要です。他産業の企業はITを駆使した「勤怠管理システム」を導入して働き方改革に対応しています。
建設業でもITをツールにした勤怠管理システムを導入すれば、現状の課題を解決するだけでなく、以下で説明するようなさまざまなメリットを享受できるでしょう。

勤務状況を自動で収集できる

建設業に勤怠管理システムを導入することで、複数の現場労働者の勤務管理を自動で取得することができ、日報やタイムカードを回収する手間が省けます。勤務時間の計算も自動化されるので、勤務情報についてはすべて「勤怠管理システム」に任せておけば安心です。システム上で他のツールと連動させることもできます。
たとえば、給与計算などの庶務ワークと連動させれば事務ワークは大幅な業務効率改善につながるでしょう。慢性的な人手不足に頭を抱えている企業にとって、これは大きなメリットです。

労働時間を正確に把握できる

勤怠管理システムを導入すれば、従来日報やタイムカードなど、紙ベースで集計していた勤務時間の記入ミスや計算ミスもありません。デジタルで記録されるため日々正確な勤務時間を記録でき、タイムカードの不正な打刻なども未然に防ぐことができます。勤怠管理のシステム化は、2024年から建設業にも導入される働き方改革関連法の対応にも効果的です。
たとえば、時間外労働時間の超過問題についても、数値で判別できるのでスムーズに発見できます。

従業員それぞれの情報を取得可能

勤怠管理システムの導入によって、従来の課題でもあった複数の現場で作業する従業員情報の一元管理が可能です。建設業では複数の現場に従業員が分散していたり、夜勤や日勤など勤務時間帯が異なる場合もあります。その場合でもGPSと連動させて従業員の打刻場所が分かるので、システムの不正利用を未然に防いだり、従業員ひとりひとりの勤務状況(欠勤や早退など)の確認が可能です。さらに、現場間の作業人数の調整や、スケジュール管理もできるようになります。

従業員の負担を軽減できる

勤怠管理システムを導入すれば、勤務状況を管理する側の業務改善だけでなく、従業員個々の負担も軽減できます。勤務管理をデジタルで行うことで、従来のように日報やタイムカードなどを事務所に持参する手間がかかりません。デジタルによる勤務管理ではスマートフォンやタブレットで、どこにいても勤務状況が打刻できます。日報に手書きで記入するために勤務時間を計算したり、修正する必要もありません。現場に直行して業務終了後直帰する場合など、どこでも勤務状況を打刻できます。

おすすめの勤怠管理アプリ・システムはこちらの記事で詳しく紹介しています。

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建設業向け勤怠管理システムを選ぶ際の4つのポイント

この項目では、建設業で勤怠管理して霧を導入する場合のポイントについて解説します。建設業勤務の特徴は、現場仕事が多いことです。その現場も複数ので所在地が離れていたり、勤務時間帯も夜勤帯など業務によって異なる場合があります。執務場所が離れているため従業員個々とのコミュニケーションも取りにくいのが実情です。また、2024年から導入される働き方改革関連法にも適用できなければなりません。
以上の状況から、勤怠管理システムを選ぶ際のポイントとして4点挙げて説明します。

休暇管理機能があるか

働き方改革関連法では、建設業でも、5日の有給休暇を取得させる(10日以上の有給休暇が付与されている労働者対象)義務があると明記されています。そのため、勤怠管理システムに有給休暇取得実績も把握できる休暇管理機能が備わっていることが選考ポイントの1つです。休暇管理機能が付帯されていれば、有給休暇を含め、代休や振替休暇の申請状況も確認できます。法を遵守するためだけでなく、従業員の個別事情や健康状態を把握することも従業員の労働環境の改善に必要です。

スマートフォンやモバイルに対応しているか

建設業に適した勤怠管理システムを選ぶポイントとして、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に対応しているかが挙げられます。モバイル端末に対応していれば、外出先でも出退勤の打刻が可能です。建設業では建設現場へ自宅から直行するケースが散見されます。そんな場合でも、モバイルから打刻できれば従業員本人の負担も軽くなり、正確な勤務管理も可能です。
導入する際は、モバイルで打刻するカテゴリーが、出退勤や休憩などのどれに対応しているか十分に確認しましょう。

工数管理ができるか

勤怠管理システムの中には、建設現場の工数管理も備えたものがあります。この機能が使えれば、正確な勤怠管理はもちろん、従業員各々の工程進捗状況などの可視化も可能です。さらに、現場の状況や人員調整も含めた労務管理など、現場の業務効率向上につなげることもできます。また、工程管理機能を活用することで人件費も含めた原価削減も可能です。
工数管理機能が備わることにより、勤怠管理面では正確で従業員の負担を軽減することができ、企業として全般的な業務効率勤改善が実現します。

時間外労働が管理できるか

2024年の働き方改革関連法の改正にともない、建設業も時間外労働時間の上限が規制される対象になります。建設業は災害時の復興などのイレギュラーな業務に関係しているので今まで適用が猶予されていました。時間外労働時間の管理は、この法規制に対応するためには必須です。勤怠管理システムを選択するときは、時間外労働時間の管理機能が備わったものを選びましょう。この機能を活用すると、従業員の時間外労働時間が規程上限に迫ったときにアラートなどで知らせてくれるシステムもあります。

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建設業で勤怠管理システムを導入する際の注意点

建設業で勤怠管理システムを導入すると、企業としても従業員個々にも数々のメリットを享受することができます。ただし、ただ闇雲にメリットだけを追い求めて導入するのは良い判断とはいえません。導入時に注意すべきポイントもおさえておきましょう。自社の従業員数や事業規模によって選択するシステム機能も変わってきます。導入する際のコストも重要なポイントになるでしょう。

ここでは、導入前に知っておくべき注意点を3つ挙げて説明します。

導入費用だけでなくランニングコストも確認する

勤怠管理システムを導入するときには、ネットワーク環境やインフラの整備、端末など備品の準備や立ち上げにかかるサポート費用などのコストが発生します。相場として50万円から100万円(従業員数により変動します)です。費用は導入時だけでなく、運用開始後にも月額の定額料金や個別の端末費用などのランニングコストが発生します。これは、従業員数の大小で変動しますのでシステム導入前の見積もりで十分に確認しましょう。システム導入時には自社の規模やメリットと、運用予算を照らし合わせて吟味することが大切です。

自社の従業員が使いこなせるものを選ぶ

勤怠管理システムを導入するときに注意したい重要なポイントは、使いやすいシステムであるということです。従業員が実際に使ってみて「これは便利だ」と思えるシステムを選びましょう。たとえば、スマートフォンに対応していれば、個々の従業員が手軽に出退勤の打刻ができて、わざわざ日報を営業所へ持ち込む必要もありません。現場へ自宅から直行する場合でも、勤務場所についたときに出勤時間の打刻をすればよいので便利です。利便性が上がればシステムも定着し効果も上がります。

勤怠管理システムを導入する際には、自社の従業員がしっかりと使いこなせる製品を選びましょう。せっかく勤怠管理システムを導入しても、機能が多すぎて使いこなせなくては本末転倒です。使いやすくてシンプルな機能の勤怠管理システムを選びましょう。

できればトライアル機能で試せるものを選ぶ

勤怠管理システムを選ぶとき、実際に使ってみないと利便性がよく分からないと思われる方もいらっしゃるでしょう。建設業の勤怠管理システムのなかには、実際に使ってみて利便性が実感できる無料トライアル期間が設定されているものもあります。トライアル中に従業員の使用感などをリサーチして、その後のシステム選択に生かすこともできるでしょう。パソコンや端末操作が苦手な従業員でも、トライアル中に使い方に慣れて実運用に生かすことができます。

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【まとめ】建設業の勤怠管理の課題解決には勤怠管理システム導入が効果的

2024年の働き方改革関連法の改正にともない、時間外労働の規制が厳しくなる建設業では、勤怠管理システム導入の需要が高まってきました。従来の紙ベースの管理から勤怠管理システムへ移行することで、従来の問題点も解決でき数々のメリットも享受できます。システム導入時は、メリットだけを追求せずに、注意しなければならないポイントもしっかり考慮しましょう。自社の従業員規模や業務内容に照らし合わせて効果的なシステムを選択することが大切です。

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