建設業におすすめの健康保険「建設国保」とは?メリット・デメリットや加入方法について解説

建設保険とは、建設業の中でも従業員の人数が5名未満の個人事業所や一人親方をしている人におすすめの保険です。
加入している人の中から、建設国保の役員などが選ばれ、運営を行っているのが大きな特徴です。そのほかにも、加入者の保険料+国庫補助金で運営されている点も、特徴といえます。
建設業を営む人の保険は、建設保険だけでなく、他にも健康保険の選択肢があります。建設保険のメリットとデメリット、他の保険の内容などにも目を通し、自分にぴったりの保険を選びましょう。建設保険の加入方法についても、解説しています。

建設業におすすめの健康保険3選

建設業におすすめの保険は、主に3種類あります。協会けんぽ・建設国保・国民健康保険、それぞれの特徴を把握して自分に合った保険を選びましょう。
保険と一口にいっても、それぞれ特徴や補償内容は異なっています。就職先の保険内容を正しく理解するきっかけに活用し、今後保険をどうすべきか見据えましょう。
家族がいる人は、特に保険内容をよく理解しておかなければなりません。万が一のことがあったとき家族に苦労を掛け、生活が不安定になってしまう可能性があります。

1:建設国保

建設国保とは、従業員人数5名以下の会社や一人親方におすすめの健康保険です。被保険者が個人で加入する保険なので、会社が保険料を負担することはありません。
経営者や一人親方の場合はとても便利な反面、小さな会社の従業員の場合は全額保険料を払わなければならないので痛い出費になるかもしれません。保険料は決して手軽な金額ではないので、そのことも把握しておきましょう。
補償内容はほかの保険と異なる点があるので、家族構成などを考慮し、建設国保に加入するかを見極める必要があります。

2:協会けんぽ

協会けんぽは、従業員が5名以上の会社や法人が、加盟しなければならない社会保険です。こちらは保険料を会社が半額負担するので、経営者の負担は少し大きめ。しかし、補償内容が重質しており、従業員からの信頼を得られやすいのが特徴です。
会社に入る前の段階で、すでに建設国保に入っていて建設国保を抜けたくない場合は、協会けんぽの適用除外の申請を行いましょう。承認されれば、例外的なケースになりますが建設国保に加入し続けられます。

3:国民健康保険

国民健康保険の金額は、総所得金額から様々な控除を引いた金額を基準にして割り出されます。そのため、保険料が毎年変動します。
建設国保は所得と連動していないので、ある程度の収入がある人は、建設国保に加入するのがおすすめです。
国民健康保険の中には建設国保が含まれており、それとは別に市町村国保という種類の健康保険もあります。市町村国保は、建設(職域)国保に入っていない人を対象にした、市町村や特別区が行っている健康保険です。

建設業の健康保険を選ぶポイント

仕事を続けていくうえで、協会けんぽと建築国保のどちらかに加入する必要があります。協会けんぽと建設国保は、保険内容が若干異なるだけでなく、保険料の支払い金額に大きな違いがあるのです。
協会けんぽは会社が半額負担してくれるので、負担額は半額で済みます。負担額自体も、そこまで高額ではありません。
建設国保の場合は、全額自己負担です。決して安くない保険料を全額背負うのは、少し痛い出費という印象。
経営者の場合は、従業員数が5名以下であれば建設国保にすれば会社負担がないのでコストカットにつながります。ただし、従業員からの印象はダウンしやすくなるので注意しましょう。

建設業が建設国保に加入するメリット

建設国保を市町村国保と比較したときに見えてくるメリットは、どのようなものが挙げられるのでしょうか?建設国保の基本情報を踏まえたうえでメリットをチェックし、保険選びをするときの参考にしてみてください。
具体的なメリットを把握することで、保険に対してのうっすらとしたモヤが晴れやすくなるかもしれません。
健康保険はなんとなく選んでしまうと、後悔してしまうこともなきにしろあらずです。詳細情報をチェックしておきましょう。

メリット1:高所得者は保険料がお得になる

国民健康保険は、所得額によって保険料が変動します。そのため、比較的所得価格が低い人であれば非常に魅力的な健康保険です。
しかし、所得額が多くなると、その分高い金額の保険料を請求されてしまいます。保険料は高くなっても、保険の内容は変わりません。ある程度の高所得額である場合は、建設国保の加入がおすすめです。
建設国保は、収入額に関係なく一律の保険料を支払う保険です。収入額が多い人にとっては、国民健康保険より安くなることもしばしばあります。所得額が増えた人は、保険料の計算を行い、どちらがお得かを見比べてみましょう。

メリット2:補償内容が充実している

建設国保の金額は一律なので、高所得者にとっては保険料がお得になることがあります。お得な保険料だと、手当てがしっかり出るのか不安だと感じる人もいるかもしれません。
建設国保は、市町村国保と同じ保証を受けられます。それだけでなく、建設国保には傷病手当金や出産手当金が出るのです。
市町村国保は出ない保証で、傷病手当は建設業で現場に出ている人であればあって損はない保証といえます。葬祭費も、市町村国保よりも多い金額がでることが多いです。

メリット3:収支が安定する

建設国保は、収入額に関係なく一律の保険料を支払う健康保険です。ある程度の収入がある人にとっては、支出額の変動がないのは非常にありがたい制度です。
また、建設国保に加入している人は、現在現役で働いている人が大半です。安定した収入があるため、収支のバランスが取りやすくなる面もメリットといえます。
保険料が一律となると、他の部分での収支のバランスが取りやすくなるので、その点も嬉しい点ですね。一律の保険料なので、個人経営者で確定申告を行うときなども計算がスムーズに行えます。

メリット4:保険料の事業者負担がない

先ほども少し触れましたが、建設国保は被保険者が全額負担する健康保険です。そのため、会社の経費削減にもつながります。経営者としては、非常に便利な健康保険なのです。
一人親方など、自分一人で仕事をしていて、ある程度の収入を安定して稼げるのであれば、建設国保はおすすめの健康保険といえます。
しかし、従業員がいる場合は、保険料が従業員負担となってしまうので、保険料を全額支払ってもらう分、給与を少し増やすなどの対策が必要です。

建設業が建設国保に加入するデメリット

建設国保には、メリットがある反面デメリットも存在しています。どのようなデメリットがあるのかを把握し、メリットと併せて確認しておきましょう。
自分や雇っている従業員に対してどの健康保険を会社で採用すべきなのかを見極め、みんなが納得する結果を導き出すことは、経営者として見過ごすわけにはいかない部分といえます。
一人親方として活躍している人も、建設国保のデメリットを把握しておいて損はありません。メリットとデメリット双方を確認し、健康保険を選びましょう。

デメリット1:従業員負担が大きい

建設国保は、協会けんぽなどよりも保険料が高く設定されています。高い保険料を、従業員が全額負担するとなると、従業員の給与が保険料の分減ってしまいますよね。
会社で保険料を折半するわけではないので、全額の支払いとなると、月に数万円という決して安くない額の金額を従業員自身が払うことになります。
給与そのものがあまり高くない場合は、従業員の負担が大きい建設国保を採用してしまうと会社の印象が悪くなってしまうので注意すべきです。

デメリット2:小規模な事業所しか加入できない

建設国保は、5名未満の個人事業所や一人親方などの少数の会社しか加入できません。
一人親方であっても、法人化してしまったら建設国保に加入できない仕組みになっています。法人化していなくても、従業員数が6名以上の場合は加入不可なので、その点は絶対に注意しておきましょう。
条件に当てはまらず、加入不可になった場合は、国民健康保険などほかの健康保険に加入しなければならなくなります。健康保険加入を検討している人は、自分が加入できる条件であるかを確認しておくと安心です。

デメリット3:家族分は全て組合員の負担になる

建設国保は、家族の人数分組合員がお金を負担することになっています。料金は所得のみならず住んでいる地域も含めて一定金額ですが、家族の人数や収入などの状態によって、地域によっては少し保険料が割高になってしまうことがあります。
健康保険を選ぶときは、自分一人だけではなく、養う家族がいる人は家族の人数や就業状態などもチェックしておく必要があるのです。綿密な計算をして、どの保険が自分と家族にとってぴったりなのかを見極め、損をしないようにしましょう。

建設業が建設国保に加入する方法

建設国保に加入するときには、今まで説明した従業員人数や法人化していないという条件を満たしておかなければなりません。条件を満たしている人は、手続きをすれば建設国保に加入できます。
被保険者本人と家族としての建設国保への加入方法、加入時に必ずそろえておかなければならない書類と、シチュエーション別の必須書類の情報をまとめました。
建設国保への加入を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。必要な書類は複数あるので、早めに準備しておくことをおすすめします。

被保険者本人の加入方法

建設国保に加入する条件が整っている人は、被保険者になるための手続きを進めましょう。まず調べたいのが、建設国保の支部や出張所です。ホームページを検索すれば、住んでいる地域のものがすぐにヒットするので、とっても簡単です。
支部や出張所に出向き、「加入申請書」と「重要事項説明同意書」をもらって記入します。そのほかにも必要な書類は複数あるのでチェックしておきましょう。支部や出張所に行く前に資料をそろえておくと、スムーズに建設国保に加入できます。

必要書類

建設国保に加入する際、上記で紹介した2種類の書類とは別にそろえておくべき資料があります。
まずは、世帯人数分の住民票です。これは、証明日より3か月以内のものをそろえる必要があります。住民票は市役所やコンビニで取得可能です。
次に、保険加入者と一緒に住んでいる世帯の人の被保険証の写しを用意しましょう。こちらはコピーを取ればよいので、コンビニや自宅のプリンターを使います。
最後に、現在の業種や業態が確認できるものを用意します。先ほどの資料と併せて、5種類の書類を用意しておきましょう。

その他必要書類

その他に必要な書類は、現在の会社の状態や家族の状況によって変わってきます。
現在5人以上の従業員を雇っていたり、法人事業所の従業員である場合は、健康保険証被保険者適用除外承認証が必要です。
従業員人数が規定人数以内の個人事業所に勤務している場合は、雇用保険資格確認通知証か雇用証明書が必要になります。
住民票には一緒に記載されているけれど、建設国保に加入していない人がいる場合は、該当する人の被保険者証のコピーを持参しましょう。
加入者が70〜74歳の場合は、該当者の課税標準額がチェックできる書類をそろえてください。
離れた場所で勉学に励む家族がいる場合は、該当する人の在学証明書が必要です。

家族として加入する

建設国保の組合員の同居家族も、建設国保に加入できます。75歳未満であることと、上記で紹介した書類を集めて提出することが加入条件です。
同居ではなく、進学で別居している子どもも加入可能。その場合は、上記で紹介したように在学証明書が必要になります。そろえなければならない書類は、同居家族であれば特別なものはありません。
コンビニでそろえられるものが中心で、在学証明書は常に持っているはずなので、加入の際は手際よく資料を集めておきましょう。

【まとめ】建設業におすすめの健康保険は建設国保!協会けんぽや国民健康保険とも比較して加入を検討しましょう

建設業の中でも、少人数の事業所や一人親方で仕事をしていて高収入の人には、建設国保加入がおすすめです。自分が条件に当てはまっているかをチェックし、少しでもお得によいサービスの保険に加入するよう保険を選びましょう。
建設国保だけではなく、協会けんぽや国民健康保険も、保険内容はしっかりと把握しておくべきです。一か月でかかる保険料や内容を比較して、保険に加入しておくことで、万が一のとき家族と自分を守ることにもつながります。