発注内示書とは?記載項目や作成するメリット・注意点などを解説

発注内示書とは

建設工事の発注内示書は、工事の概要や細かい仕様まで記載されていて、受注者側は適切な見積りと施工計画を立てられます。発注者側は、要求内容を文書化することで後々のトラブルを防止できます。

しかし、発注内示書の作成手順や調整ミスの不安があるとうまく活用できません。本記事では、発注内示書の記載項目や作成のメリット、注意点などを解説します。最後まで読めば、発注内示書を活用して工事を円滑に進められます。

ツクノビ事務は、面倒な事務業務を低コストで代行する建設業特化のアウトソーシングサービスです。

書類作成や事務作業、図面作成など、建設業に必要な幅広い業務に対応可能です。サービスの詳細はぜひこちらからご確認ください。

\ 30秒で資料請求完了 /
まずは資料を見てみる

発注内示書とは

発注内示書とは、発注者が受注者に対して工事の内容や条件をあらかじめ通知する文書です。正式に契約書を交わす前に、工事内容を伝え、受注者はその内容に基づいて見積書や施工計画書を作成します。

発注内示書には、工事概要や発注条件、仕様書などが記載されています。工事全体の内容を事前に把握できるので、契約する前から工事の見通しを立てられるのがメリットです。発注内示書の役割や法的効力、注文書との違いについても解説します。

発注内示書の役割

発注内示書の役割は、事前に工事内容を明確化し、受注者が適切な見積りと施工計画の作成をできるようにすることです。受注者は、発注内示書の内容に基づいて見積価格を決定し、工事の施工計画を考えます。発注内示書が早期に受注者に渡されることで、早くから施工計画の作業に取り組めるので、工事開始までの準備期間を確保できます。

発注者と受注者の認識違いを防止する役割として、責任範囲の明記も重要です。資機材の調達区分や完成検査方法などです。両者間の責任がどこまであるのかわかると、施工計画を進めやすくなります。

ただし、発注内示書は初期段階で作成されているので、工事が進むにつれて必要な資機材や人員が変更することが多いです。そのたびに仕様変更する点には注意が必要です。

発注内示書の法的効力

発注内示書は、建設工事の契約締結に向けた事前書類です。仮契約書ともいえます。仮ではありますが、諾成契約として法的効力があります。発注や施工内容にキャンセルが生じた場合は、発注者が負担しないといけません。

発注内示書の内容で両者間に承認を得られた場合は、正式な「請負契約書」を締結します。発注内示書の記載内容が契約書に反映されるので、より正確に作成しないといけません。

発注内示書から大幅な変更があると、受注者は損失を抱える場合があります。トラブル防止のためにも発注内示書の中でルール決めが必要です。正式な請負契約書が交わされるまでは工事に着手せず、損害が発生した場合は損害賠償を発注者へ要求するなどの取り決めです。

注文書との違い

発注内示書と注文書は、どちらも工事や資機材を発注する契約書であり、法的な違いはありません。発注者と受注者との取り決めを記載して文書化した書類であり、工事に関する指示文書です。

ただし、工事業界では大きな工事に「発注書」、小規模な工事に「注文書」を使用することがあります。業界における発注書と注文書の違いをまとめます。

  • 発注内示書:工事全体の内容を提示、施工計画書作成の指針、請負契約書に向けた手続きの一部として活用
  • 注文書:工事用資材の購入指示書、小規模や少額工事の指示書として活用

メーカーや製造業であれば、加工が必要であれば「発注書」を使用して、物品の受け渡しのみであれば「注文書」を使用することがあります。発注書を発行したあとに「その発注書を注文書として使ってほしい」と依頼されることもあり、文書のタイトルよりもその内容が重要だと考えておくべきです。

発注内示書を作成するメリット

発注内示書を作成すると、発注者・受注者の双方にメリットがあります。発注者の要求内容を明確にして、受注者は作業効率を高められます。

発注内示書を作成するメリットについて、受注者側と発注者側の視点から解説します。

受注側

発注内示書を作成する際の、受注者側のメリットをまとめます。

  • 工事内容の把握:適切な見積作成と施工計画ができる
  • 作業効率化:事前に工事内容を把握して円滑に進められる
  • トラブル回避:文書に残すことで発注者とのトラブルを防止できる
  • 早期の準備:工事開始までに準備期間を設けられる

このように受注側にとって、発注内示書は工事の内容を明確にして、準備期間を設けられるメリットがあります。

発注側

発注内示書を作成する際の、発注者側のメリットをまとめます。

  • 要求の明確化:受注者へ適切な指示ができる
  • 適正な見積:工事内容の明確化で適正な見積価格に期待できる
  • トラブル回避:書面によるやり取りで認識度が高まりトラブル防止となる
  • 早急な指示:急務な工事でも契約前から準備してもらえる

このように、発注内示書によって発注側は要求内容を確実に受注者に伝えられ、十分な準備期間を設けることでスムーズに工事を進められます。

発注内示書の記載項目・書き方

発注内示書は、工事内容や発注条件を示して、受注者が適切な見積りと施工計画を立案するための重要な書類です。発注内示書の記載項目を正しく理解して作成する必要があります。

発注内示書の基本的な記載項目と、その他に記載すべき内容を解説します。

基本的な記載項目

発注内示書には、決まった書式やテンプレートがありません。基本的な記載項目はあるので、すべて記載できる書式を作成しましょう。記載項目について詳しく紹介していきます。

作成した日

発注内示書には、作成した日付を記載します。作成日によって発注内示書の有効期限が決まったり、将来的に確認事項が発生した際の基準日になったりするので、日付はとても重要です。発行日を管理するためにも必要になるため、作成した日は正しく記載しましょう。

会社の基本情報

発注内示書には、発注者と受注者両方の会社の基本情報を記載します。以下の項目が必須内容です。

  • 会社名
  • 住所
  • 代表者名
  • 担当部署名
  • 担当者名
  • 連絡先

これらの情報は、双方の会社概要と窓口を明確にします。会社情報は最新の内容を記載して、担当者や連絡先が変わる場合は適宜更新しましょう。

タイトル

発注内示書のタイトルは、その文書名である「発注内示書」と記載します。書面の上部に大きく明記して、誰が見てもわかるようにしましょう。

契約内容

発注内示書の契約内容には、具体的な工事の項目を記載します。曖昧な記述は避けてください。主な記載項目は以下の通りです。

  • 工事概要:工事名や工事場所、工事の種類、工事の規模など
  • 発注条件:工期や契約金額の目安、支払い条件、検査条件など
  • 仕様書:平面図や構造図、使用材料、施工方法など

上記の項目を詳細に明記して、発注者の意図を受注者に伝えます。

その他の項目

発注内示書には、基本的な記載項目以外にも必要な項目があります。付加的な内容を記載すると、より発注者の意図が伝わります。発注内示書に記載するその他の項目を解説します。

頭語・結語

発注内示書には、正式な文書として頭語・結語をつけると丁寧です。例えば、以下のように記載します。

  • 頭語「○○工事の施工について、下記の通り発注いたします」
  • 結語「つきましては、貴社より適正な見積書及び工程計画書の提出をお願いいたします。不明な点がありましたら、担当者までお問い合わせください。」

あくまで一般例なので、発注内容にあわせて適切な文言を記載しましょう。発注内示書として体裁が整います。

正式な発注書の提出日

発注内示書は、工事の発注に向けた通知に過ぎません。正式な発注書の提出日を記載して、工事開始日の目安を受注者に伝えます。受注者が見積書や施工計画書を作成したり、発注者が手続きを進めたりする際のスケジュール管理にも役立ちます。

記載するときは「正式な発注書の提出は20〇〇年〇月〇日を予定しています。」などのように、わかりやすく明記しましょう。

納品日

発注内示書には、工事の完成予定日または納品日を必ず記載します。納品日を工事関係者全員で共有して、工程を管理しないといけません。納期が遅延した場合は、受注者側にペナルティが課される可能性もあるので、重要な項目です。

「納品日:20〇〇年〇月〇日」このように記載して、完成検査や引き渡し期間を考慮し、最終締め切り日を明確にしておきましょう。

発注内示書を作成するときのポイント

発注内示書を作成するとき、発注内容を明確にする以外にも様々なポイントがあります。事前の同意や取り決め内容など、発注内示書を作成するなら押さえておくべきポイントを解説します。

作成前に取引先から同意を得る

発注内示書を作成する前に、あらかじめ取引先から同意を得ることは大切なステップです。一方的に発注指示書を送りつけると、取引先が不快に感じたり、齟齬が生じたりとトラブル発生の原因となります。

発注内示書の作成に先立ち、取引先と打ち合わせを行って、工事内容について両者が認識する必要があります。その上で取引先の同意を得ましょう。

同意を得ていない場合は、発注内示書の内容と異なったり、工事が円滑に進まなかったりする恐れもあります。

発注内示書について取り決めを行っておく

発注内示書を作成するとき、事前に取り決めを行っておくとトラブルを防げます。例えば、以下のような取り決めです。

  • キャンセル発生時の対応方法と金額の負担先
  • 変更が生じた場合の費用調整方法
  • 内示書提出後の変更やキャンセルの対応可否

これらの取り決めを行うと、問題発生時の対応方法が明確にわかり、イレギュラー対応でもスムーズに進みます。特に、料金に関わる部分は両者で紛糾する部分なので、負担割合を明確に取り決めしましょう。

取り決め内容は書面にする

取り決め内容は、口頭での合意だけでなく必ず書面に残します。書面に残すことで、誤解や解釈の違いを防止できます。

取り決めの書面は、後日トラブルが発生した場合の、合意内容を証明する重要な証拠です。発注内示書に記載するか、別紙にまとめて関係者の署名や捺印をした上で、両者で保管しましょう。

わかりやすい内容で記載する

発注内示書をわかりやすい内容で記載すると、発注者と受注者の認識違いを防いで、工事を円滑に進められます。

簡潔明瞭な表現を意識して、重要な部分は一目でわかるように記載します。具体的な数量や金額、日付、単位を使用して、曖昧さを避けることも重要です。社内で発注内示書を共有して、わかりやすさを判断してもらうとより有効です。

発注内示書の注意点

発注内示書を作成するとき、提出期限や取り決め内容で細かい注意点があります。抜け漏れのない発注内示書を作成するために、注意点を把握しておきましょう。

正式な発注書の提出期限を厳守する

発注内示書は、正式な発注書の前段階の文書です。スムーズに工事を進めるために、正式な発注書の提出期限を厳守しましょう。

受注者は提出期限を目安として、工事の準備に取り掛かります。発注書の提出が遅れると、工事の開始も遅れて、全体のスケジュールに影響や損害を与えます。やむを得ない事情で発注書が遅れる場合は、速やかに受注者に連絡して対応を検討しましょう。

金額を変更が発生するときは取り決め内容を確認する

発注内示書の作成後、正式な発注書の提出までに金額が変更する場合があります。その際は、取り決め内容に従って金額変更の協議を行い、合意を得ます。合意を得られた場合は変更内容を書面化して、後の正式な発注書へ反映しましょう。

取り決めがない場合は、変更に伴う費用負担や手続きについて両者で協議しないといけません。取り決めの有無で金額変更時の対応が変わるので、事前に取り決めをすることが重要です。

解体工事の分離発注とは?メリットや業者を選ぶときの注意点も解説の記事はこちら

解体工事 分離発注解体工事の分離発注とは?メリットや業者を選ぶときの注意点も解説

建設業における保留金とは?建設業法違反になるケースも解説の記事はこちら

保留金とは建設業における保留金とは?建設業法違反になるケースも解説

【まとめ】内示発注書とは仮の発注書!法的効力があるため注意しながら作成しよう

この記事では、工事の発注内示書の特徴やメリット、書き方、注意点を解説しました。発注内示書は仮の発注書ですが法的効力があります。工事の詳細な内容を記載した重要な文書であることを理解しておきましょう。

発注内示書に関する取り決めは、両者で合意した内容を書面に残して後のトラブル発生を未然に防ぎます。変更やキャンセルがある場合は取り決めに沿って対応してください。

発注内示書を適切に作成することで、受注者は適正な見積書と施工計画書を作成できます。工事開始の目安がわかり、準備から施工、完了までスムーズに進められます。必要項目を正しく記載して、わかりやすい発注内示書を作成し、健全な工事遂行に努めましょう。

※弊社の営業代行サービスツクノビセールスは、
【効果が出なければ全額返金プラン】を新たにスタートさせました!
ツクノビセールス_建築建設業界特化の営業代行
詳しくは👆👆👆のバナーをクリック!!