建設業における保留金とは?建設業法違反になるケースも解説

保留金とは

建設業界の支払い方法に「保留金」というものがあります。工事金額の一部を前払いし、竣工引き渡し後に残りの工事金額を払うという方法で、利用するケースは珍しくありませんが、建設業法違反となるケースもあることをご存じでしょうか。今回は建設業界のお金の流れと併せて保留金について解説します。正しく理解して、トラブルのない取引を目指しましょう。

建設業界における保留金とは

保留金とは建設・土木工事において、工事請負金額の何割かをあらかじめ発注者側で保持し、竣工引き渡し後に請負業者へ支払うという方法です。工事完了後に発注者が工事金額全額を請負業者へ支払うのが一般的ですが、請負業者の施工ミスや不誠実な対応によるトラブルを懸念し、この方法が考えられました。海外では一般的な支払い方法ですが国内では「建設業法令遵守ガイドライン」が平成20年9月に改正されてから、利用される機会は少なくなりました。
参考:国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン(改訂)

建設業の主なお金の流れ

建設業界では下請け業者が請負金額が支払われるより前に、先立って支出を行うケースが多く見受けられます。例えば、材料費の仕入れや人件費、さらに関連会社への外注費なども、自社で前払いする形になります。工事代金の受け取りは基本的に引き渡し後になるので、その間は自社で建て替えなければならないのです。

対して、建設会社やゼネコン、住宅会社は発注者から工事契約時に着手金として工事金額の一部を受け取ることもあります。残りの金額は、上棟後に一括またはローンで支払われます。

このように、下請け会社は工事が終わるまで、工事金額の一部を自社で負担しなければならず、回収するまで時間がかかるという一面があります。

保留金の注意点

前述したように、保留金の制度を利用する際には様々なトラブルが懸念されます。以下の2点に特に注意してください。

  • 契約書面上で定めておく
  • 保留金を長期間渡さないと建設業法違反になる

契約書面上で定めておく

保留金の残金は、本来引き渡し後に支払われなければなりませんが、未払いというトラブルも少なくありません。トラブルを回避するために契約書に「支払期日」「遅延損害金」さらにその利率など、明確に定めておくことをおすすめします。債務不履行であることを訴える根拠が生まれます。

保留金を長期間渡さないと建設業法違反になる

元請け企業が長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わない場合や、工事が終了したのにかかわらず次の現場に保留金を持ち越すことは、建設業法の違反となる恐れがあります。建設業法第24条の3又は5で、正当な理由がない長期支払保留は違反と定められています。下請け業者へ早く下請代金支払うことが望ましいとされているので、早急に支払いましょう。

参考:国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン(改訂)

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【まとめ】保留金とは支払方法の一種!よく理解して適切に対応しよう

保留金は元請け業者が下請け業者に支払う方法の1つで、工事代金の何割かを発注者側で保持し、引き渡し後に支払います。保留金を長期間渡さないことは、建設業法に違反する恐れがあります。支払いに関するトラブルを回避するために契約書に支払いに関する詳細はしっかりと明記し、スムーズな工事を目指しましょう。

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