施工計画書の作り方を解説!必要な項目・作成する際のポイントも紹介

施工計画書

安全かつスムーズな建設工事を行うためには、様々な準備が必要となります。その中の1つが「施工計画書」です。

工事全体の流れや各作業の工程、安全衛生対策まで、工事についてのあらゆる情報がまとめられており、工事の着手前までに必ず作成しなければならない書類です。

今回は、初めて作成する方でも分かりやすいように、施工計画書の役割や、作成するための手順について説明していきます。また、作成するうえで気をつけたいポイントについても紹介していくので、ぜひ参考にしてください。

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施工計画書とは

施工計画書とは、工事を行うにあたり、頭に入れておくべき内容をまとめた書類のことです。

記載されている内容は、全体的な工事の流れから工程、使用する材料や機械、安全対策についてまで様々です。これらの内容を管理・把握しておくことで、安全かつ効率的な工事が実施できるのです。

施工計画書を作成する目的

施工計画書は、工事において必要な情報を把握することだけではなく、現場の安全対策や環境配慮を行うためにも必要な書類です。

施工計画書に方法や内容など具体的な指示があれば、作業者は読むだけで工事の進め方が理解できます。正確な施工計画書を準備することが、工事に関わる全ての人たちの安全確保に繋がるのです。

参照:建設業法 第26条の3|e-GOV 法令検索

施工計画書の作成が必要な工事

施工計画書は、すべての工事で求められる書類ではありません。法律によって、請負金額が500万円以上の建設工事で提出が必要と定められています。

具体的な工事は、以下のとおりです。

  • 土木一式工事
  • 建築一式工事
  • 電気工事
  • 塗装工事
  • その他の専門工事

ただし、請負金額が500万円に満たない工事であっても、発注者から施工計画書の提出を求められる場合があります。工事の大きさや請負金額に関わらず、発注者が品質・安全性を重視している場合は、施工計画書の作成・提出が必要です。

施工計画書と施工要領書との違い

施工計画書と施工要領書の違いは作成する会社や作成する流れにあります。施工計画書は、発注者と受注する元請け業者の間で結ぶ契約内容を明示するために作成されます。一方、施工要領書は、元請け業者と下請け業者の間で必要になる書類です。

作成する主な流れとしては、下記のとおりです。

  1. 工事が開始される前に、元請け業者が施工計画書を作成する
  2. 発注者に施工計画書を提出し、承認を得る
  3. 承認を得た施工計画書をもとに、下請け業者が施工要領書を作成する

施工要領書には、具体的な作業内容や方法が記載されます。

施工計画書の提出期限

施工計画書の提出期限は、工事に着手する3週間前が一般的です。ただし、発注者によって期限が異なるため、事前に確認しておきましょう。

施工計画書の作成には、おおよそ3週間から1ヵ月程度の時間を要します。工事の規模によっては時間を短縮できますが、書類に不備があれば役所から修正を求められるでしょう。

書類の修正対応を求められた場合、工事に遅れが発生する可能性があります。そのような事態を防ぐためにも、施工計画書はできる限り早めに作成しておくことが重要です。

施工計画書に必要な項目

施工計画書の項目は、提出する自治体や作成する企業によっても異なります。ここでは一般的な項目について紹介していきます。

項目 内容
工事概要 工期・工事内容
工程表 工種ごとの施工期間
現場組織表 工事における組織工程
主要機械・資材 工事で使う機械や資材
施工方法 施工方法を工程表よりも詳しく記載
施工管理計画 工事進捗管理
安全管理 安全管理活動の計画
緊急時の対応体制 緊急事態が発生した場合の対応体制や緊急連絡体制
交通管理 現場周辺の交通規制など
環境対策 騒音や振動などの対策
現場作業環境の整備 作業員の安全・健康を確保するためのプラン
建設副産物の適正処理方法 再利用できる資源の利用促進や廃棄物を適切に処理する方法
その他 上記以外に施工計画書に記載が必要な項目
書類業務

施工計画書の作り方

施工計画書をスムーズに作成するには、どのような手順で進めるべきか解説していきます。

1.工事内容や必要な書類を確認する

まず、工事内容を把握することが大切です。施工計画書の作成を開始する前に、契約書や設計書、図面など工事に関わる書類を細かく確認しておきましょう。事前に、確認しておきたい書類や情報は下記のとおりです。

  • 工事の内容
  • 工事工程表(工程日数・完了予定日)
  • 工事に使用される主な資材や機械
  • 工事現場での安全対策・緊急時の対応策
  • 工事現場の環境保全対策
  • 工事現場周辺への交通対策
  • 施工計画書を監督職員に報告・承諾・協議するための手順
  • 書類を申請する際の手続き内容
  • 書類の提出期限

必要な情報を事前に集めておくことにより、作業がスムーズに進みます。施工計画書に記載する請負金額や工期などは、忘れずに確認してください。

2.現場状況を把握する

施工計画書は、現場や周辺状況に合わせて調整が必要になることがあります。そのため、書類で内容を把握した後は、現場に出向いて、直接状況をチェックします。

一般的に現場状況を把握する手順は下記のとおりです。

  1. 現場を調査する:現場に足を運び、地形や周囲の環境、道路の幅、振動への配慮の必要性など、地域の状況を確認します。
  2. データを集める:現場の状況を写真やビデオで詳細に記録し、必要な情報を整理します。
  3. 分析と評価を行う:集めたデータをもとに、現場の状況を分析し、工事の規模や期間、必要な人員、機材など、具体的な計画を立てます。

現場を調査する際は、単に目で見て確認するだけではなく、実際の施工内容をシミュレーションし、各作業の工程について細かく確認することで、よりリアリティーがある施工計画書が作成できます。

3.発注者と工事内容をすり合わせる

工事を行う上で、発注者と細かく意識共有することも重要です。発注者のイメージと実際の全体像との間にズレが生じると、大きなトラブルに発展してしまう恐れがあります。

発注者と意見をすり合わせることがトラブル回避にも繋がるのです。作成に入る前は、ぜひ一度協議の場を設けてみると良いでしょう。疑問に感じる点は、その際に早めに伝えておきます。

4.ひな形を入手する

テンプレートなどを活用し、事前に「ひな形」を準備しましょう。1から作り始めると、どうしても必要項目の記載漏れなどのリスクがあります。

ひな形を使用することで、そのリスクを回避できると共に、時間短縮にもなります。作業を効率的に進められるでしょう。

自治体などがホームページでひな形を公開している場合は、そちらをダウンロードすれば使用できます。決まった形式がある場合は、発注企業に共有してもらうと良いでしょう。

5.施工計画書を作成・確認する

ひな形の準備ができたら、さっそく施工計画書の作成に取り掛かりましょう。必要項目を記入していき、併せて必要な添付書類も用意します。

施工計画書は、作成したものがそのまますぐに承認されるとは限りません。指し戻される可能性もあるので、スケジュールを意識しながら、余裕を持って進めることが大切です。

施工要領書と施工計画書の違いについてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

施工要領書と施工計画書の違いとは?工事に必要な理由や記載事項を解説 施工要領書と施工計画書の違いとは?工事に必要な理由や記載事項を解説 書類業務

施工計画書を作成する際のポイント

ポイントを踏まえながら作成すると、より上質な施工計画書が完成します。ここでは、施工計画書を作成するときに注意したい点やポイントをまとめていきます。

誰にでも伝わるようわかりやすく作成する

施工計画書は、わかりやすさを意識して作ります。現場監督から各工程の作業者まで、多くの人が確認する書類です。そのため、誰が読んでも伝わるように工夫しましょう。

内容に不備があったり、わかりにくい点があると、修正が必要となり、工期やスケジュールに影響が出てしまうこともあります。

  • Who(誰が)
  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • What(何を)
  • Why(なぜ)
  • How(どのように)

上記の「5W1H」を意識することで、工事内容がイメージしやすい書類が完成します。

品質と効率のバランスに注意する

質の良い施工計画書を作ることは大切ですが、現場作業員の負担が増えすぎないように注意しなければなりません。

例えば、安全性を求めるあまり、ハードルの高いルールや無茶な内容を記載してしまうと、作業員の負担が大幅に増えてしまいます。

作業員は記載されてルールを厳守しながら進めていくため、結果として工事進捗に影響が出てしまうことも珍しくありません。

そのため、施工計画書は、品質と効率のバランスを考慮しながら作成していくことが重要です。

現場の状況に合わせた計画を立てる

工事を行う際は、現場の状況や条件に合わせた計画を立てましょう。具体的な計画を立てるためには、工事の目的や工事内容、品質管理、安全管理などを明確にする必要があります。

例えば、工事の規模や難しさに応じて人員、資材、機材を適切に配分します。それによって、無理のない工程を組んだ施工計画書を作成できるでしょう。

関係者間で連携を取れるように準備する

工事を行う前に、関係者間で連携を取れるように準備することが大切です。施工計画書に各工程の担当者や連絡先を明記しましょう。さらに、定期的に打ち合わせができる体制を整えることも重要です。

これにより、問題やトラブルが発生した際も、早期発見・迅速な対応を実現できるでしょう。

法令や発注者からの要件に適合しているか確認する

工事を行う際は、建築基準法などの関連法規や発注者からの要件に適合しているか、入念に確認することが大切です。法令に違反した場合は、相応の罰則が科せられる可能性があります。

また、発注者からの要件に合致していない場合は、工事の中止や損害賠償請求など、重大な問題が発生する恐れがあります。

施工計画書を作成する際に便利なツール

施工計画書を手作業で作成していくと、多くの時間を費やしてしまいます。作業時間を少しでも短縮したい方は、便利なツールを上手に活用することが大切です。

ここでは、施工計画書を作成する際に便利なツールを3つ紹介します。

表計算ソフト

パソコンの表計算ソフトを使うと、作成した施工計画書をデータとして保存できるので非常に便利です。数式を使うことで、自動計算できるため、人的ミスを減らせるでしょう。

また、一般で公開されているテンプレートと併せて使えば、作業効率のアップも期待できます。

文書作成ソフト

施工計画書は、文書作成ソフトの活用も有効です。文章が中心の施工計画書を作成する場合や、詳細に説明を記載したい場合に活躍します。

文章作成ソフトは、見出しや段落を整理しやすく、読みやすいレイアウトで作成できる点が特徴です。また、施工現場の写真や参考図を挿入できるため、計画の内容を具体的に伝えられます。発注者にとって理解しやすい施工計画書を作成できます。

専用のソフトウェア

施工計画書の作成に特化したソフトウェアもいくつか存在します。専用というだけあって、作成する上で便利な機能も多く備えています。データの一元管理やリアルタイムで情報を共有できるため、施工計画書の作成・管理をスムーズに進められるでしょう。

ただし、専用のソフトウェアは有料のことが多いため、コスト面を踏まえて慎重に判断する必要があります。

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【まとめ】施工計画書は工事全体の計画をまとめた重要な書類!正確に作成しよう

今回は、「施工計画書」について詳しく解説してきました。施工計画書をわかりやすく正確に作成することで、工事が安全かつスムーズに進むことが分かりました。

また、手順や重要なポイントを押さえれば、より正確で分かりやすい施工計画書が作成できます。紹介した便利なツールやソフトも活用しながら、「施工計画書」の作成に挑戦してみましょう。

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