建設現場の事務所とは?基本的な設備構成や設置するときの注意点を解説

建設現場 事務所

建設現場の近くに設営する簡易的なオフィスの現場事務所には、様々な役割があります。一定の規模以上の現場に欠かせない現場事務所ですが、基本的な情報について正確に把握していないという方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は建設現場事務所の設備や、備品、設置するときの注意点などについて解説します。

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建設現場事務所とは

建設現場事務所とは、文字通り工事現場の近くに設営される仮設の事務所のことです。一般住宅の工事の際には配置されることは殆どありませんが、中~大規模の現場にはほぼ設置されます。建設現場事務所について、以下の2つに分けて説明しましょう。

  • 現場事務所の特徴
  • 現場事務所の実情

現場事務所の特徴

現場事務所は、作業が始まる数か月〜数週間前に工事現場近くに設営され、工事終了とともに撤去されます。設置する義務はないので、工事の規模によって設営されないケースもあります。一般的に、現場事務所では以下の作業が行われており、現場事務という事務職を雇うケースも珍しくありません。

  • 書類作成、契約の整備
  • 請求書のチェック
  • 電話対応
  • 来客対応
  • 打ち合わせ
  • 作業員の休憩や宿泊
  • 材料の加工
  • 資材の仮置き場

現場事務所の実情

作業員が快適に作業を進め、適切な事務作業を行うために必要な現場事務所ですが、満足のいく設備やスペースが確保できないケースも多く問題視されています。現場事務所の実情を、以下の2つに分けて説明します。

  • 現場により環境が異なる
  • 市街地以外で開設される場合が多い

現場により環境が異なる

現場事務所は作業員の数ではなく、工事の規模や予算、立地によって環境が決まります。現場の規模と作業員の数にはある程度の相関関係はありますが、作業員が多い現場では1人当たりに対して手狭になることも多いのです。

労働安全衛生法の中の「事務所衛生基準規則」では作業員一人当たりの事務所の体積は10㎥以上と定められていますが、規定より狭くなるケースは珍しくありません。

市街地以外で開設される場合が多い

ダムや下水道、河川工事などの土木現場では、現場事務所の設置がどうしても市街地以外の山奥などになりがちです。そうなると、現場事務所までの交通手段やインターネットの接続環境が整備されていない可能性もあります。

僻地で現場事務所を設営する際は、これらについて事前に確認しなければなりません。

建設現場事務所の基本的な設備構成

「現場事務所を初めて設営するため、どのような設備を設けたらよいか分からない」
「以前設置した現場事務所に不満があったため改善したい」
という方も多いのではないでしょうか。現場事務所に必要な設備を、以下で7つに分けて紹介します。

  • 事務作業部屋
  • 会議・打ち合わせ用の部屋
  • 駐車用スペース
  • 資材置き場
  • 休憩所
  • 更衣室
  • 仮眠室

事務作業部屋

書類の作成や請求書の発行、電話対応などを行うための部屋です。PC作業がメインになるため、Wi-Fiの開通は欠かせません。また、工事の安全を祈願するための神棚も、基本的に事務作業部屋に設置します。

さらに、空調設備や感染対策のための手洗い用の水道設備や洗面台、飲料用のウォーターサーバーなどを設置するとより快適に作業が行えるようになるでしょう。

会議・打ち合わせ用の部屋

事務所に出入りする関連会社や施主、元請け企業などとの打ち合わせのために、事務作業の部屋とは別の打ち合わせ用の部屋を作ります。工程表などを用いてスムーズな打ち合わせをするために、ホワイトボードを設置しましょう。また、社外の人物から従業員のくつろぐ姿が見えないよう、休憩室の配置にも気をつける必要があります。

駐車用スペース

現場事務所には、数台分の駐車スペースが必要です。なぜなら工事車両用だけでなく、従業員の通勤用や来客者用の駐車スペースも確保しなければならないからです。必要分の面積を取れない場合には、近隣の土地に駐車スペースを借りる必要があります。

資材置き場

基本的に資材は工事車両と共に屋外に置きますが、雨に濡れたら困る設備や資材などを置くスペースも、現場事務所内に確保しましょう。また、盗難のリスクのある高価な重機や発動機なども、事務所内に置いておいた方が安心です。手狭なようなら近隣の倉庫をレンタルするなどの対策を取りましょう。

休憩所

別名「詰所」という作業員の休憩スペースは、荷物置き場も兼ねて設置しましょう。加工作業もここで行うケースも多く見受けられるため、ある程度の広さが必要です。事務作業の部屋と同様、Wi-Fiの環境があると、作業員もスマートフォンを見ながら休憩ができるのでよりリラックスできる環境が整います。

更衣室

近年の建設業界の深刻な人手不足の影響を受け、女性の作業員が増えました。女性作業員がいる現場では、更衣室を併設するケースが多く見受けられています。

更衣室だけでなく、シャワー室や男女別トイレなどの設置がある方が、男女ともに気持ちよく利用できる環境になるでしょう。

仮眠室

夜間の作業を行う現場では、従業員が仮眠をとる部屋も休憩室とは別途設けると良いでしょう。現場事務所が広い場合は事務所内に設置することもありますが、別途トレーラーハウスやコンテナをレンタルするケースもあります。

仮眠室も男女別であることが望ましいです。シャワールームやエアコンなどの設備も完備し、作業員が快適に過ごせる環境を整えましょう。

建設現場事務所に必要な備品

現場事務所では、事務作業だけでなく休憩や会議、資材の加工など様々な作業が行われます。そのためには多くの設備が必要になります。手配する方法は「レンタル」「購入」のいずれかです。ぞれぞれの方法について以下で詳しく解説します。

大きい備品はレンタルする

大型の備品は、現場事務所を解体した後の移動や保管というタスクが発生するためレンタルがおすすめです。レンタルをすることで初期費用を抑えられますし、排気する際にも費用は発生しません。

建設現場事務所向けのリース会社が多数あるので、チェックしてみてください。特に、以下の大型備品はレンタルするケースが多く見受けられます。

  • 作業用デスクや会議用のテーブル、椅子
  • 加湿器、スポットクーラー、ヒーターなどの空調機器
  • ホワイトボードやパネル
  • 書庫や食器棚などの収納家具
  • コピー機やプリンター
  • ロッカー
  • 仮設トイレ
  • ウォーターサーバーや給茶機

消耗品などは購入する

以下のような日常的に利用する消耗品や電子機器は購入することをおすすめします。カタログ注文や、Amazonなどのネットショッピングを利用しても良いでしょう。

  • 付箋やホッチキス、ファイルなどの文房具
  • コーヒーメーカーやコーヒーフィルター
  • PC周りのLANケーブルやHDD
  • 時計
  • スリッパ
  • トイレ用品
  • 清掃用品
  • 衛生用品
  • 灰皿

建設現場事務所を設置するときの注意点

建設現場事務所を設置する際には、労働基準監督署に必要書類を提出するなどの手続きが必要です。現場事務所を設置する前につい怠りがちな注意点について、以下の2つに分けて説明します。

  • 必要な書類を提出する
  • インターネット環境を整える

必要な書類を提出する

労働基準法や労働安全衛生法で、現場事務所を設置する際には書類の届け出が義務付けられています。提出すべき書類は以下の3つです。それぞれについて以下で説明していきましょう。

  • 適用事業報告書
  • 時間外・休日労働における協定届
  • 就業規則届

適用事業報告書

適用事業報告書は、労働基準法の適用を受けることになった旨を労働基準監督署に報告するための書類です。事業所が正社員、アルバイトなど雇用形態を問わず労働者を一人でも雇用した場合、提出しなければなりません。

事業所単位で必要になるため、本社で報告していたとしても現場事務所を設営する際に再度提出が必要になるのです。記載事項は、事業場所、労働者数、工期などです。

時間外・休日労働における協定届

別名「36協定届」ともいうこの届出は、法定労働時間である「1日8時間、1週間40時間」を超えて労働する場合に36協定を労働者と代表者間で締結し、その旨を記載し提出する書類です。2024年4月1日より、かねてより長時間労働が問題視されていた建設業でも働き方改革が適用されたことにより、必要になりました。時間外労働や休日出勤の可能性が少しでもある場合には、早めに提出しておくことをおすすめします。

就業規則届

現場に従事する労働者が10人以上の場合、就業規則の作成や変更について労働基準監督署長に報告するための書類です。就業規則届には、以下の事項を記載します。

  • 賃金の計算方法や支払時期、昇給について
  • 始業、就業時間や休憩や休暇について
  • 退職者について

インターネット環境を整える

現場事務所を設営する際、届出書の作成や備品のレンタルや購入などで忙しいため、つい忘れがちなのがインターネット環境の手配です。現在、請求書や会計、工程表の管理などの事務作業のほとんどがExcelや施工管理や会計アプリなどで行われているため、事業所にネット回線がないのは非常に痛手となります。工事直前になって慌てて業者を探すと、回線工事のスケジュールが確保できず、高額であったり不人気な業者しか選べない可能性もあるので、早めに手配しましょう。

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【まとめ】建設現場の事務所は働きやすいようレイアウトや設備を工夫しよう!

建設現場の事務所は、事務作業や会議、労働者の休憩などを行う仮設オフィスです。設営する前には、必要書類を提出する、大型の備品はレンタルする、インターネット回線を契約するなど様々な手続きが発生します。余裕を持ったスケジュールで取り組み、快適な工事が行える事務所の設営を目指しましょう。

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