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建物の解体工事は、新築や改修工事を行う際の第一歩となる重要な工程です。解体工事を適切に行わないと、新しい建物の品質や工期に影響を及ぼしかねません。そのため、発注者としては解体工事の発注方式をよく検討する必要があります。
この記事では、解体工事の分離発注の概要やメリット・デメリット、業者選定の注意点まで詳しく解説します。
解体工事の分離発注とは
解体工事の分離発注とは、建物の新築や改修工事において、解体工事だけを別途専門業者に発注する方式のことを指します。
従来は、新築や改修工事の発注において、解体工事から建築主体工事までを一括して施工会社に発注することが一般的でした。しかし近年、解体工事を分離して専門業者に別々に発注する「分離発注」の方式が増えてきています。
一括発注との違い
一括発注と分離発注では、工事発注の流れが大きく異なります。一括発注の場合は、発注者が施工会社を選定し、その施工会社が建築主体工事と解体工事を一手に引き受けます。その際、解体工事は施工会社から別の解体専門業者に下請け発注されることが一般的です。
一方、分離発注では、発注者が建築主体工事と解体工事をそれぞれ別々の業者に直接発注します。つまり、発注者が解体専門業者を自ら選定する必要があります。
解体工事で分離発注するメリット
解体工事の分離発注には、様々なメリットがあります。
- 工事費用を削減できる
- 解体業者を選べる
- コミュニケーションを取りやすい
- 解体工事の質を向上できる
まずは大きなメリットから見ていきましょう。
工事費用を削減できる
分離発注の最大のメリットは、工事費用を削減できる点にあります。一括発注の場合、施工会社経由での発注となるため、施工会社の経費(実行価格への値上げや付加価値費用)が上乗せされる形になります。
一方、分離発注の場合、発注者が直接解体専門業者に発注するため、施工会社を介さずに済みます。施工会社を通さないため、経費が大幅に削減できます。実際にコストがどの程度下がるかは解体専門業者との見積もり次第ですが、一括発注の場合に比べて10〜30%程度のコストダウンが期待できると言われています。
建設費のさらなる高騰が予想される中、コストダウンにつながるこのメリットは大きいと言えるでしょう。
解体業者を選べる
分離発注の大きなメリットの一つとして、発注者自身が直接解体業者を選ぶことができる点が挙げられます。一括発注の場合は、施工会社経由での解体業者選定となり、発注者自身の意思が反映されづらい面がありました。
しかし、分離発注なら自由に解体業者を選ぶことができます。過去の実績、評判、見積金額、立地や対応力など、様々な観点から複数の解体業者を比較検討し、最適な業者を選ぶことが可能です。発注者の目的や要件を最大限反映した業者選定ができるのが、大きな利点と言えるでしょう。
コミュニケーションを取りやすい
分離発注のメリットとして、解体業者とのコミュニケーションが取りやすい点も看過できません。一括発注の場合、発注者と解体業者の間に施工会社が入ることから、遠回りな連絡経路となり、スムーズなコミュニケーションが取りづらくなります。
特に作業中のクレームなどの対応が遅れがちです。これに対し分離発注なら、発注者が直接解体業者と対応できます。作業状況の確認や問題発生時の連絡もスムーズに行えます。発注者としては、密なコミュニケーションを取ることで、より丁寧で滞りのない施工を求めやすくなるでしょう。
解体工事の質を向上できる
解体工事は建物の構造を熟知した上で行われる、高度な技術と経験を要する専門的な作業です。したがって、発注者にとっては、確かな技術力を持つ業者に依頼することが何よりも重要となります。
分離発注の大きなメリットは、専門性の高い解体業者を発注者自身が選んで依頼できる点にあります。施工会社経由のわずかな選択肢ではなく、複数の解体専門業者から適切な業者を選ぶことが可能です。
さらに、分離発注なら発注者と直接対応するため、専門用語も交えながら、細かな作業内容まで確認できます。つまり、解体作業の質を高められる環境が整うのです。発注者として建物の状況を熟知している解体業者を選ぶことができれば、よりスムーズで安全な解体工事が期待できるでしょう。
解体工事で分離発注するデメリット
分離発注にはデメリットもいくつか存在します。
- 解体業者を探すなど時間や手間がかかる
- 住宅ローンを適用できない
メリットとデメリットを確認した上で、より適切な発注形態を選ぶ必要があります。
解体業者を探すなど時間や手間がかかる
分離発注におけるデメリットの一つが、適切な解体業者を探す手間暇がかかる点です。一括発注であれば施工会社に一任できるのに対し、分離発注では発注者自身が解体業者を探し、選定する必要があります。
インターネットや口コミ、現地視察など、様々なルートから情報を収集し、実績や評判、技術力などを詳細に確認しなければなりません。特に、初めての分離発注の場合、この業者探しの手間は大きくなります。ただしこの工程を経ることで、後々のトラブルリスクを最小限に抑えられるというメリットもあります。
住宅ローンを適用できない
分離発注におけるもう一つのデメリットとして、住宅ローン適用外となることが挙げられます。新築や増改築工事の発注時に、銀行から融資を受ける場合、その住宅ローンは工事全体に対して適用されることが一般的です。
つまり、解体工事だけを切り離して融資を受けることはできません。分離発注をすると自己資金で解体費用を工面する必要があり、資金繰りが一時的に厳しくなる可能性があります。発注者によっては、この資金面での制約が分離発注の障壁となる場合もあります。
解体工事で分離発注先を選ぶときの注意点
解体工事を分離発注することを決めた場合、次に重要になってくるのが適切な業者を選ぶことです。悪徳業者が後を絶たない建設業界においては、格別の注意が必要になります。過去に工事中の事故や法令違反、環境破壊などの不祥事を起こした実績があれば、選定から外すべきです。
発注者が気を付けるべき主な注意点は以下の通りです。
- 建設業許可を受けている
- 自社で施工している
- マニフェストの控えを発行してくれる
- 損害賠償保険に加入している
- 過去に違法したことがない
- 暴力団と関わっていない
順に解説します。
建設業許可を受けている
解体業者が建設業許可を適切に受けているかを確認しましょう。建設業許可のない無許可業者は法令違反であり、発注先として選んではいけません。
解体業者に有効期限内の建設業許可証の提示を求め、確実に確認することが重要です。建設業許可は自社で取得しているか、下請け企業を含めて許可を持っていることが求められます。
自社で施工している
解体工事の実際の施工体制を確認する必要があります。応募した業者自身が直接施工するのか、下請け業者に全て丸投げしているだけなのかを見極めましょう。
下請け業者まで含めて実施体制を確認しておかないと、責任の所在が不明確になり、重大な問題が起きた際の対応が難しくなります。安全性や品質を担保するためにも、自社施工できる技術力や体制を持つ業者を選ぶべきです。
マニフェストの控えを発行してくれる
解体工事では、大量の建設廃棄物や産業廃棄物が発生します。これらの廃棄物が適正に処理されているかをチェックするため、マニフェストの控えの発行を求める必要があります。
マニフェストとは、廃棄物が適正に収集・運搬・処理されたことを証明する書類です。業者に発行を依頼し、自社で廃棄物の行方をきちんと管理する仕組みを整えましょう。マニフェストの控えを発行しない業者は、環境配慮や法令順守ができていない可能性が高いため、避けるべきです。
損害賠償保険に加入している
解体工事は、日々の危険な作業を伴うハイリスクな工事です。そのため、万一の事故に備えて、損害賠償責任保険に加入しているかどうか確認しましょう。この保険に加入していれば、作業中に起きた事故に対する損害賠償責任を補償してくれます。
発注者自身が保険未加入の業者を雇った場合、事故が起きれば損害賠償の責任を負う可能性があり、大きなリスクを抱えかねません。保険未加入業者は避けることが賢明です。
過去に違法したことがない
過去に解体工事で違法行為を行った実績のある業者は選定の対象から外しましょう。例えば、建設廃棄物の不法投棄や、関係法令を無視した作業を行っていた業者は、今後も同様の違法行為を繰り返すかもしれません。
法令を守らない悪質業者は、環境破壊につながるだけでなく、重大な事故のリスクも高くなります。このような業者を発注先に選ぶと、後々のトラブルに巻き込まれる可能性が高まります。
暴力団と関わっていない
悪質業者の中でも特に避けなければならないのが、暴力団関係の企業です。建設業界には残念ながら、いまだに暴力団が関与している業者が存在します。暴力団に関わっている業者に発注をすると、怖い思いをするだけでなく、違法行為に巻き込まれて大きな被害を受けかねません。
暴力団との関係性は、警察への確認などで徹底的にチェックする必要があります。安全第一の観点からも絶対に避けなければならない最重要ポイントだと言えます。
解体工事を分離発注で行うときの注意点
解体工事を分離発注で行うときの注意点は、以下の通りです。
- 契約書を交わす
- 工事内容と工事費用を確認する
- 着工時期と完成時期を確認する
- 工事内容と時期の変更方法を確認する
- 工事費用の支払い方法を確認する
- 工事の遅延などによる違約金・損害金について確認する
- 契約解除の条件を確認する
- 複数の業者から相見積もりをとる
- 三社立ち合いの場を設ける
順に解説します。
契約書を交わす
業者との契約には必ず文書によるしっかりとした契約書を交わすことが重要です。口頭のみの約束では曖昧なところが残り、トラブルの原因になりかねません。契約書には、工事内容、工事期間と工程、費用の金額と支払い方法、工事中の役割分担とリスク負担、契約解除条件などを明記し、発注者と業者で認識の相違がないことを確認する必要があります。
工事内容と工事費用を確認する
契約書に記載された工事内容と費用について、双方で認識の違いがないかを確認しましょう。工事内容では、解体対象となる建物の規模や構造を明示する必要があります。
また、解体範囲(敷地内の外構物も含むかなど)や使用する重機の種類なども明記しておくべきです。工事費用についても、いつまでの時点の設計・見積もりに基づく金額なのか、変更増減の可能性はあるのかなどをはっきりさせなければなりません。
着工時期と完成時期を確認する
契約書には、解体工事の着手時期と完了予定時期を明示することも不可欠です。新築や改修工事との工程の兼ね合いもあるため、適切な時期設定が重要になってきます。
着工時期が遅れれば後続工程に影響が出るだけでなく、違約金の発生など、発注者側のリスクにもつながります。また、完成時期の遅れは、新築や改修工事の本工事の着手が遅れるなどの問題が生じます。
工事内容と時期の変更方法を確認する
建設工事では、設計変更や現場の状況次第で工事内容や工期が変更になることがよくあります。このような場合の変更手続きをあらかじめ確認しておく必要があります。
変更できる範囲、変更時の費用の追加や減額の取り扱い、発注者と業者のそれぞれの承認プロセスを契約書に明記し、手順を明確にしておきましょう。場合によっては、変更自体が認められない旨を定めることもできます。将来的なトラブルを未然に防ぐためにも、変更ルールを決めておくことも大切です。
工事費用の支払い方法を確認する
工事費用の支払い時期と方法についても、契約書に明記すべき重要項目の一つです。前払い、中間払い、完了後の一括払いなど、支払い回数と時期をいつにするのかを決めます。
多くの場合は、完了時の一括払いにする例が多いものの、大規模工事では中間払いを求める業者も少なくありません。金額次第では工事途中の中間払いを認める場合もあるでしょう。支払い方法では、現金払いか銀行振込かといった方法も確認が必要です。柔軟に対応しつつ、発注者側のリスク回避にも十分気を付けましょう。
工事の遅延などによる違約金・損害金について確認する
工事が業者の理由で遅延した場合の違約金、あるいは工事の手抜き等により損害が発生した場合の損害金について、契約書にその基準と金額を明記することが賢明です。
工事遅延の定義や遅延日数に応じた違約金の割合、損害金の算定方法など、具体的な条件を明確にしておきましょう。様々なリスクに備える上でも、あらかじめ発注者と業者でルールを決めておくことが重要なのです。
契約解除の条件を確認する
契約を解除する際の条件についても、契約書に明記する必要があります。発注者側から請負契約を解除できるケースとして、業者による重大な債務不履行があった場合や、経営状態の悪化で工事が危ぶまれる場合などが考えられます。
一方、業者側の都合で解除する場合の条件も決めておかなければなりません。また、双方の解除条件について、相手方への事前通知期間を設けたり、解除違約金の取り決めもできます。契約解除時の手続きや費用負担なども合わせてルール化することで、トラブル防止につながります。
複数の業者から相見積もりをとる
分離発注の大きなメリットの一つが、発注者自身で複数の業者から相見積もりを取れる点です。同じ条件で複数社の見積もり金額を確認できることから、業者による価格の適正さを判断しやすくなります。
競合他社の高額な見積もり例も参考になり、交渉材料にもなるでしょう。一方で、あまりに安価すぎる見積もりは手抜き工事のリスクを孕むため、注意が必要です。相見積もりを活用し、適正な工事費用の水準を把握した上で、業者選定を行うことが賢明です。
三社立ち合いの場を設ける
解体工事の発注は一件で完結するものではなく、その後の新築や改修工事との関係性も重要になってきます。そこで取り入れたいのが、発注者、解体業者、施工会社(新築や改修工事の担当)の三社での立ち会いの機会を設けることです。
三社立ち合いの場を設け、解体工事と後続の本工事との工程の調整や、作業内容の確認、責任範囲の明確化などを行います。お互いに認識を共有し、円滑な工事の実施につなげられるでしょう。施工会社にも立ち会ってもらうことで、工程調整もスムーズになるはずです。
解体工事の流れを開始前に行う準備から完了後までわかりやすく解説
解体工事業者の一括見積もりサイトおすすめ10選!メリットや注意点も紹介!
【まとめ】解体工事の分離発注はメリットも豊富!悪徳業者を見極め安心安全に進めよう
建設費の高騰が指摘される中、解体工事の分離発注は工事費の大幅な削減が期待できるメリットがあります。さらに、発注者が直接解体業者を選べることから、適切な専門性と実績を持つ優良業者を選定しやすくなります。
工事の質の向上やコミュニケーションの円滑化も、分離発注のメリットと言えるでしょう。一方で、分離発注には解体業者探しの手間や住宅ローン適用外といったデメリットも存在します。発注形態の是非については、工事内容や資金計画を踏まえた上で、発注者自身が慎重に検討する必要があります。
分離発注を選択した場合、注意しなければならないのが業者選定です。法令を守らない悪徳業者を避け、有資格で技術力のある優良業者を選ぶことが何より肝心です。過去の不祥事実績のチェック、保険加入状況の確認、暴力団との関係性の排除など、徹底した検証をしっかりと行いましょう。
はつり工事についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
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発注内示書とは?記載項目や作成するメリット・注意点などを解説
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