消防施設工事業とは?消防施設工事業の建設業許可取得方法や資格などをご紹介!

建設業許可を受ける29業種のひとつ、「消防施設工事業の許可申請」は、専任技術者の選定条件や財政基礎の基準などが複雑なので注意しなければなりません。これから申請を予定している建設事業者の方々におかれましても、申請時に要件を満たしているかどうかを考えるときに悩まれることがあるでしょう。
そこで今回は消防施設工事業の建設業許可の取得要件について詳しく解説します。必要な資格や申請の手順についても後述しますので、許可申請の際には参考にしていただければ幸いです。

消防施設工事業とは?

消防施設工事業とは、一般の建築物や工作物、また道路やトンネルなどの幅広いジャンルに関わる、消化施設の設置工事のことです。具体的には以下の工事があります。

  • 屋内消火栓やスプリンクラー設置工事
  • 水噴霧・泡・不燃性ガス・蒸発性液体または粉末などの消火設備設置工事
  • 屋外消火栓や動力消防ポンプの設置工事
  • 火災報知設備や漏電火災警報器の設置工事
  • 非常警報設備工事
  • 金属製非難はしご・救助袋・緩降機・避難橋または排煙設備の設置工事

消防施設工事は緊急時などで人命救助に関連する大変重要な工事です。

消防施設工事業の建設業許可取得の要件

この項では、消防施設工事の建設業許可に必要な条件について、項目別に解説します。消防施設工事許可に必要な条件は、経営業務の管理責任者や専任技術者の設置、誠実性や財産的基礎案件、注意しなければならない欠格案件などです。また、2020年から建設業許可案件に追加された社会保険への加入についても説明します。この中で、専任技術者の配置や財産基礎案件については、一般建設業と特定建設業で内容や選定基準が異なりますので注意してください。

1.経営業務の管理責任者

経営業務の管理責任者とは、消防施設工事業に関わる営業所で、経営業務を適正に遂行できる能力を持つ人のことです。建設業は他の産業とは異なる特徴があるので、経営業務を一定期間経験した責任者を最低でも1人専任しなければなりません。その要件は、建設業務の経営管理責任者として5年以上経験した者です。また、建設業の経営責任者の経験が2年以上あり、5年以上経営責任者として業務の権限を委任された者か、6年以上経営業務の補佐に従事した者も要件を満たします。他にも、株式会社などの役員経験が5年以上ある場合、建設業での役員経験が2年以上あれば要件を満たす管理責任者です。その場合、補佐役として「財務管理」「労務管理」「運営業務」の経験者をそれぞれ1人(兼務も可)置く必要があります。

2.専任技術者

専任技術者とは建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保する専門的知識を有する人のことです。詳しい条件は後述しますが、専任技術者は許可を受けようとする業者が一般建設業か特定建設業かで条件が異なります。専任技術者は営業所ごとに設置する必要があるので、その営業所に常に勤務していることが必要です。専任技術者に指定された者が営業許可を受けた後に、退職や異動などで営業所に不在になると許可取り消しになるので注意しましょう。

3.誠実性

消防施設工事業の許可を受けようとする個人または法人は、請負契約を結ぶ場合やそれを履行するときは、誠実に業務を遂行しなければなりません。仮に不正や不誠実な行為が発覚した場合には、建設業の営業許可を取得できません。また、許可取得後に判明した場合でも許可取り消しになるおそれがあります。これは、許可を受ける法人や個人については当然ですが、建設業としてさまざまな営業取引で重要な立場にある役員等についても同じです。

4.財産的基礎

建設工事に着手するときには、資材の購入や労働力の確保、機械設備の準備などに潤沢な資金が必要です。営業活動を行うにも一定の資金が必要になるでしょう。安定した財政基盤を持っていることも消防設備工事業の建設許可を受けるうえで重要な要件です。この要件は、許可を受けようとする業者が一般建設業の場合と特定建設業の場合では基準が異なります。特定建設業は一般建設業よりも厳しい基準です。以下に一般建設業と特定建設業、それぞれの要件について詳しく説明します。

一般建設業の場合

消防設備工事の一般建設業における財政的基盤の要件は、自己資本金が500万円以上あるか、500万円以上の資金調達能力があることです。これは、許可を受けようとする申請直前の過去5年間の実績や許可後も継続して安定した経営実績があることで判断されます。仮に許可に必要な500万円が手元にない場合は、複数口座の資金を一つにまとめたり、入金したときに残高証明書を受け取るなどの対処法もあります。別に資金調達するのも一つの方法です。

建設業許可に必要な500万円がない場合の対処法

「建設業許可を取得したいけど500万円も手元にない・・・」このようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。そのような場合には以下のような対処法で解決できます。

  • 複数の口座に入っているお金を1つにまとめる
  • 入金のタイミングで残高証明書を取得する
  • 資金を調達する

詳しい内容や、資金調達に関する注意点などは以下の記事で分かりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
建設業許可に必要な500万円がない場合はどうする?資本金が足りない場合の対処方法をご紹介!

特定建設業の場合

特定建設業の財産的基盤の基準は一般建設業よりも厳しく、自己資本金4000万円以上が必要です。さらに、欠損の額が資本金の20%を超えないことや流動比率が75%以上であることとなっています。
これは、特定建設業が一般的に多くの下請を使って工事を施工しているので、仮に発注者から請け負った代金の支払いがなくても下請負人には工事引渡しから50日以内に代金支払いの義務があるなど、特に健全な経営が必要であるためです。

5.欠格要件

消防施設工事業の建設許可を申請するときは、許可欠格になる要件もしっかり理解しておきましょう。建設業法で規定された欠格案件は多く、許可を受けようとする申請書類の中に虚偽の記載や、記載が抜けている場合はもちろん許可されません。破産者や一度許可を取り消されて5年を経過しないもの、営業停止命令を受けた場合もその期間中は許可を受けられません。禁固刑以上の受刑者は刑の執行を終了して5年経過する必要があります。その他、建設業法の29条に記載がありますので十分理解しておくことが必要です。

6.社会保険への加入

2020年10月に改正された建設業法で、消防施設工事業も含む建設業においては社会保険への加入が義務付けされました。新規申請時はもちろん、建設業許可を受けている業者も、改正以後の更新時には、社会保険へ加入する必要があります。対象となる社会保険は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険です。どの保険も、法人では1人でも従業員を雇用していれば対象となります。個人事業主は健康保険と厚生年金保険のみ5人以上の従業員を雇用した場合に加入が必要です。なお、法人役員や事業主本人は対象になりません。

【一般建設業】消防施設工事業の専任技術者の要件

前述したように、消防施設工事業で建設業許可を申請する場合には、専任技術者を各営業所に1人以上配置することが必要とされています。専任技術者の要件は一般建設業と特定建設業で異なりますが、それぞれ技術者が持っている資格や、学歴、実務経験などが申請の条件です。
この項では、一般建設業で申請する場合で、資格による申請条件と学歴と実務経験を合わせた申請条件、また、実務経験のみで申請する場合の条件について詳しく説明します。

資格

消防施設工事業で専任技術者になるためには「消防設備士」の資格を持っていなければなりません。消防設備士とは、屋内消火栓や消火器、スプリンクラーなどの消火設備や火災報知器などの警報設備の設置ができる資格です。救助袋など、避難設備の設置工事も含まれます。消防設備士資格は甲類と乙類に分類されます。それぞれの資格の中でも設置できる設備内容が区分され、指定された設備の設置工事や、点検整備などの業務が可能です。ただし、乙類の場合は工事はできず、点検整備のみになります。

指定されている学科の卒業と実務経験

消防施設工事業の建設業許可に必要な専任技術者の選定条件は、消防設備士資格を有する者の他にもあります。その条件は、学歴と実務経験の両方を満たすことです。学歴としては、建築学・機械工学・電気工学のいずれかの学科を卒業することが必要になります。その上で、高校卒業者であれば5年以上、大学や高等専門学校の卒業歴があれば3年以上の消防設備工事業に実務することで、一般建設業の消防設備工事専任技術者としての要件を満たすことができます。

消防施設工事業に関する実務経験が10年以上ある

消防設備士の資格や、建築科や機械工学科などの学歴が無くても消防設備工事建設許可申請時の専任技術者になる方法があります。それは、実務経験のみで専任技術者として選定されることです。実務経験のみで専任技術者になるには、消防設備工事に関連する実務で10年以上の経験が必要になります。該当する工事は、屋内外消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、火災報知設備工事、動力消防ポンプ設置工事などです。なお、該当する営業所に常勤していることが大前提です。

【特定建設業】消防施設工事業の専任技術者の要件

消防施設工事業の建設許可に必要な専任技術者で、特定建設業の場合の選定要件について解説します。特定建設業における専任技術者の条件は、前述した一般建設業の要件のうちいずれかを満たした上で「4500万円以上の請負工事を2年以上指導監督的な実務を経験した者」です。指導監督的な実務というのは、現場代理人や主任技術者、設計監督や施工監督などで、部下や下請けに対して、工事における技術的な指導や監督をした経験のことをいいます。

建設業許可申請の手順

本記事で紹介した建設業許可取得の要件を全て満たしており、実際に申請してみたいと思う方はこちらの記事で申請手順や必要書類、申請にかかる費用などを詳しく紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
建設業許可申請の流れとは?申請の手順を解説!

建設業許可なしで工事を行ったときの罰則や罰金

建設業法で定められた、建設業許可が必要な工事を、許可なしで行った場合は法律違反となるため、罰則や罰金が科されます。これは消防施設工事においても同様です。
建設業法の違反に対しては、その犯した違反の程度に応じて様々な罰則が課されます。そのなかでも無許可で工事を受注した際には「300万円以下の罰金もしくは3年以下の懲役」という最も重い罰則が科されますので注意が必要です。
以下の記事では、実際に無許可で工事を請負い逮捕された事例なども詳しく紹介していますので、必ず目をとおしておきましょう。
建設業許可なしで請負うとバレる?建設業許可なしで行ったときの罰則や罰金などを解説

【まとめ】消防施設工事業の建設業許可取得の際には6つの要件を満たすことが必須

消防施設工事業で建設業許可を取得するには、2020年に追加された社会保険への加入も含めて6つの要件を満たさなければなりません。また、特定建設業で許可を得るためには財政基礎の基準や専任技術者の選定要件が一般建設業と異なるため注意が必要です。今回の記事では、それぞれの要件について詳しく触れ、建設業許可の申請方法についても解説しています。許可なしで工事を請け負って建設業法に触れることのないように、遵法の精神に乗っ取って許可申請に挑みましょう。

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