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建設業で開業し、ある程度の規模の案件を受注するとなると建設業許可申請の取得が必要です。しかし、建設業を営む方の中には
- 建設業許可申請に必要な書類がわからない
- 建設業許可申請の流れを知りたい
とお悩みの方も多いのではないでしょうか?そこで今回は建設業許可申請の流れについて詳しくご紹介していきたいと思います。
建設業許可申請の具体的な7つの流れ
まず始めに、建設業許可申請の具体的な流れから知っていきましょう。
申請の大まかな流れを知ることで、何から始めれば良いのかを明確にできます。どのような手順で申請を進めればいいのかを7つのステップで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.必要な許可を決定する
最初に確認するべきことは、自社に必要な許可が何かを明確にすることです。建設業許可申請といっても種類は多く、業種によっても様々です。
建設業許可の種類については後ほど詳しく紹介しますので、そちらをチェックしてください。
2.許可要件を満たしているかどうかを確認する
必要な許可が明確になったら、許可要件を満たしているかどうかを確認しましょう。
簡単に説明すると、経営業務管理責任者や専任技術者の要件を満たす者が自社にいるのかどうかなどです。
条件についてはこれだけではありませんので、後ほど詳しく紹介します。
3.申請書類を集める
許可要件の確認が終わったら申請に必要な書類を集めましょう。
必要な書類とは各種証明書関係で、提出前3か月以内という有効期限があるので注意が必要です。
- 身分証明書
- 登記されていないことの証明書
- 納税証明書
- 会社の登記簿
また、「500万円の残高証明書」については一般建設業許可の資産要件となっています。
これに関しては有効期限が2週間から1か月となっていますので、申請の直前に用意すると良いでしょう。
4.申請書類を作成する
続いて申請書類の作成に移ります。
申請書類は、都道府県庁のホームページにてダウンロードできます。
原則として正本1部と副本1部で、合計2部用意する必要があります。
書類をダウンロードする際には申請先の都道府県庁のホームページでダウンロードすることをおすすめします。
独自の記載方法の指定や、専用の書式が用意されている場合があるためです。
5.申請手数料を支払って申請する
必要な書類が揃ったら、申請手数料を添えて申請に行きましょう。
申請先は知事許可の場合は都道府県庁、大臣許可の場合は各地方整備局です。
建設業許可の種類については、後ほど解説する「建設業許可の種類」にて詳しくご紹介します。
申請の手数料に関してですが、知事許可の場合は各都道府県収入証紙で納入し、大臣許可の場合は税務署に直接納入します。
もしくは、日本銀行・日本銀行歳入代理店・郵便局の窓口から税務署あてに納入し、領収証書を許可申請書別紙3の所定欄に貼り付けて申請しましょう。
6.申請書が受理される
申請書を提出すると、書類の不備がないか担当者によってチェックされます。ここで不備がなかった場合は受付印が押印され、副本が返されます。
書類に記入漏れや不備があった場合には「補正」といって、申請をやり直すように求められるのです。
7.建設業許可通知書を受領する
申請後、問題がなければ1か月から4か月ほどで許可通知書が郵送されます。
こちらの許可通知書を失くした場合、再発行はされませんので失くさないように保管してください。
建設業許可の種類
建設業許可と言っても事業者の業種や所在地によって必要な建設業許可の種類が異なります。続いて各種建設業許可についてご紹介していきます。
この記事では、建設業許可とはなにかについてより詳しく解説しています。
建設業許可とは?取得するための要件や申請手順などを詳しく解説
建設業許可には知事許可と大臣許可がある
建設業許可には知事許可と大臣許可の二種があります。この二種の許可区分の違いは営業場所の所在地によるものです。
一つの都道府県のみに営業所を置く場合は、当該都道府県の知事に許可申請を出します。同じ都道府県に複数の営業所を置く場合も申請する許可は知事許可です。
一方で大臣許可が必要になるケースは複数の都道府県に営業所を設置する場合です。知事許可か大臣許可かによって許可申請を行う場所は異なりますが、この二種によって請負える工事金額等に差が出ることはありません。
あくまでも営業所が複数県にまたがるか否かによって知事許可か大臣許可かが決まるのです。
受注工事の規模に関する許可の種類に関しては次項でご紹介していきます。
受注したい工事の規模によって一般建設業か特定建設業かを選ぶ
建設業は受注する工事の規模によっても取得すべき許可が異なります。「特定建設業」と「一般建設業」の二種があり、どちらを選択するかは事業者の規模や財政基盤によります。
一件の請負金額が1500万円未満の「軽微な工事」以上の仕事を受注する場合は、それが公共工事か民間工事かにかかわらず建設業許可を受ける必要があります。
依頼者から請け負う工事1件が4500万円(建設工事業の場合は7000万円)を超える下請契約を結ぶケースでは特定建設業許可が、上記の金額以下の場合は一般建設業許可が必要となります。
この二種の許可を分ける金額は令和5年1月に改定され、建設工事業の場合は6000万円が7000万円に、4000万円だが4500万円に引き上げられています。
参考: https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000080.html
建設業許可業種を選ぶ
建設許可は請け負う業種によっても異なります。
建設業種は全29種に区分されています。更にその内に2種類の「一式工事」と27種類の専門工事があります。
一式工事とは複雑な工程や大規模な施工を伴う工事を指し、(1)土木一式工事と(2)建設一式工事の二種類がこれにあたります。土木一式工事は、補修・改造・解体を含む大規模な土木工事のことで、道路やダム、トンネル等の建設工事が該当します。
建設一式工事は、元請として複数の下請会社と共に大規模な新築物件、マンション等の施工を請け負うケースを指します。また一式工事以外の27種の専門工事は以下の通りです。
(3) 大工工事 主に木材の加工を通して建設物に取り付ける工事
(4) 左官工事 主に左官工事やモルタル工事を取扱う業種
(5) とび・土工・コンクリート工事 足場や鉄骨等の組み立てを扱う工事
(6) 石工事 コンクリートブロックを積む等の石材を扱う工事
(7)屋根工事業 瓦やスレート等を用いて屋根をふく工事
(8) 電気工事 発電設備や変電設備などを設置する工事
(9) 管工事 冷暖房設備工事、給排水等の設備を設置する工事
(10) タイル・れんが・ブロツク工事 主にコンクリートブロックやタイル等を貼り付け る工事
(11) 鋼構造物工事 鉄骨工事や橋梁工事などの鉄鋼構造物を扱う工事
(12) 鉄筋工事 鉄筋加工組立て工事など帽鉄鋼を加工、取扱う工事
(13) 舗装工事 アスファルトやコンクリートなどによって道路を舗装する工事
(14) しゅんせつ工事 港湾や河川をしゅんせつする工事
(15) 板金工事 金属薄板などを加工して取り付ける工事
(16) ガラス工事 ガラス加工取付け工事などガラスを加工する工事
(17) 塗装工事 ライニング工事等の塗装物を吹付を行う工事
(18) 防水工事 モルタルやシーリング材等を用いて防水加工を行う工事
(19) 内装仕上工事 インテリア工事など内装の仕上げを行う工事
(20) 機械器具設置工事 遊戯施設設置工事など機器設備を行う工事
(21) 熱絶縁工事 冷凍冷蔵設備等に関して熱絶縁を施す工事
(22) 電気通信工事 有線電気通信設備工事など電気通信設備に広く関わる工事
(23) 造園工事 庭園、公園の造営、緑化事業にまつわる工事
(24) さく井工事 さく孔やさく井を行う工事
(25) 建具工事 シャッター取付け工事など建具の設置、取付工事
(26) 水道施設工事 浄水や配水等に関する設備の工事
(27) 消防施設工事 スプリンクラーの設置など消防施設に関する工事
(28) 清掃施設工事 ごみ処理施設などに関する工事
(29) 解体工事 工作物などの解体に関する工事
建設業許可取得に必要な要件とは?
申請する許可業種を絞った後は、建設業許可取得に必要な要件を確認していきましょう。建設業許可を受けるためには5つの要件をクリアする必要があります。
続いて、この5つの要件についてご紹介していきます。
経営経験のある管理者が必要
第一の要件は営業所に経営業務の管理責任者を置くことです。
申請者が法人である場合は常勤の役員が、個人である場合は申請者本人もしくは支配人の一人が以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
1.建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者であること。
2.建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する 権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者であること。
3.建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理 責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者であること。
引用:国土交通省
また以下の(4)の条件に関しては、条件該当者に加えて建設業の分野で「財務管理の経験」、「労務管理の経験」、「運営業務の経験」を持つ直接補佐者が必要です。
4.建設業で役員として2年以上の経験に加えて、財務管理、労務管理又は業務運営に関して 役員に次ぐ職位で5年以上の経験を有すること、あるいは建設業を含め役員経験5年以上 有すること
専任技術者が常駐している必要がある
経営経験のある役員の常駐に加えて、専任技術者の配置も必須要件となっています。また、この専任技術者の要件は一般建設業と特定建設業とで異なるため注意が必要です。
続いて、一般建設業と特定建設業における専任技術者の要件をご紹介します。
一般建設業許可の専任技術者の要件
一般建設業許可における専任技術者は以下のいずれかの要件を満たす者です。
1.指定学科を修了し高卒後5年、あるいは大卒後3年以上の実務経験を有する者
2.許可申請を行う建設業に関して10年以上の実務経験を有する者
3.1級建設機械施工技士や1級土木施工管理技士等の当該分野の国家資格者
特定建設業許可の専任技術者の要件
特定建設業許可の専任技術者の要件は以下のいずれかを満たす者です。
1.国家資格者
2.一般建設業許可の専任技術者要件を満たしており、かつ工事現場主任や現場監督者といった指導的立場で、直接請負代金の額が4500万円以上の工事に関して2年以上実務経験がある者
3.大臣特別認定者(指定7業種について、特別認定講習を受け、評定に合格した者、あるいは国土交通大臣が規定する考査に通過した者)
誠実性も求められる
請負という形で契約を結ぶこととなる建設業者には、契約を遂行するにあたって誠実さが求められます。
これは許可申請を行う個人、法人の代表だけでなく役員も同様であり法第7条第3号に定められています。
一定額以上の財産的基礎があること
4つ目の要件は申請者に一定以上の財産的基礎があることです。この要件もまた一般建設業許可と特定建設業許可とで異なります。
一般建設業許可の場合は、自己資本額が500万円以上、あるいは500万以上の資金を調達可能であることが条件です。
または、許可申請前に、許可を取得して5年間継続して運営した実績を持つ場合も財産的基礎ありとみなされます。特定建設業許可の財産要件は次の3要件全てを満たしている必要があります。
- 欠損の額が資本金の20%を超えないこと
- 流動比率が75%以上あること
- 資本金の額が2000万円以上かつ、自己資本の額が4000万円以上あること
欠格要件に該当すると許可を受けられない
また申請者である事業主や役員等が欠格要件に該当すると建設業許可を受けることができません。
欠格要件とは法律に則って事業を運営できない事業者を、適正を欠いているとして建設業許可を認めないことを意味します。
許可取得後に欠格要件に該当することが明らかになった場合、取得した許可が取り消しになります。建設業許可申請の場合、以下の条件に該当すると欠格要件にあたります。欠格要件の詳細な条件は国土交通省が公開しているので確認してみましょう。
- 破産者で復権を得ないもの
- 一般建設業あるいは特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過し ない者
- 営業の停止または禁止を命ぜられた後にその停止または禁止の期間が経過していない者
- 禁錮刑以上の刑罰を受け、刑の執行後5年以内の者
参考:国土交通省
建設業許可申請についてよくある質問
最後に、建設業許可申請を行うにあたってよくある質問を紹介します。
これから許可申請を行う方や、不明点がある方は以下の質問の回答をぜひチェックしてみてください。
建築許可申請はどこに出す?
建築許可申請の申請先は、取得する許可によって異なります。
先述の通り、一つの都道府県に営業所を置く場合(複数置く場合も含む)は知事許可、複数の都道府県に営業所を置く場合は大臣許可が必要です。
知事許可の場合は都道府県庁、大臣許可の場合は各地方整備局にて申請を行います。
建築許可は自分で取れる?
建設業許可申請は行政書士などに頼まなくても自分で取得できます。
会社によっては外部に依頼する場合もありますが、依頼すると10万から20万円ほど費用がかかるのです。
そのため、自分自身で申請を行いたいという人も少なくありません。
自身で建設業許可申請を行いたい場合は、今回紹介した一連の流れを参考にしてみてください。
審査にはどの程度時間がかかる?
審査にかかる期間は取得する許可の種類によって異なります。
知事許可の場合は30日程度、大臣許可の場合は90日から120日程度かかるでしょう。自社が取得する許可はどの程度時間がかかるのか、予め把握したうえで余裕をもって申請を行えるとよいですね。
【まとめ】しっかりと準備を整えて建設業許可申請を行いましょう
今回は建設業許可申請の種類から、取得の要件、申請の手順についてご紹介してきました。建設業許可は許可を受けるための要件も細かく、申請に必要な書類も多いため綿密にスケジュールを立てて準備をする必要があります。
審査に出してからの期間は原則として短縮できないため、余裕をもって建設業許可申請に備えましょう。
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