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「設備設計って聞いたことはあるけど、具体的に何をする仕事なの?」と疑問に思っていませんか?
建築の仕事と聞くと、ついデザインや構造ばかりをイメージしてしまいがちですが、建物の中で実際に人が快適に生活するためには、電気・水道・空調などの「設備設計」が不可欠です。
この記事では、設備設計の基本的な仕事内容から建築設計との関係、実際の仕事の流れ、そして取得しておきたい代表的な資格までをわかりやすく紹介します。
これから設備設計の分野を学びたい方や、建築業界でのキャリアを広げたい方の参考になる内容のため、ぜひ最後までご覧ください。
設備設計とは
設備設計とは、建物内の電気、水道、空調などのインフラを計画し、人が快適かつ安全に過ごせる空間をつくるための仕事です。
以下、「仕事内容」「業務の種類」「建築との関係」について詳しく解説していきます。
仕事内容
設備設計は、建築物内で人が快適かつ安全に過ごすためのインフラを設計する仕事です。
電気、水道、空調といった基本的な機能を整えるだけでなく、省エネや環境への配慮、維持コストの最適化などにも関わります。
設備設計は、意匠設計や構造設計と並ぶ建築設計の主要分野の1つで、三者が連携することで、機能性と美観、安全性を両立した建物が実現します。
給排水設備や空調、電気系統、防災・セキュリティなど、幅広い専門性が求められ、技術力のある設備設計士は不足しています。今後も、需要の高まりが期待される仕事です。
業務の種類
設備設計の業務は、「機械設備設計」と「電気設備設計」の2種類に大別されます。
機械設備設計には、空調・換気と給排水衛生の2つの分野があり、室内の温度や湿度、空気の流れを調整する役割と、給水・排水・ガス・衛生器具などを適切に計画する役割があります。
一方、電気設備設計は、受変電や照明、通信、セキュリティ、防災といった各種電気設備を建築図面に基づいて設計し、安全性と利便性を確保します。どちらの業務も、建物内での快適な暮らしやスムーズな運営を支えるために不可欠です。
建築との関係
設備設計は、建築設計の中でも建物の機能性を担う重要な分野です。
意匠設計が建物のデザイン、構造設計が安全性を重視するのに対し、設備設計は電気、水道、空調などのインフラを計画し、快適な居住・利用環境を整える役割を果たします。
これら三者は互いに密接に連携しており、どれが欠けても建物としての完成度が損なわれてしまいます。
例えば、デザインが空調の配置に影響したり、構造が配管ルートに制限を与えることもあります。設備設計は、ヒトの身体で例えると「血管や神経」で、見えないところで全体を支える重要な存在です。
設備設計の仕事の流れ
設備設計の仕事は、以下の6つのステップに沿って進められます。
- 顧客と打ち合わせを行う
- 企画を立てる
- 設計を行う
- 見積書の作成・確認申請を行う
- 竣工管理を行う
- 検査する
それぞれ、簡単に紹介していきます。
1.顧客と打ち合わせを行う
設備設計の出発点は、建築主との打ち合わせです。建物の用途や求める設備、予算などを詳細にヒアリングしていきます。
空調や電気など生活に不可欠な設備を計画するためには、法的基準や敷地のインフラ状況も確認が必要です。
特に、性能を高める設備が法的基準を超える場合、予算とのバランスをとりながら検討することが求められます。この初期段階でのすり合わせが、満足度の高い設計につながります。
2.企画を立てる
打ち合わせで得た要望や予算をもとに、最適な設備計画を立案するのが次のステップです。
快適性やコストバランスを意識しながら、給排水やガスなどのインフラの位置を確認し、全体の設備方針を固めます。
概要書や配管ルート図を作成し、概算コストを算出することも重要です。詳細設計に進む前の、大枠を決める重要なステップです。
3.設計を行う
企画が固まり顧客の同意が得られると、設備設計は基本設計と実施設計の段階に進みます。
基本設計では、換気量や給水量などを計算し、機器の容量や設置スペースを検討します。関係機関との協議も行い、法的基準を満たす設計図を作成していきます。
実施設計では、配管や機器の配置を決定し、工事に必要な設計図を仕上げます。意匠・構造との調整も再確認しつつ、設計完了後は、コストを算出して見積書を作成します。
4.見積書の作成・確認申請を行う
実施設計が完了すると、次のステップは見積書の作成です。
設計図をもとに、設備機器や配管、建材などのコストを算出し、工事発注予算を明確にします。この見積書は、契約や発注の重要な判断材料となります。
見積と並行して、法的な手続きである確認申請も進めます。検査機関に申請書類を提出し、建築基準法などの法規に適合しているかの承認を得るものです。
5.竣工管理を行う
設計業務が終わると、次は工事が設計通りに実施されているかを確認する「竣工管理」の段階に入ります。
工事箇所の写真や施工状況をチェックし、品質を確保することが主な役割です。施工者との打ち合わせや進捗報告、必要に応じた指示書の作成も行います。
また、設計変更があれば対応し、確認申請の中間検査や竣工検査、設備検査にも立ち会います。最終的には建築主と共に確認を行い、問題があれば是正を指示します。
6.検査する
工事完了後は、設備が設計通りに設置され、正常に機能しているかを確認する検査が行われます。
建築確認完了検査や消防検査では、法的基準を満たしているかをチェックし、設計図との相違を確認する設備検査や、建築主による最終確認にも立ち会います。
不備があれば施工者に是正を指示し、必要に応じて設計図の修正も行います。引き渡し後も不具合対応や改修依頼など、アフターケアまでが設計者の役割です。
設備設計で役立つ資格
設備設計の分野では、専門知識と法的な責任を担うための資格が重要です。
中でも、建築士や設備設計一級建築士などは、設計の幅を広げるだけでなく、信頼性やキャリアアップにも直結します。
以下に、設備設計に関連する代表的な資格を4つご紹介します。
建築士
建築士は、建築物の設計において責任を持てる唯一の資格で、設計図書の作成責任者になれる点が特徴です。建築士の資格がなくても設計作業は可能ですが、建築士は法律で定められた業務独占資格であり、専門職としての信頼性が高まります。
特に、一級建築士はすべての建物の設計が可能となり、設備設計一級建築士へのステップにもつながります。
設備設計一級建築士
設備設計一級建築士は、一級建築士の上位資格で、設備設計の専門知識と経験を証明する資格です。
設備設計一級建築士を取得するには、一級建築士の資格が必要で、難易度は非常に高いです。特に、3階以上で5000平方メートルを超える建築物の設計には、この資格を持つ者の関与が義務付けられています。
資格取得には、5年以上の実務経験と、専門講習の修了が求められます。
建築設備士
建築設備士は、建築設備に特化した資格で、設備設計や工事監理に関する知識と技能を持つ専門家です。
設計業務を請け負うものではなく、建築士へのアドバイスや工事監理を行う役割が求められます。高度化した建築設備に対応するため、建築設備士への需要は増しています。
資格試験の難易度はそれなりに高いですが、取得することで、一級建築士などへの受験資格が付与され、建設業界での就職やキャリアアップに有利となります。
技術士
技術士は、科学技術における高度な知識と応用力を証明する国家資格で、21の技術部門にわたる専門性を持ちます。
技術士は、文部科学省所管で、技術士補としての資格を得た後に、専門的な知識と倫理を持って業務指導や調査を行う役割を担います。
特に建設業界では、技術士は企業内での専任技術者として重要な役割を果たし、信頼性と専門性を提供します。
設備設計士に求められるスキル
設備設計士には、専門的な知識とともに、複数のスキルが必要です。
まず、調整能力が求められます。設備設計は多くの関係者と協力しながら進めるため、全体の調和を取る能力が重要です。同じ理由でコミュニケーション能力も欠かせません。関係者との情報共有を円滑に行うことが求められます。
さらに、柔軟な対応力も大切で、設計変更に素早く対応する能力が必要です。
近年では、BIM(Building Information Modeling)のスキルも重要視されています。BIMを活用し、施工前に干渉チェックを行うことで、効率的な設計が可能になります。
いずれにしても、勉強が好きで、最新の法令やソフトにキャッチアップしていける人材が、設備設計に向いているでしょう。
設備設計士のやりがい
設備設計士のやりがいは、自らの設計によって建物の快適性が実現され、その成果が利用者や建築主からの評価として返ってくる点にあります。
「使いやすい」「快適」といった声が寄せられることで、自信や次への意欲につながるのです。また、限られたスペースを工夫して合理的に設計できたときにも達成感を得られます。
さらに、省エネや環境への配慮といった社会的貢献もできるため、技術力を活かして人や社会に役立ちたい人にとって魅力的な仕事と言えるでしょう。
設備設計士に向いている人の特徴
設備設計士には、快適な建物を作りたい、環境に優しい設計を行いたいという強い意識を持つ人が向いています。
そして、設備設計では多くの関係者との連携が不可欠なため、コミュニケーション能力が高いことも重要なポイントです。クライアントや設計者、工事担当者との調整を円滑に行う能力が求められます。また、設計内容が変更されることが多いため、柔軟に対応できる力も必要です。
設備設計士は、人々の暮らしを支える役割を担い、合理的な設計を通じて社会に貢献することにやりがいを感じる人に向いている職業だと言えるでしょう。
設備設計士の平均年収
設備設計士の平均年収は、おおよそ435万円です。これは一般的な平均年収を上回っています。
一方、転職サービスのデータによると、設計業務全体(建設・土木)の平均年収は456万円のため、設計業の中では設備設計の年収はやや低めの傾向にかもしれません。
しかし、資格を取得することで年収の向上が期待できます。
例えば、一級建築士の平均年収は499万円で、設備設計士が専門的な資格を取得することによって、年収が上昇する可能性は高いです。
また、設備設計の年収分布を見ると、年収600万円に達する層も存在しており、資格や経験を積むことで更なるキャリアアップが望めます。
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【まとめ】設備設計は建物のインフラを設計する重要な仕事!やりがいも豊富
今回の記事では、設備設計の仕事内容や種類、建築との関係、具体的な業務の流れ、そして関連資格について解説してきました。
設備設計は建物内の電気・空調・水道といった生活インフラを支える重要な仕事です。「機械設備設計」と「電気設備設計」の2分野に分かれており、建築士や設備設計一級建築士といった資格を取得することで、業務の幅が広がり、キャリアアップにもつながってきます。
設備設計は、見えにくいけれど欠かせない「建物の神経と血管」を担う専門性の高い仕事です。仕事内容や役立つ資格についてもぜひ参考にして今後のキャリアに生かしてください。
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