建設業における見積依頼書とは?記載必須の13項目や作成方法を解説

建設業 見積依頼書

建設工事の発注を検討する際、適正な見積りを得るために見積依頼書を協力会社に提出する必要があります。しかし、見積依頼書に盛り込むべき項目や、作成の際のポイントなどを把握していない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、建設業における見積依頼書の概要から記載すべき項目、作成方法、注意点までを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

建設業における見積依頼書とは

見積依頼書とは、工事の発注を検討する際、受注候補先の業者に対して費用の算出を依頼するための文書のことです。発注者が作成し、受注候補先に提出することで、工事にどの程度の費用がかかるのかを把握することができます。

見積依頼書の重要性

建設業界では見積依頼を必ずしも書面で行う必要はありません。しかし、国土交通省の「建設業法令遵守ガイドライン」では、書面による見積依頼が望ましいとされています。

口頭のみで見積依頼をした場合、後から内容について「言った・言わない」といったトラブルに発展する恐れがあるためです。見積依頼書を書面で作成し、内容を明確にしておけば、そうしたトラブルを未然に防ぐことができます。

見積依頼書の役割

見積依頼書には、以下のような役割があります。

  • 取引先や発注先に対して、見積書を依頼するための重要な書類
  • 具体的な金額を明確化することで、取引の信頼性を高める
  • 取引の記録を残す
  • 取引の流れを作る

双方の認識のズレを防いでスムーズな取引を行うためにも、見積依頼書の作成は欠かせません。

見積依頼書の記載内容

見積依頼書には、建設業法で定められた一定の項目を記載する必要があります。記載漏れがあった場合、建設業法違反となる可能性があるので注意が必要です。

記載必須の13項目

建設業法第19条第1項に基づき、見積依頼書には以下の13項目について具体的な内容を記載しなければなりません。

  1. 工事内容
  2. 工事着手の時期及び工事完成の時期
  3. 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
  4. 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
  5. 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
  6. 価格等の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
  7. 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
  8. 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
  9. 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
  10. 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
  11. 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
  12. 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
  13. 契約に関する紛争の解決方法

参考:国土交通省|建設業法令遵守ガイドライン

工事内容に明示する事項

上記の13項目のうち、「工事内容」については以下の事項を明示する必要があります。

  1. 工事名称
  2. 施工場所
  3. 設計図書(数量等を含)
  4. 下請工事の責任施工範囲
  5. 下請工事の工程及び下請工事を含む工事の全体工程
  6. 見積条件及び他工種との関係部位、特殊部分に関する事項
  7. 施工環境、施工制約に関する事項
  8. 材料費、産業廃棄物処理等に係る元請下請間の費用負担区分に関する事項
  9. 地盤の沈下、地下埋設物による土壌の汚染その他の地中の状態に起因する事象(発生の可能性を知っている場合)
  10. 騒音、振動その他の周辺の環境に配慮が必要な事象(発生の可能性を知っている場合)

具体的で詳細な内容を盛り込むことで、適正な見積作成につながります。

見積依頼書の作成方法

見積依頼書の作成は、主にエクセルやワードなどの表計算ソフト・文書作成ソフトを使って行われます。書式は特に決まりはありませんが、国土交通省の標準書式を利用する事業者も多いでしょう。

Excel(エクセル)

Excel(エクセル)で作成する場合、表題を「見積依頼書」とし、左下に宛先欄、右下に依頼主欄を設けるのが一般的です。見積依頼品の前に簡単な挨拶文を添えると良いでしょう。

エクセルには日付の自動入力や計算式の利用など、効率的に作成できる機能が備わっています。自社の書式に合わせてテンプレートを作成して社内で共有するのがおすすめです。

Word(ワード)

Word(ワード)では書式設定がしやすく、細かいレイアウト調整ができるメリットがあります。一方で計算式は使えないので、複雑な金額計算は向いていません。エクセルと同様に表題を「見積依頼書」とし、宛先欄と依頼主欄を設ける構成が一般的です。見積依頼の挨拶文も添えると良いでしょう。

見積依頼書の作成ポイント

適切な見積依頼書を作成するためのポイントをご紹介します。

関連資料をきちんと添付する

見積依頼書だけでは具体的な工事内容を伝えきれない場合があります。そのため、設計図書や仕様書など、工事の詳細がわかる資料を同封しましょう。資料が複数にわたる場合は、何枚添付しているかを明記するとスムーズです。関連資料にもページ番号を振っておけば、紛失トラブルも防げます。

施工内容などを詳細に記載する

工事の内容や施工条件、特殊な作業工程など、できる限り詳細な情報を記載しましょう。省略表現は避け、正式名称を使って具体的に書くことで、認識の違いを防げます。

何がいつまでに必要か明記する

「何を」「いつまでに」「どの程度の量か」など、見積依頼の条件をわかりやすく明記することが大切です。箇条書きや表を用いれば、内容が一目でわかりやすくなります。

見積依頼書の作成後から契約までの流れ

見積依頼書の発行から実際に契約が交わされるまでは、以下のような流れとなります。

  1. 見積依頼書の発行・受取り
  2. 現場説明・図面提示
  3. 打ち合わせ
  4. 見積書の提出
  5. 合意形成
  6. 書面契約

協力会社は見積依頼書を受け取り、現場の確認や発注者との打ち合わせを経て見積書を作成、提出します。両者が合意に達した場合に正式な書面契約を交わします。

見積依頼書の注意点

見積依頼書の作成には、いくつか注意すべき点があります。

  • 建設業法における見積期間
  • 不明確な工事内容や曖昧な条件提示は建設業法に違反

建設業法における見積期間

建設業法では適正な見積作成のため、一定の見積期間を設けることが義務付けられています。期間は以下の通りです。

工事予定金額500万円未満 1日以上
同500万円以上5000万円未満 10日以上
同5000万円以上 15日以上

やむを得ない理由がある場合を除き、この期間を守らないと建設業法違反となる可能性があります。

見積期間の考え方

見積期間とは、契約内容の提示から契約締結までの最短期間を指します。

例えば4月1日に見積依頼をした場合、最短の契約締結日は以下の通りです。

500万円未満 4月3日
500万円以上5000万円未満 4月12日
5000万円以上 4月17日

この期間は最短であり、工事内容により十分な期間を設ける必要があります。

不明確な工事内容や曖昧な条件提示は建設業法に違反

不明確な工事内容や曖昧な条件提示は、建設業法に違反する可能性があるため注意が必要です。

  • 工事内容が不明確なまま見積依頼をした場合
  • あいまいな条件のみを提示して見積依頼をした場合
  • 「今日中に」「できるだけ早く」など、曖昧な見積期間を設定した場合
  • 法定の最低見積期間を大幅に下回る期間を設定した場合

土壌汚染や埋設物の有無など、重要な情報を意図的に提示しなかった場合も違反となります。

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【まとめ】建設業における見積依頼書はトラブルを防止する重要な書類!適切に作成しよう

建設工事の見積依頼書は、適正な費用の算出や双方の認識ずれを防ぐ上で欠かせない書類です。記載内容を建設業法で遵守し、関連資料の添付や詳細な情報の記載にも気を付ける必要があります。

見積依頼から契約に至るまでのプロセスでは、法定の見積期間を守ることが義務付けられています。不明確な内容や曖昧な条件での依頼は建設業法違反になるリスクがあるので注意しましょう。

建設工事ではトラブルを未然に防ぐため、見積依頼書を適切に作成することが何より大切です。この記事を参考に、重要ポイントを押さえた見積依頼書の作成に努めましょう。

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