建設業法で定められた見積期間とは?具体的な日数や数え方などを解説

建設業法 見積期間

建設業において、発注者や元請業者が下請業者に工事費用の算出を依頼する際は、見積期間を設けなければいけません。見積期間は下請業者を不利な条件での取り引きから守るための建設業法で定められている規定ですが、知らない人も少なくありません。

今回は、建設業法が定めている見積期間について解説します。解説する内容を読めば、具体的な日数や数え方、注意点などの知識が身に着きます。受注や積算に関わることの多い人の参考になるため、ぜひ最後まで読んでください。

建設業法で定められた見積期間

見積期間は、下請業者が費用の算出を作成するために必要な日数です。費用の算出に必要な日数は、建設業法第20条第4項や建設業法施工令第6条で定められています。発注者や元請業者は、これらの法律を遵守しなければいけません。

依頼を受ける下請業者も、すぐに金額を計算できるわけではありません。そのため、工事の金額によって適切な日数を設ける必要があります。こうしたことから、工事費用の算出を依頼する側は、提出を急がせたり期間をあやふやにしたりしてはいけない規則になっています。

建設業法が見積期間を定めている理由

建設業法によって見積期間が定められている大きな理由として、下請業者の保護と適正な取引の促進があります。費用の算出のために設けられた日数に決まりがなければ、下請業者は短期間での費用の算出を余儀なくされることがあります。

建設業界では、残念なことに高圧的な元請業者の担当者も皆無ではありません。そうなると、必要な要素を見落とし、下請業者が適切な利益を得られないケースも考えられます。しかし、積算のための時間が十分に与えられれば、内容を精査し適切な見積書の作成が可能です。

見積期間の日数

先ほども少し触れましたが、見積期間の規定は細かく定められています。ここでは、費用の算出に必要な日数について、次の5つの点から解説します。それぞれの要点を把握して、正しい費用の算出に必要な期間の理解を深めましょう。

・建設業法施行令第6条で定められている見積期間
・日数の数え方
・土日など休日の扱い方
・日数の短縮
・建設業法違反になるケース

建設業法施行令第6条で定められている見積期間

費用の見積のために設けるべき日数は、建設業法施行令第6条で発注予定の価格帯ごとに3つに分けられています。ここでは、金額ごとの見積期間を見ていきましょう。それぞれの金額による日数を把握して、適正な費用の算出に取り組みましょう。

500万円未満の場合

発注予定の価格が500万円未満の場合、見積期間は「1日以上」設けなければいけません。発注予定の価格が500万円未満であれば小規模な工事も多く、費用の算出に必要な要素が少ない場合も少なくありません。

例えば、1日で終わるような工事であれば、必要な費用の積算にもそれほど時間はかかりません。ただし、工事の種類や特殊性によっては、見積書の作成に一定の日数が必要なこともあります。

500万以上5,000万円未満の場合

発注予定の価格が500万以上で5,000万円未満の場合、見積期間は「10日以上」設けなければいけません。発注予定の価格が1,000万円を超える規模の工事となると、材料や工数の計算、必要機材の選定などで時間がかかることも珍しくありません。

何らかの事情がある場合のみ、費用の算出のための期間を「最大5日」短縮することも可能です。例えば、見積書の作成のために12日かかると下請業者が申し出た場合も、やむを得ない事情がある場合は7日での提出を求めても問題はありません。

5,000万円以上の場合

発注予定の価格が5,000万円以上の場合、費用の算出のための期間は「15日以上」設けなければいけません。金額が5,000万円以上になると工事の規模も大きくなり、それだけ見積を構成する要素は多くなります。下請業者がさらに専門的な業者に依頼することも珍しくありません。

そのため、基本的には費用算出のために2週間以上の期間を設定しなければいけません。ただし、止むを得ない事情がある場合は、「最大5日」まで短縮が認められています。

日数の数え方

見積のための日数を具体的に把握しても、いつから数えれば良いのかと疑問に思う人もいるでしょう。費用の算出のための日数には、依頼を受けた日と提出する日は含まれません。見積依頼を受けた翌日から、カウントがはじまります。

例えば、6月1日の月曜日に発注予定の価格が600万円の見積依頼を受けたと想定します。その場合、土日などの考え方にもよりますが6月12日以降が提出日として考えて構いません。

土日など休日の扱い方

見積期間を考える際、土日など休日はどうなるのか気になる人も多いのではないでしょうか。日数に土日を含むかどうかは、依頼者次第です。なぜなら、建設業法の規定では、土日を含むかどうかの文言はないからです。

そのため、依頼日から規定の日数以内に見積提出を依頼されることがあります。近年では、働き方改革などで建設業でも土日を休みとする会社は少なくありません。工事でも土日を休みとする現場も多くなっていることから、土日は費用の算出のための期間に含まないケースは多くあります。

日数の短縮

先ほど、見積期間は短縮可能と解説しましたが、可能なのは止むを得ない事情がある場合のみです。止むを得ない事情について明確な規定はありません。しかし、災害など緊急で工事が必要な場合や工事の調整に時間がかかるといった理由が想定できます。

費用の算出のための日数を短縮できるかどうかは、ケースバイケースです。ある程度長期にわたって取引をしてきた会社であれば可能な場合もあります。短期間での見積を依頼されたら、理由の説明を求め可能かどうかを判断しましょう。

建設業法違反になるケース

工事の見積を依頼された際、明確な理由もなく見積期間が短い場合は、建設業法違反にあたります。ただし、費用の算出のための日数が短くても、行政処分を受けたり罰則が課されたりすることはありません。しかし、行政による指導の対象となる可能性はあります。不当に短期間での費用の算出を依頼された場合は、発注元に適正な日数を設けるように求めましょう。

建設業法で定められた見積依頼のときに明示が必要な項目

見積を依頼する場合、相手方に明示する必要のある項目があります。ここでは、建設業法で定められた、費用の算出の際に明示が必要な項目について解説します。発注する側と見積をする側それぞれで明示が必要な内容が異なりますので、解説する内容を把握して正しい見積作成に取り組みましょう。

項目の内訳

見積を依頼する際は、次の8つの項目を最低限明示しなければいけません。見積依頼を受けた際、この項目で欠けている部分があると、正確な費用の算出ができない場合があります。そのため、必要な項目の明示を求めましょう。

・工事名称
・施工場所
・関連書類を含む設計図書
・下請工事の施工責任範囲
・下請工事の工程、下請工事を含む工事の全体工程
・見積条件、他工種との関係部位や特殊部分に関する項目
・施工環境や施工制約に関する項目
・材料費や労働災害防止対策、建設副産物の運搬と処理に係る費用負担に関する項目

見積の内訳も明示が必要

工事の見積依頼を受けた下請業者が見積書を提出する場合、金額だけでなく内訳の明示が必要です。工事にかかる材料費や労務費、機材のリースがあればリース費など必要となる項目を記載して明示しなければいけません。

発注者と下請業者の関係性によっては、一式などでまとめられることもあります。しかし、そういった見積の方法は原則として認められません。工事に必要な費用を記載して、適正な金額と内訳を明示しましょう。

見積書を作成するときの注意点

続いては、見積書を作成する際に注意すべきポイントを解説します。見積依頼を受けて、見積書を作る時は、以下の2つのポイントに注意しましょう。
・工事内容の変更時は見積りの手続きを行う
・書面で見積依頼を行う

工事内容の変更時は見積の手続きを行う

工事内容に変更が生じた時は、見積の手続きが必要です。天候や手配が順調にいかなかったなどの理由で、工事内容が変更になったり追加が必要になったりすることは珍しくありません。そのような際は、変更内容に応じて追加の見積作成が必要です。追加の場合は、追加工事に着手する前に費用の算出が必要なため、早急に関係者で協議し必要な項目を洗い出しましょう。

書面で見積依頼を行う

見積依頼は、書面で行いましょう。建設業法の規定では、費用の算出を依頼する方法に明確なルールはありません。しかし、口頭での依頼では内容があやふやになったり、言った言わないの水掛け論になったりする恐れがあります。そのような事態を避けるため、見積依頼を書面でやりとりすることで、見積条件や工事内容が明確になります。口頭で依頼を受けても、確認のために、書き出してまとめましょう。

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【まとめ】建設業法で定められている見積期間についてよく理解しよう!

工事の見積作成には時間がかかることもあります。特に、特殊な材料を使用したり特別な作業を行う場合、専門業者への依頼が必要なこともあります。そうした事情を含めて、適切な見積期間を設定することが重要です。見積依頼を受ける場合も依頼する際も、金額に応じた日数を考慮し、必要な日数などを踏まえて費用の算出に取り組みましょう。

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