建設業許可とは?取得するための要件や申請手順などを詳しく解説

建設業許可

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記事の監修者
行政書士 道原信治
行政書士 道原信治
行政書士法人Dee 代表社員・代表行政書士

建設業専門の行政書士事務所、行政書士法人Dee(ディー)を運営。 建設業許可の新規取得件数は年間150件以上あり、一人親方から上場企業に至るまで、全国トップクラスの豊富な取り引き実績を有する。 経営事項審査やM&A時の許認可の事業承継など建設業に係る行政手続きに幅広く対応している。

建設業を事業としている方が、軽微な工事を除く建設工事をおこなう場合、建設業許可を取得する必要があります。しかし、建設業許可とはなにか?申請は難しいのでは?とお悩みの方もいるでしょう。
今回は、建設業許可について、取得するための要件や申請する手順などを詳しく解説します。

建設業許可とは

建設業許可とは、建設業を営むために国または都道府県知事から取得する必要がある許可のことで、建設業法第3条によって定められています。ただし、軽微な建設工事の場合は許可がなくても工事が可能です。

建設業許可は取得後も注意しなければなりません。建設業許可には有効期限があるため更新申請をしないと取り消されてしまう可能性もあります。また、無許可での工事は場合によっては建設業法違反となり罰金や罰則が科せられます。ここでは、有効期限や建設業許可が不要なケースについて解説します。

有効期限

建設業許可には有効期限があり、継続するためには更新が必要です。有効期限は許可された日から5年間です。更新申請は有効期限が終了する日より90日前から受け付けており、30日前までにおこなう必要があります。有効期限の終了日が土日祝日でも有効期限は変わりませんが、申請先である許可行政庁が休業の可能性があるため提出日に注意が必要です。また、更新申請をおこなう際には建設業許可の取得について要件が満たされているか確認することも重要です。

建設業許可が不要なケース

建設業許可は一般的に500万円以上の工事をする場合に必要とされています。建設業許可が不要なケースは、建設業法に規定されている軽微な建設工事と500万円未満の工事を請け負う場合です。詳しくは以下にまとめました。

軽微な建設工事・請負金額が税込み1,500万円未満の工事
・請負金額にかかわらず延べ床面積が150㎡未満の木造住宅建築工事
建築一式工事以外の建設工事1件の請負金額が500万円未満の工事

店舗兼用住宅に関しては、主要部分が木造で居住スペースが延べ床面積の1/2以上あれば軽微な建設工事となり、建設業許可は不要です。

建設業許可が必要な500万円の詳細についてはこちらの記事で解説しています。

建設業許可が必要な請負金額は500万円?計算方法の注意点も解説

建設業許可の種類

建設業許可には許可をどこで出すのかや下請会社に依頼するかどうかなどで種類が分けられています。自社がどの種類に入るのか確認し建設業許可を取得しなければなりません。
建設業許可は特定と一般に分けられ、さらに事業所の場所によって大臣許可か知事許可かに分けられます。ここからは建設業許可の種類や違いについて解説します。

大臣許可と知事許可

建設業許可は事業所がどこにあるかで「大臣許可」と「知事許可」に分けられています。

  • 大臣許可:営業所が2か所以上の都道府県にあるケース
  • 知事許可:営業所が1つの都道府県にあるケース

具体的には、2か所以上の都道府県に営業所があれば大臣許可となり、営業所が複数あったとしてもすべて同じ都道府県にあれば知事許可です。

一般建設業と特定建設業

工事を元請会社として受注し下請させる金額によって、必要な許可が一般建設業か特定建設業かに分けられます。元請会社として工事を受注、4,500万円以上を下請会社に発注する場合は特定建設業許可が必要です。ただし建築一式工事の場合は7,000万円以上となっています。この特定建設業許可の条件以外の軽微ではない工事を請負う場合は一般建設業許可で良い、となります。間違いやすい点として、自社施工ができ下請会社に4,500万円以下の工事を依頼する場合と元請としてではなく下請として受注し、さらに下請に発注する場合は特定建設業許可を取得する必要はありませんので注意しましょう。

建設業許可の対象である29業種

建設業許可の対象である建設業は一式工事が2業種、専門工事が27業種の合わせて29業種あり、建設工事の種類によって定められています。工事の内容に沿った建設業許可を取得する必要があるため、複数の取得をしなければ工事ができない可能性もあります。工事をおこなう際は建設業許可を取得しているか確認しましょう。以下に工事の種類をまとめました。

一式工事①土木一式工事②建築一式工事
専門工事①大工工事②左官工事③とび・土木・コンクリート工事

④石工事

⑤屋根工事

⑥電気工事

⑦管工事

⑧タイル・れんが・ブロック工事

⑨鋼構造物工事

⑩鉄筋工事

⑪舗装工事

⑫しゅんせつ工事

⑬板金工事

⑭ガラス工事

⑮塗装工事

⑯防水工事

⑰内装仕上工事

⑱機械器具設置工事

⑲熱絶縁工事

⑳電気通信工事

㉑造園工事

㉒さく井工事

㉓建具工事

㉔水道施設工事

㉕消防施設工事

㉖清掃施設工事

㉗解体工事

建設業許可の取得は工事の種類ごとにおこないますが、すでに取得している業種に追加したり同時に2つ以上の業種でも取得可能です。

建設業許可の要件

建設業許可を取得するためにはいくつかの要件を満たさなければなりません。建設業務の管理責任者の設置や安定した財産の保有などがあります。ここでは取得しなければならない6つの要件について解説します。ひとつずつ見ていきましょう。

経営業務の管理責任者を設置する

まずは経営業務の管理責任者を常勤で設置することが必要です。管理責任者になるための要件を満たした者が管理責任者になれます。管理責任者の要件は細かいため事前の確認が必要です。また、最低1名は必要となるため病気で休職したり退職したりすると常勤の管理責任者がいなくなってしまい許可が取り消される可能性もあります。不在になる期間がないように注意しましょう。以下が管理責任者の要件です。

いずれかに該当要件(1~5のいずれかに該当)
法人:常勤役員個人:個人事業主など1.建設業で管理責任者として5年以上の経験がある2.建設業で管理責任者に準ずる地位がある者として5年以上の経営業務の管理をおこなった経験がある3.建設業で管理責任者に準ずる地位がある者として6年以上の経営業務管理の補佐をおこなった経験がある

4.5年以上役員などの経験があり、かつ建設業で2年以上役員などの立場であり、常勤役員を補佐する立場として財務管理や労務管理、運営業務に携わった経験がある

5.建設業で2年以上役員などの経験があり、かつ5年以上役員等の立場で常勤役員などを直接補佐する役割として財務管理や労務管理、運営業務に携わった経験がある

専任技術者を設置する

専任技術者は見積もりや入札、請負契約の締結などにも対応できる建設業の専門的知識を備えた一定の資格を有する者を指します。専任技術者は営業所ごとに常勤の専任技術者を1名設置しなければなりません。専任技術者の要件は一般建設業か特定建設業か、建設業の種類によっても異なります。以下が専任技術者の要件で、いずれかに該当する必要があります。

  • 一般建設業許可
    1.指定学科修了者で、高校卒業後5年以上もしくは大学卒業後3年以上の実務経験がある者
    2.指定学科修了者で、専門学校卒業後5年以上、許可を取得したい建設業の建設工事で実務経験がある者
    3.指定学科修了者で、専門学校卒業後3年以上、許可を取得したい建設業の建設工事で実務経験があり専門士または高度専門士を称する者
    4.許可を取得したい建設業の建設工事で実務経験が10年以上ある者
    5.国家資格者
  • 特定建設業許可
    1.国家資格者
    2.一般建設業の専任技術者の要件を満たしている者で、指導監督的実務経験が2年以上ある者(許可を取得したい建設業で発注者から4,500万円以上の工事を請け負い、工事において2年以上指導監督的な実務経験がある)
    3.大臣特別認定者(指定建設業7業種で過去に特別認定講習を受け、当該講習の効果評定に合格、もしくは国土交通大臣が定める考査に合格)

誠実性がある

工事を請け負うにあたって請負契約の締結や履行に対して不誠実な行為や不正をおこなうなどの恐れが明らかに見受けられる場合は、誠実性がないと判断され建設業許可の取得はできないでしょう。誠実性が問われるのは建設業許可を申請している個人や法人、役員などです。

財政的基礎がある

財政的基礎があるというのは経済的な要件です。一般建設業と特定建設業では要件が異なります。それぞれの要件は以下の通りです。

  • 一般建設業の要件(1~3のいずれかに該当すること)
    1.自己資本額が500万円以上ある
    2.500万円以上の資金調達力
    3.許可申請前の5年間、許可をうけ継続して営業している
  • 特定建設業の要件(1~3のすべてを満たすこと)
    1.欠損額が資本金の20%を超えていない
    2.75%以上の流動比率
    3.資本金が2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上

欠格要件に該当しない

建設業法第8条、第17条に規定されているのが欠格要件です。具体的な例としては、虚偽の申請をした場合や犯罪歴がある場合、自己破産をして復権していない場合などが欠格要件に該当します。欠格要件は建設業許可申請を提出した行政庁が調査対象となる役員の調査をおこないます。犯罪歴は、調査によってすぐに判明するため注意が必要です。

社会保険に加入している

2020年10月に建設業法の改正があり、建設業許可の取得には健康保険など社会保険への加入が義務化されました。2020年10月以降に建設業許可を取得した事業者は社会保険等への加入をしています。しかし加入していない状態で、すでに建設業許可の取得をしている事業者もいます。有効期限が終了し更新する場合、加入していないと建設業許可の取得ができなくなるため注意が必要です。

建設業許可を申請する手順

それでは、実際に建設業許可を申請する際の手順について解説します。 3つの点に注意しておこなってみましょう。

1.申請先などの確認

まずは申請先の確認です。許可の種類によって異なるため「大臣許可」なのか「知事許可」なのか、自社がどちらに該当するかを確認しましょう。大臣許可で取得する場合は国土交通省の各地方整備局へ、知事許可で取得する場合は各都道府県庁への申請です。

2.許可申請書と必要書類の準備

次に、許可申請書と必要書類の準備です。国土交通省の公式サイトより確認が可能です。取得要件に該当しているかを証明する添付書類などは法人と個人や、工事の種類などによって異なり複雑なため申請先に問い合わせることをおすすめします。要件を確認して書類に不備がないようにしましょう。

3.予備審査と申請書を提出

書類の準備が終了したら請書の提出をします。一般的に提出したその場で予備審査があり、問題なければ正式に書類提出となります。また申請する際に手数料がかかるため準備していきましょう。申請先と一般建設業と特定建設業の一方か両方かで納付額が異なります。知事許可で建設業許可を取得する場合は9万円、大臣許可で建設業許可を取得する場合は15万円を納付します。その他にも事務手数料などが必要です。建設業許可の登録には1か月から3か月程度かかります。

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【まとめ】建設業許可の内容や申請方法をよく知ってスムーズに取得しよう

建設業をおこなう事業者は、大きな工事を請け負う場合には建設業許可の取得が必要です。
取得には要件があり、証明する書類を準備しなければなりません。建設業許可の内容や申請方法を知ることでスムーズな取得が可能です。申請する場合は要件を十分に確認して準備することをおすすめします。

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