【2023年】建設業界の動向は?建設業界の現状や今後の将来性などを徹底解説!

建設業界はオリンピックや都心の再開発なども手伝い、建設バブルと呼ばれるほど活気がありました。しかし新型コロナウイルスの感染拡大や物価高騰の影響もあり、現在は苦しい状況です。また以前から建設業界で言われてきた問題が浮き彫りになり、大きな転換期を迎えていると言えます。
今回は、建設業界の動向や現状について解説します。今回解説する内容を読めば、建設業界が抱える課題や今後の展望を予想することも可能です。建設業界の現状と今後について知りたい方は、ぜひご覧ください。

建設業界の動向

建設業界の動向を知ることで、今後自社はどのように事業を進めていけばいいか、大まかな指針が見えてくることもあります。ここからは次のポイントごとに建設業界の動向を解説します。

  • 建設投資額は増加傾向
  • 建設業就業者の減少と高齢化
  • 労働環境の現状
  • 建材資材の高騰

それぞれのポイントを具体的に見ていきましょう。

建設投資額は増加傾向

投資額の面で建設業界を見てみると、増加傾向にあります。2008年のリーマン・ショックや2011年の東日本大震災で建設投資は大きく沈み込みました。しかし東京オリンピックの開催決定から上向きはじめ、リーマン・ショック前を上回る投資額に成長しています。
建設投資額は増えて、建設業界全体の仕事は増えています。しかし採算がとれているとは言い難い現状です。なぜなら受注競争の激化や建設資材の高騰により、建設コストが大きく上昇しているからです。そのため、仕事はあっても儲からない建設会社は少なくありません。

建設業就業者の減少と高齢化

就業者の面で建設業界を見ると、就業者数の減少と高齢化が顕著になっています。就業者数は、平成初期と現在を比べると、200万人ほど減少しています。特に技術や技能を持つ就業者数は着実に減少しているため、多くの現場で技術を持った職人が不足している状況です。
また建設業界では就業者の高齢化が進んでおり、技術の継承が大きな課題となっています。日本全体で高齢化が進んでいますが、建設業界は産業の中でも特に高齢化が進んでいる業種です。全就業者のうちの3割以上が55歳で、29歳以下は1割ほどしかいません。そのため、多くの建設会社では就業者の確保が急務となっています。

労働環境の現状

労働環境も平成から令和に移り変わり、大きく様変わりしています。ここからは、以下の2点で労働環境の現状について解説します。建設業界の労働環境の傾向を把握して、人材確保のヒントにしてください。

  • 労働時間は減少傾向
  • 賃金は増加傾向

労働時間は減少傾向

建設業界の労働時間は減少傾向にあります。1年間の総労働時間は平成初期と令和3年では50時間ほど減少しています。しかし全産業で見た場合、同じ期間で比較して250時間以上減少しており、建設業界ではまだ労働時間の減少が進んでいません。
年間の出勤日数で見ても全産業では20年で21日減少しているのに対して、建設業では14日しか減少していません。日本全体で労働環境の見直しが行われていますが、建設業界ではまだまだ進んでいないというのが現状です。

賃金は増加傾向

建設業界では、就業者の数は減り労働時間の縮小幅も他の産業に比べて小さいです。しかし賃金の総支給額は、2012年から2019年の間で18%増加しています。全産業を通した同じ期間の賃金総支給額の上昇率は5%程度のため、賃金の上昇率は他の業界と比べても良い傾向にあります。
大きな要因としては、やはり東京オリンピックによる需要の増加です。それを表すかのように2013年から2019年にかけて大きく賃金が上昇しています。就業者数の減少に伴い技術や技能を持つ職人は貴重となるため、今後も上昇する可能性があります。

残業代の上限規制の導入で建設業はどう変わる?

2024年4月から建設業界で残業の上限規制が導入されます。建設業における残業時間の上限規制と計算方法について、変更になった点などについてはこちらの記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
【2023年最新】建設業の残業代の計算方法について徹底解説!

建材資材の高騰

工事で使用する建材や資材の価格は現在高騰しています。それに伴い工事費が増加しているため、多くの建設業者の経営を苦しめている原因の1つです。特に令和2年の後半から多くの建材の価格が上昇し、中には僅か1年で50%も高騰している建材もあります。
なぜこうまで建材の価格が上昇しているかというと、円安による輸入価格の高騰が原因の1つです。2022年の初頭は1ドルあたり115円でしたが、現在では150円を前後しています。またロシアとウクライナの情勢がまだまだ不透明なことも、建材価格に影響を及ぼしています。

【2023年】建設業界の現状

続いては、2023年現在の建設業界の現状を解説します。先ほど動向を解説する中で、建設投資額は増えていることを紹介しました。しかし、建設コストの増加や労働環境の面で厳しい実情もあります。そこで建設業界の現状をより具体的な問題とともに見ていきましょう。建設業界の現状で、のしかかる大きな課題は次の2つです。
コロナが回復しても厳しい
空き家が増えている
それぞれの課題について解説していきます。同じ課題で対応に苦慮している方は参考にしてください。

コロナが回復しても厳しい

2020年の初頭から流行しはじめた新型コロナウイルスは、世界中を巻き込む大きな問題となりました。国内でもあらゆる産業が影響を受け、建設業界も例外ではありません。
新型コロナウイルスの感染拡大前までは、建設バブルとも言えるほど建設業界は活気づいていました。しかし感染の拡大により、好調だった建設投資額も減少し、建設業界の勢いにブレーキがかかりました。また近年の円安やロシアとウクライナの情勢から物価が高騰し、建設コストの増加に耐えられなくなった建設会社の廃業も増えています。

空き家が増えている

空き家が増えていることも、建設業界にとっての課題の1つです。日本では昭和40年代から空き家が増えはじめ、今では全国で約800万戸の住宅が空き家になっています。中には管理状態も不明確で、近隣に悪影響を及ぼす空き家も増えてきています。
そういった現状を変えるために、政府は空き家となっている住宅のリノベーションに対して、いくつも補助事業を打ち出しました。建設業界も政府の動きに合わせ、空き家のリノベーションに取り組み、生まれ変わった住宅が注目を集めています。

建設業の今後の見通し

ここからは、建設業界の今後の見通しを解説します。建設業界の今後を見通すうえで、次の3つの課題からは逃れられません。

  • 人手不足の深刻化
  • 短中期的には需要の安定
  • SDGsなど脱炭素化に向けた取り組みの活発化

建設業界の今後を見通すうえで、3つの課題をどのように解決するかが重要です。それぞれの課題を掘り下げていきますので、どう対処すればいいか検討してみてください。

人手不足の深刻化

人手不足の深刻化に対して真剣に対応を検討しなければ、建設業界の今後の見通しは立ちません。建設現場で働く人の数は、1997年をピークに減少の一途を辿っています。若い就業者は減り、働いている人は年々高齢化し、多くの現場で作業員が不足する事態に陥っています。そして抜本的な改善がなされなければ、今後も人手不足は止まりません。
高齢になった作業員の引退などもあり、数年以内には高い技能を持った作業員の数が数十万人不足するという試算もあります。そのため、すぐにでも技能を持った作業員を育てなければいけません。

短中期的には需要の安定

今後の建設業界は短中期的には安定した需要が見込まれると考えられています。なぜなら、首都圏を中心とした再開発やリニア新幹線、大阪万博など大きな工事を伴うプロジェクトが動いているからです。また老朽化したインフラの整備もあるため、しばらくは仕事に困らないというのが建設業界の見立てです。
しかし止まらない人口減少に伴い、長期的には建設業界の市場も縮小していくという見立てもあります。市場が縮小すると受注競争は激化し、経営が苦しくなる建設会社も増えていきます。そのため、長期的な視点でどのように対応していくかが重要です。

SDGsなど脱炭素化に向けた取り組みの活発化

現在、多くの業界でSDGsに関する取り組みが行われています。SDGsには貧困の解消や機会の平等など数多くの目標がありますが、建設業界で取り組まれているのが環境への配慮です。二酸化炭素をプラスマイナスゼロの状態へと目指す取り組みなどが、進められています。
そのため現在現場で使用されている建材には環境へ配慮したものも多く、こうした建材の採用を歓迎する傾向にあります。さまざまな分野での環境への配慮は世界的な取り組みのため、今後はこうした動きへも積極的に参加することが経営を助けることにつながります。

建設・建築業界でできるSDGsと企業の取り組み事例

建設業ではすでに積極的にSDGsに取り組んでいる企業も多くあります。
・大和ハウス工業株式会社
・株式会社LIXIL
・大成建設株式会社
・株式会社竹中工務店
こうした企業の取り組み事例や建設・建築業界でできるSDGsについてはこちらの記事で詳しく紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
建設・建築業界でできるSDGsとは?企業の取り組み事例も紹介

建設業界が将来生き残るためには

ここまで解説した通り、現状や動向の中には解決すべき課題が数多く含まれます。スーパーゼネコンなど建設業界をけん引する建設会社は、こうした課題の解決に既に取り組みはじめています。建設業界が将来生き残るために行われている取り組みは、次の4つです。

  • 海外へのインフラ展開
  • 労働環境の改善
  • 生産性の向上
  • 安定的な事業経営を目指す

それぞれどのような取り組みか解説しますので、自社でも対応できないか検討する材料にしてください。

海外へのインフラ展開

国内の市場縮小を見越して、海外でのインフラ展開も進められています。日本のインフラ技術は世界的な評価も高く、日本と各国の関係に良い影響を与えることが可能です。また海外展開を進めることで、国内での雇用創出も見込まれています。
政府でもこうした動きを支援すべく、海外へのインフラ展開を後押しする施策が進められています。そして海外へのインフラ展開は少しずつ広がりを見せているため、大きなプロジェクトへの参画により、新たな市場の開拓も夢ではありません。

労働環境の改善

建設業界では労働条件を改善し、働きやすい環境づくりに向けた取り組みを進めています。先ほども解説した通り、建設業界は他の業界に比べて賃金の上昇率は高めです。しかし労働時間は20年前と比べて大きく変化はしていません。
こういった状況を変えるために、建設業界では適切な賃金水準の確保や週休2日の実現といった施策に取り組んでいます。また女性が働きやすい現場作りや教育機会の充実などにも取り組み、労働環境の改善を進めています。
【2024年~】建設業週休2日の義務化はいつから?メリットや注意点・対策についても解説

生産性の向上

現在、建設業界では生産性向上のためにDXなどを活用した仕組み作りが行われています。ITを中心とした最新技術の導入により、人材不足や労働環境の改善といった建設業界が抱える課題の解決が期待されています。
またDXの推進により、期待されるのは人材不足や労働環境の改善だけではありません。建設コストの改善や情報の共有など、今後の建設業界の発展に欠かせない仕組みの構築も可能です。DXによる変化を活用することで、建設業界を悩ませる課題の解決が期待できます。

安定的な事業経営を目指す

また建設業界全体の安定的な事業経営を目指して、政府がさまざまな制度の整備を進めています。政府が進める制度の整備により、安定的な事業経営と円滑な事業承継が可能となりました。こうした制度はさまざまな業界で利用されており、制度による恩恵を受けているのは建設業界だけではありません。
建設業界においては安定的な経営のための要件が定められ、要件に適合しない会社に対しては、厳しい対応を取ることもあります。しかし建設業界全体で安定的な事業経営を目指して、健全な方向性で変化を続けています。

【まとめ】建設業者が生き残るためには動向や現状をしっかり把握しておこう!

2023年現在、建設業界は数多くの課題を抱えています。人材不足や労働環境、建材価格の高騰など、どの問題も解決には時間のかかる問題ばかりです。また新型コロナウイルスの影響による工事の減少や、将来の市場縮小は建設業界全体で解決に向けて取り組まなければいけません。
どの課題も解決までの道のりは険しいものばかりですが、解決策の取り組みも進んでいます。大きな変化を迎えている建設業界で生き残るために、自社にとってどういった取り組みが適切かを検討し、実践してみましょう。
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