施工管理と工程管理の違いとは?四大管理や管理方法を徹底解説

施工管理 工程管理

建設工事の現場では、施工管理が重要です。施工管理も工程や原価、品質などにわかれており、それぞれの違いを把握しなければスムーズに工事を進められません。そこで、今回は施工管理と間違われやすい工程管理について解説します。それぞれの違いや工程管理の方法、注意点を把握して効率的な現場の進行方法を学びましょう。

施工管理は何をする仕事か

工程管理との違いを学ぶ前に、施工管理とはどのような仕事かを見ていきましょう。ここでは、施工管理について次の3つの点に分けて解説するので、それぞれの点からどのような業務か把握しましょう。

  • 施工管理とは
  • 現場監督との違い
  • 工程管理との違い

施工管理とは

施工管理をわかりやすく言葉にすると、工事全体を管理する仕事です。工事全体の管理とは、工期に間に合わせることはもちろん、所定の品質を実現し安全を確保するために指揮を執ることです。

施工管理は現場で工事に指揮を執るだけではなく、書類作成や原価管理と言った事務的な業務も必要なため、多岐にわたる能力が求められます。

現場監督との違い

建設工事のまとめ役と聞くと現場監督をイメージする人もいますが、施工管理と現場監督は似て非なる仕事です。現場監督は、名前の通り工事現場の作業を管理・監督する仕事です。あくまで現場作業を管理するだけのため、事務的な作業は行いません。一方、施工管理は現場を含めて工事全体を管理する仕事のため、デスクワークや関係先との交渉なども行います。こうした、業務範囲が現場監督と施工管理の違いです。

工程管理との違い

施工管理と工程管理を混同して考えてしまう人もいますが、それぞれは明確に違います。施工管理は、先ほどから解説しているように工事全体を管理する仕事です。

一方で、工程管理は作業が計画通りに進むように現場を管理することが主な業務です。工事全体を管理する仕事が施工管理であり、作業の進捗を管理するのが工程管理と認識しておきましょう。

四大管理とは

ここでは、施工管理の業務を4つの大きな区分に分けて解説します。それぞれの管理は役割や業務の内容が全く異なるものの、密接に関係しています。4つの管理の特徴や業務の内容を把握して、工事全体の管理はどのように進めていくかを把握しましょう。

  • 工程管理
  • 原価管理
  • 品質管理
  • 安全管理

工程管理

工程管理は先ほども解説したように、工事の進捗状況を管理することが主な仕事です。建設工事では多様な作業が行われ、それぞれに日程が設定されます。日程は施工を担当する業者などの都合や天候による工事内容変更などもあり、計画通りに進むことはほとんどありません。そのため、工程が計画とズレることがわかった際は、早めに関係者と調整することが重要です。

原価管理

原価管理は、工事にかかる費用を管理する仕事です。工事に使用する資材や作業員の人件費、重機を手配する場合のレンタル費用など、工事で使われる全ての費用に目を光らせて管理しなければいけません。発注者から請け負った金額の中で適切な利益を確保するためには、単価や数量が適切か、無駄がないかを精査することが重要です。

品質管理

品質管理とは、発注者が求める強度や密度などの品質を実現するために工程ごとに確認を行うことが主な仕事です。求められる品質は設計書や仕様書に明記され、工程ごとに確認を行い、試験結果などを写真などで資料として残します。品質は建築物の機能や耐久性に直接影響するため、必ず所定の数値などを守らなければいけません。

安全管理

安全管理は、工事で事故が起きないように注意事項を周知したり、点検したりすることが主な仕事です。建設工事では危険な場所で作業をしたり、作業そのものが危なかったりすることが日常的です。作業員も危険性を把握し対策をとりますが、事故がゼロになることはありません。そのため、現場全体を点検し、危険を取り除く安全管理が重要になります。

優先すべきは品質管理

4つの管理項目はどれも重要ですが、中でも優先すべきは品質管理です。なぜなら、品質は、工事の完成後に大きな影響を及ぼすからです。工程の遅れや原価の超過などは、いくらでも調整ができます。しかし、品質は一度施工が済んでしまえば変更や調整などはできません。いくら安価で早く工事が完了しても、品質が守られていなければ意味がないため、品質管理は特に重要とされています。

工程管理が必要な理由

工程管理も重要な管理項目の1つですが、なぜ行うのか、その理由を見ていきましょう。ここでは、工程管理が必要な理由を次の5つの点に分けて解説します。それぞれの理由を把握して、適切な工程管理を行う際の参考にしてください。

  • 納期をコントロールするため
  • 高品質を達成するため
  • 工事の効率化のため
  • コストを無駄にしないため
  • 工事中のトラブル回避のため

納期をコントロールするため

工程管理が必要な最大の理由は、納期をコントロールするためです。工事は、完了期限までに全ての作業が完了している前提で行われます。納期を守るためには、細かな作業を含めて全ての作業の日程を綿密に管理しなければいけません。納期が守られなければ発注者だけではなく、建築物を利用する全ての人に大きな迷惑がかかる恐れがあります。そのため、工程管理で納期をコントロールしなければいけません。

高品質を達成するため

工程管理は、高品質の達成という面でも重要です。品質を管理するためには、他の作業との調整も必要です。作業の前後を入れ替えたり作業スケジュールを伸ばしたりして工程を管理することで、求められる品質の確保も可能となります。所定の品質を達成するためには、工程管理も重要になることを把握しておきましょう。

工事の効率化のため

工程を適切に管理することで、工事全体の効率化が図れます。工事全体を効率化できれば、投入する作業員や重機も最適化され、無駄のカットも可能です。全体の工程を細かい部分まで把握すれば、スケジュール的に余裕のありそうな作業や逆になさそうな作業が見えてきます。そういった面から、工程管理は発注者や下請業者にとっても有益な役割があります。

コストを無駄にしないため

工程管理をすることで、コスト面での無駄を減らせます。先ほど、工程管理は工事の効率化につながることを解説しました。工事を効率化すれば、作業員や重機、仮設の使用を適切な範囲に抑えられます。工程管理を行わないと、こうした面で無駄が生じてしまい、不要なコストの発生は抑えられません。そのため、適切な費用で工事を行うためにも工程管理は重要な業務です。

工事中のトラブル回避のため

工程を管理することで、トラブルの回避にもつながります。工程を管理することなく工事を進めれば、遅れなどが生じて残業や夜間作業が発生する恐れもあります。残業や夜間作業は事故が起きる原因となるため、極力発生させないようにしなければいけません。さらに、工程管理を行えば、トラブルが起きた際も余裕を持って対応が可能です。

工程管理の基本

工程管理は、PDCAサイクルを回すことで効率化が可能です。ここでは、工程管理でPDCAサイクルを回す方法を具体的に紹介します。PDCAの4つの段階で、どのようにすれば効率的な工程管理ができるかを把握して、無駄のない工事の参考にしましょう。

Plan:工程計画の立案

工程管理においてPDCAの「P」は、工程計画の立案に該当します。工程計画は工程表を作成し立案しますが、その際は次の点を意識することが重要です。

  • 品質
  • 原価
  • 進捗予定
  • 天候による損害
  • 経営的な数字

上に挙げた点を意識し、全てにおいてバランスよく施工できるように計画を立てることで、効率的な工程管理にもつながります。

Do:作業の指示と指揮

工程管理におけるPDCAの「D」は、現場で工事の指揮や指示を行う段階です。計画通りに工事を進めるために作業員に指示を出しますが、それでも予定通りにできないことは日常的にあります。できるだけ遅延を発生させないためには、作業員と綿密に打ち合わせを行い、懸念点や心配な部分を事前に把握して対策を検討しておきましょう。

Check:計画と進捗状況の確認

工程管理におけるPDCAの「C」では、進捗状況を確認して必要に応じて変更を行います。作業は予定通りに進んでいるか、問題が発生していないかをチェックしましょう。予定通りに進んでいても、作業員が無理をしたり、余分な費用をかけたりしていないかをあわせて確認することが重要です。小さなことにも目を光らせて、無理のない工程で工事を行いましょう。

Action:工程の修正

工程管理におけるPDCAの「A」では、遅れが生じていた場合、原因に沿った対策をとります。天候による遅れであれば工期を延長し、材料や人員の不足といった原因の場合、確保のための手段を検討します。重要なのは、遅れによる影響を小さくすることと、同じことを繰り返さないことです。トラブルが起きた際は原因を究明し、今後の工事に活かしましょう。

効率的な工程管理の方法

ここでは、効率的な工程管理の方法を解説します。規模の大きい工事ほど工程管理は複雑化するため、効率的に行うためには、次の2つの方法を実践してみましょう。これから解説する方法の特徴を踏まえて、どのように工程管理に活用できるかを検討してみてください。

  • エクセルを使う
  • アプリを使う

エクセルを使う

効率的な工程管理のためには、エクセルを使う方法があります。エクセルで工程管理を行えば、変更があれば随時更新できるため、作業予定を常に最新の状態で把握できます。工程表をエクセルで作ることが面倒という人は、インターネットで公開されているテンプレートを利用しましょう。ただし、大規模工事や煩雑な工程が入り混じった工事では、エクセルは管理しづらいことがあるため注意が必要です。

アプリを使う

近年は、工程管理に特化したアプリが配信されているため、そういったものを使う方法もあります。アプリであればスマホで操作できるため、現場で打ち合わせをしながら工程の変更なども可能です。アプリを導入するためには費用が初期費用や運用費用がかかる点がデメリットとなります。しかし、業務の効率化という点では、アプリの利用もおすすめです。

工程管理を行う際の注意点

工程管理の方法について把握したところで、次は注意点を見ていきましょう。工程管理をなんとなくやっていると、どこかでミスが生じて工事に遅れが出る恐れがあります。そういった事態にならないように、次に挙げる点に注意して工事全体の流れを管理しましょう。

  • 協力会社と綿密なコミュニケーションをとる
  • 修正は即座に行う
  • 進捗はバランスよく管理する

協力会社と綿密なコミュニケーションをとる

工程を管理する上で重要なことが、協力会社との綿密なコミュニケーションです。建設工事は協力会社なしでは成り立ちません。実際に作業を行う作業員と作業について細かく打ち合わせをすることで、明確な工程が把握できます。そのため、工程管理をする際は、関係する全ての協力業者と入念にコミュニケーションをとりましょう。

修正は即座に行う

工程管理をしていて、修正や変更が必要になった際は、即座に対応しましょう。なぜなら、修正や変更が必要になったにも関わらず放置していると、工事が計画通りに進まなくなるからです。放置した分だけ、修正には時間と労力が必要になります。そうならないためにも、工程の修正や変更が必要な際はすぐに対応することが重要です。

進捗はバランスよく管理する

工事の工程は、バランスよく進捗を管理しましょう。遅延への対応は当然ですが、順調に進んだ結果、作業員の手が余ってしまう状況は好ましくありません。作業員の手が余ると、無駄なコストが発生するだけです。時間に空きができるようであれば、後ろの工程で行う作業を前倒しにするなどの対応をとってください。そして、工事全体がバランスよく進む方法を検討しましょう。

工程管理で使える工程表

工程管理では、工程表の作成が欠かせません。工程表にもいくつか種類があるため、適切なものを使うことで、より効率的に工程管理が行えます。ここでは、次の4つの工程表を解説します。それぞれの特徴を把握して、工事に適した工程表を選びましょう。

  • バーチャート
  • ガントチャート
  • グラフ式
  • ネットワーク式

バーチャート

バーチャートは、日付を横軸に記載して工程の種類を縦軸に記載する方式の工程表です。工程ごとの作業開始日と終了日、工事期間が把握しやすく、工程表の中でも特に使われることが多い形式です。

バーチャートは、工程を縦に並べて工事期間を記載するだけのため、運用も難しくありません。しかし、工程同士の関連性がわからないため、複雑な工事にはあまり向いていません。

ガントチャート

ガントチャートは、縦軸はバーチャートと同じく工程です。しかし、横軸は日付ではなく進捗率です。進捗率で工程の状況を表すため、工事全体の進み具合を把握しやすい点が、利用するメリットとして挙げられます。

しかし、バーチャート同様に工程同士の関連性が把握しづらいため、大規模な工程管理には不向きな工程表です。

グラフ式

グラフ式表は、縦軸に進捗率、横軸に日付を記載した工程表です。そこに各工程を線で書き込むことで、工程を管理します。日付と進捗率を同時に把握できるため、遅れなども把握しやすい点が特徴です。

ただし、バーチャートやガントチャートより作成が難しく、1度見ただけではわかりづらい点がデメリットとして挙げられます。そのため、運用するには習熟が不可欠です。

ネットワーク式

ネットワーク式は、「〇」と「→」で工事のスケジュールを記載する工程表です。〇と→をつなげて記載する形式のため、同時進行や前倒しできるタスクを把握しやすい点が特徴です。

効率的なタスク管理を行えるため、大規模な工事などの工程管理に向いています。作成や変更には工事の専門的な知識が必要なため、経験が少ない人には、運用が難しい工程表です。

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【まとめ】効率的な工程管理でコスト削減と高品質の両立を目指しましょう

建設工事の施工管理において工程管理は、工期だけではなく所定の品質達成や費用の最適化、安全性確保のために不可欠です。また、管理するためには現場の状況を細かく把握する必要があるため、簡単にできることではありません。今回はそうした工程管理を少しでも行いやすくするための方法を解説しました。解説した内容を参考に工程管理に取り組み、安全で高品質な現場作りを目指しましょう。

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