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建設業のサラリーマンを辞めて独立した個人事業主が、これまでは会社で持っていた「建設業許可」を、自分は所得しようかどうしようか、と迷うケースがあるかと思います。この記事では、建設業許可取得の具体的なメリット、取得の注意点や必要なもの、などについて説明しています。ご自身が最終判断を行う際の、ご参考にしてください。
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建設業許可を個人事業主で取得するメリット
まずは、個人事業主が建設業許可を取得するメリットを、おさらいしてみましょう。「建設業許可取得」そのもののメリットと、「法人が建設業許可を取得する場合と比較」したときのメリットをそれぞれご紹介します。
メリット1:会社設立が不要
最初の二つは、「法人と個人事業主」を比較した場合の、個人事業主のメリットです。
「個人事業主のままでいる」ということは、「法人設立のための手続きが必要ない」ということを意味します。法人設立には、かなり煩雑な手続きを踏まなくてはならず、個人では手に負えずに司法書士等に依頼する場合は、それなりの手数料が必要になるというデメリットがあります。
会社設立の手続き概要は、以下のとおりです。
・会社の基本事項(商号、事業内容、資本金、発起人、事業年度など)を決める
・基本事項を元に定款を作成して公証人の認証を受ける
・出資金(資本金)の払い込みをする
・会社設立登記の申請をする
メリット2:経費が少ない
法人との比較の二つ目ですが、「必要となる経費が少ない」ことがあげられます。
法人では従業員の人数にかかわらず、社会保険(健康保険と厚生年金保険)への加入が義務付けられます。そして、その保険料の半額は会社が負担します。
個人事業主の場合は、従業員が4名以下でいる限り、社会保険料の事業主負担は発生しません。
メリット3:500万円以上の工事を受注できる
今度は、「建設業許可取得」そのもののメリットです。
国土交通省の建設業許可の説明では、【建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。】となっています。ここで軽微な工事とは、500万円(税込)未満の工事をいいます。逆にいうと、500万円(税込)以上の工事を請け負うには建設業許可が必要になります。
メリット4:信用度が上がる
建設業許可取得は、イコール大きな工事を請け負うことができる、を意味しますから当然に会社の信用度は上がります。また、許可番号を名刺に表示することもできます。
また最近は、「ずっと取引してきた元請けから、これまで言われたことがなかったのに、突然、建設業許可を取得しないと今後、取引できないと通告された」というケースが増えてきています。確かに法的には必須ではないものの、発注者の立場に立つと、許可を受けている業者は「経営面、技術面、管理体制面」で一定の信用があると判断できるのです。
建設業許可を個人事業主で取得する際の注意点
建設業許可を取得するための要件は、以下の5項目あります。そのうちの3項目と、最近法改正された「個人事業主が法人化(「法人なり」という)」する場合のケースについて説明します。
・経営業務の管理責任者(がいる)
・専任技術者(がいる)
・誠実性(がある)
・財産的基礎(がある)
・欠格要件(に該当しない)
注意点1:経営業務の管理責任者になる必要がある
個人事業主が、以下の1~3の要件のいずれかを満たしていなければなりません。
1.許可を受けようとする建設業に関し、5年以上の取締役や執行役員の経験を有する場合
建設工事29業種のうち、これから建設業許可を取得しようとする業種について1.の経験がある場合、経営業務の管理責任者になれます。
2.許可を受けようとする建設業「以外の建設業」に関し、6年以上の取締役や執行役員の経験を有する場合
これから許可を受けようとする業種「以外の業種」について2.の経験がある場合、経営業務の管理責任者になれます。たとえば、これまで塗装工事業の経営経験が6年以上あり、このたび防水工事も始めたいという場合、防水工事の経営経験が無くても経営業務の管理責任者になることができます。
3.許可を受けようとする建設業に関し、6年以上の経営業務を補佐した経験を有する場合
【出典】塩谷豪著「建設業許可の取得・維持管理のことがよくわかる本」より一部抜粋
注意点2:専任技術者になる必要がある
以下の要件を満たす必要があります。
1.国家資格などを取得していること
たとえば、二級建築士の資格を有していれば、建設業許可29種のうち「建築一式」「大工」「屋根工事」「タイル・レンガ」「内装仕上」に関して専任技術者になることができます。第二種電気工事士は、「電気工事」の専任技術者になれます。
2.十年以上の実務経験を有すること
3.高校・大学等の指定学科を卒業し、一定年数の実務経験を有すること
注意点3:誠実性を示す必要がある
建設業許可の規定によると、「許可申請者が請負契約などに関して不正や不誠実な行為をすることが明らかな場合、建設業許可を取得できない」とされています。
具体的には、建設業法、建築士法、宅地建物取引法などで、「不正な行為」または「不誠実な行為」を行ったことにより、免許等の取消処分や営業の停止等の処分を受けて5年を経過しない事業者は、「誠実性のない者」として取り扱われます。
不安な場合は、行政書士等に相談してみましょう。
注意点4:法人化する場合(法改正後)
注意点というより、デメリットがなくなった、というべき項目です。
個人事業で開業しても、業績が順調で職人を雇ったり規模が大きくなってくると、「法人化(法人なり)」したいと思うのが普通の流れです。
しかし建設業許可に関していえば、ついこの間まで「資格の引継ぎができなかった」のです。つまり、建設業許可をもつ個人事業主が法人なりする場合、個人の廃業とともに資格を返上し、法人設立後資格を再申請する、という手順が必要でした。
これが「引継ぎ可能」に法改正されました。
建設業許可を取得する際の個人事業主と法人の違い
建設業許可取得に関する、個人事業主と法人の場合の違いをみていきます。
まずは、経営業務の管理者や専任技術者の役割に関してです。個人事業主は原則として一人ですから、すべての役割を個人でこなす必要があります。それに対し法人や、それぞれの有資格者で役割分担することができます。ただ、役割を担っている人が退社や転勤する場合、許可の条件が途切れないように配慮する必要があります。
また先ほど、「個人から法人への資格引継ぎがオッケー」といいましたが、たとえば個人事業で親子で業務しているケースで、有資格者の親が亡くなった場合。この場合は、子に引継ぎはできません。
建設業許可を個人事業主で取得するのに必要な書類
さて、いよいよ建設業許可の申請にあたり、必要書類を集めます。さきほど、「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」の条件を説明しましたが、その裏付けとなる資料を集めることになります。
経営業務の管理責任者になるために必要な書類
まずは、5年(あるいは6年)の他法人の取締役経験がある場合です。このときは、履歴全部事項証明書を法務局で発行してもらえばいいでしょう。執行役員や補佐する立場だった場合は、その会社に依頼して「勤務証明書」などを作成してもらいます。
問題は、個人事業として業務開始してから5年(あるいは6年)経過しており、それを証明する場合です。具体的には、その年数分の確定申告書のコピー(税務署受付印のあるもの)に加え、その間の工事契約書や注文書と請書のセット、などを揃えます。
専任技術者になるために必要な書類
国家資格がある場合は、その免状(原本)があればオッケーです。
学歴プラス実務経験の場合は、卒業した学校に問い合わせて「卒業証明書」と「履修科目証明書」を取り寄せます。実務経験に関しては、契約書、注文書・請書、請求書などが必要になります。
また、これら証明書は自治体によって難易度が異なるようです。事前に都道府県の担当部署や行政書士に相談しながら進めるのがいいでしょう。
【まとめ】建設業許可を取得することで様々なメリットあり!要件や必要書類も要チェック
ここまで、個人事業主が建設業許可を取得する方法などについて、解説してきました。手続きはかなり手間がかかりそうです。しかし、その受けるメリットも大きいですし、昨今はコンプライアンスの観点から、下請け業者には「建設業資格が必須ではない規模の工事でも資格を求める」ケースも増えてきています。資格がないと、実質的に下請けから排除されます。
今後、建設業界で生き残るためには、建設業許可の資格が必須のものになりつつあります。皆さんも、取得に前向きに取り組んでみませんか。