建設業許可の取消しになる2パターンや対応策をわかりやすく解説

建設業許可 取消し

建設業で500万円以上の工事をする際に不可欠な建設業許可は、取消しになるケースもあるのはご存じでしょうか。取消しになるとその後5年間許可が受けられなくなるため、不利益の大きさは計り知れません。
許可取消しのリスクを回避するために、取消しになるパターンや具体例、対応策について解説していきます。

建設業許可が取消しになる2つのパターン

建設業許可が取消しになるケースは、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。

  • 不利益処分による建設業許可の取消し
  • 届け出による建設業許可の取消し

不利益処分による建設業許可の取消し

不利益処分とは一度受けた許可が取消しになる、あるいは営業活動が停止になるなどの処分を指します。
不利益処分となる基準は明確に定められていませんが、多くは事業所の建設業法に対する違反行為などで処分が行われます。基準を明記するとそれに対する脱法行為や隠ぺい行為が横行するリスクがあるため、不明瞭なままであるのではないかと言われています。

届け出による建設業許可の取消し

建設業許可が継続できない要件に該当すると判断し、事業者自ら事務的に許可を取り消すケースもあります。これは届け出上の取消し、あるいは手続き上の取消しと言われています。要件への該当以外にも、廃業の際や営業の実態が見られない場合も、この処理を行います。

建設業許可が取消しになる具体例

建設業許可が取消しになる具体的な事例を

  • 不利益処分による建設業許可の取消し
  • 手続き上による建設業許可の取消し

以上の2つのパターンに分けて説明します。

不利益処分による建設業許可の取消し

不利益処分による建設業許可の取り消しは、以下の事案に該当する場合に行われます。

  • 不正な手段で建設業許可を取得した
  • 経営業務の管理責任者や専任技術者がいなくなった
  • 指示処分や営業停止処分となった
  • 欠格要件に該当する

不正な手段で建設業許可を取得した

建設業許可における不正な手段とは、建設業法の第29条第1項第5号に定められています。
例えば、経営管理責任者や専任技術者が必要な実務経験や国家資格を所持していないのに虚偽の申告をしている場合が挙げられます。

経営業務の管理責任者や専任技術者がいなくなった

建設業許可取得のためには、必要要件を満たした管理責任者と専任技術者を設置しなければなりません。
管理責任者になるためには以下の要件を満たす必要があります。

  1. 管理責任者あるいはそれに準ずる立場で建設業務において5年以上の経験
  2. 管理責任者に順じる立場で、管理責任者を補佐する業務での6年以上の経験
  3. 建設業での2年以上の役員経験かつ、5年以上の常勤役員などの立場で財務や労務に関わった経験
  4. 5年以上の役員経験かつ、建設業で2年以上常勤役員などの立場で財務や労務に関わった経験

専任技術者の要件は一般建設業と特定建設業で異なりますが主に以下の要件になります。

  1. 建設業の種類に応じて定められた国家資格を持っている
  2. 10年以上の実務経験
  3. 指定学科を卒業した経験がある

これらの要件を満たした者が、退職などによっていなくなり人員補充がされない場合は建設業許可が取消しになります。

指示処分や営業停止処分となった

営業停止処分や監督行政庁による指示処分に違反した場合も、建設業許可取り消しの処分になります。

また、独占禁止法や刑法あるいは一括下請負禁止規定などに違反した場合、営業停止処分や指示処分を経ずとも建設業許可が取り消しになるケースもあります。

欠格要件に該当する

対象者が欠格要件に該当するようになった場合も、建設業許可取り消しの対象になります。対象者の範囲は法人の場合以下の通りです。

  • 代表や専務などの取締役
  • 相談役や顧問
  • 支店長や営業所長などの使用人
  • 5%以上の議決権を有する株主

欠格要件は具体的に以下の通りです。

  • 過去の建設業許可取消しから5年以内
  • 禁固以上の刑の執行、あるいは免れてから5年以内
  • 破産者で復権を得ていない
  • 暴力団あるいは暴力団を脱退してから5年以内
  • 心身の障害で経営の判断ができない

また、自己資本や資金調達力が500万円以下で財務的基礎がないと判断された場合も、建設業許可取消しの処分になります。

届け出による建設業許可の取消し

届け出の建設業許可の取消しに該当するのは、主に事業所が廃業になったときです。また、建設業許可を受けたのに関わらず1年以上営業が開始されない、もしくは継続して1年以上営業の実態が見られない場合もこのケースに該当します。
廃業届を許可行政庁に提出すれば、建設業許可の取り消し処分は実施されます。手続きによって自主的に建設業許可を取り消した場合、5年待たずに新しく建設業許可を申請できるという特徴があります。

建設業許可の取消しへの対応策

もし不当な処分によって建設業許可の取り消しがあった際、聴聞を活用することで弁明の機会が与えられます。以下で聴聞について2つに分けて説明します。

  • 聴聞の機会
  • 聴聞の手続き方法

聴聞の機会

行政から建設業許可の取消しが行われた場合、事業者が行政に意見を述べ、説明を求めることができる機会を「聴聞の機会」と言います。これは行政手続法第13条の「意見陳述の機会の付与の原則」で定められている権利です。
意見陳述の機会は個人の地位のはく奪などの重い処分に対しては「聴聞」、営業停止などの比較的軽い処分に対しては「弁明」の機会が当てられます。

聴聞の手続き方法

聴聞の機会を利用する場合、以下の3つの流れに沿って手続きを行います。

  1. 通知書面の確認
    行政機関からきた許可取消しに関する書類を確認する。そして、不利益処分の根拠となる法令条項や聴聞の期日を確認し、出席できるか、反論できる証拠書類があるかなどを確認します。
  2. 証拠書類などの準備
    聴聞の期日までに、証拠となる書類を集め意見をまとめます。必要であれば弁護士や行政書士などの代理人も立てましょう。その際、処分の根拠となる書類を閲覧しに行き、反論できるものを用意することが大切です。
  3. 聴聞の機会に出席

聴聞の機会で、建設業許可取消しとなる根拠がないことを、証拠書類と共に説明します。不利益処分の取消しが認められない場合、訴訟に持ち込むケースもあります。

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【まとめ】建設業許可が取消しにならないよう日々注意しよう

建設業許可がもし取消しになった場合、5年間の新たな許可申請が行えないだけでなく社会的信頼も失ってしまいます。許可取消しにならないよう、正しい知識と倫理の元経営を行いましょう。万が一建設業許可が取消しになるような事象に該当する事態が発生した場合は、事業者の届け出で建設業許可を自主的に取り消し、問題を解決してから再度申請を行ってください。

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