解体業で独立する方法とは?必要な許可や登録・個人と法人の違いについても解説

解体業として独立する場合についての、いろいろな条件に関して解説しています。
「いま、解体業のサラリーマンだけど独立したい」と思い立った時、どんな手順で、どんな資格が必要で、資金はどれだけあればいいのかなどについて説明していきます。これを読めば、解体業者としての起業が、夢ではなく現実としてイメージできるものと思います。しっかり準備して、後悔のない独立を果たしましょう。
さて、まずは解体業についてのおさらいからです。

解体業とは

解体業とは、建物および付随する建築物を取り壊す仕事のことです。ビルやアパート、戸建て住宅、倉庫、工場など、どんな建物であれ取り壊しするのが解体業です。
解体業には専門知識が必要です。何の業種でも知識は必要なのですが、解体業に関しては正しい知識で正しい解体をしないと、隣接する建物に被害が生じる可能性があります。
具体的な解体作業ですが、人力や重機を使って行います。最初にユンボなどの重機で大部分を解体した後、ハンバーやバールなどを使い人力で作業を続けます。

解体業として独立するために必要なこと

独立のために必要なものは、以下のとおりです。
1.建設業許可
2.解体工事業登録
(注)とりあえず解体工事業登録していれば、小規模な解体工事は受注可能。大きな工事も請け負いたい場合は建設業許可を受けます。詳しくは後述します。
3.必要な資格取得、資格取得のための講習受講
必要な資格としては、重機操作関係、アスベスト関連、その他に分類されます。これについても後述します。
4.独立(会社設立または個人事業開業)

解体業として独立するために必要な手続きと要件

さてこのセクションでは、建設業許可と解体工事業登録について説明します。
いわゆる「役所の許認可」といわれるもので、解体業に必要な許認可を取得していないと、違法解体工事となって罰せられてしまいます。

1:建設業許可

国土交通省による建設業許可の定義は、以下のとおりです。
【建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。】
全部で29種類の許可種類があり、その中に「解体工事業の許可」があります(土木工事業、建築工事業の許可でも解体工事が可能です)。取得のメリットは、「工事費500万円(税込)以上の解体工事を全国どこでも請け負える」(大臣許可の場合)ことです。

2:解体工事業登録

解体工事業登録は、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」により定められた「解体工事を行うために必要な登録制度」のことです。解体工事業登録により、建築業許可に該当しない「軽微な工事」を請け負うことが可能です。軽微な工事とは、工事額500万円(税込)未満の工事(または建築一式工事にあたっては1,500万円未満もしくは延べ床面積150平方メートル未満の木造住宅工事)をいいます。工事をしようとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません。

解体業として独立するために必要な資格

この章では、「解体業務(実務)を行うのに必要な資格」について説明します。これとはべつに、建設業許可を受けるのに必要な資格もあるのですが、本レポートでは特に触れません。知りたい方は、ネット上に多数の情報がアップされていますので確認してみてください。
<解体業に必要な資格の例>
・建築物等鉄骨の組立等作業主任技能講習
・足場の組立て等作業主任者技能講習
・ガス溶接作業主任者講習
・車両系建設機械(整地・運搬・積込および掘削)の運転
・車両系建設機械(解体用)の運転
・石綿作業主任者、石綿取扱作業従事者特別教育
・特定化学物質等作業主任者技能講習
・職長・安全衛生責任者教育
・玉掛け技能講習
・コンクリート造の工作物の解体等作業主任者講習
・木造建築物の組立て等作業主任者技能講習
・小型移動式クレーン運転技能講習

資格の詳しい内容は、こちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
解体業で必要な資格とできる作業とは?金額の違いや申請時の注意点についても解説

解体業の独立のために必要な資金

解体業開業にあたり、必要な資金を考えてみます。
まずは重機。これがないと解体業は成り立ちません。そして重機を「購入」するのか「リース等」で調達するのかで、必要資金は大きく異なります。資金計画を立てるにあたり、まずは重機の調達方法を決定します。
次は開業関連費用。事務所を準備し什器・備品を調達するほか、売り上げが入金になるまでの運転資金の確保も必要です。
資金に不安がある場合は、日本政策金融公庫へ新規事業資金の融資を相談してみましょう。

解体業として独立するための2つの方法

さて、独立することが決まったら、次は経営形態について決めていきます。つまり、会社にするのか個人事業主としてやっていくのか、を決定するのです。
どちらが良いのでしょう。以下に、会社(法人)と個人のメリット・デメリットをみていきます。

法人・個人のメリット・デメリット

<法人の場合>
メリット
デメリット
・社会的信用度が高い
・決算など事務作業が増える
・社会保険料の負担などが発生する

・法人設立の場合、その法人には「法人格」という一種の人格が付与され、その法人自体が各種法律行為を行うことが可能となります。また登記されることにより、誰でもその法人の存在を確認することができるというメリットがあります。
・それに対し、日々の経理作業や決算時の業務量が増大します。また、従業員がいる場合はその社会保険料の半額を会社が負担する必要があります。
(注)個人事業でも、5人以上雇い入れた場合は社会保険料支払い義務が発生します。
<個人の場合>
メリット
デメリット
・独立の手続きが簡易
・社会的信用が低い
・解体工事業登録は、「法人なり」した場合引き継げない

・(解体業に係る許認可は別として)個人事業主の開業は、税務署に「開業届」を提出するだけで可能です。
・法人の場合の裏返しですが、個人の方が信用力は低いです。たとえば金融機関に決算書を提出する場合、個人は追加で資料を要求される時があります(つまり、決算書さえ信用されないのです)。
・また「建設業許可」については法人なりした場合の引継ぎ方法があるのですが、解体工事業登録に関しては、いったん個人で廃業届を出し、法人で取得し直しします。

解体業で独立するために必要な手順

法人にするか、個人にするか、そのメリット・デメリットを確認しました。では次に、どちらかを選んだ場合の実際の手続きについて説明します。
簡単にいうと、法人=煩雑、個人=簡単、と分類できます。では実際にみていきましょう。

法人(会社)の場合

法人を設立する場合のケースについて、説明していきます。以下の手順で進めていきます。
・会社の基本事項を決める
・定款を作成して公証人の認証を受ける
・出資金の払い込みをする
・会社設立の登記を申請する

1:基本事項の決定

基本事項として、以下の項目を決定します。
<会社名(商号)>
会社名を決めるにあたり、株式会社にするか合同会社にするかを決定します。違いを簡単に説明すると、株式会社の方が信用度は高いが、手続きが煩雑で費用も高いことです。
ここでは株式会社を設立することを想定して、以降を説明します。
<会社の住所>
事務所の住所です。
<事業内容>
解体工事業(他業務を兼業するなら、それも決めておきます)
<資本金>
1円以上です。
<発起人>
自身および自身以外に出資する人。
<事業年度>
たとえば4月から3月などと定めます。

2:定款(ていかん)の作成

次に定款を作成します。定款とは、会社の基本的規則を定めて、それを文書にしたものです。決めるべき規則は、以下のとおりです。
・会社名(商号)
・事業の目的
・事務所の住所(所在地)
・資本金(出資金額)
・発起人の氏名、住所
・発行可能な株式の総数
ここまでが必ず記載しなければならない項目です。以下についても記載することがあります。
・公告の方法
・役員の任期
定款が完成したら、公証人役場に持って行って「認証」を受けます。この認証を受けて初めて、定款としての効力が生じることになります。

3:出資金の支払い

次は出資金(資本金)の払い込みを行います。手順は以下のとおりです。
1.発起人の銀行口座を準備する
この時点では会社設立前なので、会社の銀行口座はありません。なので発起人個人(複数人の場合は「発起人総代」)の銀行口座を準備します。
2.資本金を振り込む
発起人が複数の場合は、各人がいくら入金したか分かるように「振込」で行う必要があります。一人の場合は「入金」でも構いません。
3.資本金払い込み内容明細を作る
通帳の表紙・裏表紙・振込が記載されているページのコピーを作成します。
4.払込証明書を作成し、通帳コピーとともに綴り込む
払込証明書には、金額総額、株数、日付などを記載します。

4:登記申請

最後は登記申請です。これが終わると対外的にも、会社の存在が証明できます。
登記手続きは個人でも可能ですが、通常は司法書士に依頼します。登記手続きを自分でする時間があるくらいなら、その時間を営業に割いた方が合理的だと思います。
(注)実は上流工程の定款作成なども、司法書士に依頼可能です。ですから司法書士に依頼するのであれば、早めに相談しましょう。
<司法書士に提出する資料>
・定款
・会社の印鑑届出書
・資本金払込証明書
・発起人同意書
・取締役選任決議
・取締役就任承諾書
・取締役個人の印鑑証明書および身分証明書

個人事業の場合

次は個人事業主となる場合の手続きです。法人と比べ、ずいぶん簡単だと思われるでしょう。
手続きは、「個人事業の開業・廃業等届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出するだけです(後者は必須ではありませんが、確定申告時の控除額が大きくなるので、青色を選択しましょう)。なお、これら書類については税務署に持参し、控えに受付印をもらっておきましょう。後日使用する場合があります(屋号つき銀行口座作成の場合など)。
また、ネット情報には「事業開始等申告書」を都道府県に提出する、と書かれているものがあります。確かに法的には正しいのですが、実際に提出している人はほどんどおらず、そのペナルティの発生についても聞いたことがありません。

家族に賃金を支払う場合

青色申告を選択した場合、「青色専従者給与」という制度を利用できます。「青色申告者と生計を一にしている配偶者や15歳以上の親族で、もっぱらその事業に従事している人に支払った適正な給与は、全額必要経費になります」というものです。
ですから事業として利益が出てきたら、配偶者に給与を出すことで、経費の増額(利益の圧縮)ができます。

従業員(5人未満)を雇う場合

従業員を雇って賃金を支払うことになったら、事業主は所得税の源泉徴収を行う義務が生じます。つまり、従業員に支払う給与から所得税を天引きし、国へ納付するのです。
また従業員が一人でもいる場合(青色専従者を除く)は、事業主に労働保険料(労災保険と雇用保険)の支払い義務が生じます。

従業員(5人以上)を雇う場合

従業員が5人以上になると、社会保険(健康保険と厚生年金保険)への加入が義務付けられます。そしてその保険料の半額は、事業主が負担します。
さらにこのような状態になると、毎月の事務が(健康保険証の手配などが発生し)非常に煩雑になります。こういう状況になったら、「法人なり」(個人事業が法人に転換すること)を検討します。

【まとめ】解体業で独立するためには、会社設立・許可・登録の手続きが必要!

さてここまで、解体業で独立する場合の考え方や手続きについて解説してきました。本業に関する部分は、さほど難しくないと感じられたのではないでしょうか。それより、会社設立やら本業以外の部分は(特に素人には)やっかいです。
文中でも述べましたが、そのために専門家がいるのですから、積極的に専門家を活用しましょう。そしてあなたは本業に専念し、たくさんの仕事を受託して、がんがん解体作業を行いましょう。

解体業の給与や、独立したあとの収入についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

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