建設業で必要な書類の保存期間を解説!書類の種類も紹介

建設業 書類 保存期間

建設業では多くの書類を扱いますが、なかには保存が義務付けられている書類があります。

これらの書類は数も多く、書類ごとに保存期間もまちまちであるため、建設業者の方のなかには保存が必要な書類の種類や保存期間についてお悩みの方もいることでしょう。

そこで今回は建設業で必要な書類の保存期間について詳しく解説します。

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建設業では書類の保存義務がある

建設業における書類の保存義務は建設業法で定められています。規定に沿って保存されていなければ罰則を受けることもあるため注意が必要です。

書類によって保存期間は異なるため、誤って処分しないよう正しく把握しておきましょう。また、書類の管理は営業所ごとに行う必要があり、本社でまとめて管理することはできません。

書類の保存は建設業法で決められている

建設業で書類を保存しなければならない理由の1つは建設業法による規定です。建設業法の第55条では帳簿に関する保存の義務が規定されています。

帳簿を保存せず、必要に応じて提示できない事業者は10万円以下の過料を払わなくてはいけません。罰則を受けないためにも必要書類を整理して保存することが重要です。

建設業法で定められている書類の保存期間

建設業法で規定されている書類を保存すべき期間は以下の通りです。

  • 帳簿:5年間
  • 帳簿の添付書類:5年間
  • 営業に関する図書:10年間

詳しくは後述しますが、建設業法で作成が求められている帳簿は、会計帳簿とは別のもので、建設工事に関する情報を記載した帳簿を指します。会計帳簿と同じだと勘違いしているケースも多いため、注意しましょう。また、添付書類も忘れず保存する必要があります。

営業に関する図書は注文者と協議した議事録や竣工図のことです。完成した建築物を引き渡した日が1日目としてカウントされます。これらの書類は紙だけではなく、データ保存も認められています。

書類の保存が必要な理由

建設業ではなぜ書類を保存する必要があるのでしょうか。続いて建設業において書類を保存する理由を紹介します。

トラブル防止

建設業で書類を保存するふたつ目の理由はトラブル防止です。建設業では施主と契約を交わして施工を行うため、契約内用に関してトラブルが生じることもあります。

金銭面や施工の内容に関するトラブルに際して、取り決めた内容を記載した書類が手元にあることで、条件の確認がスムーズに行えます。トラブルの悪化防止のためにも書類の保存が重要です。

労災の証明

労働災害の認定に関しても書類の保存が役立ちます。労災は必ずしも事故があったその時点で生じるとは限りません。

場合によっては時間を置いてから労災の症状が出ることもあるため、作業員の契約状況をを記した帳簿などは保存が必須です。

保存が必要な書類の種類と保存期間

建設業では様々な書類を作成します。帳簿や営業に関わる図書など作成する書類は多岐に渡りますが、それぞれの書類ごとに保存期間が異なります。

続いて保存が必要な書類の種類と保存期間について解説します。また、保存書類は工事を請け負った営業所で保管することが義務づけられています。

本部や一部の営業所にまとめて保存することは、建設業法で禁止されています。建設業における書類は紙媒体、電子データでの保存が許可されています。保存が必要な書類は以下の3種類です。

それぞれの保存年数とともにご紹介します。

  • 帳簿
  • 営業に関する図書
  • その他の書類

帳簿

建設業において帳簿は5年の保存が義務付けられています。帳簿に記載する項目は主に以下の4点です。

  • 代表者氏名並びに代表者となった年月日
  • 受注した工事の請負契約情報
    受注した建設工事の名称、工事現場の場所
    請負契約締結日
    注文者の情報
    受注した工事の完了確認検査の日付
    引き渡し年月日
  • 住宅の新築工事の請負契約情報
    住宅の床面積
    建物瑕疵の負担割合
    住宅瑕疵担保責任保険法人
  • 下請契約に関する情報

帳簿に添付する書類

建設業において帳簿に添付する書類は以下の通りです。

  • 契約書
    すべての請負った工事で添付が必要です。
  • 下請代金の額、支払いした年月日、支払い手段を証明する書類の写し
    特定建設業者が注文者として資本金4,000万円未満の下請け契約を結んだ場合
  • 施工体制台帳の特定部分の添付
    事業者自身が直接下請け契約を結んだ公共工事、または下請けの請負額が4,000万円
    以上の公共工事を除く工事

営業に関する図書

建設業において営業に関する図書は原則として10年間の保存が義務付けられています。営業に関する図書とは工事内容に関する議事録や、施工体系図などを指します。

営業に関する図書は発注者から直接工事を請け負った元請けに保存義務があります。必要書類の詳細を下記で詳しく解説します。

営業に関する図書に必要な書類が必要な場合は以下の通りです。

  • 注文者と受注者が相互に交付する工事内容に関する打ち合わせ議事録
    すべての工事で添付が必要です
  • 完成図
    事業者自身が作成した場合、または注文者から受領した場合添付が必要です
  • 施工体系図
    下請け契約を結んだ公共工事、または総額4,000万円以上の公共工事を除く工事

その他の書類

続いて上記の書類以外で保存が必要な書類をご紹介します。建設業で保存が必要な書類は

  • 3年
  • 5年
  • 7年
  • 10年
  • 30年

で分類されています。

3年間保存が必要な書類

建設業において3年間の保存が必要な書類は下記の通りです。3年間の保存が必要な書類は安全衛生委員会議事録をはじめとして、主に作業現場の安全点検記録です。

  • 安全衛生委員会議事録
  • クレーン点検記録/デリック点検記録/エレベーター点検記録
  • 特定化学物質作業環境測定結果の評価記録
  • 特定化学物質作業環境測定記録
  • 酸素欠乏危険作業場所環境測定記録
  • クレーン過負荷制限特例記録/デリック過負荷制限特例記録
  • 鉛作業環境測定記録
  • 特定化学物質用局所排気装置/除じん装置/排ガス処理装置/廃液処理装置点検記録/特定化学設備またはその付属設備点検記録
  • 有機溶剤作業環境測定記録
  • 建設用リフト点検記録
  • 鉛作業環境測定結果の評価記録
  • 特別教育の記録
  • 騒音測定記録
  • 粉じん用局所排気装置および除じん装置点検記録
  • 移動式クレーン点検記録/簡易リフト点検記録
  • 有機溶剤作業環境測定結果の評価記録

5年間保存が必要な書類

建設業において5年間の保存が必要な書類は下記の通りです。建設業において5年の保存が義務づけられている主な書類は、上記で挙げた帳簿及び帳簿に添付する書類です。

また、作業員の健康診断個人票をはじめとして、特定の化学物質を扱う現場で作業員が受診を義務づけられている特定化学物質等健康診断個人票も5年の保存が必要です。

  • 帳簿
  • 帳簿の添付書類
  • 健康診断個人票
  • 有機溶剤健康診断個人票
  • 鉛健康診断個人票
  • 四アルキル鉛健康診断個人票
  • 特定化学物質等健康診断個人票
  • 放射能物質濃度測定記録

7年間保存が必要な書類

7年間の保存が必要な書類は粉じん作業環境の測定結果に関する書類2種類です。

  • 粉じん作業環境測定記録
  • 粉じん作業環境測定結果の評価記録

10年間保存が必要な書類

建設業において10年間の保存が必要な書類は、営業に関する図書です。営業に関する図書は主に上記で解説したように施工体系図や打ち合わせの議事録などです。施工体系図と混同しやすい施工体制台帳は帳簿扱いとなるため5年間の保存である点には注意が必要です。

  • 営業に関する図書
  • 施工体系図
  • 完成図
  • 注文者と受注者が相互に交付する工事内容に関する打ち合わせ議事録

30年間保存が必要な書類

建設業において30年間の保存が必要な書類は下記の通りです。これらには発がん性物質を含むような化学物質の取り扱い記録をはじめ、放射線に関する個人の診断表が該当します。

  • 特別管理物質製造
  • 取扱作業記録
  • 電離放射線県個診断個人票

保存期間がない書類

建設業で保存期間がない書類は下記の通りです。衛生日誌は安全書類の1つで、工事に関わる請負業者の安全衛生責任者が集まり統括安全衛生責任者が記載する書類です。主に作業内容に関する安全上の注意点などを確認し、記入します。

  • 衛生日誌
  • 産業医の記録

建設業の書類作成代行サービスについてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

建設業 書類作成 代行建設業界の書類作成代行サービスおすすめ5選!選び方なども紹介

建設業書類の整理方法

建設業では保存が必要な書類が多くあるため、日頃からの書類整理が重要です。建設業で保存が必要な書類の製法法についてご紹介します。建設業の書類のおすすめの分類方法は下記の通りです。

  • 案件別に整理する
  • 保存期間別に整理する
  • その他の分類方法

案件別に整理する

建設業の書類は作成した日付順ではなく、まずは案件ごとにまとめて保存しましょう。同一案件の書類が散逸してしまうと、あとから収集、整理する手間がかかります。できるだけ作成した時点で、案件ごとにファイリングする習慣をつけましょう。

保存期間別に整理する

案件ごとにファイリングしたあとに、上記で挙げた保存期間ごとにまとめましょう。保存期間ごとにまとめておくことで、保存期間が過ぎた後の書類破棄などが楽になるほか、必要に応じた書類の確認がしやすいというメリットがあります。

その他に分類した方がよい書類

建設業書類では上記以外の方法で整理・保存した方がよい書類もあります。特に、営業所に配置する経営業務の管理責任者の経歴証明に使う書類は別途保存しましょう。経営業務の管理責任者の経歴証明には、過去の工事の注文書などを使用します。

これらの経歴証明書類は保管せずに破棄してしまうと再度復元することが難しい書類です。破棄することなくしっかりと保管しておきましょう。

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【まとめ】建設業の書類は分類・整理して保存しよう

今回は建設業で保存が必要な書類について、種類と保存期間をご紹介しました。建設業では、建設業法によって帳簿や営業の図書書類をはじめ様々な書類の保存が義務付けられています。

建設業の書類は契約の上のトラブル防止や労災の認定など様々な目的に使われるため、しっかりと整理・保存することが重要です。ぜひ今回の記事を参考にして書類の整理・保存に取り組んでみてください。

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