建設業の税務調査の頻度が多い理由や6つの確認ポイントを解説!

建設業 税務調査

建設業は特に税務の不正が多いといわれており、税務調査で細かく確認されます。人件費や未成工事支出金の計上に注意しましょう。本記事では、建設業において税務調査での不正発見が多い理由、税務調査で確認されやすい項目、税務調査に備えて実施すべき方策について解説します。

税務調査とは

税務調査とは、納税者が適切に納税申告をしているか確認することです。申告した納税額に誤りや虚偽がないかを国税庁が調査します。一定額以上の所得を得ているのであれば、法人だけでなく個人も税務調査の対象です。

不正が見つかると、加算税や延滞税を課されるかもしれません。以下の2点を詳しく解説します。

  • 税務調査が多い業種
  • 税務調査が実施される流れ

税務調査が多い業種

業種による税務調査の多寡は公表されていません。しかし、国税庁が2023年11月に発表した「令和4事務年度法人税等の調査事績の概要」に、不正発見割合の高い10業種が示されています。

不正発見割合の高い10業種には、廃棄物処理業、中古品小売業などのほかに、土木工事業や管工事業などの建設業が4業種も含まれています。国税庁は特に建設業を注視しているでしょう。

税務調査が実施される流れ

以下の流れで税務調査が実施されることが一般的です。

  1. 税務署から調査が通知される
  2. 日程を調整する
  3. 調査が実施される
  4. 指摘事項に対応する

顧問税理士がいれば、相談して請求書や契約書といった書類を準備しましょう。実際の調査には、個人事業者や小規模企業であれば1~2日、大規模企業であれば3~4日程度かかります。調査後に追加の質問がなされたら、速やかに準備して回答しましょう。

建設業の税務調査の頻度が多い傾向にある理由

前述したように、建設業は税務調査での不正発見の割合が高めです。不正発見の割合が高い理由として以下の項目が挙げられます。

  • 工事の期間が長い
  • 売上金額が大きい
  • 間接工事費の振り分けが規則化されていない
  • 人件費と外注費がきちんと線引きされていない

それぞれの内容を解説します。

工事の期間が長い

建設業の税務調査で不正発見の割合が高い理由の1つに、工事の期間が長いことが挙げられます。商業施設や大型ビルの建設には、着工から完成まで数年かかることも珍しくありません。建設業では、完成を待たずに工事の進み具合に応じて費用を計上する必要があります。

しかし、計上の時期が前年度や翌年度になる「期ズレ」が発生しやすく、税務調査で指摘されるケースが多くあります。

売上金額が大きい

売上金額が多いことも、建設業の税務調査で不正発見の割合が高い理由に挙げられます。建設業では、1つの案件で数百~数千万円の売上が発生することも少なくありません。売上金額が大きい分、不正が見つかった際の金額も大きい傾向にあります。建設業は不正金額が大きいとみなされ、特に厳しく税務調査が実施されるでしょう。

間接工事費の振り分けが規則化されていない

間接工事費の振り分けが規則化されていないことも、建設業の税務調査で不正発見の割合が高い理由の1つです。工事の費用は、材料費や職人の人件費といった工事に直接関わる「直接工事費」と、現場管理費や共通仮設費といった工事に直接関わらない「間接工事費」に大別できます。

間接工事費は、按分して直接工事費に振り分けなければなりません。間接工事費の振り分けが規則化されていないと、納税額の誤りが発生しやすいといえるでしょう。

人件費と外注費がきちんと線引きされていない

建設業の税務調査で不正発見の割合が高い理由に、人件費と外注費が十分に線引きされていないことも挙げられます。

人件費の場合は、給与に加えて社会保険料や労働保険料も支払わなければなりません。社会保険料や労働保険料の支払いを免れるために、本来ならば人件費として計上すべき費用を外注費として計上する悪質な業者もいます。

建設業の税務調査で確認されやすい6つのポイント

建設業の税務調査で確認されやすい項目は、主に以下の6つです。

  • 売上計上の流れは正しいか
  • 期ズレはないか
  • 棚卸計上に漏れはないか
  • 現金過不足はないか
  • 人件費の計上は正しいか
  • プライベートな支出はないか

それぞれの内容を解説します。

売上計上の流れは正しいか

建設業の税務調査で確認されやすい項目の1つに、売上計上の流れは正しいかが挙げられます。売上計上の流れの中で適切に書類が発行されているか、金額に問題ないかなどが確認されます。見積書、契約書、請求書などの書類を適切に保管しなければなりません。書類と帳簿で金額に差異がないように注意して売上を計上しましょう。

売上のタイミングは正しいか

建設業の税務調査で、売上の計上のタイミングは正しいか確認されることが多くあります。引き渡しのタイミングで売上の計上をしなければなりません。翌期に請求書を発行した場合でも売上は引き渡しの日時に合わせて計上する必要があります。追加工事を請け負った場合、追加工事の売上も本体の工事の引き渡し時に計上すべきことに注意しましょう。

期ズレはないか

「期ズレ」はないかも建設業の税務調査で確認されやすい項目の1つです。期ズレとは、その年度で計上すべき費用を、前年度や翌年度に計上することを指します。特に、完成していない工事にかかった費用である「未成工事支出金」は、工事が完了するまで計上できません。未成工事支出金は、工事開始年度ではなく工事完了年度に計上しましょう。

棚卸計上に漏れはないか

建設業の税務調査では、棚卸計上に漏れはないかも確認されます。棚卸資産は、いわゆる「在庫」を指します。どの工事に使うかが明確な在庫資産は、未成工事支出金に計上しなければなりません。

工事が完了していないにもかかわらず棚卸資産を損金として計上すると、税務調査で指摘されるでしょう。また、用途が決まっていない材料も棚卸資産として計上する必要があります。

現金過不足はないか

現金過不足はないかも建設業の税務調査で確認されやすい項目です。個人事業主や小規模な会社では、現金の管理が不十分なケースがあります。帳簿に記載されている現金残高と、実際に会社で管理している現金の有高が合致していなければなりません。

帳簿の残高と実際の現金が合致していないと、私的な流用を疑われる恐れがあります。

人件費の計上は正しいか

建設業の税務調査で、人件費の計上は正しいかが確認されるでしょう。前述したように、従業員には、給与だけでなく社会保険料や労働保険料も支払わなければなりません。また、外注費にかかる消費税を控除して節約することも可能です。実質的に従業員として働いている作業者への給与を外注費として計上すると、脱税を疑われるでしょう。

プライベートな支出はないか

プライベートな支出はないかも建設業の税務調査で確認されやすい項目です。プライベートな飲食代は計上できません。ただし、事業に関わる場合は、飲食代を交際費として計上できます。企業によっては、交際費の区分が曖昧なケースがあります。

税務調査では、プライベートな支出が交際費として計上されていないか細かく確認されるでしょう。

建設業の税務調査に備えた対応策

建設業の税務調査に備えて、以下の対策を講じることが重要です。

  • 契約書などの書類を徹底管理する
  • 工事台帳を作成する
  • 税理士に相談する

それぞれの内容を解説します。

契約書などの書類を徹底管理する

税務調査に備えて、契約書や請求書などの書類を徹底的に管理しましょう。書類に不備があると、税額を虚偽で申告しているのではないかと疑われるかもしれません。外注する際には、口頭のみで依頼するのではなく、契約書を作成することをおすすめします。ルールに則っていれば、書類を紙ではなく電子で保存・管理しても構いません。

工事台帳を作成する

工事ごとの原価を集計・管理する工事台帳を作成することも、税務調査への対策として大切です。適切に作成された工事台帳があれば、スムーズに税務調査が進むでしょう。内容の証拠を求められたときに速やかに提示できるよう、契約書や請求書などの書類を紐付けることが大切です。また、間接工事費を按分した場合は、可能な限り根拠を明文化しましょう。

税理士に相談する

税務調査に備えて、税理士に相談することをおすすめします。税務調査に精通した税理士に相談すれば、適切に書類管理や工事台帳の作成ができるでしょう。税務調査時に同席して説明や交渉をサポートしてくれる税理士もいます。

税務調査時に味方の税理士がいれば心強いでしょう。また、税理士は税務調査対策だけでなく節税の相談にも乗ってくれます。

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【まとめ】建設業は税務調査の対象になりやすい!早めに対策を行おう

建設業において税務調査での不正発見が多い理由、税務調査で確認されやすい項目、税務調査に備えて実施すべき方策について解説しました。

建設業では特に、税務調査で不正が発見される割合が高めです。人件費や未成工事支出金の計上に注意しましょう。ぜひ本記事を参考に、税務調査に備えて日頃から書類や工事台帳を適切に管理してください。

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