工事完了報告書とは?書き方や作成するときの注意点などを解説

顧客や元請から請け負った建設工事が終了したとき、工事業者は工事完了報告書を作成して提出します。当初の契約どおりに工事が終了したことを証明するためのもので、建設業界では必須の重要書類です。今回は、工事完了報告書を提出する目的や必要性、作成内容や具体的な書き方について解説します。便利な作成アプリやソフトについても説明するので、参考にしてください。

工事完了報告書とは

工事完了報告書とは、当初の契約どおりに工事が完了したことを工事業者が依頼主(元請業者)に報告する書類です。依頼主は契約内容と照らし合わせて差異がないか確認できます。書類に記載するのは、主に工期や工事費用など基本的な項目がほとんどです。ただ、依頼主からの要求などで必要に応じて追加される項目もあります。なお、提出期限や方法に決まりはありません。

工事完了報告書の必要性

工事完了報告書は契約どおりに工事が竣工したことを証明する書類で、依頼主(元請業者)と工事業者双方に後々トラブルが発生した場合の証明になるので重要です。また、金融機関によってはリフォームローンなどの証明書類として提出が促される場合もあります。固定資産として計上する時期も工事完了報告書の日付を参照するのが一般的です。このように、工事完了報告書は、依頼主工事業者双方にとって必要性の高い書類といえるでしょう。

基本的に工事完了報告書の作成義務はない

法律上は工事完了報告書の作成や提出は義務付けされていません。ただし、工事の内容をめぐって依頼主と業者間でトラブルが生じた場合には裁判での証拠資料にすることが可能です。なお、官公庁が元請けになる公共事業を請け負った場合には基本的に工事完了報告書の提出が義務付けられています。提出期限や書類の様式などは窓口への確認が必要です。

工事完了報告書の作成方法

ここからは、工事完了報告書の作成方法について説明します。この項で説明するのは以下4つの作成方法です。

  • ExcelやWordなどのソフトウエアで作成する
  • 工事管理アプリを使用する
  • 市販の書式を購入して作成する
  • 元請け業者(依頼主)専用書式で作成する

以下、詳しく説明します。

ExcelやWordで作成する

工事完了報告書は、国や公的機関への提出義務がないので、書式や様式に縛りがありません。そのため、普段使い慣れているソフトで作成できます。具体的にはMicrosoftのエクセルやワードで書式を作って作成するのが良いでしょう。一度書式を作ってしまえば、他のプロジェクトの業務案件にテンプレートとして流用でき、業務の効率化も可能です。

工事管理アプリで作成する

工程管理システムや工事管理アプリの中には、工事完了報告書の作成機能を搭載したものもあります。現場ごとに報告書が作成できたりクラウドでデータ共有ができるので、効率的です。その中にはエクセルのテンプレートをクラウドで管理できるものもあります。ただし、すべてのアプリにシステムが搭載されているわけではありません。自社の管理システムに搭載されているか確認が必要です。

おすすめの工事管理システムについてはこちらでより詳しく解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

工事管理システムのおすすめ!導入時の注意点も解説【2024年最新】工事管理システムおすすめ15選を紹介!メリットや選び方、導入時の注意点も解説

市販の書式で作成する

何もないところから工事完了報告書の書式を作成するのは面倒で手間がかかります。その場合には市販の工事完了報告書を購入するのも1つの方法です。フォーマットはできているので必要事項を記入するだけで工事完了報告書ができあがります。また、WEB上で書式をダウンロードすることも可能です。無料でダウンロードできるサイトもあるので自社に合ったフォーマットを探してみましょう。

元請業者の専用書式で作成する

元請業者(依頼主)の中には、専用の工事完了報告書の書式を持っていて提示してくる業者もあります。その場合は、フォーマットを貰って必要な項目を書き込みましょう。一般的な基本事項(工期や費用など)の他に依頼主が必要とする特別な項目も網羅されているので、報告書提出後の問い合わせや記載内容の説明もスムーズです。

工事完了報告書の書き方

工事完了報告書の書き方について解説します。前述したように、記載項目は工期など基本的な項目と、依頼主の要求など必要に応じて追加される項目です。以下それぞれ詳しく説明しますので報告書作成時に参考にしてください。

基本項目

代表的な基本項目の書き方を下表に示します。

項目 書き方
タイトル タイトル欄には「工事完了報告書」と記載します。
作成日 報告書の作成日付および自社での通し番号を記載します。
宛名 請負元(依頼主)の業者名を正式名称で記載します。
会社情報 自社の正式名称(必要に応じ住所や連絡先)を記載します。
角印の押印 押印の義務はありませんが、正式書類として証明されます。
工事件名 工事の件名を記載します。
工期 工事が行われた期日(工事開始日と完了日)を記載します。
工事代金(請負費用) 契約時に定めた請負金額を記載します。
工事内容 工事概要を簡潔に記入し、契約取引内容を記載します。
工事担当者 工事の担当者使命を記入し捺印します。

その他の項目

基本項目の他に、元請業者(依頼主)から必要に応じて要求される項目もあります。よくある追加項目としては次の内容です。

  • 工事現場写真 工事個所の写真を添付するよう求められることがあります。
  • 素材の詳細内容 材料の素材品質についての報告が要求されることがあります。
  • 工事場所 工事現場の所在地を記載します。

これらの内容については、事前準備が必要です。現場の写真は工事進捗に応じて撮影しておきましょう。

工事完了報告書を作成するときの注意点

工事完了報告書を作成するときに注意しなければならないことは次の5つです。

  • 通し番号をつける
  • 請負金額について事前に確認する
  • 取引内容や条件は具体的に記載する
  • 工期は無理のない予定で組む
  • 作成後も大事に保管する

以下、順に説明します。

通し番号をつける

工事完了報告書には作成日付だけでなく通し番号を付けるようにしましょう。通し番号で報告書の履歴が確認できるようにすると、後日元請業者からの問い合わせや工事内容の提出を要求されたときに便利です。通し番号は、請け負った工事の工程管理システムや人件費などの諸費用と紐づけして管理すると工事の詳細まで連動して確認できます。

請負金額について事前に確認する

請負金額を記載する欄には、契約当初に決定した金額を記入します。依頼主が支払う金額には、支払金額と消費税を明確にしましょう。請負金額はトラブルに発展することが多いので、金額に含まれる内容を契約時に十分確認しておくようにします。材料費が金額に含まれる場合や、別途支払いを受ける費用は明細の記載が必要です。なお、領収書をもらう場合は宛名を工事現場名にしておきましょう。

取引内容や条件は具体的に記載する

工事の取引内容や条件は、できるだけ具体的に記載しましょう。工事箇所や施工内容だけでなく、要求された仕様に対する施工条件も確認記載しておくとトラブルを未然に防ぐことができます。工事の契約時には細かい条件を網羅して依頼主の意向を十分に聞き取りましょう。依頼主が工事完了報告を受けたときにイメージしやすいことが重要です。

工期は無理のない予定で組む

工期の遅れはトラブルの原因になります。工事スケジュールを組むときは無理のない工期を設定しましょう。工事は現場で土台を確認しなければ正確な工期がわからない場合があります。見積もりの段階で工期を提示するのが困難な場合には「別途協議」と記載しておきましょう。工事完了報告書には、実際に施工を始めた日付と完了した日付を記入します。

作成後も大切に管理する

工事完了報告書は依頼主に工事の完了を報告するだけではありません。工事後の会計確認や依頼主とのトラブル発生時の証明になるので、作成後も厳重な管理が必要です。報告書の作成が紙ベースでは膨大な資料の管理スペースや問い合わせ時の書類検索など手間がかかります。Excelなどのパソコンソフトやアプリのクラウドで作成すると、それらの手間が省けて効率的です。

工事完了報告書の提出方法・保存期間

この項目では、工事完了報告書の提出方法や提出までの流れ、および保存期限について解説します。

提出方法・提出期限

工事完了報告書の提出には法的な義務はありませんが、通常は工事完了後に必要事項を記入して依頼主(元請業者)に提出します。提出期限に法律上の規制はありませんが、依頼主によって工事の契約時に設定されるのが一般的です。報告書の作成には時間がかかるので、余裕をもって取り掛かりましょう。公共工事の場合も法的な期限はありませんが、工事終了後1カ月以内の提出を求められることが多い傾向です。

提出する流れ

工事完了報告書を提出する流れは以下のとおりです。

  1. 工事を請け負う 契約時に工事の仕様や費用など十分な確認が必要です。
  2. 工事が完了する
  3. 工事完了報告書を作成して依頼主に提出する。

なお、工事完了報告書と同時に「建物引き渡しに関する書類」や「建物完成状況に関する書類」もまとめて渡す必要があります。報告時に提出できるよう、事前に準備しておきましょう。

保存期間

工事完了報告書の保存期限に法的な縛りはありません。ただし、後々のトラブルや依頼主からの問い合わせに対応するものとして控えを保存しておく必要があります。控えの保存期限についても法律上の規制はありません。目安としては、建設業法第28条の営業所ごとに「目的物の引き渡しから関係帳簿を5年間保管する」の細則に合わせるとよいでしょう。

【まとめ】工事が無事に完了した後は工事完了報告書を作成しトラブルを未然に防ごう!

工事完了報告書は、工事の内容や工期、費用など当初の契約どおりに施工したことを依頼主(元請業者)に報告する書類です。法律上の提出義務はありませんが、通常は依頼主の指示に沿って提出します。報告書の作成は、アプリやビジネスソフトを使うと管理する上でも効率的です。工事の内容や費用面などで後々トラブルが発生することがないように、適切かつ具体的に記載して報告しましょう。

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