人工代とは?計算方法や一般的な相場・請求書の書き方などを解説

人工代

作業員1人当たりの1日の作業に係る人件費を人工代と言います。従来、職人の間で賃金計算をする際に用いられていた言葉ですが、現在では建築業界全体で使用されるようになりました。人工代の基本を覚えておくと、請求書の作成や予算を考える際に非常に便利です。今回は人工代の計算方法や相場、請求書の書き方などを徹底解説します。

人工代の計算方法

前述したように、人工代は作業員1人あたりの1日の人件費を表す用語で、1日8時間労働として算出します。基本的に、時間外労働や各種手当を除いて考えますが、状況によっては残業手当や休日手当や残業手当を考慮するケースもあります。消費税は含みません。例えば、1人工を30,000円とすると人工代は以下の通りです。

  • 3日労働の場合 3人工で90,000円
  • 半日労働の場合 半人工で15,000円

人工代の一般的な相場

人工代は業者や職種によって異なるため、一概には言い切れません。しかし、国土交通省が発表した「令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について」を参考にすると、15,000円〜29,000円の間が相場と言えるでしょう。人工代の相場について以下の2つに分けて説明します。
参考:国土交通省「令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について」

  • 人工代は増加している
  • 人工代は職種によって異なる

人工代は増加している

人工代(公共工事設計労務単価)は、平成25年度から12年連続で上昇しています。令和6年度も、全国全職種単純平均で計算すると、前年度と比較すると5.9%引き上げられることになりました。この決定により、全国全職種加重平均値が23,600円となり、平成24年度と比較すると75%以上も上昇していることになります。

人工代は職種によって異なる

前述したように、人工代は職種によって異なります。例えば、「令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について」によると、型枠工や鉄筋工、特殊作業員などの単価は高く、25,000〜28,000円台であることが多く見受けられます。対して、交通誘導員や軽作業員は単価が低く14,000〜16,000円台となっています。特殊な技術や危険を伴う作業であればあるほど、人工代は高額になる傾向があると言えるでしょう。

人工代の請求書の書き方

一人親方としてキャリアを始めた方は、人工代をどのように請求すればよいか困惑することも多いのではないでしょうか。請求書には、国税庁が定めた項目を必ず記載しなければなりません。人工代の請求書の書き方を、以下で各項目に分けて解説します。

題目

題目とは、紙面の上部に記載するその書類が何であるのかを知らせるためのものです。当然ですが請求書には「請求書」としっかり記載する必要があります。記載場所は用紙の上部中央、もしくは左上の目立つ場所であることが一般的です。その他の項目よりも大きめのフォントで、請求書であることが一目見て分かるように主張しましょう。

通し番号

請求書の通し番号とは請求書につける番号のことで、一般的に請求書の右上に記載します。請求書に通し番号をつけることは義務ではありません。しかし、通し番号をつけることで取引先も自分もその後の管理がしやすくなります。例えば、見積書と請求書に同じ通し番号を記載しておけば、後で確認したいと思った際に容易に連動できます。付け方に決まりはありませんが、取引先の番号や取引した日時、取引番号などの数字を羅列するケースが多く見受けられます。

取引年月日

取引年月日とは、実際に取引を行った年月日のことを指し、一般的には請求書の右上や取引内容の内訳の前に記載します。請求書の作成日や発行日とは異なるので注意しましょう。同じ月内に複数回取引があった場合は、その月の締め日をまとめて取引年月費とするケースもあります。

請求書の宛先

請求書の宛先には、発注者について記載します。場所は一般的に請求書の左上で、社名や屋号、事業部名、担当の氏名などを記載します。会社名を記載する際に、株式会社を(株)、有限会社を(有)などと略すのはマナー違反です。また、敬称は会社名のみの場合は「御中」、担当者名まで記載する際には「様」になります。封筒の窓口から見せたいときには、企業名の前に住所を記載するケースもあります。

請求書の発行者

請求書の発行者、つまり自社の情報は一般的に請求書の右下に記載します。発行者同様に、企業名や屋号、事業部があれば事業部の名称、担当者氏名などを記載します。発行者には、これらに加えて住所や電話番号も記載することをおすすめします。社印の押印は必須ではありませんが、取引先に求められるケースも多いので迷う場合は押しておきましょう。

請求内容

それぞれの取引の内容はについて明確に記載します。一目見て何について記載しているかすぐわかるように、なるべく多くの情報を書き入れましょう。そうすることで請求書の取引内容に誤りがないかを請求者・発行者共に確認でき、認識の違いを確認できるからです。特に、以下の3つの項目は必ず記載しましょう。

  • 品目
  • 単価
  • 数量

品目

品目の欄には、提供した作業やサービスの内容を記載します。例えば「水道工事費」「外壁塗装作業」など、一目見てどの項目か分かるよう、具体的な項目や作業場所を書くようにを心がけましょう。

また、タイルやレンガなど特別な材料を使用した場合にはそれについて記載するとより親切です。受取人が何に対して記載された金額を払うのかを把握できるような内容を記載してください。

単価

作業内容の単価(1つの取り引きに対する金額)を記載します。多くの場合単価は、作業範囲の1㎡当たりの金額や、作業員の時給などで記載されます。単価を算出するのが難しい項目を無理して計算する必要はありませんが、単価を記載することで計算の透明性が保たれるのでなるべく記載しましょう。夜間の作業や休日作業で単価が上がる場合は、その旨も記載します。

数量

建築業における請求書の数量は、一般的に作業した面積数や個数、作業に費やした時間などです。提供した作業やサービスの数量を明確に記載することで、後のトラブルを回避します。

個数を記載する際は単位を、作業時間を記載する際には作業開始時間と終了時間を含めるとより分かりやすくなります。また、作業日が数日にまたがる場合は、作業日ごとに分けて記載するとより透明性が高まるでしょう。

税抜き金額

金額は消費税を含まない額を、まずは項目の横に記載することが一般的です。取引先ごとに、「単価×数量」の式で計算します。消費税は別で表記し合計金額で税込みの金額を記載します。もし単価がないもの、「〜一式」と表記されているものに関しては、計算せず金額だけ記載する形で構いません。

値引き金額

取引先とのやり取りの中で、値引きが発生した場合はその旨も本来の額とは別に記載します。取引内容の下に行を挿入し「値引き」と記載し、「マイナスの記号+金額」という形で記します。もちろん、特に値引きがない場合は空欄のままで構いません。

小計

請求書における小計とは、消費税を含まない各取引の金額の合計額のことを指します。各取引額の金額を合計して算出します。一般的に、小計は取引内容の右下に記載します。この時点で源泉徴収を行う必要はありません。

消費税の表示

小計に対して10%の消費税を計算し、小計額の下に記載します。小数点以下の端数は、一般的に切り捨てて計算します。労働の総額に対して消費税を計算する場合「日当の総額×消費税10%」の計算式を使用します。日当の総額は、日当×勤務日数の計算で算出します。非課税事業者には消費税の納税が免除されますが、消費税を請求することは可能です。消費税が自己負担になると経営を圧迫するので、必ず請求しましょう。

源泉徴収税

源泉徴収税とは、特定の所得や報酬から差し引かれる、所得税や復興所得税のことです。国税庁は給与を支払う個人や法人を「源泉徴収義務者」と定め、支払った給与・報酬から源泉徴収税を差し引き納付することを義務付けています。
一人親方が外注契約として受注している場合は記載する必要はありませんが、雇用契約として締結している場合は、源泉徴収税が発生します。

源泉徴収税は「支払われる金額×10.21%」の計算式で算出されています。ただし、金額が100万円を超える場合は「支払われる金額から100万円を引いた額×20.42%+102,100円」の計算式になります。

請求金額

取引の合計である小計金額に消費税を足した額が、請求金額です。一般的に小計額と消費税の下部に記載します。雇用契約を締結しており源泉徴収が発生する場合、合計金額から差し引いた額を記載しましょう。

支払期日

請求先と自社の双方で決めた請求額を支払う期日も記載します。振込先の上部または下部に記載するのが一般的です。支払期日は、契約書を締結する際に決めておくと後のトラブルの回避に繋がります。

また、公正取引委員会の定めた「下請代金支払遅延等防止法」では、支払期日は請求書受領より60日以内とされているので、期間内に定めるよう注意しましょう。支払い遅延を避けるために、毎回記載することをおすすめします。

振込先

請求金額を振り込んでもらう銀行名と支店名、口座の種類(当座預金口座・普通預金口座)、口座名義(カタカナ)、口座番号を記載します。口座名義が法人の場合、株式会社=カ)、有限会社=ユ)などの略称がありますがこれらは正確に記載してください。

また、押印は義務ではありませんが押印されている請求書は受け取る側が安心感を持つと言われています。不正や改ざん防止のためにも押印しておくことをおすすめします。

特記事項

特筆すべき項目がある場合は、特記事項に記載します。一般的に、振込手数料について書くケースが多いようです。原則として振込手数料は発注側が負担することが一般的ですが、振込手数料を請求先に負担してもらう旨もしっかりと記載しておくとトラブルを回避できます。「恐れ入りますが、振込手数料は貴社にてご負担ください」の一言を添えておきましょう。

インボイスの場合

インボイス制度に対応した請求書の場合、以下の項目を記載しましょう。

  • インボイス登録番号
  • 軽減税率の対象である旨の表記
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 税率ごとに区分して合計した税抜または税込対価の額および適用税率

人工代の注意点

人工代はいつも依頼している常用の大工の場合は、外注費として算出します。しかし、契約形態や勤務形態によっては給与として扱うこともあります。判断方法に悩んだ場合は国税庁の「消費税税法の基本通達」を参考にしましょう。一般的に請負契約などで事業者が事業を行う場合は「外注費」、雇用契約を締結し役務を提供する場合は「給与」になります。
参考:国税庁「消費税法基本通達」

【まとめ】人工代は作業員1人当たりの1日の人件費!請求書の書き方なども正しく理解しよう

人工代とは、作業員1人当たりの8時間労働と考えた1日の人件費のことで、12年連続で上昇しています。一般的に、作業日数に人工代をかけて計算します。請求書には、作業内容や単価、日数などなるべく具体的な情報を書き込むことで、内容に透明性が生まれます。書き方や記載のルールをしっかりと理解して請求書を作成しましょう。

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