【建設・建築業】BIMとは?CADとの違いや導入メリットを徹底解説!

建築・建設業界でも作業効率化が進み、ICT活用が進んでいます。近年の建設・建築業の設計に用いられるソフトウェアもCADが主流でしたが、現在では「BIM(ビム)」が注目されています。なぜBIMが注目されるようになったのでしょうか。

また、BIMがよくわからないという方もいるでしょう。本記事ではBIMとはなにか、導入するメリットやおすすめするBIMのソフトウエアについてもご紹介していきます。参考にしてください。

BIMとは?CADとの違いも解説

まず始めに、BIMとは何かについて解説していきましょう。BIMの普及率は2020年時点で46.2%、2022年時点では48.4%まで増加しています。

これまで建設業の設計はCADが主流でしたが、CADとの違いはあるのでしょうか?

BIMとは?

「BIM」とは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称です。コンピューター上に3次元の建物のデジタルモデルを作成し、建築の設計から施工、維持管理までの全体の情報を活用することで業務を効率化し、建築に関わる全ての人がデザインとビジネスを行うワークフローです。

例えば、2次元の図面ではどのような建物が建つかわからないというケースもありますが、実際の建物の3次元モデルを活用してコミュニケーションを取ることで、具体的な建物のイメージがわかります。他にも建物の面積や素材、照明などもBIMでプラスできるデータです。

BIMとCADとの違いは?

BIMとCADはどう違うのでしょうか。CADは図面を設計するためのツールですが、平面(2次元)の図面を作成します。3DCADはこの工程のあとに、立体的な3Dモデルの作成が可能です。しかし、平面図面と3Dモデルは連動していないため、図面の変更があればどちらも修正しなくてはなりません。

一方、BIMは始めから3Dモデルを作成し、平面図面(2次元)の切り出しができるため、平面図面(2次元)と3Dモデルが連動しています。変更があってもどちらにも反映されるため作業がスムーズに進みます。

始めに建築物の設計図を作成し、3Dモデルの作成を行うのがCAD、建築物の3Dモデルから設計図を作成していくのがBIMです。図面の作成工程が大きな違いといえるでしょう。

3DCADのフリーソフトについてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

【建設業】建築CADおすすめ8選!無料ソフトやメリットも紹介!

建築業界がBIMを導入するメリット

BIMは設計の変更があった場合、3Dモデルに即時反映できるため、設計者、依頼者にとっても設計の話し合いや情報共有などスムーズに進められるツールです。
以下、建築業界がBIMを導入するメリットをさらに深堀りして紹介していきます。

イメージ共有や投資効果の円滑化

先述の通り、BIMは3Dモデルの即時反映が可能なため3Dモデルによるイメージの共有がスムーズになりました。建物の形状が容易に確認できるというのは大きな利点と言えるでしょう。設計者と依頼者の間でイメージの相違を生まないためにも、イメージの共有は非常に重要です。

また、BIMを活用したエネルギーシミュレーションによって費用対効果や投資効果の確認も可能です。

竣工時のデータを維持管理・運用段階に活用できる

BIMデータはIWMSと組み合わせることで、活用の幅が格段に広がります。IWMSとはIntegrated workplace management systemの略で、統合型ワークプレース管理システムのことです。

  • 属性情報から建物設備や家具などの資産台帳の一元化
  • 建物のライフサイクルの各段階のメンテナンス・修繕計画の検討
  • 予防保全による設備維持コストの削減

また、既存の建物も竣工図からBIMモデルを作成できます。これによって保有資産をまとめて管理することも可能です。

CO2排出量の算出やライフサイクルアセスメントの効率化

近年、建物のCO2排出量の削減が重要視されており、投資判断で加味されるようになりました。そのため、環境への負荷を可視化するライフサイクルアセスメント業務が重要視されています。

ライフサイクルアセスメント業務を活用することで、建物から排出されるCO2が環境に対してどのような負荷をかけているのか理解を深めることができます。

BIMを利用することで、LCCO2(ライフサイクルCO2、二酸化炭素排出量の評価)を算出することが可能です。

コスト削減と生産性の向上

BIMは全てのデータと連動しています。急な変更にも対応でき、一つ一つのデータを修正する必要がありません。時間の手間が省けます。

また、3Dモデルを参考にすることで課題や問題点なども初期の段階で気付くことが可能です。あとから気付いて変更となれば、工期が長引いたり、コストがかかったりする場合も出てきます。

時間と費用の大幅削減につながり、生産性も向上することがBIMを導入するメリットと言えます。

シミュレーション機能で設計がスムーズになる

3Dモデルにすることで、店舗の設計などでは家具や商品の配置のシミュレーションが可能です。どのようにおくと見え方が良くなるか、イメージできるようになります。店舗のデザイン、内装、照明や商品を陳列した場合の見え方なども重要なポイントです。

BIMで実際の店舗に近いシミュレーションをして、依頼者から具体的な希望や要望を出してもらうことで、設計がスムーズに進みます。

シミュレーション機能を使い、検討することで効果的な設計が進められるでしょう。

社内のコミュニケーションがスムーズになる

BIMは3Dモデルを最初に設計して建築物について検討していきます。平面図では分かりづらい建物の形やイメージを、初期の段階から3Dモデルにすることによって具体的な形がわかるようになります。

完成形をイメージできるため、設計の計画に対する社内の意思決定や合意形成がスムーズです。また依頼者からも意見が引き出せるでしょう。

また、設計だけではなく建築・土木作業においても作業工程の時間管理ができます。社内のコミュニケーションがスムーズになり作業時間の把握にも活用できます。

複数案の比較検討が容易にできる

前述にもありますが、BIMは図面(2次元)と3Dモデルが連動しているため、複数の提案や変更点があってもすぐに確認が可能です。また、3Dモデルによる色や素材なども簡単に変更でき、何種類ものパターンを作成、比較・検討がスムーズに行えます。

BIMを導入、活用することで修正案もそうですが、複数案の作成が可能になります。また、具体的なイメージができ、比較検討が効率よく容易に進められることもメリットのひとつです。

テレワークとも親和性が高い

コンピューターで作成するBIMは、さまざまな作業効率化ができるため、テレワークとも親和性が高いです。近年ではさまざまな社会事情によってテレワークが推進されています。

BIMはテレワークの手段としても活用が可能です。テレワークでBIM環境を構築することでテレワーク環境下でも設計等の業務ができるようになります。テレワークの問題点としてコミュニケーション・情報共有が難しいという課題がありますが、BIMデータ自体に必要な情報があり不足なく情報共有が可能です。

社外からもBIMの操作ができる環境を整えるということは、緊急時に事業を継続するためにもなります。

建築業界がBIMを導入するデメリット

ここまでメリットをご紹介してきました。BIM導入にはメリットばかりではなくデメリットもあります。デメリットはどういうものでしょうか。具体的にご紹介していきます。

導入にコストがかかる

大きなデメリットとしては、BIMの導入が難しいという点が真っ先にあげられます。どんなシステムでも導入した始めのうちはコストや労力がかかるのは当たり前のことです。BIMだけではありません。

また、導入には金銭面でのコスト、使い慣れるまでは時間的コストもかかってきます。しかし、使いこなせるようになってからの作業効率を考えると導入が難しい、ソフトがわからないといった最初のデメリットは無くなってきます。

新しいツールを使う努力をしないと建設業界からもおいていかれる可能性もあるでしょう。導入時のコストがかかるデメリットより導入後のコスト削減のメリットを考えてみることが大切です。

セキュリティのレベルが下がる

BIMを導入するにあたって、セキュリティレベルが下がるといった懸念点も存在します。なぜBIMの導入でセキュリティレベルが下がるのかというと、全ての情報が一カ所に集約されますので、情報の管理を今まで以上に慎重に行う必要があるからです。

集約された情報の取り扱いやセキュリティ面について、今一度見直すことをおすすめします。

既存施設への適用が難しい

さらに、既存の施設に対して適用するのが難しいといったデメリットがあります。新しいプロジェクトであれば、設計段階からBIMを使用できますが既存の施設ではそうはいきません。必要な情報を取得し、BIMに情報を打ち込む必要があります。

また、既存のCADでも業務を問題なく進められていたという実績から、BIMの導入を躊躇する声があるのも事実です。

細かいところの設計も必要

BIMで図面を作成した場合、細かいところの設計もしなければならないのがデメリットです。

一般的に使われているCADでは切った部分から見えるところを記載するだけで済みますが、BIMでは見える見えないではなく、ひととおりモデリングを完成する必要があります。全部の図面をBIMで作成するのではなく、状況に応じてCADを活用し柔軟に作業を進めましょう。

小規模の現場ではコストパフォーマンスが下がる

BIM導入は効率化が進みコスト削減にもなりますが、案件の規模によっては逆になるパターンもあり、コストパフォーマンスが下がります。小規模な案件の場合です。

個人の住宅や倉庫などの場合はBIMを活用しなくてもCADで図面を作成したほうが作業効率も速くなります。建設業に長く携わっている方であれば、経験や実績で標準仕様に沿った設計や施工を行うことが可能です。

申請時には図面が必要となるため。CADでも十分に対応できます。最終的にはBIMでモデリングしておけば、急な変更依頼でも安心です。

建築BIM加速化事業とは?

2009年、建築分野を中心にBIMの導入が一部で活発化しました。しかし、日本でのBIM普及率は海外に比べて低く、BMIマネージャーやBIMオペレーターの数が足りなかったことが原因だと言われています。

そんななか、2020年に国土交通省は建築BIM加速化事業を立ち上げました。具体的には「建築BIMを活用する事業者の拡大により建築BIMの社会実装を加速化します」としており、一定の条件を満たした事業者に対してBIMソフトウェアや講習等に要する費用を国が補助してくれるというものです。このプロジェクトによって建築業界全体における、BIMの普及を促進することを目的としています。

対象となる事業者は、令和6年1月22日~12月31日までに「代表事業者」として登録をする必要があります。

BIMを利用するための2ステップ

BIMを利用するための基本となる2ステップがあります。利用する場合の参考にしてください。

BIMソフトウェアを入手

まずは、BIMデータを表示するためのソフトウェアを入手します。さまざまなソフトウェアが存在しますが、それぞれ特徴があります。

  • あらゆる情報を3Dモデルで作成・データ化
  • 3Dのデザインを構築し企画から基本設計及び実施設計までの業務をサポート
  • データへの修正や変更結果がすぐに関連部分に反映される連動機能あり、手軽に 3D機能をカスタマイズ

などですが、どのソフトウエアが使いやすいのか検討する必要があります。

BIMデータを入手

BIMデータはインターネットからダウンロードが可能です。無料でテンプレートや実用的なデータを提供しています。表示ツールでデータを入手し、実際に使ってみましょう。

世界で使用頻度が高く実績があるツールや、ユーザーの数が多いツール、日本国内でもBIMデータを提供しているサービスもあります。

どれが良いかは使ってみないとわかりませんが、サービス内容を確認し、できるかどうか、作業に合っているかどうか検討してから実際にデータを入力してみましょう。

おすすめのBIMソフトウェア4選

ここからはおすすめのBIMソフトウェア4選をご紹介します。それぞれ特徴や対応分野が異なるようですので、導入検討の参考にしてください。また、動作環境にも注意が必要です。必ず確認するようにしましょう。

Archicad

Archicad

引用元:https://graphisoft.com/jp/solutions/products/archicad
グラフィソフトジャパン株式会社

Archicad(アーキキャド)はGRAPHISOFT(グラフィソフト)社のBIMソフトで本社はハンガリーにあります。主にデザイン事務所などで多く使用されています。教育版ライセンスは無料で、学生の導入事例も多いようです。

3Dオブジェクトが豊富でレイヤー機能を備えているためデザイナーやCADユーザーには使いやすい特徴があります。ライセンスは買い切りで販売しているため、助成金や補助金の活用例も多いです。動作環境はWindowsOS・MacOS共にサポートがあります。

Revit

Revit

引用元:https://www.autodesk.co.jp/products/revit/overview?term=1-YEAR&tab=subscription&plc=RVT
Autodesk株式会社

Revit(レビット)はAutodesk(オートデスク)社のBIMソフトで本社はアメリカです。設計・構造・設備・施工の分野に対応し、大手組織設計事務所やゼネコンなどで導入が多いようです。

BIMモデルの各パーツに付与した情報の活用・管理するデータベースの機能に優れ、データの同時編集が可能なため、チームで行う作業を効率的に進められます。

設計・構造・設備・施工に対応した機能があるため、建設計画全体の進行効率化ができます。推奨動作環境はWindowsOSのみとなっています。Mac環境では仮想Windowsを導入し作動させる点に注意しなければなりません。

Vectorworks

Vectorworks

引用元:https://www.aanda.co.jp/Vectorworks2023/
エーアンドエー株式会社

Vectorworks(ベクターワークス)は、アメリカのVectorworks社が開発したBIMソフトです。日本ではA&A(エーアンドエー)株式会社が販売元となっています。2次元CADソフトから始まり、アップグレードでBIM機能が追加されています。

CAD機能が充実しているため、操作性の良さやデザインのしやすさという面から中小規模の設計事務所やインテリアデザイン会社での導入例が多く、BIMソフトになる以前から導入しているユーザーも多くいるようです。

ライセンスは買い切りとサブスクリプションが選択でき、用途に応じたバージョンも販売しています。動作環境はWindowsOS・MacOSのどちらもサポートされています。

GLOOBE

GLOOBE

引用元:https://archi.fukuicompu.co.jp/products/gloobe/
福井コンピュータアーキテクト株式会社

GLOOBE(グローブ)は福井コンピュータアーキテクト株式会社のBIMソフトで本社は福井県です。設計・積算・運営・維持の分野に対応し、構造や施工については関連製品があります。

GLOOBEは日本で開発されたBIMソフトのため、日本の建築法規に対応した機能が豊富です。斜線計算や容積率の算出がソフト内で行えることで、建物の企画から申請まで活用が可能なBIMとなっています。

また、他社のBIMソフト、Revitのデータを読み込み法規チェックを行えます。ライセンスは買い切りでオプションプログラムを追加可能です。推奨動作環境はWindowsOSのみです。

おすすめBIMソフト6選!機能や導入するメリットを解説!の記事はこちら

bimソフト おすすめおすすめBIMソフト6選!機能や導入するメリットを解説!

【まとめ】BIMを活用して建設・建築業の業務を効率化しましょう

建築・建設業で注目されているBIMについて解説してきました。BIMソフトを活用し建築物の3Dモデルを作成することで、複数案件の比較検討が出来ます。シミュレーション機能で設計がスムーズになり、社内のコミュニケーションも良くなります。

BIMの導入は難しいことがデメリットにありますが、導入時の手間や時間のコストと、将来的な作業効率化やコスト削減を比べた場合、導入するべきツールであることに間違いはないでしょう。

建築業界から取り残されないためにもBIMという知識を得ることは重要です。本記事ではおすすめのBIMソフトウエアも4つご紹介しています。建築を効率的に進めるためにもBIMを検討してみるのも良いのではないでしょうか。

3DCADの図面作成代行会社についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

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