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土木の公共工事で導入されている「工事成績評定」とは、工事のプロセスや出来栄えを評価する制度であり、将来のプロジェクトの改善に役立つ重要なものです。点数が高ければ、優良な土木工事業者だと認められ、次の受注につながります。
土木業に携わる方のなかには、「工事成績評定の点数がなかなか上がらない」、「同じ対応をしているはずなのに点数にばらつきがある」とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、工事成績評定の概要や高い点数を取るためのポイントを解説します。
工事成績評定の仕組みを知り、ぜひ評価の向上を目指していきましょう。
公共工事における工事成績評定とは?
工事成績評定とは、公共工事の施工体制、施工状況、出来形等の様々な項目を審査して、100点満点で評価する制度のことです。
公共工事の品質や技術を向上することや、請負業者の選定を適正にすること、請負業者を指導し育成することなどを目的としています。
評価項目や運用方法は発注業者によってそれぞれ異なりますが、主に国土交通省が示している実施要領に準じています。
工事成績評定で高い点数を取ると、入札で有利に働くなどのメリットがあります。
工事成績評定は格付けに影響する
公共工事の発注機関は、「客観的事項」と「主観的事項」を基に入札の格付けをします。
「客観的事項」には、経営の状況や規模、技術力の指標である「経営事項審査」の結果が用いられます。
一方で、各発注機関が独自に評価する「主観的事項」として過去の工事実績や表彰、ISO取得の有無などの他に用いられるのが、工事成績評定です。
経営事項審査の結果に現れないような自社の強みをアピールするためにも、工事成績評定をないがしろにはできません。
工事成績評定実施のフロー
工事成績評定における審査では、「施工プロセスのチェックリスト」に沿って、契約の段階から施工中、工事完成まで細かくチェックされます。
チェック項目は、施工体制、施工状況、出来形等に関して詳細に指定されており、数百項目にも上ります。
審査体制は各発注機関によって異なりますが、国土交通省の場合、主任監督員、総括監督員、技術検査員の3人体制です。
工事の完成検査が完了した後に、完成検査の結果と「施工プロセスのチェックリスト」のチェック結果を基に「考査項目別運用表」を作成し、評価点を算出します。
工事成績評定の仕組み
次に工事成績評定の仕組みについて解説していきます。
工事成績評定の評価項目
工事成績評定の評価項目は、多岐にわたることをまず押さえておくべきです。
施工体制や施工状況、出来形、創意工夫、地域貢献など、基本項目だけでも幅広い範囲が評価対象になります。
また、施工計画や安全管理といった項目は「できて当たり前」と見なされるため、手抜きがないか厳しく見られます。
中でも品質・出来形・施工管理の三項目は配点比率が高く、加点を狙うなら特に力を入れたいポイントです。
これらの項目は自社の技術力を発揮できる部分でもあり、高得点を目指す上でのアピールポイントとなります。
考査項目
考査項目は施工体制や施工状況など7つの項目で構成されています。
具体的には、組織体制や配置技術者の職務を評価する「施工体制」、工程管理や安全対策など現場運営を評価する「施工状況」、出来形・出来ばえ・品質を評価する「出来形及び出来ばえ」の三項目が基礎点の中心です。
これに加えて、難易度の高い工法や環境条件に対応した高度技術を評価する「高度技術」、独創的な改善や工夫を評価する「創意工夫」、環境保全や地域貢献など社会的な取り組みを評価する「社会性等」、法令遵守や事故防止を評価する「法令遵守等」が加点・減点の対象となります。
評定は主任監督官・技術検査官らによる5段階評価で行われ、各項目の得点が100点満点に集計されます。
創意工夫の加点項目
創意工夫の加点項目では、新たな工夫や技術の導入が評価されます。
例えば、器具や装置の改良、コンクリート二次製品の代替材利用、土工や橋梁架設における効率的施工方法など、現場運営を改善する工夫が対象です。
NETIS登録技術の活用やICT施工、BIM/CIMといった新技術導入、品質管理手法の改良、安全教育や労働環境改善なども加点対象になり、施工者が提案した技術は効果調査表を提出することで評価されます。
令和6年度からは施工・新技術・品質・安全衛生・その他の五分野から10項目以内を選び、バランス良く実施することが求められています。
創意工夫の事例についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
土木工事における創意工夫とは?点数をあげるポイントや優秀事例も紹介!
工事成績評定の平均点
工事成績評定では、基礎点65点をベースに加点や減点を加えて100点満点で評価されます。そのため、自治体によって基準に若干の違いはあるものの、80点以上は優良工事と評価されるラインです。
高い点数を得れば「優良業者」として認定されやすく、入札で有利に働いたり、表彰やホームページでの紹介などの優遇を受けることもあります。
一方で点数が低すぎると、粗悪業者とみなされ、一定期間入札に参加できなくなる可能性もあるので注意が必要です。
このように、評価点にはメリットとリスクが表裏一体であることを理解した上で、平均点の意味合いを把握しておきましょう。
工事成績評定の全国平均は80点
工事成績評定の全国平均は地域や工種によって異なりますが、近年の地方整備局公表値では約79〜80点となっています。
例えば、令和5年度の平均点は東北地方整備局79.6点、中部79.5点、近畿79.8点、中国80.4点、九州80.48点と公表されており、地域差は小さく概ね80点前後で推移しています。
一方、国土交通省が平成15年度完成工事を分析した報告では平均73.6点と示されており、低入札工事では標準工事より5点程度低い傾向です。
そのため、工事成績優秀企業として認定される目安は平均80点以上であり、各考査項目で「b」評価を揃えて初めて達成できるといわれています。
工事成績評定で90点以上を取得する難易度
工事成績評定で90点以上を取るのは、難易度が高いです。
発注者が求める品質確保を満たし、出来形・出来ばえに関する「品質」で最高評価の「a」を取ることが不可欠で、その他の項目でも減点を避けた上で加点を積み重ねる必要があります。
「工事特性」や「社会性等」では発注内容や地域貢献の条件が評価を左右するため、受注者の努力だけでは満点を狙いにくいのが実情です。そのため、無事故の現場運営を徹底し、創意工夫や新技術の導入で評価を補うことが唯一の近道とされています。
評定結果がもたらすメリット・デメリット
工事成績評定の点数が高ければ、優秀な業者だと認められ公共工事の入札において有利に働きます。しかし、点数ばかりに気を取られてはいけません。
高得点を取ることにこだわりすぎて過剰なルールや制度を課すと、従業員に大きな負荷がかかってしまいます。
また、せっかくルールを作っても、ルールを守ることが目的となり内容や意義が形骸化しがちです。工事成績評定制度の目的はあくまでも、工事の品質や技術の向上、請負業者の適切な選定なので、過度に意識しないようにしましょう。
工事成績評定で80点台を出すためのポイント
評定で常に80点以上を出すために押さえておきたいポイントをいくつかご紹介します。
基礎的な不備を0にする
工事成績評定で高得点を取るためには、施工計画や安全管理といった基礎的な項目での不備をゼロにすることが大切です。
出来て当たり前だとみなされている項目を完璧に仕上げていれば、基礎点である65点を下回ることはありません。
基礎的な項目での不備をゼロにしたうえで、評価項目の中で高い点数を占める「品質・出来形・施工管理」で自社の技術力をアピールし、加点を目指しましょう。
評価項目を実際に現場で確認されることはなくても、写真や書類を求められることがあるので、準備を整えてください。
次に「品質・出来形・施工管理」について詳しくご紹介します。
品質について
品質においてチェックされるポイントをいくつかご紹介します。
・品質管理図表や社内規格値を用いて品質を測定し評価している
・雨水による崩壊が起こらないように適切に排水されている
・土砂の運搬時に漏出がないよう施工している
・土砂に大きなものが混入していた場合、適切に分別し処理している
・土砂置き場で飛砂の防止や排水の考慮をしている
・コンクリートの配合試験や試験練りが実施され、試験成績表にまとめられている
・基礎工において掘り過ぎがなく適切に施工されている
これらは品質に関わる項目としてチェックされるので覚えておきましょう。
出来形について
出来形においてチェックされるポイントは以下になります。
・出来形管理図表や社内規格値を用いて出来形を測定し評価している
・見えない箇所の出来形を写真に撮って残し管理している
・設計では定められていない箇所は、監督員と協議して基準や規格値を定めて管理している
・社内の基準で管理していることが確認できる
・配線や配管、設備の据え付けや固定が設計通り施工されている
・撤去や解体作業をする際に、他の構造物や舗装などへの影響がないように施工されている
施工管理について
施工管理においてチェックされるポイントをいくつか以下に紹介します。
・使いまわしではなく、設計や現場条件を反映して施工計画書を作成している
・規格値が載った図表や資料を用いて出来形管理や品質管理をしている
・シートを掛けたり材料ごとに養生したりして、品質に影響がないように工事材料を保管している
・現場条件の変化に適切に対応している
・材料の品質証明書や工事を記録した写真を整理している
・騒音や振動、排気ガスへの対策がされた機械や車両を使用している
クライアントのチェックリストを確認する
工事成績評定で高得点を取るためには、施工プロセスのチェックリストに記載されている項目を少しでも多くクリアする必要があります。
主に国土交通省が示しているチェックリストが雛形に用いられていますが、クライアントによってチェックリストの項目が多少異なるため、内容を必ず事前に確認しておきましょう。
チェックリストは各自治体のホームページに掲載されていることが多いですが、見つからなかったり不明点があったりする場合は問い合わせて確認してください。
クライアントの考査項目別運用表を確認する
チェックリストと同じく考査項目別運用表も、主に国土交通省が示しているものが雛形に用いられていますが、クライアントによって項目や点数配分が多少異なるため、内容を必ず事前に確認しておきましょう。
点数配分が高い項目を抽出し、事前に対策案を練っておくことも大切です。
中には低い難易度で点数アップを狙える項目があるかもしれません。
また、周囲の同業者がどのような対応をしているかを事前にリサーチしておくことをおすすめします。
新しい技術を取り入れる
新しい技術を取り入れることは、工事成績評定の加点要素として注目されています。
国土交通省はNETIS登録技術やICT施工、BIM/CIMの活用を原則義務化し、活用効果調査表に基づいて加点評価を行っています。
施工者が提案する新技術はコスト削減や施工効率向上、品質向上につながり、総合評価方式や工事成績評定の加点対象になるため、積極的な導入が求められます。
また、創意工夫の分野でもICT活用工事や働き方改革への取組みが評価項目とされており、10項目以内でバランス良く選定することが高得点への近道です。
工事成績評定で高得点を取得するメリットやポイントについてはこちらの記事でも解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
「工事成績評定」とは?高得点を取得するメリットやポイントを解説
工事成績評定で低い点数を取ったときの改善策
工事成績評定で低い点数を取った場合は、次回同じ失敗を繰り返さないように分析と改善が欠かせません。
評価結果が通知されたら合計点だけを見るのではなく、項目ごとの点数を確認して高評価と低評価の差を理解することが重要です。その分析を踏まえ、原因や課題に対して少しずつでも改善を積み重ねていきましょう。
また、評定内容に不明点や疑問点がある場合は説明請求書を提出し、発注者から詳細な説明を得ることができます。こうした対話と改善のサイクルを実践することで、次回はより良い評価へとつなげられます。
チームでバックアップできる体制の構築
担当者個人の技術のみに頼っていては、高い点数を取ることは難しいでしょう。
いつでもフォローできるように、チームでバックアップして取り組むことが大切です。
情報共有を効率よく迅速にできるように、自社の共有フォルダにフォーマットや過去の施工事例のデータを格納しておきましょう。また、いつでも協力依頼できるように、協力会社をリスト化しておきましょう。
他にも、現場担当者からの意見が出やすい雰囲気づくりや、個人のアイデアや工夫に対する支援も欠かせません。チームのバックアップが充実していれば、発注者も安心して仕事を任せられます。
社内でのコミュニケーションの重要性
社内での綿密なコミュニケーションも欠かせません。
小さなトラブルを誰にも報告せず担当者一人で対応した結果、後々大きな問題になるということは、様々な業種でよく起こります。意見の食い違いのせいで仕事が進められず、納期を圧迫することもあるでしょう。
特に土木の公共工事は、大規模になるほど協力会社が増え、影響が大きくなっていき、社内だけで問題を解決することが困難になっていきます。
コミュニケーション不足がもたらす問題や、コミュニケーションの難しさを念頭に置いて、積極的に報連相をするよう心掛けてください。
クライアントとのコミュニケーションの重要性
社内だけでなく、クライアントとのコミュニケーションももちろん重要です。
クライアントの意図を確認せず、社内での予想だけで工事を進めてしまうと、工事完成間際になって大規模な修正を強いられる恐れがあります。
電話で気軽にコミュニケーションをとることは難しくても、こまめにメールや書類で連絡をとりましょう。問題が発生したときだけでなく、順調に工事が進んでいるときにも連絡を取ることで、クライアントからの評価が高まります。
クライアントとの打ち合わせの際は必ず議事録を作成し、意見の相違がないように共有しましょう。
近隣住民とのコミュニケーションの重要性
近隣住民とのコミュニケーションもないがしろにはできません。土木の公共工事では特に、長期間の騒音や振動、交通規制が発生しがちです。近隣住民に直接的なメリットがない工事も多いため、近隣住民が抱えるストレスはなおさら大きいといえます。
少しでも多く理解と協力を得るために、チラシを持って近隣住民やお店、事務所などに挨拶回りをしたり、必要に応じて個別に対話したりすることが大切です。
また、日頃から地域のイベントに参加することで、近隣住民から親近感を持ってもらえるでしょう。
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経験豊富なプロ人材が業務を代行するため、業務依頼と業務実施のやりとりがスムーズに進むでしょう。自社での新規採用をすることなく、業務を進められることで、書類作成対応までのタイムラグの短縮や対応できる人材を採用できないリスクの軽減につながります。
業務の品質を上げたい方やこれまで対応できなかった業務にも対応していきたい方、作業効率を上げたい方などもぜひこちらから詳細をご確認ください。
【まとめ】公共工事の工事成績評定は請負業者の能力を数値化した指標!チェックリストを確認して点数アップを目指そう
工事成績評定の概要や高い点数を取るためのポイントを解説しました。高い点数を取るためには評価の仕組みやチェックリストの項目、点数配分などを十分に把握し、日頃から準備することが大切です。
コミュニケーションを密に取りながら品質や技術の向上をあきらめずに続けていけば、自ずと点数に反映されるでしょう。高い点数を取って優良業者だと認められれば、今後の入札が有利になり、地域の信頼を得られます。
ぜひこの記事で解説した内容を参考に、点数アップを目指してください。
公共工事の受注から引き渡しまでの流れや公共工事を受注した際の書類の流れについてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
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