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公共工事の受注は、大きなビジネスチャンスですが、入札や契約までに数多くの書類提出が必要です。
- 公共工事を受注するための流れは?
- 公共工事を受注した際の書類提出の流れは?
- 公共工事を受注するのに必要な要件や資格は?
今回は、上記のような疑問に回答していきます。
公共工事を受注するまでの流れや契約後の手続き、必要書類や提出の流れついて詳しく解説します。せっかくの受注案件を、手続きミスで徒労にしないためにも、ぜひ今回の内容を参考にしてください。
公共工事を受注した際の書類の流れ
公共工事の落札が決まった後、すぐに工事が始まるわけではありません。
工事着手前には、発注機関に対してさまざまな書類を提出し、必要な手続きを行う必要があります。
以下、公共工事を受注した際に提出する主な書類の流れを9つのステップに分けて解説します。
契約書を提出する
まずは契約書の提出です。通常、落札決定通知書に契約期限が記載されているため、必ず確認しましょう。
契約書の様式は、発注機関のホームページ等から入手可能です。工事名などの必要事項を記載し、必要資料を添付して提出します。
契約保証金を納める
契約時には契約金額に応じた契約保証金(契約金額の10%以上)を納める必要があります。現金納付以外にも、有価証券や保証保険などで代替可能です。ただし、発行に時間がかかる場合もあるため、早めに手配しておくとよいでしょう。
現場代理人・主任技術者などの通知書を提出する
工事を円滑に進めるために、現場代理人や主任技術者の決定後、発注機関に通知する必要があります。
現場代理人は原則として工事現場に常駐しなければなりません。そのため、特別な場合を除き、他の現場との掛け持ちを避ける必要があります。通知書は契約後7日以内の提出が求められます。
請負代金内訳書を提出する
契約後、請負代金内訳書を作成し、監督員に提出します。この書類は、工種ごとの費用を明示するものです。契約約款第3条に基づき、契約締結後、速やかに提出する必要があります。
提出期限は一般的に14日以内に設定されます。ただし、発注機関によっては、5日以内や7日以内に設定されている場合があります。そのため、契約書や関連資料を必ず確認しましょう。
また、請負代金内訳書には、現場労働者に関する健康保険や雇用保険などの法定の事業主負担額も記載する必要があります。
工程表を提出する
契約締結後は、工程表も提出します。工程表では、工種ごとの施工時期を明記します。
工程表の提出期限は、契約締結後7日以内または14日以内に設定されることが一般的です。また、工事着手前の30日以内に提出を求められる場合もあります。
契約書や設計図書、発注機関のホームページ等で提出期日を確認しておくことが大切です。
なお、500万円以上の工事では施工計画書の計画工程表がこれに代わるものとなります。
建退共掛金収納書を提出する
受注者は、建設業退職金共済制度に加入するとともに、その対象となる労働者について証紙を購入し、当該労働者の共済手帳に貼付する必要があります。
工事請負契約金額が500万円以上の場合は、「建設業退職金共済証紙購入状況報告書」を工事請負契約締結後1か月以内に提出します。
施工体制台帳・施工体系図を提出する
公共工事を受注した建設業者には、施工体制台帳と施工体系図の作成・提出義務があります。
施工体制台帳とは、工事に関与する建設業者の情報をまとめた書類で、4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上の下請契約を結ぶ場合に作成義務が生じます。
ただし、公共工事では金額に関わらず下請契約を結んだ時点で作成義務が発生し、発注者に提出しなければなりません。
施工体系図は、工事に関わる下請負人の分担関係を示した図で、公共工事では「工事関係者」と「公衆」が見やすい場所に掲示する必要があります。
工事カルテを提出する
工事金額が500万円以上の場合、契約後10日以内に「(財)日本建設情報総合センター」のコリンズシステム(CORINS)へ登録し、「工事カルテ」を提出します。
帳票をダウンロードした後、発注機関に持参し、確認の証に監督員の署名・押印を受ける必要があります。
着手届を提出する
工事着手に際し、着手届を発注者に提出します。
建設リサイクル法の対象工事では「分別解体等の計画書」を提出し、発注者に説明しましょう。また、下請業者がある場合は下請業者に「通知書」の写しを添付し、告知した上で「告知書」の写しを提出します。
施工計画書を提出する
受注者は、設計図書に基づき、工事着手前に工事目的物の施工手順、工法などを詳細に記載した施工計画書を作成し、監督職員に提出します。
様式や作成例等は、自治体のホームページ等で公表されていますが、単なる丸写しではなく、落札した工事内容や工種などを間違いなく反映させましょう。
役所などの関係機関へ諸手続届を提出する
工事内容によっては、着手前に役所や関係機関への届け出や協議が必要となります。
例えば、道路使用許可申請書(警察署)、道路使用届(消防署)、特定建設作業届(騒音・振動、市役所)、農地一時転用許可申請(農業委員会)、特殊車両通行許可申請(道路管理者)などの書類が必要なケースがあります。
また、提出書類ではありませんが、近隣住民(自治会等)への挨拶回りも重要です。
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公共工事を受注する流れ
公共工事を受注するためには、以下6つのステップを踏む必要があります。
- 入札参加資格を取得する
- 入札案件を見つける
- 案件の情報収集を行う
- 書類をまとめる
- 入札価格を設定する
- 落札・契約する
この流れに沿って、各項目を詳しく見ていきましょう。
1.入札参加資格を取得する
最初に、公共工事に参加するためには「入札参加資格」を取得しなければなりません。この資格は、国や地方公共団体が発注する工事の入札に参加するために必須で、「事業者登録」や「指名願」といった名称で呼ばれることもあります。
申請方法や受付時期、必要書類などは発注機関ごとに異なります。
入札参加資格の申請は期限があるため、事前に各自治体のホームページで情報を確認し、期限に間に合うように入札参加資格申請を行いましょう。
2.入札案件を見つける
資格を取得した後は、自社に合った入札案件を探していきます。
公共工事の入札案件は、各地方自治体や国のホームページ、もしくは入札情報サイトに掲載されます。
入札公告を確認する際には、入札条件、設計図書、特記仕様書などを細かくチェックし、自社の得意分野や許可状況に合った案件を選ぶようにしましょう。
図面など一部未掲載の場合は、発注事務所へ出向いて書類を閲覧する必要があるため、スケジュールには余裕を持つとよいでしょう。
3.案件の情報収集を行う
入札案件を見つけたら、次に詳細な情報を収集します。入札説明会に参加することで、入札関係資料が配布されます。また、説明会への参加が入札参加の必須要件となっている場合もあるため、注意が必要です。
発注者からの重要な情報や、案件に関する質問を解決できる機会が提供されます。入札価格を適正に設定するためには、入札説明会でのリサーチが欠かせません。
4.書類をまとめる
入札には多くの書類が必要です。必要な書類は、発注機関や入札案件によって異なるため、事前に確認し、準備を整えておきましょう。
書類が不完全な場合、入札に参加できないこともあります。しっかりチェックしてから提出することが重要です。
5.入札価格を設定する
入札に必要な情報をもとに、入札価格を決定します。
公共工事の入札では、最低制限価格が設定されている場合があり、一定の金額を下回る価格で入札すると失格となります。一般的に、この最低制限価格は公開されていない点に注意が必要です。
適正な入札価格を設定するためには、過去の類似案件を参考にしたり、積算ソフトを利用したりして、正確な見積もりを作成しましょう。
なお、総合評価方式の場合は、入札価格だけでなく技術力やISO認証の有無、地域貢献度なども評価の対象となります。
6.落札・契約する
失格基準以上で、かつ他社よりも低い価格で入札していれば落札となります。
落札が決まったら、発注者である国や地方公共団体と、原則5日以内に工事請負契約を締結します。
契約後には、工事代金の一部を前払いする「前払金制度」を利用することができ、これにより工事の進行がスムーズになるでしょう。前払金を請求する際には、保証事業会社との保証契約を締結し、発注者に請求する手続きが必要です。
公共工事を受注する際の注意点
公共工事を受注するには、多くの手続きや注意点があります。事前に注意点を把握しておくことで受注までスムーズに進められるでしょう。ここでは、公共工事を受注する際の注意点を解説します。
入札仕様書の疑問点は解消する
入札前は、入札条件や設計図書、特記仕様書を詳細にチェックし、制約や施工条件を把握しておくことが重要です。発注者の意図や重視しているポイントを把握することで、プロジェクトをスムーズに進められます。
特に、特記仕様書には現場の施工条件や制約事項(交通誘導員の配置や規制時間など)が記載されているため、共通仕様書と合わせて確認しましょう。仕様書の内容を正確に把握することで、適切な見積や提案を行えます。
疑問点や不明点がある場合は、すぐに問い合わせましょう。質問はFAXやメールにて受け付けています。期間が限られている場合が多いため、疑問点や不明点については早めに確認することが大切です。
入札価格を適切に設定する
入札価格は慎重に設定する必要があります。入札価格は低めに設定すればよいわけではありません。ただし、入札価格が高すぎる場合は落札できないでしょう。
過去の類似ケースがどの程度の価格で落札されているか、現在の市場動向などを分析し、適切な入札価格を見極めることが重要です。
また、プロジェクトの難易度や他社と自社の独自性を考慮し、競争力のある価格設定を意識しましょう。
必要な書類を不備なく揃える
必要な書類は不備なく揃えることが大切です。書類の不足はもちろん、作成時の計算ミスや誤字・脱字にも注意しましょう。書類が揃っていても、記載ミスがあった場合は失格の原因となります。
必要な書類は揃っているか、記載内容にミスはないか、複数人で確認しましょう。
また、書類の提出日を正確に把握できるよう、スケジュール管理も含めて準備を徹底することが重要です。
【まとめ】公共工事の書類の流れをよく確認して適正に提出しよう!
公共工事を受注するためには、入札参加資格の取得から入札、契約、着手前の書類手続きの流れまで、数多くの注意点をクリアする必要があります。
適正な入札価格の設定や必要書類の準備を怠ると、入札失格や契約遅延のリスクが生じるため、慎重に対応しましょう。
また、建設業許可や経営事項審査(経審)など、受注に必要な資格や要件を満たしているか確認することも重要です。
正しい知識と落ち着いた準備で、公共工事の受注をスムーズに進めましょう。
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