土木工事における創意工夫とは?点数をあげるポイントや優秀事例も紹介!

土木工事における創意工夫とは?点数をあげるポイントや優秀事例も紹介!

土木の公共事業は、工事成績評定により点数を付けられます。高い点数を取れば取るほど評価が高くなるため、高得点を狙うために日々努力している方も多いのではないでしょうか。
特に、工事における創意工夫の項目に頭を悩ませている方は多いです。
「そもそも土木工事での創意工夫とは?」「この項目で点数を上げるにはどうしたらいい?」など、さまざまな疑問が浮かんでいることでしょう。

今回は、土木工事における創意工夫とはどのような意味なのか、評価を高めるにはどうすればよいかなどの知識を解説します。

土木工事の「創意工夫」とは?

そもそも、土木工事における「創意工夫」とは、どういう意味なのでしょうか。これは、発注者の視点に寄り添いつつ、ほかにはない視点を組み込むことを指しています。

創意工夫では他社にはないユニークな視点や施工を求められていますが、ただアイデアを出し、施工すればよいわけではありません。施工中の安全性や現場周辺の環境への配慮を欠いた提案をしても、受け入れてもらえないでしょう。斬新すぎる提案や切り口では、かえって評価を下げてしまいます。

創意工夫で評価してもらうには、発注者の心や関心を動かすような提案や作業を心がけることが大切です。施工内容や提案自体はよくある内容でも、きちんと意見や考えがあったうえでの行動なら評価してもらえます。
土木工事における創意工夫で求められているのは、今までにない斬新な発想ではなく、通常の施工とは少し違う、発注者や現場の環境に配慮した行動であると覚えておきましょう。

創意工夫と工事成績評定の加点

では、評価を得るには具体的にどのような行動を取ればよいのでしょうか。大切なのは発注者に評価してもらいやすい工事やその内容です。

採点する以上、自分たちの施工を評価する方がいます。高得点を取るには、採点者が評価・推薦しやすいアピールを意識しなくてはなりません。また、国や発注者が設けた評価項目でも高い点数を取っていくことが大切です。
工事成績評定の創意工夫で加点してもらうために重要なポイントである、採点者・項目と実施内容について解説します。

創意工夫の採点者

工事成績評定は、以下3人の評価者により判定されます。

  • 主任監督員
  • 総括監督員
  • 検査官

このうち、創意工夫の評価はすべて主任監督員が行います。
高得点を得るには、主任監督員が感服・納得するような施工管理をしなくてはなりません。
創意工夫で高得点を狙いたい場合は、主任監督員を意識しながら施工管理を行いましょう。

また、主任監督員の視点は、創意工夫で実施する対策や活動を考えるときのヒントにも役立ちます。発注者や採点者とのコミュニケーションに注目していると、相手が注意していることや、実施してほしい対策などのポイントが自然と分かるようになります。
相手の要望や気持ちに寄り添った対策ができれば、高い評価を得られるようになるでしょう。

創意工夫のポイント

高い点数を取るには、採点者を意識した行動だけでは不十分です。国や発注者が提示した項目を満たし、定量的な数字も取っていかなくてはなりません。
項目は複数ありますが、最低でも次の5つは満たしておきましょう。

  • 施工
  • 新技術活用
  • 品質
  • 安全衛生
  • 地域への貢献等

次に、評価内容です。
実施内容は以下の順番で内容を記載すると、読みやすく、分かりやすい文章になります。

  1. 背景
  2. 現状
  3. ボトルネック
  4. 課題
  5. 今回実施した内容や解決策

問題の背景や現状から解決策につなげて書くことで、客観的な視点からも問題や施工内容が分かりやすくなります。せっかくよい対策をしていても、発注者や採点者に理解してもらえなければ意味がありません。評価内容を作成するときは、第三者が読んでも分かりやすい内容をかけているかを意識しながら取り組みましょう。

土木工事の創意工夫事例を取り上げる「安全プロジェクト」とは?

好評価を得るための創意工夫について学ぶだけでは、よい案が思いつかない方もいらっしゃるでしょう。より具体的なアイデアを考えるには、実際に行われている事例に目を向けることも大切です。事例は、国などが実施しているコンクールや事例の紹介資料で確認できます。

今回は、厚生労働省で実施している「安全プロジェクト」コンクールの事例を確認していきましょう。これは、企業や事業場における安全活動の活発化を目的に行われているコンクールで、安全衛生管理における好事例を多数確認できます。

アイデアがうまく思いつかないときは、過去成功した事例なども活用しましょう。
ここでは、年度ごとに取り上げられた好事例の特徴をご紹介します。

令和3年度:創意工夫事例

令和3年度は、新型コロナウイルスの影響から、通常の安全対策と感染症対策を両立させるためのアイデアが多数取り上げられました。VRや遠隔操作など、最新鋭の技術を使うだけでなく、行動科学を利用して自然に安全対策が取れるような取り組みを行うなど、さまざまな創意工夫が行われています。
創意工夫は、新しい道具や技術を取り入れるだけではありません。
コストを最低限に維持しつつ安全性や周りへの配慮を意識するのも、高評価を得られる工夫です。

令和2年度:創意工夫事例

令和3年も、最新技術や行動科学を利用した工夫が施されています。
違いとしては、令和2年度は熱中症対策の事例がよく取り上げられました。
施工そのものに関係する対策だけでなく、現場で発生しがちなトラブル対策も高評価を得られるポイントです。

ちなみに、熱中症対策は、過去の事例では以下のような対策が評価されています。

休憩場を色付きネットで囲んで作業中でも分かりやすくする
熱中症の危険度指数である「WBGT値」を尿の色や指数で見分けられる表を掲載する

創意工夫のアイデアは、現場の環境も参考になります。
アイデア探しの際は、広い視点を意識しながら活動しましょう。

令和元年度:創意工夫事例

令和元年度のコンクールでは、人感センサーを使った状況別の注意喚起など、現在の行動を分かりやすくして安全を守る事例が評価されました。また、現場での活動だけでなく、安全活動に意欲的に取り組めるようなアイデアも多数発表されています。

危険箇所データを収集・分析して安全活動に利用した
安全衛生水準を向上させた工員を評価・表彰した

このように、過去の施工を活用して新しい活動に活かすのもよい方法です。創意工夫に活用できるのは、評価対象の工事だけではありません。過去のデータや工員の評価活動も、高評価につなげられる可能性があります。

平成30年度:創意工夫事例

平成30年度は、令和のような最新機器や技術を用いたものよりも、身近な資材・道具を使った事例が多数寄せられました。中にはバランスボールによる健康確保など、ユニークな活動も含まれています。バラエティー豊かな事例がそろった年度であるといえるでしょう。
ちなみに、過去の事例で評価されたものの中には、「安全帯のフックに蛍光マーカーを張り付けて着用している状態をわかりやすくする」などの簡単な対策もあります。
ちょっとした工夫でも、効果が得られればきちんと評価されます。
アイデアを考えるときは、どんな小さな内容でも欠かさず検討しましょう。

平成29年度:創意工夫事例

平成29年度は、誰でも取り入れられる事例が多くそろいました。

転倒防止や腰痛予防を呼びかける事例
怪我や事故に遭遇しやすい経験の浅い工員などに配慮した事例

段差にトラ柄のテープを巻くなど、他社でも取り組みしやすい事例が多いのもこの年度の特徴です。
ありふれた活動でも、徹底して実施することで他社との違いを生み出せます。
新しいアイデアが思いつかないときは、コツコツできる活動を徹底的に行うのもおすすめです。

注意点:創意工夫をアピールしても、工事成績評定点が上がりにくくなっている

さまざまなアピールができる創意工夫ですが、ほかの項目が低ければ当然高評価は得られません。
また、検査官によっては、別の項目を重点的に評価する場合もあります。
創意工夫を一生懸命アピールしても、評価をもらえない可能性もある点にご注意ください。

創意工夫はさまざまなアピールができる分、頭を悩ませる項目ですが、この評価だけに集中しすぎてほかの要素をおろそかにしては意味がありません。
ほかの評価項目もきちんと高得点を取れるような工事を意識しましょう。

創意工夫の加点で工事成績評定をあげましょう!ポイントや優秀事例も要チェック

創意工夫の項目で高評価をもらうには、発注者や採点者の視点を取り入れることが大切です。ひとりで考え込まず、さまざまな意見や視点を取り入れて考えましょう。
客観的な視点を意識すれば、高得点を得るのも難しくはありません。

アイデアが思い浮かばないときは、過去の事例を参考にするとよい案が浮かびます。
また、過去のデータをもとにした活動も有効です。現在評価されている工事だけでなく、過去の事例やデータにも目を向けながら考えてみてください。
「工事成績評定」とは?高得点を取得するメリットやポイントを解説 土木の公共工事で導入されている「工事成績評定」とは?高得点を獲得するためのポイントを解説