配筋検査とは?チェックポイントや不具合の事例・注意点を解説

配筋検査

配筋検査は安全に利用できる建物を作るのに欠かせない要素です。とはいえ、チェック項目がなぜ必要なのかといった基礎的な内容や、発生しがちな不具合などが分かっていないと実施しても意味がありません。
本記事は、配筋検査の必要性を解説しつつ、チェックポイントと不具合の事例をご紹介します。

配筋検査とは

配筋検査とは、別名鉄筋検査ともいわれています。建物の基礎に使われる鉄筋が正しい位置・本数に配置されているかを調べるのが目的です。基礎工事の工程のひとつであり、コンクリートを打設する前に行われます。

検査内容は複数の項目に分かれており、専門家の手によって行われます。基礎部分は建物の完成に伴って見えなくなるため、検査時に写真や書面でその内容を残しておくのも、施工後のトラブルを防ぐ重要な仕事です。

使用する調査道具

配筋検査では、以下の道具を試用しながらチェックします。

  • 鉄筋の配置図
  • 基礎伏図
  • 基礎断面図・詳細図
  • 構造仕様書
  • 平面図
  • 給排水設備図
  • メジャーやコンベックス
  • デジカメ
  • 筆記用具やメモ用紙

設計図は建設会社や設計者により作製されるものがそれぞれ異なるため、現場に合わせたものを用意して行います。検査すべき内容が記載されているものを選びましょう。

配筋検査を行うタイミング

配筋検査を行うタイミングは、建物により異なります。主なものだけでも4〜6回あり、タイミングもそれぞれ異なります。工期や施工計画を立てる際は、建物ごとに異なる検査タイミングを把握したうえで行いましょう。
基礎工事の配筋検査は、主なものでも以下のタイミングで発生します。

  • 掘り方の検査
  • 基礎底盤部分の配筋検査
  • 基礎底盤部分のコンクリート打設の立ち合い検査
  • 基礎立ち上がり部分の配筋検査
  • 基礎立ち上がり部分のコンクリート打設の立ち合い検査
  • コンクリート打設完了後の基礎仕上がり検査

なお、多くの住宅は基礎コンクリート打設の際は2回に分けて行うため、住宅により工程が異なります。また、施工により複数の作業を1回にまとめることも少なくありません。その場合上記のような検査はできないため、以下のようなタイミングで実施します。

  • 掘り方の検査
  • 基礎底盤と立ち上がり部分の配筋検査
  • 基礎底盤と立ち上がり部分のコンクリート打設の立ち会い検査
  • コンクリート打設完了後の基礎仕上り検査

このほか、基礎が特殊な形状の場合は検査回数やタイミングも異なります。施工計画を立てる際は、住宅検査会社と建物の計画と工程を確認しながらタイミングと回数を決定しましょう。

配筋検査のチェックポイント

配筋検査では、鉄筋の配置をはじめとした様々な項目をチェックします。チェックポイントごとの必要性や検査個所を解説していくので、実際の検査時にお役立てください。

鉄筋の配置

配筋図には「@150」などの数値があります。これは、鉄筋の幅を示したものです。この数値の場合「30cm間隔で鉄筋を組む」という指示になります。鉄筋の配置検査では、鉄筋の網目幅が配筋図の通りにくまれているかをチェックします。
検査内容は以下の通りです。

  • コンベックスなどを用いて網目の間隔を測定する
  • 鉄筋の交差部分が一定間隔で針金を用いて結合されているかを目視する

図面通りの幅を確保できなければ、図面作成時に想定した耐久性を確保できない恐れがあります。目視での検査だけでなく、検査写真を撮影する際も等間隔の目安となるマーカーを設置するなどして、確認しやすい状態で撮影しましょう。

工鉄筋のかぶり厚さ

かぶりの厚さとは、鉄筋を覆うコンクリートの厚さを指します。検査では、鉄筋の表面からコンクリートの表面までの一番短い距離を測定します。この距離は以下の基準を最低でも満たさなくてはなりません。

  • 立ち上がり部分:40mm以上
  • 底面:60mm以上

なお、調べる際にはスペーサーまたはサイコロと呼ばれるコンクリートの塊を用いて行います。検査の際は鉄筋から型枠までの距離を測定し、数値通りの状態になっているか確認しましょう。

鉄筋の波打ち

鉄筋は斜めの状態では想定された強度を発揮できません。そのため、まっすぐな状態で設置されているかを調べる必要があります。これが、鉄筋の波打ち検査です。
検査の際は、目視で確認後、鉄筋同士の間隔を測定します。これにより、見た目や数値上でも問題ないかのチェックができます。

鉄筋定着の長さ

建物の種類や階層により、鉄筋の長さは異なるため、施工の際は適切な長さの鉄筋を設置しなくてはなりません。ときには2つの鉄筋を継ぎ足して重ねて施工することもあります。この箇所のことを鉄筋定着といいます。
鉄筋定着の長さは、図面と実際の施工状態を照らし合わせ、建物の基礎として必要な長さを確保できているかをチェックする検査項目です。

鉄筋の太さ

鉄筋は太さにより耐久度が異なるため、適切な太さを確保しなくてはなりません。建築基準法では、建物ごとに使用する鉄筋の太さ、つまり径の数値を定めています。例えば、住宅基礎に使える鉄筋の径は以下の2つです。

  • 9mm
  • 13mm

住宅の仕様により用いる鉄筋の径は異なるため、場所により複数の径を用いることもあります。場所ごとに適切な径の鉄筋が配置されているかを調べることも、この検査の重要なポイントです。

防水・防湿シート

防水・防湿シートは、コンクリートの底面に隙間なく敷き詰められることで、建物が水分の影響を受けるのを防ぐ効果があります。すき間ができてしまうと効果が半減してしまうため、大きく破れている個所はもちろん、シワなどがない状態で敷き詰めなくてはなりません。
防水・防湿シートをチェックする際は、破れやシワが発生していないかをチェックします。

ホールダウン金物の位置・本数・固定状況

「ホールダウン金物」とは、基礎・土台・柱をつなぐための金物です。ホールダウン金物が機能しないと、地震などの際に倒壊する恐れがあります。金物の位置は図面により示されており、検査の際は図面通りの位置・本数かを照合します。
また、ホールダウン金物は、歪んで設置されていると十分な効果を発揮できません。固定状況も重要なチェックポイントです。

アンカーボルトの位置・本数・固定状況

「アンカーボルト」は、金物の一種で基礎と土台をつなぐ役割を果たします。アンカーボルトの検査では、設置されている位置や本数を確認します。確認するのは、以下の内容です。

  • アンカーボルトの位置
  • アンカーボルトの本数
  • アンカーボルトが曲がって設置されていないか
  • アンカーボルトがきちんと固定されているか

アンカーボルトはコンクリートが流し込まれた後に手直しが発生すると、元通りの状態に戻すのに時間と手間がかかります。そのため、検査タイミングはその前に行われます。

配筋検査で見つかった施工不具合の事例

きちんと施工していれば、配筋検査に引っかかることはほとんどありません。しかしまれに、不具合や手直しの必要性が発生することもあります。実際に見つかりがちな不具合の例を知っておきましょう。施工の際は、以下のような状態にならないよう慎重に作業してください。

アンカーボルトが未施工だった

アンカーボルトの設置個所と図面を照合したときに、不具合が見つかったケースです。施工すべき場所に金具がない、または曲がっているなどの場合、手直ししなくてはなりません。

かぶり厚さが不足していた

基礎立ち上がり部分の型枠を設置した状態で、コンクリート打設前のタイミングで行われる検査で見つかりがちな不具合です。部分的または全体的にかぶり圧が不足していると、手直しの指示が入ります。

かぶり圧の不足は、指摘事例が多い不具合でもあり、立ち上がり部分だけでなく底盤部分でも発生しがちです。施工の際は注意しましょう。

配筋のピッチが不足していた

部分的に鉄筋同士の距離や間隔(ピッチ)が、設計図や仕様書よりも不足している場合、拭く具合とみなされます。一部だけでなく、複数の個所で発生することもある不具合です。工事監理が適切に行われていないと発生する不具合でもあります。

定着長さが不足していた

基礎の配筋工事をしたとき、部分的に定着の長さが設計図や仕様書より不足している場合も、当然ですが不具合とみなされます。基礎の配筋工事を行ったときの状況をチェックする際に発見されがちな不具合です。

ホールダウン金物の位置がずれていた

ホールダウン金物の位置がずれている場合、基礎の上に立つ建物の構造にも大きな影響を与えます。例えば、筋交いの位置に干渉する場所に施工されていると、後々の施工に影響を与えてしまいます。当然、不具合として修正しなくてはなりません。

配筋検査の注意点

配筋検査の際には、チェック項目以外にも注意すべき点があります。注意点は検査項目だけでなく、書類手続きなども関係するため、検査中だけでなく検査前から気を付けておきましょう。

必要な書類を用意する

配筋検査では、施工図や石膏図を用いて検査します。検査日程が近付いてきたら、必要書類をそろえておきましょう。検査対象となる建物により、追加資料が必要になる場合もあります。

必要書類やデータ類はあらかじめ一元管理し、必要ときにすぐ取り出せるようにしておくと準備も簡単です。

チェックリストを作成する

検査時は検査内容やその順序がそれぞれ異なります。事前にチェックリストを用意しておけば、作業を確認しながら進められるうえに、検査漏れを予防できます。検査時は、必要な工程をチェックリスト化し、終了ごとに印を入れつつ作業しましょう。

写真撮影をする

検査項目を写真撮影しておくと、見逃しを減らせます。複数人で配筋検査を行うなら、先ほど解説した工程チェック表のチェック役と写真撮影役を分担して行うとよりスムーズです。

人の記憶力や目視確認は意外とあいまいです。「目視のときには気がつかなかったのに、写真の画像データで確認したら不具合が見つかった」というケースは、珍しくはありません。見逃しや見間違いを防ぐためにも、写真撮影は欠かさず行っておきましょう。

【まとめ】配筋検査は丈夫な建物を建設する上で重要な検査の1つ!事前準備など管理を徹底して行おう

配筋検査は丈夫で安全性の高い建物を作るのに欠かせない検査です。検査の際はその内容を十分に理解したうえで行いましょう。また、工期を計画する際は、検査耶蘇の工程も含めたうえで計画してください。

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