一級建築士試験の難易度が高い理由や合格率・勉強法などを解説

一級建築士 難易度

一級建築士の資格は合格率が低いので、取得するのは難しいです。試験日までに十分勉強を行うことで、難易度の高い試験でもより合格しやすくなります。しかし、一級建築士の資格を取得するためには、どのような勉強をすればよいのかわからない人もいるでしょう。そこで難易度の高い一級建築士の資格を取得するための勉強法や、試験が難しい理由を紹介します。

一級建築士試験の難易度は高い

一級という名前が付けられていることでもわかるように、一級建築士は建築士の資格では上位に位置しています。どれだけ規模が大きい建設工事でも、難しい建築でも対応できます。設計にも携わるので、建築全般に対する幅広い知識が必要です。その分難易度もかなり高いのですが、どれくらいの合格率なのか、どのような勉強が必要なのかを紹介します。

総合合格率

一級建築士の試験は、学科試験と設計製図試験の2つに分けられていますが、まずは総合高確率について見ていきましょう。令和5年の結果を確認してみると、総合合確率は9.9%となっています。
令和4年度の結果はどうなっているのかというと、総合合確率は9.9%です。
毎年1割程度の合格率でしかないので、一級建築士の試験はかなり難しいことがわかります。

学科試験の合格率

今度は個別に合格率を確認してみたいと思います。
まずは一級建築士の学科試験ですが、令和5年の合格率は16.2%です。令和4年の合格率は21%です。
その年によって若干異なるものの、学科試験の合格率は毎年2割前後なのがわかると思います。

設計製図の合格率

次に設計製図試験の合格率を見ていきましょう。令和5年の設計製図試験の合格率は33.2%です。
令和4年度の設計製図試験の合格率は33%です。設計製図試験は、学科試験よりも1割くらい合格率が高めです。

数年単位で合格を目指す資格

一級建築士の資格はかなり難しく、初回で取得できる人はかなり少なくなっています。しかも年に1回しか試験は行われないので、大半の人は数年かけて取得することが多いのです。勉強も700時間から1500時間行わないと取得は不可能と言われています。経験も同時に積まなければいけないので、しっかりと計画を立てて勉強しなければいけません。

一級建築士試験の難易度が高い理由

一級建築士は、建築士の資格でも上位に位置しています。上位の資格であるということは、試験の内容も比例してどんどん難しくなるのは当然です。しかも学科試験は大きく5つの科目に別れているので、覚えることもたくさんあります。他にも難易度が高い理由があるので、なぜ難しくなるのか、何が大変なのかを確認していきましょう。

モチベーション維持が大変

一級建築士試験に合格するためには、長期的に計画を立てる必要があります。勉強時間はもちろんですが、仕事をしながら実務経験も積まないといけません。学科試験は範囲も広く、科目ごとに合格点が決められています。最低でも700時間以上、人によっては1500時間くらい勉強が必要なので、モチベーションの維持も難しくなるのです。

法改正などに伴い変化する試験内容

学校の試験でも同じことが言えますが、一級建築士試験も毎回同じ問題ではありません。毎回問題内容は変わりますし、法改正によって試験の内容自体が大幅に変化することもあるのです。
大幅に問題が変われば、過去に出た問題とは全く異なる場合も考えられます。合格基準点も変わる可能性があるので、最新の情報をチェックするのも忘れてはいけません。

一級建築士試験の概要

一級建築士の資格を取りたいと思ったときは、まず試験の概要を調べなければいけません。建築士の資格は国家資格なので、まずは受験資格を満たす必要があります。では、受験資格はどのようにして満たすのか、試験の概要はどうなっているのかを確認していきましょう。

受験資格

一級建築士の受験資格を得るには、

  • 建築整備士の資格を持っている
  • 二級建築士の資格を持っている
  • 国土交通大臣によって二級建築士相当の知識があると認められている
  • 大学や短期大学などで指定学科を卒業している

このいずれかの条件を満たしていないといけません。
今まではさらに実務経験がないと受験できませんでした。それが2020年の法改正により、指定学科を卒業していれば受験が受けられることになっています。

学科試験の概要と内容

学科試験の内容は、大きく分けると以下の5種類あります。

  • 計画・・・20問
  • 環境と設備・・・20問
  • 法規・・・30問
  • 構造・・・30問
  • 施工・・・25問

これは令和6年時点の内容なので、今後変わる可能性もあります。マークシート方式の出題形式で、4択なのが学科試験の特徴です。問題数も多く幅も広いので、しっかりと受験対策をしないと合格は難しいでしょう。

設計製図試験の概要と内容

設計製図試験の内容は、あらかじめ指定されている1つの課題をこなすことです。課題は図面の作成で、図面が作成できたら計画の要点という記述形式で答えを出します。学科試験よりは高い合格率となっていますが、それでも3割程度の人しか毎年合格していません。かなり難しい内容であることに変わりはないので、きちんと勉強しておきましょう。

一級建築士試験の勉強法

難易度の高い一級建築士の試験に合格するためには、十分な勉強が必要です。しかし、いくら長時間勉強をしても、効果的な勉強法を知らなければ合格は難しいでしょう。では、どのように勉強すればより合格率を上げることができるのか見ていきます。

試験日までのスケジュールを立てる

効率的に勉強をするためには、事前にスケジュールを立てておくのがよいでしょう。その際には試験日から逆算し、無理のないように計画を立てることが大切です。試験内容は学科と設計製図に別れているだけではなく、試験日も異なります。学科試験は7月に行われ、設計製図試験は10月です。まずは学科試験の勉強に集中し、学科試験後に設計製図の勉強を開始するのがよいでしょう。

問題集や過去問を解く

主な試験対策としては、過去に出題された問題集を解くのが一般的です。問題集は書店で購入することもできますし、インターネット上にも記載されています。出題のパターンは4択で、正しいものを答えなさいという内容です。後はひたすら問題集を解いていくことで頭に入っていきます。大体試験日の半年前から勉強を始める人が多くなっています。

スキマ時間は動画やアプリを活用する

一級建築士の試験対策として行われている勉強方法は、問題集を解くことだけではありません。スキマ時間を活用して、動画やアプリを使用した方法も最近では取り入れられています。仕事の休憩時間や、公共交通機関を使って通勤する時間などを有効的に使えば、より効率的に勉強できます。アプリは有料のものもありますが、無料のものもあります。

通信講座や学校を活用する

多少お金をかけてもよいので、本格的に一級建築士試験の勉強がしたいという人は、資格の学校を利用する方法がおすすめです。学校であれば直接講師から指導が受けられるので、最も効率のよい勉強方法だと言えるでしょう。近くに通える資格学校がない場合には、通信講座を利用するのもおすすめです。ただし、資格学校や通信講座は種類がたくさんあるので、慎重に選ばないといけません。

睡眠時間はしっかりとる

勉強は時間をかけてじっくりと行う必要があります。しかし、睡眠時間を削って徹夜をするのはよくありません。
一級建築士の試験を受けようと思っている人は、昼間仕事をしているでしょう。そのため、帰ってから勉強するという人が大半でしょうが、無理すると生活に支障が出てしまうこともあります。また眠い状態で勉強をしても、内容があまり頭に入ってこないため効率が落ちます。睡眠はしっかりととるようにしましょう。

一級建築士の資格をとるメリット

一級建築士の資格があれば、建物の種類や規模に関係なく設計ができます。そのため、転職で有利になる、社内で重要なポジションに就けるといったメリットがあります。
また他に資格を取りたい場合にも、特定の資格で受験要件などが免除になる場合もあるため、他の資格を取るときの役にも立つでしょう。

一級建築士の資格を活かせる仕事

一級建築士の資格を持っていることで、活かせる仕事が複数存在しています。それは

  • 不動産関連
  • 街づくり
  • 地域調査
  • 施工管理
  • 公務員

などの仕事です。コンサルタントや建造物のデザインなどにも活かせる資格なので、持っていれば建築関連以外の仕事でも力を発揮できます。建物の建設や設計以外の仕事をしてみたいという人にもおすすめできる資格です。

一級建築士と二級建築士の違い

当然ですが、一級建築士と二級建築士の資格では、同じ建築士の資格でも大きな違いがあります。この2つには様々な違いが存在しているので、詳しく解説していきます。

試験の難易度と合格率

一級建築士と二級建築士では、合格率に違いがあります。令和5年で比較をしてみると、一級建築士は学科試験が16.2%、設計製図試験が33.2%です。それに対して二級建築士の場合は、学科試験が35%、設計製図試験が49.9%です。
総合合格率で比較をしても、一級建築士が9.9%なのに対して、二級建築士は22.3%となっています。双方で合格率は12.4%も違いがあるのです。

資格

そもそも一級建築士と二級建築士では、資格自体に大きな違いがいくつか存在しています。違っている点をそれぞれ見ていきましょう。

設計できる建築物の規模

一級建築士の資格があれば、建物の規模に関係なく設計できます。どれだけ大規模であっても、小規模であっても問題ありません。二級建築士の資格だと、設計できる建物の規模に制限が設けられています。
基本的に二級建築士は戸建て住宅向きの資格です。そのため、高さが13mを超えている場合、もしくは軒高が9mを超えている建物は設計できません。

免許の交付元

一級建築士と二級建築士では、免許の交付元も違っています。一級建築士は国土交通省から免許が交付されます。その理由は国土交通大臣によって与えられる免許だからです。
ただし、登録の申請は都道府県建築士会が窓口となっています。一方で二級建築士の場合には、都道府県が免許の交付元になります。二級建築士は都道府県知事によって与えられる免許であるためです。

年収

一級建築士と二級建築士では、収入にも違いが出てきます。厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」の2019年のデータを確認してみると、一級建築士の年収は約702万円です。
二級建築士の場合は平均月給は33.8万円で、年収換算すると約405万円となります。
一級建築士と二級建築士の年収の差は約300万円ほどと大きな違いがあることが分かります。年収アップを目指すなら一級建築士を目指しましょう。
参照元:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
年収は「きまって支給する現金給与額」12ヶ月分に「年間賞与その他特別給与額」を加算して算出
参照元:求人ボックス

仕事内容

取り扱う建築物の仕事にも、一級建築士と二級建築士には違いがあります。どのような点が異なっているのか確認していきましょう。ちなみに設計と工事監理が独占業務という点はどちらも同じです。

扱う建築物

それぞれの資格で扱える建物の規模は以下の通りです。

  • 一級建築士・・・全ての建築物
  • 二級建築士・・・高さは13m以下、軒の高さは9m以下のもの(その他細かい条件あり)

一級建築士は役所や図書館、マンション、ショッピングモールなどあらゆる建物が対象です。
二級建築士は主に一戸建てを扱います。木造建築物の場合は3階建てまでが対象です。学校や病院などの用途が決まっている建物は扱うことができません。

働き方

取り扱いが可能な建築物が異なれば、働き方も異なります。二級建築士は戸建て住宅にかかわる仕事がメインです。そのため、勤務先も工務店やリフォーム店などに所属することが多いでしょう。
一級建築士であれば、工務店やリフォーム店はもちろんですが、公務員として都市計画なども行えます。大型の建物に携わるゼネコンなどでも活躍が可能です。

【まとめ】一級建築士試験の難易度は高い!上手に対策して合格を目指そう

今回は一級建築士の試験概要や、難易度が高い理由などを紹介してきました。いくら難易度が高くても、合格している人もいます。半年前あたりからしっかりと計画を立て、まずは学科試験の勉強をしておきましょう。学科試験が終了したら、今度は設計製図試験の勉強を行います。一級建築士の資格があれば仕事の幅がかなり広がりますし、年収にも影響します。

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