ゼネコン大手5社の売上ランキングや特徴・就職する方法などを解説

大手ゼネコンは知名度の高い建築物や公共インフラを作る際に重要な役割を果たす企業です。就職活動や転職活動で大手ゼネコンを目指す方はたくさんいます。その一方で、これらの企業がどのような会社なのか、いまいち掴みきれていない方もいるのではないでしょうか。

本記事は、そもそもゼネコンとはどのような企業なのか、種類や業務内容、日本の大手ゼネコン企業の特徴についてまとめました。あわせて就職を有利に進めるためのポイントも解説しています。興味を持たれた方は、ぜひご覧ください。

ゼネコンとは

まずはゼネコンという業界がどのようなものなのかをおさえましょう。業界の概要や種類などを解説します。

ゼネコンの概要

ゼネコンは建築業に属する企業の一種で、元請として工事一式を請け負います。「General Contractor」、直訳すると総合請負者という意味を略したのが名称の由来です。現在では総合建築業という意味になります。

工事自体は必要に応じて各専門業者に外注し、それを取りまとめるのがゼネコンの役割です。大規模工事を請け負うことが多く、さらに工事と合わせて研究開発も行っているのが特徴といえます。

ゼネコンの種類

一口に「ゼネコン」といってもその種類は様々です。それぞれの規模や特徴も押さえておきましょう。

大手

自社だけの売上高が1兆円を超える企業を「スーパーゼネコン」と呼びます。日本で該当しているのは、以下の5社です。

• 鹿島建設
• 清水建設
• 大成建設
• 竹中工務店
• 大林組

ゼネコンの中でも最も規模が大きく、日本ではその大きな建築の大半を請け負っています。

準大手

スーパーゼネコンに続いて売り上げ規模の大きい企業が、準大手ゼネコンです。具体的な売上額でいうと、3,000～4,000億円以上の企業を指します。従業員数でいうと、2,500以上・6,000未満となります。以下の企業は日本で準大手に該当する企業です。

• 長谷工コーポレーション
• フジタ
• 五洋建設
• 戸田建設
• 前田建設工業
• 安藤ハザマ
• 三井住友建設
• 西松建設
• 熊谷組
• 東急建設

企業の特徴としては、規模自体はスーパーゼネコンには及びませんが、独自工法や技術を持っている点が挙げられます。ダムなどの大型事業を手掛けるケースが多いのも、準大手ゼネコンの特徴です。

中堅

最後に解説するのが、中堅ゼネコンです。これは、売上高1,000億円前後・従業員900〜2,500人程度の規模を持つ企業が該当します。この規模に該当するのが、以下の企業です。

• 奥村組
• 東亜建設工業
• 鉄建建設
• 東洋建設
• 淺沼組
• 大豊建設
• 飛島建設
• 銭高組
• 鴻池組
• 東鉄工業
• 福田組

こちらも独自技術や工法を保有しており、小中規模のプロジェクトを中心に実施しています。

ゼネコンの業務内容

次にゼネコンの業務内容のうち、代表的なものを確認していきましょう。主な業務とその具体的な内容を解説します。

建物の設計

クライアントのイメージや要望を建築の形にする業務です。。一口に設計といっても、その内容は多岐に渡ります。

• 構造設計：クライアントのイメージや要望を元に安全に考慮した構造を設計する
• 意匠設計：主に外観や内観のデザインを作成する
• 設備設計：空調や電気・ボイラーなどの建築物に取り付ける設備やその配管などを設計する

設計の仕事に就くには、専用の資格が必要です。

施工管理

ゼネコンのメイン業務とも言える仕事です。下請けに出した仕事の工程や品質・コストを管理します。また、現場の安全を確保・管理することも重要な仕事です。

技術開発

現場の意見を取り入れつつ、効率的に業務を行うための研究や、災害などに強い建築物を作るための研究などを行います。建設をより良くするための業務であり、自社の独自技術を生み出し、企業の製品に大きな付加価値を生み出すことを目的とする、重要な業務です。

特にスーパーゼネコンはこの業務に力を入れており、多額の投資が行われています。

ゼネコン大手5社の売上ランキング

ゼネコンの基本的な内容をおさえたところで、実際のスーパーゼネコンがどれだけ売上があるのか、他社との違いは何かを知っていきましょう。

以下の図は、ゼネコン大手5社の売上や従業員数をまとめたものです。

それぞれ施工や設計部門のほかに、様々な部門があります。また、子会社もあり、それぞれ社風や規模が異なります。

ゼネコン大手5社の特徴

大手ゼネコンの規模を見るだけでは、いまいちピンと来ない方もいるでしょう。それぞれにおいて他社とは異なる特徴を備えています。次は大手ゼネコン5社の特徴を解説します。

鹿島建設

現場重視の社風と「進取の精神」の理念を持ったスーパーゼネコンです。常に時代を先取りし、日本初の高さ100m越えの高層ビルを手掛けた企業でもあります。

鹿島建設が手掛けた有名建築物としては、商船三井ビルのリニューアル・ホテルグランバッハ東京銀座などが挙げられます。

現場第一主義を掲げ、現場に権限を持たせるだけでなく、利益管理まで任せているのが特徴です。

近年、2050年のカーボンニュートラルに向けて脱炭素などの環境に向けた取り組みにも注力し始めました。海外での不動産開発・M＆Aにも積極的なのも特徴です。

大林組

大林組は1936年設立の歴史あるスーパーゼネコンです。2010年までは大阪に本社がありましたが、今は東京都港区にあります。そのため、西日本での実績を多く持っているのが特徴です。

大阪城や熊本城の天守閣を最新技術による修復や、首都圏では東京スカイツリーを手掛けています。公共施設の建設などに民間の資金・能力を活用する事業に強みを持っており、再生エネルギー活用にも力を注いでいるのが特徴です。

清水建設

医療や福祉施設の受注が非常に多いスーパーゼネコンです。1804年に創業した、歴史ある企業でもあります。そのため、医療や福祉施設だけでなく、社寺建築や伝統建築を得意としているのも特徴です。

古い技術を大切に持っているだけでなく、近年は生産性向上を目的としたロボット技術の導入にも挑戦するなど、新しい技術にも目を向けている視点も持っています。

大成建設

大成建設は日本のスーパーゼネコンの中で唯一非同族経営をしています。風通しのいい企業といわれているのが特徴です。事業としては住宅事業にも携わり、市街地再開発事業に強い点が挙げられます。

羽田空港国際線ターミナルや東京芸術劇場などの大規模案件も取り扱っており、従来は新事業よりも本業に力を入れて伸ばしている印象が強い企業でした。現在はエンジニアリング分野への注力など、新しい市場にも目を向け始めています。

竹中工務店

日本のスーパーゼネコンの中で唯一上場していない企業です。職人気質が強く、土木は子会社に任せ、建築専業のゼネコンとして活躍しています。設計部門は大手の設計事務所と肩を並べるほどの実力があり、多くの有名な建築家を輩出しているのも特徴といえるでしょう。

特徴からもわかるように、高品質な設計を得意としています。また、近年はカーボンニュートラルやサステナブル社会などを意識し始めました。

ゼネコン大手5社に就職する方法

それぞれ異なる魅力に溢れたスーパーゼネコンですが、就職するためには工夫が必要です。スーパーゼネコンに就職するために有効な方法をいくつか解説します。就職活動の参考にしてください。

採用実績校を目指す

スーパーゼネコンへの就職を目指す際、重要なのが学歴や学部です。多くのスーパーゼネコンがMARCHや関関同立以上の学歴を持つ就活生を採用しています。また、中堅私立大学の1つである日本大学の理工学部には建築家があり、卒業生の多くがスーパーゼネコンに就職しています。

学歴だけでなく、学科も重要です。建築は理工学の中でも専門知識や技術が業務に直結します。スーパーゼネコンもその関係から、理工学部、特に建築学科の卒業生を採用する傾向にあります。

少しでも有利に就職したいなら、MARCHまたは関関同立以上の理工学部、特に建築学科を選ぶべきです。

とはいえ、誰もが難関校の理工学部に入れるとは限りません。学歴や学部に自信を持てない方もいるでしょう。この場合おすすめなのが、大学院進学です。スーパーゼネコンは大学院卒を積極採用する傾向にあり、建築学科はそこで学んだ専門性を仕事に活かせるため、評価されやすいです。学歴や学部に自信を持てない場合は、理系大学院への進学も検討しましょう。

資格を取得する

スーパーゼネコンに限らず、建築業界で働くには専門的な知識や技術が必要です。転職などの場合でも、特定の資格を求められる傾向にあります。学歴や学部などに不安があるなら、資格を取得するのもいい方法です。

施工管理、特に大規模プロジェクトなどの現場では1級施工管理技士の資格取得者を配置しなくてはなりません。そのためこの資格を取得できれば、就活を有利に進められるでしょう。また、研究開発部門を目指すならエンジニアの知識や技術が身に付けられるものもおすすめです。

このほか、近年建設業界で注目を集めているBIMやCIMの知識や技術を身に付けるのもいいでしょう。これらに対応できる3DCADの知識や技術も高く評価されています。これらの実力を証明できる資格も、大手ゼネコンでの就職を有利に進めたい場合に有効です。

経験を積む

建築業界に必要な知識や技術は、大学や資格だけでなく、実践で身に付けたものも要求されます。スーパーゼネコンの求人も、例外ではありません。求人の中には、実務経験を応募条件に組み込んでいるものも多くあります。

学歴や資格を取得したあと、3年以上別の建築会社で働き、実務経験を条件としている求人に応募するのも戦略の1つです。条件によっては、就職活動よりも転職活動の方がいい条件で働ける可能性もあります。

どうしてもスーパーゼネコンで働きたい、できるだけいい条件で働けるようになりたいと考えているなら、転職も視野に入れて検討しましょう。

ゼネコン大手5社の今後

スーパーゼネコンは各社が2023年度の売上高で過去最高額を記録しています。今後も大阪万博やリニア中央新幹線などの需要が見込まれており、2025年も成長していくと見込まれています。

また近年、防災や環境に対する意識の高まりから、ただ安いだけでなく付加価値のある住宅や建造物が求められるようになりました。これらの影響もあり、今後もスーパーゼネコンは継続して成長していくとみていいでしょう。

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【まとめ】ゼネコン大手5社の特徴をよく知って自分に合う企業を見つけよう！

ゼネコン大手5社はそれぞれ異なる特徴を持っています。入社を目指す際は、目指す企業が持つ特徴などから求めている人材を分析することが必要です。

また、就職を少しでも有利に進めるには、学歴・学部・資格・経験など、様々な要素を持ち合わせる必要があります。まずは入社を目指すにあたって、自分に足りないものは何か、それを埋め合わせるにはどうすればいいかを考えるところから取りかかりましょう。

ゼネコンの仕事内容についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

ゼネコンとは？仕事内容や魅力・種類などをわかりやすく解説